石油ロジスティクスネットワークモデル による 日本向

サプライチェーンの観点から見た
石油タンカー輸送について
流通情報工学専攻
香月 裕樹 鶴田 三郎
黒川 久幸
石油輸送の重要性
100%
(%)
1.6
16.5
80%
60%
11.6
1.6
8.0
26.6
34.3
0.5
12.9
20.9
2.4
41.8
原子力
40%
52.6
1次エネルギーの種類
水力
17.7
24.6
20%
0.2
11.3
25.5
18.0
12.8
5.4
天然ガス
石炭
石油
39.5
36.1
40.1
37.6
アメリカ
イギ リス
ド イツ
フ ラン ス
0%
日本
(国)
1997年
研究の目的
石油サプライチェーンモデルを構築
効率的な運航を考える際の意思決定支援
検討を行う際の考慮事項
<石油企業の行動>
•石油企業の行動をサプライチェーンとして捕らえる
•世界全体として捕らえる
•原油・製品価格の変動を考慮
<船会社の行動>
•石油企業の行動を考慮
•航路水深などの石油輸送の現状を考慮
モデルの全体像
<石油サプライチェーンモデル>
<原油・製品輸送モデル>
原油・製品輸送量を算出
<船腹量算出モデル>
船腹量を算出
原油・製品輸送モデル
原油・製品輸送モデルの構成
<原油・製品輸送モデル>
製品価格
原油価格
原油生産地・製油地の制約、
石油製品需要など
原油・石油製品輸送量算出
原油価格の平均を求める
新製品価格の算出
比較
船腹量算出モデルへ
石油製品価格の推定
120
レギュラーガソリン = 1.6647x + 23.217
2
R = 0.8019
製品価格(円/KL)
100
軽油 = 1.396x + 16.392
R2 = 0.8914
80
60
灯油 = 1.3448x + 16.6
2
R = 0.856
40
灯油
軽油
20
レギュラー
0
0
10
20
30
40
原油価格(円/KL)
50
60
ネットワーク表現
台湾
油
種
DUR
OMA
WTI
ANS
原油生産地(5)
欧州
中東
日本
中国
台湾
製油地(9)
中国
LQE
NC3
NC4
NA1
NA2
REF
PG1
RG1
RG2
RG3
RG4
RG5
・・・
SLC
西海岸
・・・
….
TPS
東海岸
HS1
HS2
BOD
HFO
ASP
CO1
石
油
製
品
の
種
類
(30
)
消費地(10)
・・・
(16)
MUR
AXL
DUR
ARL
LQE
NC3
NC4
NA1
NA2
REF
PG1
RG1
RG2
RG3
RG4
RG5
HS1
HS2
BOD
HFO
ASP
CO1
目的関数
PT  IC  (OP  OR  OS )
PT :総利益
IC :収入
OP:原油調達費用
OR:原油精製費用
OS:石油製品輸送費用
モデルの妥当性
原油・製品輸送モデル
現状の石油輸送を表現できるモデルと言える
船腹量算出モデルについて
船腹量算出モデルの構成
<原油・製品輸送モデル>
原油輸送量
原油調達地域
<船腹量算出モデル>
前提条件
前提条件
輸送量
積載量
必要隻数の算出
港間距離
航海速力
荷役日数
最大就航回数の算出
船腹量の算出
検証のための手順
実績船腹量の算出
計算で求めた船腹量の検証
実績船腹量の算出
<所有データ>
全世界の海上荷動量
全世界の必要船腹量
平均就航回転数
各リンクの年間輸送量
実績船腹量
計算で求めた船腹量の検証
全体での比較 14.1%
現状の船腹量を表現できるモデル
日本向けタンカー船隊の検討
原油価格が変動した場合について
運航費を考慮した場合について
•船型が変化した場合
•待船時間が変化した場合
•船速が変化した場合
原油価格が変動した場合
について
検討結果(船腹量について)
日本向け船腹量(万トン)
3000
2800
サービス船腹
2600
湾岸危機
石油危機
2400
2200
2000
-2
0
2
4
6
原油価格の変動($/KL)
130
8
308
10
検討結果(船型について)
3500
現状
日本向け船腹量(万トン)
3000
ス
ポ
ッ
ト
契
約
2500
湾
岸
危
機
2000
1500
石
油
危
機
長
期
契
約
1000
500
0
-2
-1
0
1
2
3
4
5
130
アジア向け中東原油価格の変化($/KL)
308
米国
アフリカ
中東
運航費を考慮した場合
について
船型が変化した場合
必要隻数
(制約なし)
必要隻数
(制約あり)
150
130
2500
110
90
総費用
(制約あり)
2000
70
50
1500
30
総費用
(制約なし)
10
1000
100000
-10
150000
200000
250000
船型(DWT)
300000
350000
必要隻数(隻)
総費用(億円)
3000
待船時間が変化した場合
200
150
総費 用差(億円 )
100
50
0
0
2
4
6
8
10
-50
20万トン
28万トン
35万トン
線形 (20万トン)
線形 (28万トン)
線形 (35万トン)
-100
-150
-200
待船日数(日)
12
船速が変化した場合
3
3
総運航費用(億円)
船速を下げる方法
2
2
船速を上げる方法
2
2
2
2
2
2
1550
1
1
1
1
0
1500
13.0
14.0
15.0
16.0
船速(ノット)
17.0
18.0
0
19.0
必要隻数差(隻)
1600
35万トン
必要隻数差
まとめ(1)
企業の行動をサプライチェーンとして捕らえ、原油、製品価格
を考慮し、輸送量を求める原油・製品輸送モデルを構築した
この結果を基に、石油輸送の現状を考慮し、航路ごとの船腹量
の需要の推定を可能とする船腹量算出モデルを構築した。
現状の輸送航路や輸送需要を表現することがで
き、これに合わせた運航形態の検討が可能
まとめ(2)
<原油価格が変化した場合>
原油調達先が中東からアフリカへとシフトする可能性があるこ
と言える。
原油価格が変動しても、中東からの原油調達には一定量の
輸送需要が存在すると言える。
まとめ(3)
<費用を考慮した場合>
船を大型化すると現状より約200億円の費用削減の可能性が
ある。
待船時間を1日短くするとどの船舶でも約1~2%総費用が安
くなる可能性がある。
船速の変化により、総費用を下げる方法には2つの方向性が
考えられる。
日本の中東依存度の推移
%
95
90
第一次石油危機
85
湾岸危機
第二次石油危機
80
7 7 .5 %
75
7 1 .5 %
7 5 .9 %
70
65
65
67
69
71
73
75
77
79
81
83
85
87
89
91
年度
出典:エネルギー生産・需給統計(通産省)
93
95
海上荷動量・必要船腹量
世界計\暦年
海上荷動量
サービス船腹量(A)
必要船腹量(B)
需給ギャップ(A-B)
(単位:百万ト
ン)
1996 1997 1998 1999
1604.1 1654.2 1670.7 1653.4
222.1 223.9 229.1 232.4
196.4 201.7 205.0 203.4
25.7 22.2 24.1 29.0
タンカー新規発注量と運賃指数
3 0 .0
8 0 .0
運賃指数
6 0 .0
2 5 .0
2 0 .0
7 0 .0
5 0 .0
新規発注量
1 5 .0
4 0 .0
3 0 .0
1 0 .0
2 0 .0
5 .0
1 0 .0
0 .0
0 .0
86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99
年度
運賃指数
新規発注量(百万トン)
3 5 .0
タンカー船型別隻数
(1999年度)
載貨重量トン数
30万トン以上
25万トン以上30万トン未満
20万トン以上25万トン未満
15万トン以上20万トン未満
10万トン以上15万トン未満
5万トン以上10万トン未満
2万トン以上5万トン未満
隻数
1
18
8
1
4
8
3
ノードの一覧
原油原産地
米国
欧州
アフリカ
中東
アジア
製油地
米国東海岸
米国西海岸
欧州
中東
中国
韓国
台湾
シンガポール
日本
消費地
米国東海岸
米国西海岸
欧州
アフリカ
中東
中国
韓国
台湾
シンガポール
日本
過去の石油危機の概要
第1次石油危機 第2次石油危機
湾岸危機
1次エネルギーの
77.4%(73年度) 71.5%(79年度) 58.3%(90年度)
石油の割合
原油価格の上
3.9倍
3.3倍
2.2倍
昇幅
原油価格と製品価格の関係
120
原油価格
( 円/リットル)
100
レギュ ラーガソリン
軽油
80
灯油
60
40
20
0
61
64
67
70
73
76
79
年
82
85
88
91
94
97
日本の石油依存度の推移
100
石油 依存度(%)
80
60
第
一
次
石
油
危
機
40
20
0
1955
1960
1965
1970
第
二
次
石
油
危
機
1975
1980
1985
1990
1995
年度
出展 :「総合エネルギー統計」
日本の中東依存度の推移
日本 の石油 中東依存 度(%)
95
90
第一次石油危機
85
湾岸危機
第二次石油危機
80
77.5%
75
71.5%
75.9%
70
65
65
67
69
71
73
75
77
79 81
年度
83
85
87
89
91
93
95
日本の石油備蓄の推移
67
1973
民間備蓄
81
1979
7
国家備蓄
97
1985
89
1990
年度
31
55
76
1994
69
81
1995
76
74
1996
1997
79
1998
80
0
20
40
75
78
82
60
80
備蓄日数
100
120
140
160
180
年度
Ja
n99
Ju
n98
De
c97
Ap
r96
No
v96
Ma
y97
Se
p95
Ju
l93
Fe
b94
Au
g94
Ma
r95
Ja
n93
原油 価格差($/BBL)
原油価格差
3
米国向け
欧州向け
2
1
0
-1
タンカーの建造年数と隻数の関係
12
建造 隻数(隻)
10
8
6
4
2
0
1972 1974 1976 1978 1980 1982 1984 1986 1988 1990 1992 1994 1996 1998
建造年(年)
タンカーの建造年数と隻数の関係
航海 速力(ノッ ト)
20
15
10
<船型>
V LC C
15万トン以下
5
0
1970
1975
1980
1985
建造年(年)
1990
1995
2000
燃料消費量(トン/日)
排水量・速力と燃料消費量の関係
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
燃料消費量 = 5.3942x
R2 = 0.8732
0.0
5.0
10.0
15.0
排水量(トン)2/3 ・速力(ノット)3×106
20.0
研究の課題
•どこから調達すれば良いのか?
(石油企業の行動)
どこの地域からどれぐらいの量の石油を調達・
販売すれば良いのか検討できなければならない
•どれだけの船舶が必要なのか?
(船会社の行動)
調達・販売を行うためにはどれぐらいの船腹量が
必要なのか検討できなければならない
収入・原油調達費用
IC :収入
 P

P
IC    k   y jk 
kK pP 
{ j|( jk )A 2} 
石油製品販売価格
石油製品販売量
OP:原油調達費用
OP 
  
( ij )A1 mM i
m
ij
x
m
ij

原油調達量
原油調達費用
製油費用・製品輸送費用
OR:精製費用


m
OR     j    xij 
jJ 
{i|( ij ) A1} mM i

精油費用
原油調達量
OS:製品輸送費用
OS 
  
( jk )A2 pP
製品輸送費用
p
jk
p
 y jk

製品輸送量
制約条件(1)
1. 原油生産地の油種供給可能量の制約
m
m
x

S
 ij i
 i  I , m  Mi
{ j|(ij)A1}
油種供給可能量
2. 製油地の原油処理能力の制約
 x
{i|(ij )A1} mM i
m
ij
 Cj
 jJ
原油処理能力
制約条件(2)
3. 精製量の制約
p
p
y


 jk j 
{k|( jk )A2}

m
x
 ij
 jJ , p  P
{i|(ij )A1} mMi
石油製品特率
精製量
4. 需要量の制約
p
p
y

D
 jk k
{ j|( jk )A2}
 k K , p  P
需要量
原油・製品輸送モデルの検証
<原油・製品輸送モデル>
製品価格
原油価格
原油生産地・製油地の制約、
石油製品需要など
原油・石油製品輸送量算出
原油価格の平均を求める
新製品価格の算出
比較
船腹量算出モデルへ
原油輸送の検証
1997年原油輸送実績値との比較
製品輸送の検証
1997年製品輸送実績値との比較
現状の石油輸送を表現できるモデルと言える
原油価格の変動
35
原油価格($/BBL)
平均価格
30
25
20
15
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12 (月)
2000年
運航費の構成
検討を行うための各種設定(1)
<運航費>
• 燃料費
排水量、速力の関係より船型別に燃料費を算出
• 港費
船型別に港費を算出
検討を行うための各種設定(2)
<船費・資本費>
店費(一般管理費)
5%
固定資産税、雑費
1%
船用品費
1%
潤滑油費
5%
船舶保険料
4%
船舶修繕費
船費
8%
船員費
12%
乗出費用
2%
金利
9%
資本費
建造費
53%
幅広船の有効性
船の大型化は有意義である
幅広船が有効!!
幅広船の検討を行うための1つの指標!!