Page 1 Page 2 【 354 】 サン ギル 氏 名 望 学位(専攻分野) 博 士 (工 学

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
DEVELOPMENT OF ECOTOXICOLOGICAL TEST USING
CLOSTERIUM EHRENBERGII (AGZI-TEST)( Abstract_要
旨)
Kim, Sang-Gil
Kyoto University (京都大学)
1999-03-23
http://hdl.handle.net/2433/181803
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏
名
芸
嵩
士
学位 (専 攻 分 野 )
博
学 位 記、番 号
工
学 位 授 与 の 日付
平 成 11年 3 月 23 日
学位授 与 の要件
学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
工 学 研 究 科 環 境 地 球 工 学 専 攻
学位 論 文題 目
DEVELOPMENTOFECOTOXI
COLOGI
CALTESTUSI
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博
第
(
工
筈
学)
1
81
3 号
AGXI
TEST)
EHRENBERGI
I(
(
三 日月 藻 を用 い た生態 毒性試 験法 の開発 :AGZLTEST)
(
主査)
論 文調 査 委 員
教 授 松 井 三 郎
論
文
内
教 授 森 揮 星 輔
容
の
要
教 授 津 野
洋
旨
本論文 は,経済的に簡便 に測定 しうる水域生態毒性試験法 を開発す るため,清流にすむ淡水産緑藻の三 日月藻 C1
0
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を用いた手法の実験的研究 をま とめたものである.
論文は,全 6章か ら成 る。
第 1章は,序論であ り,本論文の試験法の位置付 けを生物種 に対す る毒性効果 を調べ る生態毒性試験 として明 らかに し,
当研 究分野における既往 の研究を振 り返って,研究全体の 目的 と構成 を示 してい る。
第 2章 では,三 日月藻 Cl
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を用 い,短期 間で経済 的 にかつ簡便 な生態毒性試験 (
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) の培養条件,手順,新 しい評価指標 な どを開発 した。三 日月藻が特に無 ・有性生
3
0
0ミクロン)であることで顕微鏡 を用い細胞 内諸組織の損傷 を調べ ることが可能である。
殖 を行 うことや巨大な単細胞 (
その結果多様 な新 しいパ ラメータやェ ン ドポイ ン トを開発 した。短時間 (
96時間)の暴露で,GI(
Gr
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を行 うAGZIt
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) と呼ぶ新 しい藻類 の
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生態毒性試験法を体系化 した。
第 3章では,非イオ ン型 と陰イオ ン型界面活性剤 を用い,AGZIt
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を検証 してい る。増殖量 (
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h) と正常接合子形
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) といったパ ラメータを使 い,毒性 の定量化 と試験の標準化 を構築 した.特 に三 日月藻の形
成率 (
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) とAGZI
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GIとZIt
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でのEC5
0の比率) といった新 しい指標 で,細胞損傷 と無 ・有
態的な損傷 (
増殖型 の選択 を表 してい る。 AGZI t
e
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tは生態毒性試 験 の 中で もOECDの推薦 藻類 (
Se
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)や他 の生態毒性試験 (ミジンコ,負) よ りも遥 かによい感受性 の試験結
果 を報告 している。
第 4章 においては無濃縮 の下水処理場放流水 を対象 に して生態毒性負荷 の程度 をAGZI t
e
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t
で評価 してい る。無濃縮 の
下水処理場放流水 に対 し,三 日月藻の致死効果はなかったが増殖 と正常接合子形成において,大 きく阻害 したことを示 して
い る。5
0%希釈率の放流水で も,細胞 のpyr
e
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dが大 き くな ることや接合子形成過程 に起 きる接合子 の損傷 な どを報告 し
e
s
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において増殖-の大 きな阻害があること,ZIt
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t
では,楕 円形な ど
てい る。 下水処理場放流水 中の疎水性物質 は,GIt
の異常接合子形成 を誘発す ることを報告 している。特に放流水の疎水性物質の毒性負荷が三 日月藻の増殖方法の変化 (
無性
か ら有性-)を引き起 こす一つの原因ではないか と推定 してい る。
第 5章では,葉緑体蛍光測定器 (
Chl
o
r
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phy
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) を用い,下水処理場放流水の疎水性物質が三 日月藻の光合成
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sに は損 傷 を起 こ さず ,
作 用 阻 害 毒性 を持 っ こ とを示 して い る。 光合 成 機 能 中 の Pho
No
npho
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sにおいては試験開始 5時間後か ら損傷が生 じることを報告 してい る。 この ことか ら
e
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t
の増殖 に影響 を与 えた ことを示 している。
下水処理場放流水の疎水性物質が三 日月藻の光合成機能 を低下 させ,GIt
-8
3
3-
第 6章では,本論文で得 られ た成果 をま とめて結論 とし,今後の展望について も言及 している。
論
文
審
査
の
結
果
の
要
旨
本論文 は,貧栄養淡水藻 Cl
o
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r
gi
i
を用いて水環境汚染 による水域生態系-の毒性影響 を経済的に精度良 く
測定す る生態毒性試験法 を開発 した ものである。得 られた研究成果 は以下の よ うである。
1.三 日月藻 (
Cl
o
st
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um e
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gi
i
)を用い,生態毒性試験 (
AGZIt
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)
の培養条件,手順 の確 立 と,新 しいエ ン ドポイ ン トな どを開発 した。三 日月藻は巨大単細胞であることか ら,顕微鏡 を用い
て細胞 内諸組織 の損傷 を判定す ることが可能で,その利点 を生か した毒性試験法 を体系化 した。
2.界面活性剤 (
陰イオン型 と非イオン型)を利用 して,AGZI t
es
t
の感受性 をOECDガイ ドライ ンの試験藻類 と比べ ると,
優れ てい ることが明 らか となった。 また他 の生態毒性試験生物 (ミジンコ,魚) と比べて も鋭敏 な試験法であることが明 ら
か となった。
3.無濃縮 の下水処理場放流水 を対象 に して生態毒性 の程度 をAGZlt
e
s
t
で評価 した。 特 に,放流水 中の疎水性物質の毒性
が三 日月藻の増殖方法の変化 (
無性増殖か ら有性増殖-) を引き起 こす一つの原因である可能性 を示 した。
4.葉緑体蛍光測 定器 (
Chl
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) を用い,下水処理場放流水の疎水性物質が,三 日月藻の光合成阻害毒性
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sには損傷 を起 こさず,No
npho
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hを持つ ことを示 した。光合成機構 中のPho
i
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が試験 開始 5時間後か ら損傷 を受 けることを示 した。
以上要す るに,本論文 は,淡水藻 C1
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が (
三 日月藻)の増殖阻害 と細胞損傷 を指漂 とす る生態毒性試
験法 を開発 した。 この新 しい試験法 は,湖沼や河川 な ど-流入す る微量汚染物質の毒性 を評価す る生態毒性試験法 として,
多 くの有用な知見 を含 んでお り,学術上,実際上寄与す るところが少 な くない。
1
年 2月 1
9日,論文内容 とそれに
よって,本論文 は博士 (
工学)の学位論文 として価値 のあるもの と認 める。また,平成 1
関連 した事項 について試 問を行 った結果,合格 と認 めた。
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34-