応用解析・レポート問題 (4 月 11 日) 問題の解答例 問題 1.1. (1 点) 単振動の方程式 m d2 u = −ku dt2 を連立1階微分方程式に書き直せ。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 簡単のために、関数の微分を u0 (t) = u2 (t) = u0 (t) と置く。明らかに、u01 = du d2 u 00 dt (t)、u (t) = dt2 (t) というふうに書く。新しい未知関数を u1 (t) = u(t), u0 = u2 。また、微分方程式より mu02 = mu02 = mu00 = −ku = −ku1 が 成り立つので、次の連立1階微分方程式が得られた: u01 = u2 u02 = − u0 = au + bv v0 = cu + dv k u1 m 問題 1.2. (0.5 点) 連立 1 階微分方程式 から v を消去し、u に関する微分方程式を導け。ここで、a, b, c, d は実数定数である。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 最初の式より v (の定数倍)を表すと、bv = u0 − au となる。これを微分すると、bv 0 = u00 − au0 を得る。こ れを2本目の式(の b 倍)に代入する: u00 − au0 = bv 0 = bcu + dbv = bcu + d(u0 − au). すなわち、u についての2階常微分方程式が得られた: u00 − (a + d)u0 + (ad − bc)u = 0 ただし、以上の計算は b 6= 0 のときにのみ正しい。b = 0 のとき、最初の方程式より u に対する方程式 u0 = au がすぐにしたがう。 問題 1.3. (1 点) エジプトの木棺の木材に含まれる炭素 14 の量が現在の木材に含まれる炭素 14 の量の 60 %であることが測定 によりわかった。木棺の作られた年代を特定せよ。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 放射性物質の崩壊を表すモデル方程式 du = −λu dt u(t0 ) = u0 を解けば u(t) = u0 e−λ(t−t0 ) という解が得られる。ここで、λ は壊変定数で u0 は時刻 t0 における放射性物質(炭素 14)の量を表す。 炭素 14 の半減期を調べると、T = 5730[年] である。T と λ の関係を調べる: u(T ) = u0 e−λT = 1 u0 2 したがって、 log 2 T 木棺が作られたときから時間 t1 が経った現在は、木棺に含まれる炭素 14 の量は 0.6u0 であるから λ= u 0 e− log 2 T (t1 −t0 ) = 0.6u0 , つまり t1 − t0 = − 木棺が約 4223 年前に作られたことになる。 log 0.6 T ≈ 4223[年], log 2 問題 1.4. (1 点) a, b ∈ R に対して a2 − 4b < 0 とする。方程式 λ2 + aλ + b = 0 の解を λ = α ± iβ(α, β は実数)とすると、関数 y(x) = eαx (cos βx − α β sin βx) が微分方程式 y 00 + ay 0 + by = 0 の解であり、初期条件 y(0) = 1 0 y (0) = 0 を満たすことを示せ。 ―――――――――――――――――――――――――――――― 積の微分の公式を用いて関数 y の x についての1階微分と2階微分を計算し、得られた式を微分方程式と初期 条件に代入すれば、題意を直接確かめることができる。 y(x) = eαx (cos βx − y 0 (x) = αeαx (cos βx − α β sin βx) α β sin βx) + eαx (−β sin βx − α cos βx) α2 + β 2 αx e sin βx β α2 + β 2 αx − e (β cos βx + α sin βx) β = − y 00 (x) = よって、 y 00 + ay 0 + by = eαx [( ] ) ( α2 + β 2 α2 + β 2 α ) α+ a + b sin βx − (α2 + β 2 ) + b cos βx − β β β α ± iβ が 2 次方程式の根であることから a = −2α, b = α2 + β 2 が成り立つので、 −(α2 + β 2 ) + b α +β α2 + β 2 α α+ a+ b β β β 2 2 = 0 α2 + β 2 = (2α + a) = 0 β 以上、y 00 + ay 0 + by = 0 が示された。初期条件が満たされることは以下のように確認できる: y(0) = y 0 (0) = e0 (cos 0 − − 2 2 α β sin 0) = 1 α +β 0 e sin 0 = 0 β
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