まとめプリント

1 階の線形微分方程式
y + P (x)y = Q(x)
(1)
解き方の手順:
• まず、同次方程式 y + P (x)y = 0 を解く。これは変数分離形であるから解くことができて、一般解は
y(x) = Ce−
∫
P (x) dx
C∈R
,
(2)
と表される。
• 次に、同次方程式の一般解 (2) から出発して、定数変化法でもとの方程式 (1) を解く。一般解 (2) に現れる
積分定数 C を x の関数とみて、y(x) が方程式 (1) の解になるように C(x) の具体的な形を決める。つまり、
(2) の定数部分を x の関数で置き換えた
y(x) = C(x)e−
∫
P (x) dx
というものをもとの方程式 (1) に代入して、C(x) を求める。整理すると、
∫
C (x) = Q(x)e
P (x) dx
という C に対する方程式になる。これを積分し、y(x) の表現式に代入すれば、
{∫
}
∫
∫
y(x) = e− P (x) dx
Q(ξ)e P (ξ) dξ + C˜
という (1) の解の公式が得られる。(実際に解くときはこの公式を使わない方がよい)
例.
y = −y cos x + e− sin x
• まず、同次方程式 y = −y cos x を解く。
∫
∫
dy
= − cos x dx
y
log |y| = − sin x + C1
y(x) =
Ce− sin x ,
C∈R
• 定数変化法を用いて、解を次の形で求める:
y(x) = C(x)e− sin x
(3)
この微分は
y (x) = C (x)e− sin x − C(x) cos x e− sin x
であるので、方程式に y と y を代入すれば、
C (x)e− sin x − C(x) cos x e− sin x = −C(x) cos x e− sin x + e− sin x
˜ がわかる。これを
という条件になる。これを整理すると、C (x) = 1 という条件に帰着し、C(x) = x + C
(3) で使うと、微分方程式の一般解が得られる。
˜
y(x) = e− sin x (x + C),
1
C˜ ∈ R
2 階定数係数線形微分方程式
y + py + qy = r(x) (p, q は定数)
(4)
解き方の手順:
• 1 階方程式と同様に、最初は同次方程式
y + py + qy = 0
(5)
を解く。ここで、y(x) = eλx と置いてみると、y + py + qy = eλx (λ2 + pλ + q) = 0 を得る。つまり、λ が
特性方程式
λ2 + pλ + q = 0
(6)
を満たせば、y(x) = eλx は (5) の解になる。以上の考察から、方程式 (5) の解の公式を得る:
1. p2 − 4q > 0 のとき、2 次方程式 (6) が2つの異なる実数の解 λ1 , λ2 をもつので、一般解は
y(x) = C1 eλ1 x + C2 eλ2 x
2. p2 − 4q < 0 のとき、(6) の解を α ± iβ (互いに共役な複素数)とすると、一般解は
y(x) = eαx (C1 cos βx + C2 sin βx)
3. p2 − 4q = 0 のとき、(6) の重解を λ = −p/2 とすると、
y(x) = eλx (C1 x + C2 )
• 非同次方程式 (4) の一般解は次の手順で計算できる:
1. 何らかの方法で非同次方程式の一つの解 y0 (x) を計算する(これを特殊解という)
2. r(x) = 0 とおいた同次方程式の一般解 C1 y1 (x) + C2 y2 (x) を上記のように求める
3. 非同次方程式の一般解は y(x) = C1 y1 (x) + C2 y2 (x) + y0 (x) となる
特殊解を求める方法が知られている r(x) の例:
– r(x) = a = 定数 のとき、y0 (x) = α = 定数 という形で求めることができる
– r(x) = aekx , a, k ∈ R のとき、y0 (x) = Cekx という形で求めることができる
– r(x) = ax + b のとき、y0 (x) = αx + β という形で求めることができる
– r(x) = ax2 + bx + c のとき、y0 (x) = αx2 + βx + γ という形で求めることができる
例. 微分方程式
y + 3y + 2y = e2x
の一般解を求める。
1. 特殊解を計算する。y0 (x) = Ce2x という形で求める。方程式に代入すると、
y0 + 3y0 + 2y0 = 4Ce2x + 6Ce2x + 2Ce2x = 12Ce2x = e2x
よって、C = 1/12 と置けば、y0 は解になる。
2. 右辺を 0 にした同次方程式の一般解は C1 e−x +C2 e−2x である(特性方程式は λ2 +3λ+2 = (λ+1)(λ+2) = 0
であるから)
3. 一般解は y(x) = C1 e−x + C2 e−2x +
1 2x
12 e
となる
2