;j電荷と磁荷の相互作用 基本の力:クーロンカとローレンツ力 q Qm q7n -,-」二=qE ㌻㌣-,一一二賢二=qmH E)クーロンの法則のまとめ E-& H-B 図311(a)には、間隔Yの位置にある電荷Qとqに働くクーロンカF を示しました(図2-7、図219、図2112など参照)。図の下には電界Eと 電束密度かも示しました。 (a)のようにクーロンカをベクトルで表すと D-eE-石器 B-pH-砦訂 (a)クーロンカF-qE (b)磁荷に対するクーロンカ 太字でF-qEとなります。同じように、磁荷Qmとqmに働くクーロン カFを図3-i(b)に示しました(図2113)。ここでも図の下は磁界Hと 磁束密度βですが、磁束密度βは表2-3の右側の欄から得られます。 E)磁束線と磁力線 図2-1 1と図2-1 2は電束線と電気力線ですが、これに対応する磁気の 現象として磁荷が作る磁束線と磁力線を図3-2の(a)と(b)に示しまし た。図2-1 1に対応するのが図312(a)です。磁荷0mはN- 0m本の磁 束線を発生するため、半径Yの球面上(点線)での磁束線の面積密度(磁 束密度) βは囲(a)の下のようになります。 図2-i 2に対応するのが図3-2(b)で、磁荷QmはN- 0m/FL本の磁力 線を発生します。図(b)の下は半径Yの球面上(点線)での磁力線の面積 密度Hですが、これが磁界Hに等しいのは磁界の定義でもあります。 ElE)-レンツカ 磁束密度Bのある空間を電荷qをもつ粒子が磁束密度と角度0方向に 速度Vで運動するとき、その粒子には力F-qγBsinCが磁束密度Bと 速度γに垂直方向に働く、と高校の物理の教科書で紹介しています。 これがローレンツ力で、直交座標のZ方向の力Fとして図3-3に示し ました。図1-10のベクトル積を用いると簡潔に表せます。なお、ロー レンツ力はクーロンカ、電荷の保存則、ローレンツ収縮から導出でき慕 すが(文献(4)の1 03頁)、本書のエピローグにも示しました。 _ ㌔ ㌔ ∴ -_I : .、 ■ 28 29 ロ思考実験 図3-7ではローレンツ力を表す磁束密度月は磁石が作りますが、数式 を簡単にするためN極だけの磁荷0mが作るか、磁石のJは非常に大き いとします。図3-10(a)のように「起こると考えられる現象を理論に基 づいて考察すること」を思考実験といいます(物理学辞典、培風館)。 磁荷Qmに力Fが働くため、図3-10(b)のようにP点に磁界Hがで きています。そのため電荷qが速度VでX方向に移動するのを、距離r だけ離れたP点で知る方法について考察したのが図3-1 1です。 E)電荷の移動を何で知るか 図211 1のように電荷Qが存在すると、まわりの空間に0本の電束線 を発生します。図2-1 1の電荷Qをqとしたのが図3-11ですが、電荷q は速度VでX方向に移動するとしました.電荷qは一定の速度Vで移動 するのですから、図3-1 1のすべての電束線も同じ方向に速度γで移動 する、というのは納得できます。 図3-i 1のP点での電束密度はD-q/47lr2のため、磁界はH-vDと 表せます。ここでγはP点での電束線の移動速度と考えると、電束線が 速度Vで移動すると磁界H-vDができる、という結果が得られます. Elベクトルで表すと 図3-3のように、 ∬軸と磁束密度βの角度がβの場合を考えてみまし ょう。この場合は図3-10に対応するのが図3-12ですから、ローレンツ 力はF-qvBsinOです。図3112(a)のP点にできる磁界Hlよベクト ルVとDの問の角度を0′とすると、 0'-7r-0となるため図3-12(b)に 示すようにH-qvDsinO-qvDsinO′が得られます。ここで、磁界Hは 図ト1 1のベクトル積を用いて∬-γ×刀と簡潔に表すことができます。 t Trj、 -∴ : こ _ 二./ =/ 34 、 tr l'l li'・T 3漣荷と磁荷の相互作用 線電荷が作る電兼密度と磁界 線電荷が作る電莱密度と磁界 ロ線電荷が作る電乗密度 図3-13は、図2-3と同じで正の電荷がZ軸上に一様に並んだ線電荷 です。線上の単位長さ(1 m)に存在する電荷量を緑電荷密度といい、こ れを♂ 〔C/m〕で表すのも図2-3と同じです。図には電荷が作る電束線を 示しましたが、すべてZ軸に垂直な全方向に一様に発生しています。電 荷はZ軸上に一様に分布するため、斜めになる理由がないからです。 図3-13の点線は、 Z軸を中心として半径がpで長さ1mの円筒の断 面図です。この円筒の内部にある電荷量は♂〔C〕のため、 〟-♂本の電 束線を発生します0円筒の側面の面積はS-27rPXlm2ですから、円筒 の側面上での電束密度Dと電界Eは図の横に示す式になります。 El徹小長の線電荷が作る電兼密度の積分から 図3-14のZ軸上の太線は図3-i 3の線電荷を表しています。この線電 荷の微小長Azの部分にある電荷はaAzで、図では大きいですが点電荷 です。この電荷は∬軸上のP点に図のような電束密度を作りますが、 その∬方向成分を』かとします。 sin(♂+』の-sinβと近似して図に示す 式を利用し、 YとAzを消去すると図の横の電束密度ADが得られます。 このADをCについて0-7Tまで積分すると、 Z方向成分はゼロのた め、 Z軸上の線電荷がp点に作る電束密度Dになります。 sinOをこの範 囲で積分すると2になり、図3-13と同じ電束密度かが得られます。 E)屯界は線電荷の移動から 図3115には、図3-13の線電荷が速度VでZ軸の正方向に移動する場 合を示しました。 P点の電束線も同じように移動するため、 y方向の磁 界H-vxDができます.図213に示すようにCvは電流丁に等しいた め、電流I btt距離pの位置に作る磁界H-I/27rPが得られます。 37 ・サバールの法則 E)新しい座標で 実際には図3-1 5の例のように、電流はZ方向に流れるとする場合が 多いのですoこのため、図3-12の電荷qの移動方向をX方向から2方 向に変えたのが図3-1 6です。 図3-1 6(a)では磁荷Omはxz面上のP点にあって図の方向の磁束密 度Bができ、電荷qに○印のローレンツ力Fが働きます.この場合も 0′-7「CのためsinO'-sinOとなり、磁荷0mにy方向の力が働きます。 このため図3-1 6(b)のように、 P点にはy方向の磁界Hができます。 ElピオーサJ t-ルの法則 図3-1 5に示した速度Vで移動する線電荷が、 Z軸上にあるとしたのが 図3-i 7(a)ですoこの線電荷の微小長Azの部分にある電荷量をqとす ると、図3-16(b)からP点にできる磁界〟は図の式になります。これ を2段目のように変形すると、 P点の磁界Hは電流Iの微小長Azの部 分が作る磁界になり、これをビオーサバールの法則といいます。図3-1 7 (b)のように、電流Zとr方向の単位ベクトルe,を用い、ベクトルで表す ビオーサバールの法則もよく利用しますが、理由は次節で説明します。 El画線の電充が作る磁界 ビオーサバールの法則の応用例として、図3-1 8に示すように長い直 線上を流れる電流がp点に作る磁界を求めてみましょう。図3-15の線 電荷と同じでZ軸上に電流Iが流れています。その微小長Azの部分 がP点に作る磁界AHは、ビオーサバールの法則から図横の上段の第l 式です。図311 4と同じで、これからYとAzを消去したのが第2式です。 このAHをCについて0-7Tまで積分すると、この範囲でのsinOの積分 は2のため、電流Iが距離pの位置に作る磁界H-I/27rPが得られます。 ■L-h/.- / 、 ._ _I_ ∴ーlJ 38 E)屯荷が速度Vで移動すると 図3-21(a)は、図3-10(a)を速度γで∬方向に等速度運動しながら 観測した図です.図3110(a)とは逆に、図3-21 (a)では電荷qが静止 して磁荷Qmが速度γで上方向に移動しています。 電荷と磁荷に働く力は等速度運動しながら観測しても同じですから、 I 静止した電荷qに力Fが働くことは、電界E-F/q-vBが電荷のある P点にできていることを意味します。これを示したのが図3-21 (b)で すが、第2式のvBは図3-21 (a)のローレンツ力Fから求めました。 E) P点で磁荷の移動がわかるのは 図3-21(b)のP点で、距離rだけ離れた位置にある磁荷0mが上方向 に移動するのを知る方法を、図3-1 1と同じように説明するのが図3122 です。磁荷0mは図3-2に示すように0m本の磁束線を発生します。 磁荷0mは等速度γで上方向移動するのですから、図3-22のP点の 磁束線も速度γで上方向に移動するというのは納得できます。これらの 現象から、磁束密度月を表す磁束線が速度γで移動すると電界γβが発 生する、という結論を得ることができます。 E]ベクトルで表すと 図3-23(a)は、図3-1 2を速度γで∬方向に等速度運動しながら観測 した図です.図3-21 (a)と同じで、電荷qが静止して磁荷0mが速度V で上方向に移動します。電荷qに働くローレンツ力はF-qvBsinOとな り、図3123(b)のP点にできる電界はE-vBsinOとなります. 図3-23(b)に示すように、ベクトルγと月の間の角度をβ′とすると 0′-7r10が成り立ち、 E-vBsinO'となります。このため電界Eは図 l -l lのベクトル積を用いてE-BXvと簡潔に表すことができます。 El画線の線電荷雅致すると ガウスの定理を適用した図4-3(a)の線電荷が、 Z方向に速度Vで移 動するとします.それが図414で、図3115と同じように電荷密度o 〔C/m〕の線電荷が速度Vで移動すると電流I-6γ 〔心が流れ、図のよう にP点に磁界Hができます。電荷と電荷が作る電束密度Dの関係を表 すのがガウスの定理ですが、この電荷を速度γで移動させた場合にガウ スの定理はどのような式になるか、を検討するのが本節です。 Elガウスの定理とアンペアの法則の関係 図4-5は由413(b)と同じですが、図414のようにZ軸上の線電荷 がZの正方向に速度Vで移動しています。そのため、 P点の電束線も速 度77でZ方向に移動し、基本式H-vXDから電束密度Dと直角方向の 磁界ガがP点にできます。ここで、ガウスの定理に出てきた電束密 度Dを磁界Hに変えるため、次のベクトルの関係を利用するのです。 E)直交する単位ベクトルとスカラー3重構 図4-6(a)は直交座標方向の単位ベクトルi、ムkで、 Z'-jXkが成り 立ちます。図4-5に出てくる単位ベクトルが図4-6(b)のnJ、 kで、経 路Cに垂直方向の単位ベクトルをnとし、接線方向の単位ベクトル をtとしますoどちらもxy面内にあり、 n-txkが成り立ちます。 図41 6(C)の平行六面体の体積を表す図下の第l式V- (7'×D) ・ tAsは、 図1 -12に示すスカラー3重積です。底面がγとかの平行四辺形で高さ がtAsです。第2式は基本式から、第3式は図4-6(C)から明らかです。 第l式に図l-1 2横の下段の式を適用してV-kvとtxk-nを代入し たのが第4式です。この第4式によって、図4-5横上段のガウスの定理 から下段に示すアンペアの法則の一つが導出できました。 /._J′L i_.‥._∴ _ L_ 52 一般のアンペアの法則 El3次元の電柵のとき 図4-5では電束線はZ方向に一様な2次元の構造でしたが、 3次元の 場合のアンペアの法則を求めましょう.図4-7では電束線はZ軸上にあ る電荷qが作るように描きましたが、任意の電荷が作るとしても成り立 ちます.ここでは電束線の全体はZの正方向に速度Vで移動するとしま すが、他の場合には図3- 1 9の重ね合わせの原理が利用できます。 E)揮蕗Cを横切る電乗線の本数 はじめに図4-7の経路C上の電束密度を刀として、経路Cを横切る 電束線の本数を求めます.経路Cに接線方向の単位ベクトルtと速度 77の両方に垂直な単位ベクトルがnです。このとき図4-7の平行六面体の 体積も図4-6(C)と同じで経路C上の微小距離Asを横切る電束線の本 数を表しますが、こちらでは微小時間Atの間に通過する本数AQeです。 図4 -7の平行六面体の色ア三部を面の垂直方向から見たのが図4-8で 7.色ア三部の平行四辺形の面積は図l -i 0と同じでtAsxkAz-n瓜電束 線は微小時間AtにAzだけ進みAz-vAtとなります。図4-8の結果を利 用すると、図4-6(C)と同じように図4-7横のl段∼3段の式が得られま7. E]削l時間に経托C内を通過する電東経の増ZI撒A¢e 図417で微小時間Atに全経路Cを横切る電束線数を改めてAOeとし たのが、 4段目の第1式です。ここで、 』才一0としたのが5段目で、こ のときのOeは経路C内を通過する全電束線数を表しています. わかりやすくするため図4-9では経路Cを円形ループとし、図3-6と 同じ形の電束線を作るタイポールが速度γで近づくと、経路C上に○ ㊥印の磁界Hができます.全電束線数Oeの変化分AQeは、微小時 間At内に経路Cを横切る全電束線数です.これがアンペアの法則です. 54 ファラデーの法則の導出 E)磁石を動かすと電敦が語れる 棒磁石を導体線ループの中心に向かって動かすとループに電流が流れ る、というのはファラデーの法則として高校の物理の教科書にも紹介さ れています。図4-1 6はその例ですが、小さい棒磁石を速度γで導体線 ループに近づけると、ループの位置にはE-BXvによる電界ができま す。その結果、導体線ループには電界と同じ方向の○㊥印で示す電読 が流れます。このときの電界の大きさについては次節で説明します。 E)アンペアの法則に対応するのがフアラT--の法則 図417に対応するのが図411 7です。磁束線は一つの磁荷qmが作るよ う描きましたが、複数の磁荷が作る磁束線の全体は速度VでZ軸の正方 向に移動する、というのも図47と同じですo 図4-17の経路C上のP 点での磁束密度をβとして、経路Cを横切る磁束線数を求めます0 図4-7と同じように、経路Cに垂直方向と接線方向の単位ベクトル をnとtとし、図4-17の平行六面体の体積をA¢とします。図4-7と 同じで、これも経路C上の微小距離Asを横切る磁束線の本数を表し、 微小時間Atの間に微小距離を通過する本数A¢です. E)連絡Cを横切る磁束線 図4-17の色ア三部を面の垂直方向から見た平行四辺形の面積は図 4-8と同じでtAsxkAz-nASとなり、磁束線は微小時間AtにAzだ け進むため42-γAtとなります。図4-8の結果を利用すると、図4-7と 同じように図4-17横の1段∼3段の式が得られます。微小時間』才に全 経路Cを横切る磁束緑数を改めて』¢としたのが、 4段目の第1式です。 ここで、 At-0としたのが最下段のファラデーの法則です。図4-7と同 じように、このときの釧ま経路C内を通過する全磁束線数を表します。 i-' 、二 __ I:_T=・・ 6〃 A¢- (tAsXkAz)・B- (i x v) ・BAsAt - (VXB) ・ tAsAt- -E・ tAsAt- -EsAsAt 』¢ ∴ EsAs= -;蘇 LEsds-一昔一一雷 ファラデーの法則 LEsdsr雷 ′ ローレンツ力の導出 エピローグ-まとめとして ローレンツ力の導出 1 ①クーロンの法則 ②電荷保存の法則 ③ローレンツ収縮の利用 E)E)-レンツ収縮 これまでクーロンカとローレンツ力を利用してビオーサバールの法則、 アンペアの法則、ファラデーの法則などを導出しました。実は、ローレ ンツ力は①クーロンの法則(図2-1 3)、 ①電荷保存の法則(図2-2)、 ③ ローレンツ収縮の三つから導出できます(文献(1 1 )の29頁、文献(1) の142頁).速度Vで運動する物体の長さはJ1-(V/C)2 -γ倍に縮む (Cは光速)というのがローレンツ収縮で、光速は観測座標によらず一定 という事実から導出できます(文献(1 )の1 36頁)0 El思考実験 (C) 図(b)の正負の線電荷の和を♂′とすると、 6,-γ6-チ-吐出-一也・: γ-Ji二両訂 γ 図9-4(a)ではZ軸に平行な2本の誘電体棒が原点近傍のy軸上にあ り、右側の棒は速度VでZの正方向に移動しています.左右の棒は線電 荷密度芋Cの電荷をもち、原点から距離pの位置に電荷qがあります。 c2γ ・ 6,--jZL ・・・ I-3-V (I ti回(b)左側の負の線電荷の移動による電流) C2 線電荷6'はp方向の電界Epを作り(図3113)、電荷qにはク-ロンカF'が働く. ♂′ Epニー- ∴ F′-qEp--lqL 27TEP 27TEPC2 電荷qはX方向だけ移動できるとしますが、図では静止しています。 図9-4(a)を速度γでZの正方向に移動しながら観測したのが図9-4 (b)で、座標軸はX'. yT. Z'としますo左側の棒は速度Vで下方向に移動す 図(a)を速度γで上方向に移動しながら観測したのが図(b)だから、どちらの場合 も電荷qは静止している。このため図(b)では電荷qには反対方向の力Fが働く. F-審-怒・:チエF- るため長さはγ倍に縮み、この逆の現象が起こるため右側の棒は1/γ倍だ け長くなりますo電荷の保存則が成り立つため、線電荷密度は図914(b) のようになります。これを∬′軸の正方向から見たのが図9-4(C)です。 El電充の方向に移動する電荷qに飽く力 図9-4下に示すように、左右の和の密度6′の線電荷がZ′軸上にある ように見え、速度Vで下方向に移動する電荷qにクーロンカF'がX'軸の 負方向に働きますo しかし、この方向に電荷qは動かないため、図9-4 下に示すF'と反対方向の力Fも電荷qに働くはずです.この力Fの性 質を考察したのが図9-5ですが、これについて次節で説明します。 ■葛十ii ・_. ヾ_ . ー _L -_ FIE]55 ・ 157
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