学 生 を対象 と した Tグ ルー プの学 びの 日常 へ の応用 に関す る考察 201lHP010 知崎汐里 研 究 目的 近年 、 日本 の学校教 育 では体験 を通 して の学び が重 視 され るよ うにな り、様 々 な体験学習が 実践 され てい る。体験学習 の 中に、 自己理解や 自己受容 を深 め、他者 を共感 的 に理 解 し受容す る能力 を高 めるこ とを可能 にす る Tグ ループ とい う学習方法 がある。この よ うな学び が得 られ るため、対人 関係 の希薄化 が 指摘 され て い る今 日の大学生 に とつて 、Tグ ループ を実施す る こ とは有効 である と考 え られ て い る。 また 、Tグ ループの学び を 日常 で応用す るこ とは重要であ る と指摘 され てい る。Tグ ルー プの学び の 日常 へ の応用 の研 究は、体験 か ら 1年 未満 の学習者 を対象 に行 われて い るが、Tグ ループの体験後 、 1年 以 上 経過 した 学習者 が どの よ うに学び を 日常に応用 して い るかについ て検討 した研 究は少 ない ため、Tグ ループの学 び の長期的な応用 を検討す るこ とは有意義 で あ る と考 えた。 以 上の こ とか ら、Tグ ループ 体験 か ら日常 に戻 つて来 た直後で ある し、そ の後 か ら約 1、 2ヶ 月後 を短期 間 と 1年 後 までの 間 を長期間 として、Tグ ルー プ体験 の学 び の 日常へ の応用 を、 短期的な応用 と長期的 な応用 に分 け、 どの よ うに学 び を応 用 して い るか を考察す ることを、本 研究 の 目的 と した。 研 究方法 本研 究では、学び の長期的 な 日常 へ の応用 を検討す るため、A大 学 B学 部 C学 科 の 「人間 関係 トレーニ ン グ」を受講 し、Tグ ループ体験 か ら 1年 以 上 経過 した 4名 にイ ンタ ビュー調 査 を実施 した。2014年 9月 下旬 ∼ 11月 上旬 にか けて、60分 程度 の 半構 造化イ ン タ ビュー を行 つ た。 そ して 、イ ンタ ビュー 調査 で得 られたデ ー タを基 に 、ナ ラテ ィブ・ アナ リシスの手法 を用 い て分析 を行 つた。 結果 と考察 Tグ ルー プの学 びの 日常へ の短期的 な応用 はで きて い た と考 え られ る。しか し、 分析 の結果、 Tグ ループを非 日常 な特別 な体験 と感 じて しまい、日常 に戻 る と Tグ ループ と日常 の環境 の違 いに戸惑 いが生 じ、 日常で の 学び の応用 を躊躇 して しま うこ とも起 こることが示 唆 され た。 ま た、学び を応用す るこ とで 、他者 か ら思われて い る 自己像 が変化 して しま うこ とを恐れ、新 し い行動 の試 み を抑制 して しま つた ことや 、Tグ ループ とは異な った 日常 の風 土や 関係性 が要因 とな つて 、 日常で の応用 を諦 めて しま うとい うことも起 こ り得 る こ とが明 らか にな つた。 長期 的な応用 は、 1年 を経過 して も継続 で きて い る学び はあるが、 日々薄れ て しまつて い る 場合 もあ つた。学 び の長期的 な継続 を可能 にす るた めには 、 日常で思 い起 こす こ とがで きるよ うに体験 を曲に して い る、ともに Tグ ルー プを体験 した仲間 と Tグ ループの こ とを語 りあ つて 思 い 出す な ど、Tグ ルー プでの学 び を想起 させ る工夫や き つか けを もつてい る ことが明 らかに な つた。 この ことか ら、体験 を思 い 起 こ した り、学び を意識す る こ とがで きる工夫 をす ること や場 があるこ とは、学び の長期的 な応用 を可能 にす る と考 え られ る。 学生が運営す るゼ ミにおける学び のモチベー シ ョンの 向上を 目指 したアクシ ョン リサーチ 20HHP023 長創 !│万 利江 研究 目的 ゼ ミ"と 呼ばれるものが 多 くの大学には、少人数 の学生が集 ま り各 自関心のあるテーマ を研究す る “ あ り、その運営 の仕方は多種多様 である。本研究のフィール ドである南 山大学 A学科 Bゼ ミは、学生が 自ら運営 しているゼ ミである。学生が運営する ことによつて、 自分たちの学びをより充実 させ るよ うに ゼ ミ内容を創意 工夫する ことがで きるとい うメ リッ トがあるが、教員 などか らの指示 がない分、 自分た ちの負担 も大きく、モチベーションの管理 が難 しい とい うデメ リッ トもある。そ こで、Bゼ ミを対象 と した変革 の取 り組みを通 して、学生が運営す るゼ ミにお いての学びのモチベー ションを向上 させ るため には どのよ うな働 きかけの可能性があるのか、効果的な働 きかけとは どのよ うなもの なのか とい うこ と を考察す ることを本研究 の 目的 とす る。 方法 Bゼ ミのゼ ミ生全員 を対象 とした、変革を目指 した実践を通 して、研究知見を明 ら力│こ してい く研究 であるアクション リサー チを行 つた。まず、現状 を把握するために筆者 と共同研究者 を除 くゼ ミ生全員 にインタ ビュー調査を行 つた ところ、Bゼ ミが、ゼ ミ全体における具体的な 目標 がために、ゼ ミに来て い る意味が見出 しにくい現状 にあることが判明 した。そのため、秋学期 のスケジュール を決める話 し合 い を行 う前に、ゼ ミの 日標 を決めるアクシ ョンを計画 し、実施 した。その結果、「チ ェンジエージェン ト カ を身につ ける」 とい うゼ ミ全体 における具体的な 目標 が生まれ 、その 日標 を達成す るための秋学期 の スケジュール を組むことができた。 アクション実施後に質問紙調査 を行 つた ところ、決まつた 日標 に対 す る意識が低 い とい う現状が明 らか とな つたため、 日標 への意識やゼ ミの現状 について本音で話 し合 う とい う2サ イクル ロのア クションを計画、実施 した。その結果、ゼ ミやゼ ミメ ンバー に対す る 1人 1人 の正直な思 い を皆 で共有す ることができた。 アクション実施後、イ ンタ ビユー調査を行 い、2つ のアク シ ョンによるそれぞれ の変化や、変化が起 こった要因な どについて分析を行 つた。 結果 と考察 イ ンタビュー調査 の結果、羊ぶ ことへ のモチベーションの向上や、ゼ ミをよくしたい とい う現状打破 の意欲 の向上、主体性の向上な ど、あらゆる側面にお いてゼ ミに良い変化 が起 こった ことが明 ら力ヽこな つたが、アクションで決まつた 目標 の腹落 ち度 の差な ど、ゼ ミ全体 の変化に繋 が らなかつた部分 もあつ た。ゼ ミに変化を起 こした要因 としては、ゼ ミの 目標 を簡潔で具体的な言葉に した こ と、メ ンバーが本 音 で語 り合 ったこと、 自分たちが考えたプ ログラム を実行 した ことの 3つ が考 えられた。 日標な どを決 める際は、具体的でわか りやす い言葉に し、そ の 日標 をす ぐに実践に移せ る場 を提供す ることで、 日標 が浸透 しやす くなるとい うことが明 らか となつた。 また 、ゼ ミに内在す る問題ためには、本音を語 りや す い場作 りが必要不可欠であ り、そのためには、 ファシ リテー ター 自身が正直な思い を伝 えることによ つて、同 じ思い を持 つた人を顕在化 させ得 る働 きかけを行 う必要があるとい うことが明 らか となつた。 女子 大学生 の親密 な友人関係 の形成 とそ の継続 に関す る考 察 201lHP036 堀 田佳奈子 問題 と研 究 目的 現代 の青年 の友人関係 は、希薄化や 関係 の浅 さが問題 として よ く取 り上 げ られ てい る。 青年期 にお いて 、重要 な人間関係 と言 われ てい るの は友人関係 であ る(福 田,1978)。 牧野 (2012)に よる と、 青年期 にお い て友人関係 が上 手 く形成 され維持す る こ とがで きれ ば、友人関係 は精神 的 な面で の 支 え とな り、様 々 な こ とを学 習 で きる関係 であ るが、 うま く形成 され な けれ ば社会生活 を して い く中で不安要素 に もな りうる と述 べ てい る。 ゆ えに 、青年期 にお ける友人関係 は精神 的 な支 え と なれ るよ う、安定的 に構 築 され ることが望 ま しい。 そ こで 、本研 究では、青年期 にあた る女子大学生が長期的 で親密 な友人 関係 を築 く こ とがで き た要因や 関 わ り合 い は どの よ うな もの な のか 、そ して 、 それ らの要因や 関 わ り合 いが どの よ うに 関係継続 に影 響 してい るのか を、質的研 究 によつて 明 らかにす る こ とを 目的 とす る。 研 究方法 5年 以 上 関係 が継続 してい る親密 な友人 がい る女子大学生 4名 にイ ンタ ビュー 調査 を実施 した。 2014年 9月 下旬 か ら 10月 下旬 に対象者 に対 し、 1時 間程度 の イ ン タ ビュー 調 本研 究 では 、約 査 を行 つた。 イ ンタ ビュー 調査 は半構造化イ ンタ ビューで行 つた。 イ ン タ ビュー対象者 の語 りよ り、 ダイナ ミックな関わ り合 いか ら友人 関係 の継続 の要因 を見出 し、 そ の影響 を明 らか にす る こ とを 目的 として い るた め、 ナ ラテ ィブ・ アナ リシ スの手法 を用 いて 分析 を行 つた。 結果 と考察 今 回イ ンタ ビュー調 査 を行 つた 4名 の経験 を もとに考察 してい くと、親密 な友人 関係 と感 じら 「 。 れ る要因や 関 わ り合 い として、「相 手 の こ とを理解 して い る お互 い を理解 して い る」、 長期 間 に わた って築 い た強固な関係性 へ の信頼」、「相 手 の こ とを受 け入れ る」、「自然体 の 自分 を出す こ と がで きる」 とい う 4つ の要 因や 関 わ り合 いが ある こ とが明 らかにな つた。 これ らの 4つ の要因や 関 わ り合 いの 関係性 につ いて 関係形成 のプ ロセ ス を考察 して い くと、同 じ要因や 関 わ り合 い を経 て親密 な関係 がつ くられ て きて いて も、そ の要 因や 関 わ り合 いが な され てい く順序 には個別性 があ ることが判 明 した。 また、4つ の要因や 関 わ り合 い は、相 互 に影 響 し 合 うことに よつて各 々 の 関係 形成 のプ ロセ スがで きあが つていた こ とが明 らか にな つた。 親密 な友人 関係 と感 じられ る要因や 関 わ り合 い の 関係継続 のプ ロセ ス として、他 の人 は くれ な い よ うな言葉 を友人 がかけて くれ る とい う経験 に基 づい た期待 か ら、定期的 に連絡 を取 りた い と の 思 える継続 的 な関係性 が形 成 され る こ とが明 らかにな つた。連絡 方法 としてはチ ャ ッ ト よ うな 機 能 を持 つた LINEと い うアプ リに よつて定期的 に連絡 を取 る ことが判 明 した。 本研 究 の課題 として、個別性 が 高 い 関係形成 のプ ロセス は見出 され たが、多 くの女子大学 生 に 共通す るよ うな、普 遍 的な関係 形成 のプ ロセスは見出 され なか つた こ とを挙 げ る こ とがで きる。 が考 また、出会 いの時期 に よつて 人間 の成熟度合 いが異 な り、関係 の形成過程 に差が出 る可能性 の ど、 え られ る こ とか ら、大学 生 よ りも長期的 で親密 な友人 関係 が継続 して い る中年や高齢 人 な よ り多 くの人 にイ ンタ ビュー 調 査 を行 い検証す る必要性 がある と考 え られ る。 組織 目標 と個人 目標 の 明確化 が及 ぼす影響 ―一 体育会系部活動 にお ける 2つ のア クシ ョン リサ ー チ の比較一― 201lHP045 稲垣友惟 研究 目的】 【 組織 の 目的や 日標 をメンバー間で共有することを最優先 とし、個人が組織 のために行動すると い う組織観 と、個を尊重 し、個が活性化す ることで組織が活性化す るとい う組織観 とい う、2つ の対照的な組織観 が存在 している。本研究では、A大 学 B部 において、 日標 を明確化すること で、個人 のモチベーシ ョンとチーム ワークの向上を目指 したアクシ ョン リサーチを 2度 行 つた。 本研究では、2つ のアクシ ョンリサーチ(研 究 1と 研究 2)を 比較 しなが ら、それぞれ の組織観 を 用 いたアプ ローチが A大 学 B部 に所属す る個人のモチベーションや組織全体 の関係性 にどのよ うな影響をもた らしたのか考察 してい くことを研究の 目的 とす る。 研究方法】 【 本研究では、A大 学 の体育会部活動 である B部 を対象に 2013年 度 と 2014年 度 の 2回 にわた リアクション リサーチを実施 した。まず、部 の現状 を把握するために事前調査を としてイ ンタビ ュー調査 と質問紙調査を行 い、その結果をもとに部員 と相談 しなが らアクシ ョンを計画 し、実行 した。 アクシ ョン後、再度イ ンタビュー調査 と質問紙調査を行 い、イ ンタビュー調査は M‐ GTA を用 いて、B部 に起 こった変化 とその要因な どについて分析 を行 つた。 結果 と考察 】 【 研究 1で は、全体 目標 の内在化を目指 したアクシ ョンを行 つた結果、《全体 目標 の明確化》や 《一体感 の形成》、《 個人 目標 を意識 して行動 してい る》な ど、組織全体 レベルの変化だけでな く、個人 レベルの変化 も認 められた。研究 2で は、個人に焦点を当て、思いや考 えを共有するア 相互理解 の深ま り》 クシ ョンを行 つた結果、《 個人 目標 の共有によるモチベーシ ョンの向上》、《 な どといつた個人 レベルの変化が多 く認められたが、全体 レベルの変化は認 められなか つた。両 研究でのアクシ ョンの影響 の違 いか ら、組織 の 目的や 日標 についてメンバー間で共有す ることが 組織全体 レベルの成長 において重要であることが示唆 された。また、組織 目標 の共有を最優先 と す るアプ ローチ、個を尊重 したアプ ローチのそれぞれ に魅力 があ り、組織 の特徴 によつても変化 が期待 できる効果は異なつて くるのではないか と考えられ る。 コー チ ン グ ス キル研 修 の 効 果 に 関す る考察 201lHPl15 大河 内優香 問題 と研 究 目的 企 業 が存続 し、活性化 を図 るためには顧客満 足度 を高 める必要があ る。 しか し、情報 があ ふれ る今 日では、顧 客 の ニー ズ は多様化 して しま つてい る。多様化 した顧客 の ニー ズ に対応 してい くためには、上 司に よる指示命令 の トップダ ウンのマ ネ ジメン トではな く、社員 一 人 ひ と りが主体的に考 え、自らが行動 し、効率 よ く顧客 の ニ ー ズ を汲み取 つて い くこ とが必要 不可欠 で ある。部下 の 主体性 を伸 ばす ため、近年注 目を集 めて い るのが コー チ ン グである。 コーチ ング とは 、 コーチ とクライ ア ン トが コ ミュニ ケー シ ョン を通 して クライ ア ン トの 目 標 達成や課題解決 に向 けたサポー トを してい く仕組み である。コー チ ングによ つて 、部下 が 主体的 に考 える習慣 がで きるだ けで な く、 コ ミュニ ケ ー シ ョンが活発 にな る とい う効果 も 挙 げ られ て い る。 A社 では、 lonlミ ーテ ィング とい う、毎週 1回 行われ る上 司 と部下 の 30分 程度 の面談 の 中で コー チ ン グを活用 して い る。 A社 の よ うに、 コー チ ング研修 を実施 し、 lonlミ ーテ ィ ング とい う制度 を もつ組織 において 、上 司 が コー チ ング研修 で学 んだ ことを lonlの ミー テ ィングの場 で どの よ うに活 か してい るかは明 らかに され て い ない。そ こで 、コー チ ングを 学 んだ こ とで 、 lonlミ ーテ ィ ン グや 日常で の部 下 との 関わ りに どの よ うな変化や影響 があ るのか を明 らかにす る ことを本研 究 の 目的 とした。 研 究方法 コー チ ング を用 い た lonlミ ー テ ィ ング を実践 してい る A社 で 、 コー チ ング研修 を受 け、 lonlミ ーテ ィングを行 つてい る上司 7名 を対象 とし、30分 ∼40分 程度 の半構造化イ ンタ ビュー を実施 した。そ の後逐語 を作成 し、Modi■ ed Grounded TheoryApproach(M‐ GTA) を用 い て分析 した。 結果 と考察 上 司 が コー チ ング を学び、 lonlミ ーテ ィ ングで実践 した 結果 として、上司 の コー チ ング に よつ て気 づ きを得 られ た 部 下 の 仕事 へ のモチ ベ ー シ ヨン 向 上が挙 げ られ る。 モ チ ベ ー シ ョンが 向 上 した部 下に感化 され 、 上 司は コー チ ングヘ のモ チベ ー シ ョンが 向 上 した こ とも 明 らか とな り、 コー チ ング を繰 り返す こ とで各 々 が高 いモ チ ベ ー シ ョンを維持 で きる可能 性 が ある と考 え られ る。また、コ ミュニ ケー シ ョン風土に も変化 が 見 られた。上司は これ ま で部 下に対 して指示命令型 の一 方的な コ ミュニ ケー シ ョンを して いた。ところが 、上司が質 問す るこ とで部下 自身 が 考 え、答 えを見 つ ける とい う双方 向 の コ ミュニ ケー シ ョン・ス タイ ル が構 築 され 、 日常で も コ ミュニ ケー シ ョンが活発 な風 土が醸成 され た ことが明 らか とな った。本研 究では コー チ ングのプ ラスの側 面に注 目 したが 、今後 の課題 として、コーチ ング コ で の 学 び が活 か され て い な い 場合 な どを明 らかに して い く こ とで、 よ り効果的 な ー チ ン グ研修 を実施 して い くた めの ヒン トにつ なげ られ る と考 える。 障 がい者 を積極的 に雇用す る中小企業 の事例研 究 一 ダイ バ ー シテ ィ・マ ネ ジメン トの観 点か らの検討一 201lHP121 大浦美紀 研 究 目的 】 【 戦後 、障 がい者 の雇用 に関 して政府 は多 くの法律 の立案や改 正 を行 つて きた。 また 、様 々 な人間 の 多様性 を活 か しなが ら会社 を経営 してい く「ダイ バ ー シテ ィ経営」に 関 心が 向け られ る とい う時 代 の 中で 、障 がい者 の働 く場や障が い者雇用 に対す る企業 の 関 心は徐 々 に高 ま つて きて い る。 しか し、政府 が 定めた法定雇用率 を達成 してい る企業 は半数 に も満 たず 、特 に中小企 業 の障 がい 者雇用 に対す る消極的 な 姿勢 が 日立つ 。 また 、今 まで も、障が い者雇用 に取 り組む 中小 企業 の事例 研 究 がな され て きたが、多様性 を活 か し新 たな価値 を創造す るこ とを 目指 したダイ バ ー シテ ィ 。マ ネ ジメン トとい う観 点か ら研 究 され た もの はな い。そ こで 、本研 究では障 がい者 を積極的 に雇用す る中小企業 のマ ネ ー ジ ャーの 姿勢 と障 がい者 と働 く際 に有 効 なダイ バ ー シテ ィ・マ ネ ジメン トの 取 り組み につい て明 らか にす る ことを研 究 の 目的 とす る。 研 究方法 】 【 知的障が い者 を積極的 に雇用 してい る中小企業 で働 く、マ ネ ー ジ ャー も しくはジ ョブ・ コー チ の 方 3名 を対象 に、2014年 10月 上旬∼ 11月 上旬 にか けて、各 60分 程度 のイ ン タ ビュー調査 を実施 した。イ ン タ ビュー 内容 はメモ を とりなが ら録音 し、逐語 を作成 した。 このメモ と逐語 を基 に、経 営学 にお ける事例研 究 (江 夏 ,2010;大 内 ,2009な ど)を 参考 に して、筆者 がイ ンタ ビュー 項 目に 沿 つて分析 を行 つた。 考察】 【 設備 な どのハ ー ド面 に関 しては 、障 がい者 が使 いやす い道具 に変 えた り、写真や絵 な どを用 い て 分 か りやす い指示書 を作 つた りな ど、シンプルで分 か りやす い工夫 をす る とい うこ とが共通 してい た。ソフ ト面 に関 しては、以下 に挙 げる工夫や マ ネ ジメン トが行 われ てい る こ とが明 らかにな つた。 まず 、障 が い者 を慈善的 に雇用す るので はな く、一 戦力 として活用す るためにマネ ー ジ ャー とい う 3社 のマ ネ ー ジ ャーや ジ ョブ・コー チは常 に意識 していた。 立場 か ら何 がで きるのか とい うこ とを、 一 戦力 として活 か すた めには、一つ の こ とに集 中 して取 り組む とい う知的障 がい者 の特性や性格 に 合 わせ た適材適所 での配置 が必 要不可欠 であ り、そ のために採 用前 に長 い 実習期 間 を設 けて い る。 また、障 がい者 の親や施設 関係者 とのつ なが りを大切 にす るこ とで、緊急時 にす ぐに対処 できる体 制 を普段 か ら構築 して い る。 さらに、どの マ ネ ー ジ ャー も声掛 けや努力 を評価す る制度 な どの手段 を用 いて 、障 がい者 のモチベ ー シ ョン を上げ ることを心 掛 けて い る。障 がい者 が生産す る直接 的な 利益 だ けではな く、ともに働 く健常者 に とつて も障 がい者雇用 がプ ラスの意 味 をもつ ことを理 解 し、 障 がい者 を活 か し、新 たな価値 を生む こ とに成功 して い る、な どである。 ギ ャ ップアプ ロー チ とポジテ ィブアプ ロー チがチー ム に与 える影 響 ― 両 アプ ローチの比較 の検討― 201lIP159 渡辺舞 研 究 目的 組織 開発 アプ ロー チはギ ャ ップアプ ロー チ とポ ジテ ィブアプ ロー チに大別 され て い る。 この 二 つの アプ ロー チ の影響 につい て 、 一般論 と して比較 を論 じた ものはあるが 、両 アプ ロー チ の影響 につい て実践的な研 究に よる実証 はまだ行 われ て い ない。 そ こで 、A大 学体育会 B部 マネ ー ジ ャ ー を対象 として 、ギャ ップアプ ロー チ とポジテ ィブアプ ロー チに よるアクシ ョン リサ ー チ を通 し、 チ ー ム・ ビル デ ィン グの二つのアプ ロー チ方法がチ ー ム に与 える影 響 を明 らかにす る。 さらに 、 両ア プ ロー チ を比較、検討 しそれぞれ のアプ ローチがチー ム に与える影響 の 共通点 と相違点 を明 らか にす るこ とを 目的 とす る。 研 究方法 B部 マ ネ ー ジ ャー を対象 として 、 ア クシ ョン リサ ー チを 2回 行 つた。 1回 目は、 ギ ャ ップアプ ロー チ とい う組織開発 の手法 を用 い たア クシ ョン リサ ー チ を実施 した。 まず 、現状把握す るため B部 マ ネ ー ジ ャー全員 にイ ン タ ビュー調 査 を行 つた。調 査結果 を基 に対象者 に フ ィー ドバ ックを 行 つた後、筆者 がアクシ ョン を計画 し、実施 した。アクシ ョン後、再度イ ンタビュー調査 を行 い 、 通 こった変 化や その要因につい て分析 を行 った。 2回 目は、 ポジテ ィブアプ ロー チ とい う組織開発 の手法 を用 い たア クシ ョン リサー チ を実施 し た。2回 目も筆者 がアクシ ョンの計画 を し、実施 した。アクシ ョン後 にイ ンタ ビュー 調 査 を行 い 、 起 こつた変化やそ の要因 につい て分析 を行 つた。二つのア クシ ョン リサ ー チか ら得 た分析 を基 に、 ギ ャ ップアプ ロー チ とポジテ ィブアプ ロー チ の共通点 と相違 点 を分析 した。 結果 と考察 GTAで 分析 した結果、研究 1で はメ ンバ ーのモチベ ー シ ョンや関係性 な ど、あ らゆる側 面 にお い て B部 マネ ー ジ ャー に変化 が 起 こつた。 そ の 要因 として、 フ ィー ドバ ックを行 っ た こと、 M・ 役割 を明確化 した こと、初 めて ミー テ ィング を した ことの 3つ が挙 げ られた。 だが 、発言 に対す る懸念が起 こ り、 自由に発言 で きる話 し合 いの場作 りや モ チベ ー シ ョンの維持 とい う課題 が残 つ た。研 究 2で は 、チ ー ム ワー クの 高ま りや 目標 達成 に向けた意識 の 向上 な どの変化 が起 こつた。 そ の要因 として 、 メ ンバ ーの強み を理解 した こと、 目指す方向性 を明確化 した ことの 2つ が考 え られ た。だが 、活動 日数 が多 く経験地 の豊かな上級生 のほ うが個人 の強み を引き出す ことができ、 学年 によるバ ラつ きが出 るこ とが明 ら力ヽこな つた。 研究 1と 研究 2で 生まれ た概念 の共通性 と相違性 を明 らかにす るために、概念 の意味、内容 の 「 類似性 か ら簡易 K」 法 を用 い て整理 した結果、両 アプ ロー チによる影 響 の共通点は お互 い を知 る ことがで きる」 と 「メ ンバ ーの改善意識 の表れ」、相違 点は 「チー ム ワー クの 向上 」、「現状把握 す る こ とがで きるJ、 「モ チベ ー シ ョンの 向 上 」 の三つ に分類 された。 「お互 い を知 ることがで きるJと 「メンバ ーの改善意識 の表れ」 にお い ては、両 アプ ロー チで 「 与 える影響 は同 じだが 、異な るプ ロセ ス を経 る ことが 明 らかにな つ た。相違点 の チー ムワー ク の 向上 」 はポ ジテ ィブアプ ロー チでの み起 こつた。反対 に 「現状把握す る ことがで きる」 と 「モ チベ ーシ ョンの 向上 」 はギ ャ ップアプ ロー チで のみチー ム に与 える影響 だ と明 らかになった。 ゼ ミの共通 目標 の 明確化 に よるチー ムの発達 を 目指 したア クシ ョン リサ ー チ 201lHP180 竹尾 侑花 研究 目的 Aゼ ミは、組織変革 をテーマ に学生 が主体 とな つてゼ ミを運 営 し、ゼ ミの変革に向けてアクシ ョンや プ ロ グラム を実施 して い るゼ ミである。筆者 は Aゼ ミをチーム と して捉 え、 チーム が発 達す るよ うなア プ ロー チ を行 うこと とした。 そ の際、チー ムパ フ ォーマ ンス・ モ デ ル とい う組織 開発 の 手法 に基 づ い た 取 り組み を行 つた。 チ ームパ フ ォーマ ンス・ モ デル とは 、Drexlerら に よる と、「0“ ntatlon」 、「Tnst Bulldmg」 、「GoalJ、 「CommttIIlentJ、 「Implelllentatlon」 の 5つ の段階 を達成す る こ とでチー ムが発達 し、 ハイ パ フ ォーマ ンス な状態 にな る と述 べ てい る。 そ の 中で も Aゼ ミで 曖味 にな つて い る 「Goa珀 に 焦点 を当てた取 り組 み を行 うこ とに よつて 、ゼ ミに どの よ うな変化や影響 を及 ぼす か を明 らかにす る こ とを本研 究 の 目的 とす る。 研 究方法 Aゼ ミのゼ ミ生全 員 を対象 として 、 チームパ フォー マ ンス・ モ デル を用 い 、ゼ ミとい うチー ムの 変革 に取 り組 むア クシ ョン リサ ー チ を行 つた。そ の際、2回 のアクシ ョンを実施 した。まず 、現状 を把握す る ために、ゼ ミメンバー全員 に質問紙調査 とインタビュー調査 を行 い、それ らを基にアクション① を計画 した。 アクション① の当日には、それ らの結果 をメンバー にフィー ドバ ックし、Aゼ ミの共通 目標 を明 確 にするアクションを行 った。 アクシ ョン①後、再度質問紙調査 を行 い、その結果を基にアクション② を計画 した。 アクション②当 日は、メンバー に分析結果 を伝 えるとともに、アクション① で決めた共通 目標 について どう考 えている のか、どうしてい くのか を考えるアクションを実施 した。その後、質問紙調査 とイ ンタ ビュー調査を行 い、アクション前後の変化や、変化が起 こつた要因または起 こらなかつた要因などについて分析を行 つ た。 結果 と考察 アクション① において、質問紙調査 の結果か ら 「Ointatlon」 や、「Goal」 などゼ ミ全体 に変化が 起 こったことが明 らかになつた。イ ンタ ビュー調査 の結果か らは、学年 ごとの話 し合いの際に気づ きが あつたことや、共通 目標 を全員 で決めたことによ り合意が とれたことによ リモチベー ションが向上 した とい う結果 となつた。また、そのモチベー ションの向上が、共通 目標 の浸透につながつた と考えた。 アクション② においては、質問紙調査 の結果か らゼ ミ全体に変化 が起 こつた と言 うこ とはできない と い う結果になった。 しか し、ィ ンタ ビュー調査 の結果か らは、本音で語 り合 うことでの発見や、モチベ ー ション・ グラフを書いたことによる気づ きがモチベー ションを向上 させたと考えられた。一方で、ア クション② では何 かを決めるとい うような ゴールがなか つたため、その後への変化 が起 こ らないメンバ ー もい るとい うことが分かつた。 また、ゼ ミに変化が起 こらなかった要因としては、筆者 らは 「Goal」 のレベル として、ゼ ミの共通 日 標 を定めることに力をいれたが、「私はなぜ ここにい るのか」を明確にすることに焦点を当てた直接的な 取 り組みをスケジュール に組み込んでいなかつた。そのため、チームパ フォーマンス・モデルの第一段 階 である 「Onentamn」 を明確 にできたメンバー とできなつたメンバーが いるために、Aゼ ミ全体 とし ての変化が起きなかった と考えられた。
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