核分裂エネルギー、核分裂生成物(放射性廃棄物)

核分裂エネルギー、核分裂生成物(放射性廃棄物)
IABS-IBARAKI
1
核分裂反応(復習)
核分裂生成物
β
β
238U
239Np
核分裂生成物
239Pu
2
(復習)
FP (30kg)
MA (0.8kg)
年間の燃料30~40ton
3
結合エネルギー
粒子が集まって束縛系
をつくっているとき、
これらの粒子を引き
離してばらばらにして
しまうために必要な
エネルギーを
結合エネルギーという。
陽子(水素原子核)
M p c 2  M n c 2  M e c 2  2.0164899u
M p c 2  938.272 MeV  1.00727647 u
中性子
重水素
M n c 2  939.566 MeV  1.00866490 u
M D c 2  1875.613MeV  2.0141018u
  ray  2.225 MeV
電子
M e c 2  0.510999 MeV  5.485799 10 4 u
6x陽子(水素原子核)
6x中性子
Total=12.09892u
6x電子
炭素の原子
1[u]=12Cの原子質量の1/12=1.660x10-24g=931.494MeV
4
核子一個当たりの結合エネルギー(復習)
f B  Mc 2 / A
 ZM ( 11H )  ( A  Z ) M n  M ( Z , A)c 2 / A
5
結合エネルギーの計算値
Nucleus
Z
N(A-Z)
Z*Mp+N*Mn
Mass
dM
dM/A(MeV)
H-1
1
0
1.0078250E+00
1.0078250
1.80000E-08
1.677E-05
D-2
1
1
2.0164899E+00
2.0141018
2.38817E-03
1.112E+00
He-3
2
1
3.0243150E+00
3.0160293
8.28569E-03
2.573E+00
C-12
6
6
1.2098940E+01
12.0000000
9.89397E-02
7.680E+00
Fe-56
26
30
5.6463398E+01
55.9349418
5.28456E-01
8.790E+00
Kr-84
36
48
8.4697617E+01
83.9115080
7.86109E-01
8.717E+00
Ba-138
56
82
1.3914872E+02
137.9052420
1.24348E+00
8.393E+00
U-235
92
143
2.3695899E+02
235.0439222
1.91506E+00
7.591E+00
U-238
92
146
2.3998498E+02
238.0507835
1.93420E+00
7.570E+00
neutron
electron
proton
1.00727647
1.00866490
5.48580E-04
energy /1U
931.494000
6
結合エネルギーの詳細
M  a1 A  a2 A 2 / 3  a3 Z 2 / A1 / 3
2
A

 a4   Z  / A   ( A, Z )
2

(1)体積項: 核子1個当たりの結合エネル
ギーがほぼ一定。核力の飽和性。
(2)表面張力:表面の核子は外側から引力を
受けない。
(3)クーロン力:3/5(Ze)2/R
(4)対称効果:パウリの原理で陽子、中性子
が別々の準位に入らざるを得ない。
(5)対相互効果
 ( A) Z , A : 偶

 ( A, Z )  0
A:奇
 ( A) Z , N : 奇

7
反応のエネルギー
8
中性子反応(復習)
En
n+
n+
En
D =10 eV
s
AX
1H
2.225MeV
ターゲット核
γ線を出して崩壊
2D
D =100 keV
Sn =10 MeV
中性子結合エネルギー
複合核
A+1X
9
核分裂のエネルギー
体積
( 4 / 3)ab 2  ( 4 / 3) R 3
表面積
2
S  4R 2 (1  e 2  )
5
2
E s  a s A 2 / 3  e 2
5
クーロンエネルギー
R
2
b
a
a=R(1+e)
b=R/√(1+e)
3 Z 2e
1
U
(1  e 2  )
5 R
5
Z2 1 2
E c  ac 1 / 3  e
5
A
破片の運動エネルギー
rc
rcでのクーロンエネルギー
10
ウランが分裂した時のエネルギー
 ウランの領域(A≈240)ではB/A ≈7.6MeVであり、核分裂生成物を
A ≈120とするとこの領域のB/A ≈8.5MeVである。
 一回の核分裂によって解放されるエネルギーは2
40(8.5-7.6) ≈210MeV程度となる。
11
235Uの中性子断面積
12
235Uの核分裂断面積
13
二山核分裂ポテンシャル
14
なぜThreshold Fissionが起こるか
Ef=2山の高い方
Ex=熱中性子による励起エネルギー
15
238Uの核分裂断面積
16
核分裂断面積のエネルギー依存性
(n,2n’f)
(n,n’f)
Ef
トンネル効果
17
核分裂反応によって生成される核種
18
核分裂収量(200%に規格化)
19
核分裂収量(200%に規格化 拡大)
がん診断で重要な核種
20
長半減期の
核分裂生成物
とその性質
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即発中性子と遅発中性子
即発中性子
原子炉の中で、核分裂により即発中性子が発生してから吸収や漏れにより消滅する
までの(平均)時間は、炉型等によって10-3秒から10-7秒程度。
235Uが核分裂する場合、中性子は一度235Uの原子核の中に入り込み複合核を作る。
この複合核は不安定で、およそ10-14秒で壊変する。複合核の分裂片の多くはおよそ
10-17秒のうちに中性子を放出する。これを即発中性子という。
遅発中性子
核分裂生成物の一部にはベータ崩壊に伴って中性子を放出する。この中性子を
遅発中性子という。ベータ崩壊する核種を遅発中性子放出先行核といい、中性子
放出もこの先行核の半減期にしたがって減少する。
先行核は多数あるが、半減期がもっとも長いのは87Br(55秒)である。
遅発中性子の存在により、原子炉は即発中性子だけでは臨界にならない
ように制御することができ、反応度の投入に対処して急激な出力の変化を
防ぐ時間的余裕が得られることになる。原子炉の制御にとって重要である。
22
235Uの即発中性子の発生数
23
放出される中性子のエネルギー
24
遅発中性子の発生機構
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代表的な遅発中性子放出核
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演 習
IABS-IBARAKI
問2 「結合エネルギーの計算値」を参考にして
下記の問いに答えなさい。
①
2D(重水素)、56Fe、235Uの結合エネルギーの値を書きなさい。
② ①から重い原子核が核分裂を起こす理由を簡単に記述しなさい。
③ ①から軽い原子核が核融合を起こす理由を簡潔に記述しなさい。
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