ヒント

レポート2のヒント
2 (1) 質点に働く力はバネの復元力と抵抗力と外力のみである。
運動方程式は
d 2x
F = m 2 = バネの復元力+抵抗力+外力
dt
f(t)
ここで、右辺の 1 項目はバネの復元力は-kx、2 項目は速度に比例する空気の抵抗力‐2mω0v
(v= dx/dt)。抵抗力は運動の向きvと逆向きなので-が付く(抵抗力は正方向の速度v
=dx/dt>0のとき-負側に働き、負方向の速度v<0の時は+側に働く。‐2mω0v と書けば
vの向きにかかわらずいつも運動と逆向きに働くことを表していることを確認せよ)。3項目
は加える外力=+Fsinω0t である。両辺を m で割って、ω02=k/m を使い、問題の①式になる
ことを示す。
(2)
d 2x
dx
F
2
+ 2ω 0
+ ω 0 x = sin ω 0 t ・・・・①
2
dt
m
dt
①式はxを含まない項(右辺)があるので線形 2 階 非同次 微分方程式と呼ばれ、①の右辺
=0とした次の②式は全ての項がxを含むので、線形 2 階 同次 微分方程式と呼ばれる。線
形とは x2 以上の項を含まず、x の 1 次の項のみを含む式のことを言う。
d 2x
dx
2
+ 2ω 0
+ ω0 x = 0
2
dt
dt
・・・・②
①の線形 2 階非同次微分方程式を解いて x(t)を求めるときに次の定理が成り立つ。
定理とは、既に正しいことが証明されている既知の事象であり、考えの出発点としてよい。
定理1
線形 2 階非同次微分方程式①の一般解は、①の右辺=0として得られる線形 2 階同次微分方程
式②の一般解③と①の特解④の和で表される。すなわち、
①の一般解
=
②の一般解③
+
①の特解④
ここで、一般解とは任意定数(積分定数)を含む解のこと。2 階微分方程式は2回積分して解 x(t)
を求めるので、積分するごとに1個、すなわち 2 個の積分定数を含む。この定数は t=0 の初期条件
で決定される。
次の定理も活用しよう。
定理2
線形2階(定係数)同次微分方程式(上の②に相当)(2.23 式、2.26 式)
d 2x
dx
+ P + Qx = 0
2
dt
dt
(P、Q は定数)(2.23 式)
の一般解③は以下のように与えられる。
λt
いま、 x = e とおくと、
x& = λe λt 、 &x& = λ2 eλt となり、これらを上式に代入すると
λ2 + Pλ + Q = 0 ・・・・(特性(補助)方程式という) (2.28 式)
を得る。このλの 2 根をλ1、λ2 とすると
(1)λ1、λ2 が複素数で
のとき
x = eα t ( A cos β t + B sin β t ) (A、B は定数)
一般解は
または
λ1 = α + iβ 、 λ2 = α − iβ
x = Aeα t cos(βt + B ) または
x = Aeα t sin (βt + B ) (2.31 式)
(2)λ1、λ2 が実数でλ1≠λ2 のとき
x = Aeλ 1 t + Beλ 2 t
一般解は
(A、B は定数)
(2.32 式)
(3)λ1、λ2 が実数でλ1=λ2(重根)のとき
x = ( A + Bt )e λ 1 t
一般解は
(A、B は定数)
(2.33 式)
(*)余裕のある人は定理1や定理2を証明してみよう。
(*)教科書の例では(1)は減衰振動、(2)は過減衰、(3)は臨界減衰、に相当する。
次の手順で初期条件を満たす時刻 t における物体の位置 x(t)を求めてみよう。
<Step1>まず、線形 2 階同次微分方程式②の一般解③を求める。すなわち、定理2を使う。
p24 のように x = e
λt
とおき、②に代入して得られる特性方程式の 2 根が上記の定理2のどの場
合に該当するか調べる。得られた一般解③を②に代入して、成立することを確認すること。
<Step2>次に、①の特解④を求める。
周波数ω0 の外力で励振しているので、質点もω0 で振動しているはずと考えると、
x(t ) = C cos ω0t + D sin ω0t ④ となるはず(予測)である。ここで C と D は定数で、①式を満
たすように定めることになる。逆に、①を満たす C と D が存在すれば、最初の予測④は当たって
いたということになる。
& と &x& を求めて、①に代入し、sinω0t と
C と D を求めるために、④の x(t)を時間で微分し、 x
cosω0t の項をそれぞれまとめ、sinω0t と cosω0t の各係数がどちらも恒等的に 0 となるように
係数 C と D を決定する。
(C と D を求めたら④を①に代入して成立することを検算せよ。
)
注:C と D は決定してしまうので、④は任意定数を含まない。だから④は一般解でなく特解と
呼ばれる。
この特解 x(t)にt=0を代入するとx=0と成らないことを確認する。すなわち、特解④は
①式を満足するが、初期条件を満たさないので、求める解 x(t)ではない。
上述の定理1のように、①の一般解は②の一般解③と①の特解④の和⑤で表される。ゆえに、
x(t)=③+④・・・・⑤
となる。③すなわち⑤式は2つの任意定数 A と B を含むので一般解で
ある。
(3)<Step3>最後に、初期条件を満たすように⑤の任意定数 A と B を決定する。
上で求めた一般解 x(t)⑤を時間微分して v(t)= dx/dt ⑥
を求め、⑤と⑥にt=0を代入して
初期条件x=0とv=0を満たすように A と B を決定し、x(t)を求める。これが求めたい
解 x(t)となる。
この A と B を⑤に代入して得られた⑤の x(t)は、初期条件を満たし、
かつ①式を満たすので、
求めたい解 x(t)であることを理解する。確かめてみよ。
(4)t→∞のとき指数関数を含む③の解は→0になり、④の特解に相当する周波数ω0 の振動だけ
が残る。力を与え続けているので、振動が止まってしまうことはない。
特解の物理的意味
⇒ 特解は外力が無ければ減衰してしまう系でも、外力が加わることによ
り有限の振幅を持ち、振動し続ける解を表す。
Advanced problem:
d 2x
F
2
+ ω0 x = sin ω0t ・・・・・(a1)
2
dt
m
(5)
d 2x
2
+ ω0 x = 0
2
dt
定理1より
(a1)の一般解
=
(a2)の一般解
+
・・・・・・・(a2)
(a1)の特解
となる。
Step1:(a2)の一般解は上の定理 2(1)より
∴
α=0、β=ω0
x = A cos ω0t + B sin ω0t
・・・(a3)
Step2: (a1)の特解はω0 で励振しているので
x(t ) = C (t ) cos ω0t + D(t ) sin ω0t
・・・・・(a4)
とおく。係数 C(t)と D(t)が時間の関数としている点が上の④と異なる。もし、C と D が定数なら
(a3)と同じとなってしまうので不適となる。すなわち、C(t)と D(t)は定数は含まない t の関数で
最も簡単な形を探すことになる。
(a4)を t で 2 階微分して(a1)に代入し、cosω0t と sinω0t でまとめて、恒等的に t の如何にかか
わらず成り立つとすると次の連立微分方程式を得る。
d 2C dt 2 + 2ω0 dD dt = 0
・・・・(a5)
− 2ω0 dC dt + d 2 D dt 2 = • • •
・・・・(a6)
この式を解くのは一般には難しいが、例えば(a5)より
d 2C dt 2 = 0
かつ
dD dt = 0
なら
ば(a5)は満足する。このとき(a6)を満足するには C と D はどうあるべきかなどを考えながら C と
D の最も簡単な関数を求めていく。定数を含まない t の 1 次関数が最も簡単な式となるが、具体
的にその関数を決定する。(a4)は特解なので、任意定数は全て 0 として含まない。
(別解法)定数の次に簡単な関数として C(t)=Pt、D(t)=Qt のように t に関する 1 次式を仮定して
x(t ) = Pt cos ω0t + Qt sin ω0t
(P、Q は定数)・・・・(a7)
とおいて(a1)を満たす P、Q があるか調べても良い。この方法は有用である。
この結果より特解(a4)が求まり、定理1より、(a1)の一般解 x(t)=(a3)+(a4) ・・・・(a7)
と
なる。
Step3:(a7)を t で微分して速度を求め、t=0 の初期条件で定数 A と B を決定して、問題の式を
導出する。
(6)
表計算ソフト Excel を使って X(θ)のグラフを描いてみよう。振幅 X(θ)はθ(=ω0t)とと
もにどういう変化をしていくかを考え、この現象を説明せよ。