Title Author(s) Citation Issue Date URL Study on the Cold Storage of Fish( Abstract_要旨 ) Shimizu, Ushio Kyoto University (京都大学) 1959-03-31 http://hdl.handle.net/2433/210681 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University ⊂63 】 氏 ,' J艶 苧 禁 学 位 の 種 類 農 学 学 位 記 番 号 農 学位授与 の 日付 昭 和 34 年 3 月 31 日 学位授与 の要件 学 位 規 則 第 5 条 第 1項 該 当 研 究 科 ・専 攻 農 学 研 究 科 水 産 学 専 攻 学位論文題 目 Stlldy on the C old Storage of F ish 博 博 第 . 士 7 号 (魚類 の冷蔵 に関す る研究) (主 査) 論 文調 査委員 教 授 清 水 論 文 亘 教 授 川上 太 左 英 内 容 の 要 教 授 清 田 久 輝 旨 本論文 は, 魚類 の冷蔵 お よび冷凍貯蔵法の合理 化をほか る目的で, 諸種の魚類 を低 温で貯蔵す るさいに 起 こる肉質 の諸変化 を, いろいろの条件 の もとに追究 し, 変化 の原 因および魚種 による変化 の差異 につ い て研究 した もので あ って, 7 葦20節 にま とめて あ る 。 第 1 章 は緒論 であ る。 第 2 葦 で は, 魚類 の低温貯蔵 の さい, 肉質 の悪 変 に もっとも大 きな影響 を与 え る肉たんぱ く質 の変化 の 指標 と して, 従来用 い られて きた諸方法を実験 的 に検 討 した結果 か ら, たんぱ く質 の塩類溶液 にたいす る 溶解性 を とりあげ, と くに魚筋 肉か ら厄接 たんぱ く質 を抽 出す るさいに問題 とな る諸条件 につ いて吟味を 行 な って い る。 第 3 章 で は, 数種 の魚類 をいろいろの温度条件 下 に貯蔵 した さい, 筋 肉たんぱ く質 に起 こる変化を比較 した結果 につ いて述べてい る。 魚筋 肉は凍結貯蔵 によって, それ に含 まれ るたんぱ く質 が変化す ることは すで に知 られて い るが, 著者 は, と くにア ク トミオ シンの変化がい ち じる しく大 き く, 日時 の経過 に した が って, しだいに塩溶液 に不溶性 にな ることをみ た。 この変化 は魚 の種類 によってその速 さにい ち じる し い差 があ り, ブ リ, サバ , アジな どの魚種で は比 較的長期間の凍結貯蔵 によって もたんぱ く質 の溶解性 に 大 きい変化 を認 めないが, エ ソで は急速 に変化 が起 こり, 希薄塩溶 液 にたいす る溶解性 を失 うことが見 出 された。 このよ うな差異 の生ず る理 由につ いては, 筋 肉の脂肪含有量 の差異 が原 因す るともみ られ るが, 著者 は, む しろ魚類 の筋 肉組織 の構造 が もっとも密接 な関連 を有 す ることを推定 してい る。 第 4 葦 で は, 魚類 の凍結貯蔵 による筋 肉たんぱ く質 の変化 の原 因を追求 してい る。 凍結 によ って起 こる たん ぱ く質 の変化 は, 内申水分 の凍結 に起 因す る可溶性塩類濃度 の上昇 が直接関係 す ることを確認 したC さらに, 著者 は塩類 を添加 した魚 肉および細 切 あ るいはす りっぷ して組織 を破壊 した魚 肉の凍結貯蔵実験 の結 果 か ら, 凍結 によ って起 こるたんぱ く質 の変 化 は, 魚 肉の 自然凝腰化, すなわ ちいわゆ る も坐 り勺 の 現象 と類似性 を有す ることを推論 してい る。 - 200 - 第 5 章では, 魚類筋 肉の熟凝 固性 につ いて検討 してい る。 魚筋 肉の中性塩乳濁液を加熱変性 させ るさい, あ る種の魚類ではたんぱ く質 の熟凝 固沈でんを起 こさない ことがあ ることを発見 し, 筋 肉乳淘液 の pH と, たんぱ く質 の溶解度お よび熟凝 固性 との関係 につ いて検 討 した結果, サバ , ア ジな どの魚類で は, それ ら の死後の筋 肉におけ るよ りも低い pH で は もちろん, 高 い pH で も熟凝固沈でんを起 こすが, な どの魚類では, それ らの筋 肉におけるよ りも高 い pH では もちろん, エ ソ, グチ さらにそれ よ りも低 い pH で も凝 固沈でんを起 こさない事実が認 め られた。 著者 は魚 肉たんぱ く質 の水和性 に関係す ると思われ 畠, この熟 凝 固 にたいす る挙動が, 水産製造原料 と しての価値 を決定す る一つ の要素 とな り, あ る種の製品の品質 が 魚種 によって異 な る理 由を説 明す ると述べてい る。 第 6 章では, ブ リ肉の冷蔵 中に起 こる味覚 の変化を試験 す るとともに, 筋 肉中の非 たんば く態窒素化合 物 の変化を追求 し, 筋 肉中の遊離 ヒスチジ ン, イノシン酸 な どの, 呈 味に関係す ると思われてい る物質 の 消長が, 味覚 試験値 の消長に ともな って起 こることが示 されている。 第 7 章 は総括 であ る。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 冷蔵法 は水産物利用法 の うちで も, もっとも重要な地位を 占める分野 の一つであ るが, 冷蔵が魚類 の肉 質 に及ぼす物理化学的影響 につ いては, 従来わが国ではほ とん ど研究が行 なわれていなか った。 本論文 は 冷蔵 中の魚 肉の変化, と くに冷凍魚 の悪変 にもっとも大 きい関係を有す る魚 肉たんぱ く質お よび味の変化 に関係す る非 たんば く態窒素化合物 の変化を追究 し, い くつ かの新 しい知見 を与えてい る。 冷凍魚 をいろいろの製造原料 と して使用す るさい, 魚種 によって利用度 に差異 があ り, あ る種の魚類 は 冷凍す ると, あ る種 の製造原料 と して使用 に耐 えな くな ることは経験 的に知 られていた事実 であ るが, 衣 論文で は数種の魚種 につ いて これを実験 的に確認 し, またいろいろの温度, 貯蔵期間な どの条件 を与 え て, 実験 的に変化の範囲を検討 し, 冷凍魚 を じっさいに使用す るさいに参考 にな るべ き資料 を提供 してい る。 また, 冷凍 中のたんぱ く質 の変化の原 因につ いて, これを解 明す るための実験 を行 ない, 魚 肉中の水 の凍結 に ともな う内申塩分濃度の上昇が, たんぱ く質 の変化 に直接関係す るとい う考 えを確認 し, さ らに この変 化 は魚 肉の 自然凝腰化, すなわ ちいわゆ る も坐 り勺 と密接 な関係 を有す ることを推論 してい る. 本論文 に報告 された魚 肉たんぱ く質 の物理化学的性質の調査 および魚種問 における性質の比較 は, 冷蔵 中の魚 肉の変化および冷凍魚利用上 の特質や差異 を理解す るために役立つ ばか りでな く, また魚 肉の本質 を探究す るための手がか りにもな るで あろ う。 冷蔵 車の味覚 の低下を試験 し, これ と筋 肉中の諸種 の呈味 物質 の変化 とを結 びつ けていることもまた新 しい試みであ る。 よって, 本論文 は農学博士 の学位論文 と し て価値 あ るもの と認 め る。 〔 主 論 文 公 表 誌〕 第 2 - 4 葦 の 1 部 日本水産学会誌 第23巻 (昭.32) 第 7 - 8 号 第 3 章 の 1 部 日本水産学会誌 第23巻 (昭 .33) 第 11号 第 6 童 日本水産学会誌 第24巻 (昭.33) 第 6 - 7 号 (未公表の部分は 日本水産学会誌予定) 1. 〔 参 考 論 文〕 魚 肉 ソーセージの研究 (Ⅲ) 市販品の成分 および貯蔵試験 (清水 公表誌 京都大学食糧科学研究所報告 第19 号 (昭.32) - 2O1 - 亘 ほか 9 名 と共著)
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