95 尿沈渣から異型細胞が検出された前立腺癌症例 ◎川口 路実 1)、西 律子 1)、愛甲 佐津紀 1)、小橋 真規子 1)、幸福 知己 1)、川口 正彦 1)、山田 祐也 2)、吉岡 俊昭 3) 一般財団法人 住友病院 臨床検査技術科 1)、臨床検査部 2)、泌尿器科 3) <はじめに>前立腺癌は生活の欧米化などにより罹患率は 神経内科通院中,検尿で潜血陽性,尿沈渣で均一赤血球を背景 年々増加しており,PSA 健診の普及に伴い早期に治療が開始 に少数ながらも細胞質に脂肪顆粒を含むN/C比のやや高い される患者数も増えてきた.その解剖学的な位置関係から,無 小型円形細胞の小集塊を散見し,異型細胞を報告.泌尿器科紹 治療例や治療抵抗性となった局所病変の進展による膀胱内 介受診.エコーにて前立腺の膀胱への突出像を指摘.生検にて 浸潤をきたすことも多い.こういった背景から,当院でも尿沈 前立腺癌と診断確定.その後内分泌療法が開始され, PSA値 渣で前立腺由来の異型細胞を見る機会が増加している. の低下にともなって尿沈渣・細胞診ともに悪性を疑う細胞は <目的>当院における前立腺由来の異型細胞報告例を検索し, 消失している. 細胞像の特徴や頻度を調査する.その中で一般検尿から前立 <まとめ>当院異型細胞報告例の約 4%に前立腺癌細胞を認 腺癌の診断につながった症例を提示する. め,これは尿路上皮癌以外の他の腺癌や扁平上皮癌などより <対象>2009 年 1 月 4 日から 2013 年 5 月 31 日までに尿沈渣 頻度が高かった.また本症例のように,前立腺癌を想定してい から異型細胞を報告した 489 例. なかった内科系の患者から異型細胞が検出されることもあ <結果>前立腺癌もしくは既往があったのは 28 例(5.7%)であ り,細部に注意して鏡検することで,隠れた病変の存在を検尿 り,そのうち尿路上皮癌と組織診断されたものが 9 例,前立腺 から見つける事が可能である. 癌の浸潤が組織診・臨床診断で確認されたものが 19 例 (3.9%)あった.細胞像は,小型・小集塊で出現,核は偏在傾向で 核縁は薄く,1 個の核小体が目立ち,細胞質には脂肪顆粒を認 める傾向にあった.詳細については発表当日に譲る. <提示症例>80歳代男性.高血圧・脂質異常症・脳梗塞にて当院 (連絡先)06-6443-1261【内線 6011】
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