今回の証明は自分でもしっくりきてないんで、まあもっといい解法思いついた人は、自分
を信じたほうがよいかもしれません。自力で解くために、ヒントだけ。
(4.9)
今回は 3 次元で、実数が範囲ですし、高校生みたく図形的に感覚的に解いてみます。
ユニタリ行列の性質を覚えてますか?そう、内積とノルムの保存です。じゃあ A による変
形ってどんなものでしょうか。同様に P1、P2、P3 による変形についても図形的に考えてみ
ます。なんだか似たような変形じゃありませんか?わからない人は実際に成分で書いてみ
ましょう。
(4.10)
三角不等式の等号成立条件の証明ですね。ベクトルが複素数を範囲に持っていることに注
意すれば、高校での三角不等式と大して証明の方針は変わりません。
(4.11)
ポイントは内積を使うことです。2 つのベクトル(実数範囲)が等しいってことは、大きさ
と向きが等しいってことですよね。向きが等しいっていうのは(4.10)の(ii)にほかなりませ
ん。||a||=||b||かつ(a,b)=||a|| ||b||なら a=b が言えるんです。
まあ、ヒントだけじゃわかんないって人と、数学なんてやりたくねえって人もいるはずな
んで、一応もう少し詳しい解答を付けときます。
(4.9)
まず A がどんな変換をする行列なのか考えてみましょう。A は直行行列(もちろんユニタ
リ行列です)なので、任意の 3 次列ベクトル b に対して、
||A b||=||b||
が成り立ちます。これって b を xyz 空間の位置ベクトルと考えると、A で変換しても原点か
らの距離が変わらない。すなわち、球面状を動くということになります。
次に、P1、P2、P3 を考えます。ためしに P1e1=e1 を使って、P1 の成分を書き表してみましょ
う。P1*e1=e1 でもあるので、
1
0
0
P = 0 cosθ −sinθ
0 sinθ cosθ
みたいに書けることがわかります。同様に P2、P3 もやると、全部回転の行列を含んでるこ
とがわかります。じゃあ P1、P2、P3 とは何か?まあ、t(x,y,z)でもかけてみればわかります
が、x 軸、y 軸、z 軸中心の回転行列です。それを 3 つかけあわせたら、当然球面すべての
点に変換可能になりますよね。
ということをいかにも「数学的に考えました」と言わんばかりに書けばよろしいかと思い
ます。
(4.10)
三角不等式はシュワルツの不等式から導き出されてるんで、シュワルツの不等式の等号成
立条件の求め方を書きます。これをどう応用するかはちょっと考えてみればわかります。
||u||+||v||=|(u,v)|の条件をもとめる。u,v がともに 0 ではないとする。
'
0 ≤ &|au + v|& = (au + v, au + v)
ここで a =
= (au, au) + (au, v) + (v + au) + (v, v)
'
)))))))
(u, v)
λ
|(u, v)|
'
'
(λ ∈ R)
0 ≤ λ' &|u|& + &|v|& + 2λ|(u, v)|
'
'
|(u, v)| − &|u|& &|v|& ≤ 0
'
'
= |a|' &|u|& + &|v|& + 2Re(a(u, v))
を代入すると
λ が実数なことから、判別式を用いて
これがシュワルツの不等式
等号成立は判別式 D = 0 なことから、&|au + v|& = 0 つまり au + v = 0
じっくりと紙にでも書いて考えてみてください。ミスしなければ絶対出来るはず。
(4.11)
線形写像であることの証明方針は前回の解答に載せたので省略します。ヒントも読んどい
てください。ちなみに、どうしてそうなるかは(4.10)をやれば証明できます。
与えられた条件を 2 乗すると、(Tx,Ty)=(x,y)が導かれます。
y=0 から||Tx||=||x||が成立。
この 2 式のみですべて証明可能です。
T(ax)=a Tx の証明。2 式を使うと
||T(ax)|| = ||ax|| = ||a Tx||
'
(T(ax), a Tx) = &|ax|& = &|T(ax)|& &|a Tx|&
⇒ T(ax) = a Tx
T(x+y)=Tx+Ty の証明。
y→-y に置き換えれば、上の結果を使って||T(x+y)||=||Tx+Ty||はカンタン。
(T(x+y),Tx+Ty)=(T(x+y),Tx)+(T(x+y),Ty)を計算すると、
(T(x+y),Tx+Ty)=||x+y||2=||T(x+y)|| ||Tx+Ty||が導ける。よって証明。