業務の効率化を実現するマニュアルの作り方

関係部署にご回覧ください
編集・発行 三井住友銀行グループ・SMBCコンサルティング株式会社
2016.1.18
第 1542 号
SMBC経営懇話会
TEL:フリーダイヤル 0120-7109-49
FAX:(03)5255-5564
URL:https://www.smbc-consulting.co.jp
【知らないと損をするマニュアル作りのセオリー】
業務の効率化を実現するマニュアルの作り方
株式会社 セフィーロ 代表取締役社長
GIコンサルタント 峯村 隆久
1. 「新人もしくは引き継ぎの対象者にとって理解しやすいこと」、「業務の効率化やミス低減の活動にも使いや
すいこと」、「更新がしやすいこと」の 3 つの要件を満たすマニュアルを作成しましょう。
2. 上記の 3 つの要件を満たすために、マニュアルは「対象業務の全体像の解説」、「詳細なやり方の解説」、
「例外処理の解説」に分けて作成しましょう。
1.よいマニュアルの条件とは
マニュアルを作成するとき、最初に考えることは「何を、どのように書いたらよいのか」ということではないでしょう
か。一般的には、多くの人が「業務フロー形式で書くことがよい」というイメージを持っているようです。しかし、すべ
て業務フローの形式でマニュアルを作成するとなると、大変な作業となり、完成に至らないこともあります。また、
業務フロー形式ではマニュアルを更新しにくいという問題点もあります。
よいマニュアルは「新人もしくは引き継ぎの対象者にとって理解しやすいこと」、「業務の効率化やミス低減の活
動にも使いやすいこと」、「更新がしやすいこと」の 3 つの要件を満たすマニュアルです。この要件を満たすために
マニュアルを以下に解説する 3 つの部分で構成し、各部分の内容と業務タイプに適した書き方(表現方法)をす
ることが必要です。
2.マニュアルの作成方法
(1)対象業務の全体像の解説部分
対象となる業務の「名称」、「目的」、「成果物」、「全体の流れ(概要フロー)」をなるべく1ページに収めます。
この部分は、新人がその業務を学ぶ際に「どのような業務で、主に何をするのか」をはじめに理解してもらい、業
務の細かいやり方の解説部分を読みやすくするねらいがあります。また、改善を検討する際に、目的や成果物
を評価したり、本質的な改善を発想したりするための基本情報になります。
①目的
対象の業務が何に役立つのか、または成果物が何に使われるのかといった内容を文章で表現します。業
務の重要性や有効性を考えるためにも、目的をしっかりと記載しておくようにしましょう。
②成果物
業務を通じて最終的に作成される帳票やデータなどの名称を記載します。新人にとっては成果物が明確に
なることで、何をする業務なのかが理解しやすくなります。
③全体の流れ(概要フロー)
業務の開始から終了までの流れの全体を「新人でも読みやすいように」ということを意識して業務フロー形
式で記載します。業務フローを描く際、どの程度細かくプロセスを分けるかということで悩むことがありますが、
「1ページで収まる程度でできるだけ細かくプロセスを分ける」のが目安です。新人でも読みやすく、改善にも
活用しやすい業務フローとなります。
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(2)詳細なやり方の解説部分
マニュアルの本体とも言うべき部分で、対象業務のプロセスごとにその細かいやり方を解説します。新人がこ
の部分を見ながら業務を行えるように、詳細な手順の解説と留意点(コツなど)を記載します。A4 縦のページの
場合、左側 4 分の 3 程度のスペースと右側 4 分の 1 程度のスペースのフォームを作り、左側に①業務手順、右
側に②留意点を記載します。
①業務手順
業務手順の表現方法は業務のタイプによって次のように選択します。
ア.システム操作が中心の業務 (繰り返し処理の事務作業など)
操作するシステム画面のハードコピーを取り、入力する内容や操作方法をその画面の上に吹き出し形式で
解説していきます。操作画面が複数にわたる業務の場合には、手順に応じた画面の推移に沿って作成しま
す。
イ.現場・現物での作業が中心の業務 (倉庫作業や店舗作業など)
デジタルカメラで、現場・現物の写真を撮り、現場での作業内容の解説を写真上に書き加える形式で解説
していきます。業務手順に沿って写真とそこでの作業内容の解説をしていきます。
ウ.その他の業務
システム画面や写真では解説しにくいものは、箇条書き(文書表現)で解説していきます。この際、使用す
る帳票などがある場合は、できるだけその帳票のサンプルを貼り付け、新人でもその帳票がどのようなものか
をイメージできるようにすることが重要です。
②留意点(コツなど)
マニュアルでは業務手順が重視されますが、留意点の記載の方が重要といっても過言ではありません。留
意点とは、「この部分はよくチェック漏れが発生するので、意識してチェックすることが重要」とか、「マウスを使う
より、TAB キーで入力欄を選択した方が効率的」などで、業務の担当者が「ミスを発生させないため」や「効率
的に行うため」に意識していることです。業務手順は業務を行う最低限の知識ですが、留意点は、ミスなく効率
的に行うためのノウハウそのものですから、どれだけマニュアルに記載し、蓄積できているかが、企業の競争
力にも大きく影響するのです。
記載方法としては、ページの左側に手順の解説を記載するので、その手順に対応した右側のスペースに
留意点を箇条書き形式で記載します。どんな小さなことでもよいので、業務を行っている人が意識していること
をたくさん書くようにしましょう。
(3)例外処理の解説部分
例えば「請求書の発行」という業務で、「通常は当社のフォームで請求書を作成しているが、ある顧客だけは
顧客指定のフォームで請求書を発行しなければならない」といった特別な処理(例外処理)が求められるケース
があります。「(2)詳細なやり方の解説部分」には、通常のやり方を書くため、例外処理については別に解説が
必要となります。
特に、例外処理は担当者が気付かずに通常処理をしてしまったり、特別な処理のために誤ったやり方をして
しまったりとミスが発生しやすい傾向があります。このため、例外処理の解説部分をしっかりと作成しておくことが
大切です。
例外処理の解説部分は、1つの例外処理に対して1ページ程度に収めるように作成し、記載すべき内容は、
次の通りです。
①例外処理名称
誰もが「これは例外処理が必要だ」と気付くように、わかりやすい名称をつけることが重要です。
②例外処理発生理由
なぜ、通常の処理ではいけないのか、通常処理に戻せない理由を文章で記載します。
③例外処理の内容
例外処理の手順をはじめから解説するのではなく、通常処理の「詳細なやり方の解説部分」との対応を明ら
かにしながら、通常処理と違う部分だけを解説します。どの部分が、どう違い、どのように対応するのかの解説
と留意点(コツなど)があれば文章にて表現します。
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