基幹物理学 IA 演習(2014 年 6 月 5 日分) ・万有引力(基幹物理学 11 章)、惑星の運動 1.地球の質量 M を求めよ。なお、地表の重力加速度を 9.8(m/s2)、地球の半径 6378km と 球として、万有引力定数 G=6.67 x10-11 (m3/kg s2)とする。 (ヒント:地表で m=1.0kg の物体に働く力を F=9.8 (N)とせよ。 ) 解)万有引力 F mg G これから、 M Mm r2 Fr 2 Gm 数値を代入すると、 M Fr 2 gr 2 9.8 (6378 103 ) 2 5.98 10 24 (kg) Gm G 6.67 10 11 よって、地球の質量は約 6.0 x1024 kg (注:問題の中の数字で有効数字は2桁が一番小 さいので、答えもこの2桁に揃えればよい。) 2.赤道上の一地点の上で円軌道を描く静止衛星の地球表面からの高さとその速さを求め よ。地表の重力加速度を 9.8(m/s2)、地球の半径 6378km と球として、地球の公転は無視。 なお、若田氏が滞在した国際宇宙ステーション ISS は地上約 400km を運行している。 静止衛星の高さは ISS のおよそ何倍か? 解)衛星は地球の周りを等速円運動で動いている。地球と衛星間には万有引力が働いてい る。衛星の速さを v、地球の半径 r、衛星の高さを h とすると、法線方向(地球中心と衛星 を結ぶ軸方向)の加速度は v2/(r+h)で与えられるので、衛星の質量を m、地球の質量を M と すると、 運動方程式: m v2 mM G rh ( r h) 2 より、 v G また、等速円運動している衛星の速さ: さらに問1より、 GM gr 2 M rh v (r h) ( は角速度) 2 1/ 3 gr 2 これらの3式から、 h 2 r 2 ここで、 [1/s]、g=9.8x10-3[km/s2]、r=6378 [km]を代入すると 24 60 60 h = 35,865= 3.6 x 104 [km] よって、ISS よりも 35,865/400 = 約 90 倍高い位置にいる。 v (r h) =3.072=3.1 x 103 [km/s] 3.地球が太陽(質量 MS)の周りを等速円運動しているとする。地球と太陽間の距離を L として 公転周期 T の2乗が L の3乗に比例すること(ケプラーの第3法則)を証明せ よ。なお、万有引力定数を G とせよ。 解) 問2より、地球の質量を M、速さを v とすると、 MM S GM S v2 よって、 v G L L L 2L L 公転周期は、 T と書けるので、 2L v GM 4 2 3 T2 L GM M となり、公転周期 T の2乗が L の3乗に比例することが示された。 4.3の結果を使って太陽の質量 MS を求めよ。 ただし、 太陽と地球間距離 L は 1.496x108(km) とせよ。なお、万有引力定数の数値は問1に与えられている。 解) ケプラーの第3法則 T2 4 2 3 L GM M 4 2 3 L GT 2 から、 ① ここで、地球の公転周期は1年なので、 T 365 24 3600 3.154 10 (sec) 7 必要な数値を上式①に代入して、 M 4 2 3 4 3.14 2 (1.496 1011 ) 3 a 1.990 10 30 (kg) 2 11 7 2 GT 6.67 10 (3.154 10 ) よって、太陽の質量は 約 1.99 x1030 kg 5.(追加問題)万有引力が働いていて太陽を原点として運動している惑星を考える。 1) 原点に関する角運動量が一定であることを示せ。 (ヒント:力のモーメントを考え よ。 ) 2) 角運動量の大きさを求め、面積速度が一定であること(ケプラーの第2法則)を 示せ。 (参考:基幹物理学 p.92) 解) 1) 惑星が受ける万有引力は原点からその惑星までの距離ベクトルを r とすると、 MM F G 2 S r MM S r G 3 r r r (ここで、M, Ms は惑星と太陽の質量) MM N r F r G 3 S r 0 r なので、角運動量 L は保存される。 力のモーメント (2) 角運動量の大きさ L dS L r p rp sin rmv sin 2m dt ここで、図のハッチで示すように、dS は太陽と惑星を結ぶ直線が dt 時間に掃く微小面積で ある。問(1)で角運動量は保存される、すなわち一定なので、上式から面積速度 dS/dt も一定 となる。
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