平成28年度北海道小学校長会地区活性化支援授業 1 報告地区 :留萌地区 2 事例報告学校名:留萌市立潮静小学校 3 報 告 者 :校長 安 田 善 見 4 キーワード :学力向上の取組,ICT教育 【実践事例レポート】 1 はじめに 本校は全校児童75名,学級数9(内特別支援3)の小規模校である。元気よく挨拶すること ができる子どもが多く,全体的に明るく素直で,何事にも一生懸命取り組むことができる。保護 者は教育に対する関心が高く,PTA活動や学校行事にも協力的である。本校職員には少人数学 級のよさを生かして,一人一人の個性を大切にしながら,子どもの力を引き出して伸ばす教育の 具体化について指導している。 今年度の学校経営方針では,子どもたちが成人となった未来の社会でたくましく生き抜くため の資質・能力の育成を重点に掲げ,学ぶことへの意欲と学びに取り組む力,自分を表現する力, 知っていることを使って課題を解決する力など,将来を生きる基盤としての「確かな学力」を身 に付けさせることを学校課題に,カリキュラム・マネジメントを機能させて取り組んでいる。 2 学力向上の取組 学校経営の具体的実践事項のひとつとして,「学び続ける力」と「知恵」を育む学習指導の充実 を掲げ,次の3点を教職員と共有し,課題解決に取り組んでいる。 ① 主体的に課題を見つけ解決に向けて粘り強く取り組む態度の育成 ② 思考力・判断力・表現力等を身に付けさせるための問題解決学習や協働学習の工夫 ③ 子どもの実態や興味・関心を基点とした「おもしろくて,わかって,できて,高まる」授 業づくり(ICT機器の効果的活用,体験活動の工夫等) (1) 全校で行う「生活規範」「学習規律」の徹底 子どもたちが主体的に学習に向かうためには,自学の姿勢や 態度が身に付いていなければならない。そのためにも,日常の 学校生活や学習規律など,最低限のことを身に付けさせて学習 に向かわせたいものである。そこで,職員会議や全校朝会等で 「凡事徹底」「率先垂範」の意識を教職員と子どもたちに浸透さ せ,下駄箱の靴の入れ方,ロッカーの整理,清掃活動,廊下歩 行,授業中の約束事などを全校統一して定着させている。全校 で共通して繰り返し指導することにより,生活指導及び授業ス タイルに統一感が生まれ,指導がぶれることはない。また,学 習環境を整えれば児童の学習への集中力も高まる。 ≪授業中の約束事の定着の視点と具体≫ ①チャイムの合図~始まりの合図までに着席。 ②机上整理~必要なものだけ整理しておく。 ③立腰挨拶~授業の始まりと終わりの挨拶は背筋を伸ばして ④返事・聞き方~名前を呼ばれたらはっきり「はい」と返事。 話を聞くときは話す人を見て,反応しながら聞く。 (2) 思考力・判断力・表現力を育てる授業改善の推進 全国学力・学習状況調査や標準学力検査の結果から,基礎的・基本的な知識・技能につい てはほとんどの子どもが概ね習得しているが,問題解決の技能や,自分の言葉を用いて説明 ・記述する力がやや弱いということが明らかになった。そこで,子どもたちに自ら考え,課 題を解決する論理的思考力や表現力を高めるため,次の視点で授業改善に取り組んでいる。 ◇授業改善の具体化に向けて◇ ・明確な「ねらい」とそこに迫る学習 活動の設定による授業の構築 *学習課題の板書 *課題とまとめが正対した授業展開 ・学習内容に応じた指導方法や活動内 容・方法の工夫・開発と具体的な手 立ての準備 *「教える」「考えさせる」「学び取 らせる」~学習内容に応じて ・問題解決的な学習展開を工夫し,主 「確かな学力向上プラン」を基に,課題の顕在化・改善事項 体的に学習する態度を育成 の具体化を図り,学力向上の取組について教職員と共有化 *個人思考→集団解決,3人交流 □3人交流の実践□ ・問題解決的な学習展開の際には,個人思考から集団解決へつなげるための小集 団思考として「3人交流」を位置付けている。できるだけ多くの子どもに自分 の考えを発露させるためにも,3人交流はその距離感から共感的な態度で交流 したり,交流の中から出た疑問について考え合ったりすることができている。 (3) ICT機器を効果的に活用した授業づくりの推進 本校は道教委から「ICT活用教育促進事業(H27~29)」の指定を受け,タブレット 端末の円滑な導入・活用のための工夫と授業等におけるICT機器の効果的な活用について 研究を進めているところである。授業でICT機器を活用することにより,学習課題への興 味・関心を高めたり,学習内容を分かりやすく説明したりするなど効果を上げている。 学習内容と次に取り組むこと を大型テレビで提示 3 子どもが書画カメラでノート を写して発表 計算ドリルのアプリを活用し 個々のペースで反復練習 おわりに 学力向上の取組では,“今”の子どもたちにどんな力を身に付けさせるのか,6年間の育ちの見 通しをもって日々授業実践の工夫・改善を積み重ねていくことが大切である。そしてその考えを 全教職員が共有し,協働の中で成果を上げていきたいと考えている。同じ目的に向かって組織的 に取り組み,一人一人の教師が真摯に教育活動と向き合い,子どもの実態や保護者・地域の願い を受け止めて新たな取組を創り出していく「協働・協創」の意識で,子どもたちが未来を生き抜 く確かな力を身に付けられるよう,今後も教師個々と組織の力量向上を目指して研鑽に取り組ん でいく。
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