Title 中国に於ける草制制度について( Abstract_要旨 )

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中国に於ける草制制度について( Abstract_要旨 )
山本, 隆義
Kyoto University (京都大学)
1966-03-23
http://hdl.handle.net/2433/211744
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
山
やま
本
隆
もと
たか
学 位 の 種 類
文
学
博
学 位 記 番 号
論 文
学位授与 の 日付
昭 和 41 年 3 月 23 日
学位授与の要件
学 位 規 則 第 5 条 第 2 項 該 当
学位論文題目
中国に於け る軍制制度 について
論 文 調 査 委員
教 授 田 村 実 造
氏
名
(主
義)
よし
士
博 第 19 号
査)
論
文
内
教 授 佐 伯
容
の
要
富
教 授 吉 川幸 次 郎
旨
この論文は中国歴朝 におけ る詔勅 の制撰 にあた った官 と官府 とについて, これを制度史 および政治史の
上 か ら考察 してい る。 論文 は三編 か ら成 るが, その概要 はつ ぎの とお りである。
第一編 は秦 ・ 漠時代を扱 う。 秦代は史料を欠 くため, 前漠の制か ら逆推 して, この時代軍制にあた った
ものを天子 に直隷す る少府の尚吾郎 とい う。
前漠代は三期 に分 け, 国初 か ら武帝 までは秦制を うけて少府の尚吾郎 が, 武帝か ら成帝 までは官官の中
書謁者の令 ・ 僕 が軍制にあた り, 成帝以後 は漢初の旧に復 した ことを論証す る。 ついで後漢代には尚喜郎
の地位が高 ま って朝政にも参与す るに至 った ことを述べ, この間の事情を政治上, 社会上か ら考察す る。
第二編 は三国か ら魂 ・ 晋 ・ 南北朝 ・ 晴 ・ 唐をへて五代 にまで及ぶ。 この期はいわゆ る貴族制時代にあた
るが, 前代の尚書 に代 って新設 の中書 の諸官 である監令 ・ 侍郎 ・ 舎 人 らが等制を担 当 した。 著者 は このよ
うに変革 され た事 由を, 君主権 との関係 において考察 し, 魂 晋以来 尚書 が公的機関 とな り, もはや天子 の
内局 としての役割 りを果 しえな くな った ことに求めてい る。
なお, 魂 晋以後 中書 と門下 との政治的地位を とりあげ, それ らが しだいに国政の中心 となるに至 った事
情を説明 し, このよ うな中書 ・ 門下 の拾頭が, やがて唐代 における三省鼎立の素地を形成 した点に言及 し
てい る。 さらに南 朝期に中書舎人 の官を寒門に開放 した ことに注 目し, これを南朝歴代の君主権強化策 に
関連づ けて論述す る。
唐代では国初 中書舎人が学制を掌 ったが, 玄宗朝 に碑林学士が設置 されて以後 は, 軍制が学士 (内制担
当) と舎人 (外制担 当) とによ って分掌 され る内外両制制度が開かれ, これが軍制上の- 特色 とな った。
著者 は この点 に着 目し, 当時の政界 における学士 の活躍やその出 自などについて検索 したのち, 学士設置
の意義を考 え る。
第三編 は宋 ・ 元 ・ 明三朝を扱 う。 この期は政治上天子独裁制の時代 にあた るので, 学制制度をそれ との
関連 において考察す る。
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宋代 も軍制 に学士 と舎人 との内外両制制度が とられたが, なかで も学士が もっとも重要視 さ れ た 所 以
杏, 学士擢用の過程 とその職掌 内容 との両面か ら例証す る。
元代 には, 中書舎人が廃 されて学制を翰林が専掌 した こと, 翰林 は国史院を併せて翰林国史院 とな り,
さ らに蒙古翰林院 も増設 されてその機構が拡大 されたことをのべ, このよ うな機構 の拡大 は, 元朝 として
詔勅 の頒布 にあた り, 漢文勅書 のほかに国語 の勅書を も添 えざるをえなか ったその特殊 な国家的性格 (征
服王朝) に因由す るものである点を指摘 してい る。 著者 はさ らに元代学制者 の出 自について考え, 漢人 出
身者 の比較 的多い点か ら翰林 国史院が国初か ら中国人官僚 に開放 されていて, これが中国人 にとって唯一
の登龍門であった ことを論述す る。
明代 について は, 軍制の府 である翰林 院が前代の元制 に依拠 した点の多い ことを, その機構や職掌上か
ら立証 したのち, 明代 におけ る草制制度 の特色 として(1)院官 が正官 と講読官 と史官 との三官 に わ か た れ
て, それぞれ分居 した こと, (2)庶苦土が設置 された こと, (3)本院のほか南京翰林 院が存置 された こと, (4)
内閣が創設 されて翰林院 と内閣 とで軍制が外 内に分掌 された ことなどをあげる。 最後 に明代 におけ る内閣
と軍制制度 との関係を考証 して本論を終 る。
なお, 本論文のほか副論文 として 「唐宋時代 に於 ける翰林 学士 について」, 「元代 に於 ける翰林学士院 に
ついて」, 「明代内閣制度 の成立 と発達」 以下 明代の軍制制度 に関す る五編の論文をそえ る。
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
中国の専制制度 は君主権 の消長を端 的に表 明す る指標 として, その研究 は政治史上, 制度史上重要な課
題 で あるが, 従来 これを各時代を通 じて追求 したものが あることを聞かない。 著者 は明代を主 に, 中国歴
代 の草 制制度の究明に多年研鏡をか さねて きたが, 本論文 はその集成である。
本論文では秦 ・ 漠時代か ら明末 におよぶ中国歴朝の軍制制度の推移 ・ 変革の逃 が克 明に考察 さ れ て お
り, この分野 の研究 に貢献す るところ大 な るものがある。 ただ論述の範囲が秦以後歴朝 にわたるため, た
とえば北朝期や元代 には, なお究明 さるべ き部分が少 な くないよ うである. しか し, 各時代 にわた り一様
に十全 な研究成果をのぞ む ことは至難であ り, これは著者 の今後 の研究 によ って補われ うることで, 本論
文の真価をそ こな うものではない。
以上審査の結乗, 本論文 は文学博士の学位論文 として価値 あるもの と認め る。
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因子」 と
第3編
「2 宇 目因子」
が抽 出され た。
日本語近似系列の研究
ここでは, 情報理論 的な測度 で あ る近似度 を操作 して 6 実験を行 ない, 文章や系列 の段 階では, 近似度
が 1 つの重要 な変数 であることを見 出 した。 また 日本語 の平均情報 量 と冗長度 も測定 されてい る。
以上 のよ うな, 2 字 音節, 1 字 音節, 系列 (文章 ) の 3 層 にわた って分析 され た。
論 文 審 査 の 結 果 の 要
旨
本論文 は, 言語学習 の基礎研究をめ ざ した ものであ って, 言語 学習 の心理学 的研 究 に常用 され る言語材
料 の諸性質 を, 日本語 について体系的 に測定 し, これを規定す る変数 を明確 に し, 今後 の心理学 的研究 に
対 して, 材料面 での条件設定を よ り確実, よ り容易 な ら しめん とした ものである。
本研究 は, 単語 のモデル として 日本語 2 字 音節 を と り, その諸性質 の測定 を中心 と してい るが, さらに
単音節 と して清 音 1 字 音節, 及 び文章 のモデル と して近似系列 によ る文章材料 について の測定及 び実験 的
研究 を加 えて, 日本語言語 材料 の総合 的な研究 を意図 してい る。
本論文 の意義 は, 従来散発的部分的 に測定 されていた言語材料 の性質 を, 11個の測度 によ り評定 し, 相
互 の関係 を明 らかに し, 複雑 な諸特性 の整理を行 な った点 にある。 11個 の測度 の中には, 本研究者 の創案
によ る語 頭頻 度 とい う測定値 も含 まれてい るが, これ ら11個 の特性 の因子分析を行 ない, それぞ れ意味性
因子, 頻度 因子 と名づ け る 2 個 の因子を抽 出 した。 言語材料 の諸特性 が このよ うな 2 因子 に整理 され た こ
とは, この論文を もって最初 とす る。
さらに本論文 は この 2 因子 を学習実験 の変数 と して, 実際 に使用 した場合 の妥 当性 を検討 しその実用性
を証 明 して い る。
なお 1 字 音節 について は, 学習心理学的研究 が まだ進め られていなか ったが, この研究 によ ってその性
質 についての新 知見が提供 され た。
本研究 は, 言語学習 の基礎 研究 と して, 今後 の教育心理学 的研究 の発展 に資す ること多大 な ものが あ る
と考 え られ る。
よ って, 本論文 は教育学博士 の学位論文 として じゅ うぶん価値 あ るもの と認め られ る。
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