平成26年度「非線形情報学」第3回レポート課題 レポート(グラフ,表以外

平成 26 年 6 月 25 日
松葉
情報科学専攻
平成26年度「非線形情報学」第3回レポート課題
7月23日の講義時に提出
レポート(グラフ,表以外)は手書きで!
課題1:
学生番号:偶数 マンデルブロ図
x , y を実数として,複素数を z  x  iy とする.初期値 z0 から出発して,
zn  zn21  c
にしたがって,zn を求める.これは変数を複素数に拡張したロジスティック
写像で,複雑な挙動が想像できる.ここで, c  cx  ic y は適当な複素数で,
実部を cx ,虚部を c y とする.パラメータ k , nk を導入して,
| zn | k ,あるいは, n  nk
が満たされる限り上式を繰り返す.cx ,c y の値をいろいろ変えて,複素平面
(cx , c y ) 上に,最後の n ( n  nk )に応じて,濃淡を描いた図をマンデルブロ
図という.パラメータをたとえば k  2 ,nk  50 ,z0  c として,2.2  cx  0.5 ,
1.2  cy  1.2 の範囲(上記パラメータは一例で,いろいろ変えて実行しよう)
で,マンデルブロ図を描け(講義資料の図と比較しよう).
また, zn , c を実数として, c を横軸をとした分岐図を描き,マンデルブ
ロ図との関係を調べよ.
本課題の意義:カオスとフラクタルの関連.
学生番号:奇数 ジュリア集合
ジュリア集合とは,固定した (cx , c y ) に対して(例えば (cx , cy )  (0.3, 0.5) ),
初期値 z0  x0  iy0 の ( x0 , y0 ) をいろいろ変えて,上記の方法で求まった最後の
zn を,複素平面 ( x0 , y0 ) 上に描いた集合である. 上記パラメータでは,
1.5  x0  1.5 ,1.5  y0  1.5 の範囲で描くと全体像が見える.上記パラメー
タは一例で,いろいろ変えて,ジュリア集合を描け.
本課題の意義:ジュリア集合はしばしばドラゴンの図と呼ばれが,確かめよ
う.
課題2:エノン写像は以下のような 2 成分の写像として与えられる.
 xn  1  yn 1  a xn21

 yn  b xn 1
( x, y) 相平面上に,初期値を適当に定めて,軌道 ( xn , yn ) を描け.特に,パラメ
ータ a,b をいろいろ変え,どのようなアトラクタになるか,調べよ.
本課題の意義:2 次元システムのカオスとしてしばしば研究に用いられ,フラクタ
ル構造が視覚的に確認できる簡単な例である.
課題3:3 成分のシステム
x  y

 y   x  yz
 z  1 y2

を考える.初期値(例)を
( x(0), y(0), z(0))  (1, 0.01,0.2) と
して, ( x, y, z ) 相空間内に描いた解
z t
1
y
0.75
0
-1
0.5
0.25
0.5
z
0
2
-0.5
4
6
8
10
-0.25
-0.5
-1
0
x
1
-0.75
軌道を左図に示す.カオスになっている.数値計算方法は,例えば,ルンゲク
ッタ法を用い,刻み幅は t  0.01 とする.
(3-1)ポアンカレ平面を,
z0
として, z  0 を横切る位置 ( xn , yn ) を図示せよ.ここで, n はポアンカレ平
面を横断する順番に付けた番号である.たとえば,最初に z (t1 )  0 となる時
刻 t1 は, z (t ) を示した右図から分かるように t1  1.60 となり,最初にポアン
カレ平面を横切る位置は ( x1 , y1 )  ( x(t1 ), y(t1 )) で与えられる.t1  1.60 以降は,
z (t ) が正から負に変わる時刻 tn を求めて, ( xn , yn )  ( x(tn ), y(tn )) を作成すれ
ばポアンカレ平面上の写像が得られる.また,
(tn  tn1 , tn1  tn2 )
がどのようなグラフになるか調べよう.
(3-2)初期値を,1  x(0), y(0), z(0)  1 の範囲で一様乱数を用いて設定する.
いろいろな初期値に対して,(1)の計算を繰り返し,( xn , yn ) を図示する.
どのようなフラクタルが得られるか調べよう.
本課題の意義:ポアンカレ平面上での挙動を数値的に調べ,カオスアトラクタのフラク
タル構造を引き出す.
課題4:マンデルブロ図のフラクタル次元を求めよ.
フラクタル図形とは,その図形の小さな一部分を拡大すると,元の図形と同
じ図形になるような図形のことを言う.つまり,どの部分をとってみても,縮
尺が異なるだけで,元の図形と同じ構造を持つ.課題1で作成したマンデルブ
ロ図のフラクタル次元(ボックス次元と情報次元)を求めよ.もし作成できな
かった場合は下図(どちらでも構わない)をスキャナで読み取ったデータを用
いてもよい.
t
(参考)ボックス次元を求める手順の例
512×512 の画像データ(0,1)の例
(1)対象の図形を用意し,その大きさを,例えば,256x256 にとる.  を
1/2(この時,128x128 のセルが4個できる)から 1/26(この時,2x2 のセル
が 4096 個できる)程度まで分割する.
(2)各  に対し,セルに0(図形が存在しない場合)と1(図形が存在す
る場合)を割り当てる.セルのうち 1 となる数 N ( ) を数える.
(3)両対数グラフにおいて, N ( ) をプロットし,直線回帰してその傾き
であるボックス次元である.スケーリング領域を確認し,すべての  に対す
る N ( ) を使うべきかどうかは,各自で判断せよ.
参考課題5(クリアすれば,ボーナス点を付与)
フラクタルと思えるような自然にある絵あるいは図(何でもOK)を用いて,
そのフラクタル次元(ボックス次元)を求めよ.
以上