昭和 年 月 日 第 種郵便物承認 広島県医師会速報(第 号) 年(平成 年) 月 日( ) 全国周辺中山間地域病院切り捨てに つながる地域医療構想評価方法の問題点 黒木整形外科リハビリテーションクリニック 院長 黒木 秀尚 府中北市民病院診療圏域の地域住民は、平成 年 月から毎年、病院の機能回復維持と協議 を求めた中山間地域医療シンポジウムを開催し、 採択決議した民意を、府中市と広島県に陳情要 望しています。しかし病院は年々縮小・リスト ラされ、地域の医療ニーズに全く合わなくなっ ています。現在内科医 名、整形外科医 名のわ ずか 名で頑張っている常勤医師が、非常に深刻 な過重労働と府中市の無理解、理不尽な対応に 耐えきれず、一人でも辞めると、一気に病院は 崩壊するでしょう。それ故、地域医療構想が生 き残る最後のチャンスであり、病院が地域の ニーズに合致した急性期自治体病院として存続 するためには、広島県医師会速報第 号と 号の『会員の声』に投稿したように、広島 県および医師会が、地域医療構想の中で、府中 北市民病院を急性期自治体病院として認可する 必要があります。 しかし各二次医療圏で行われている、地域医 療構想調整会議の評価方法が、医療機能と構想 区域に関して、圏域全体で評価しているため、 平成の大合併後、地域医療に深刻な問題が発生 している、周辺中山間地域は人口が相対的に非 常に少ないので、深刻な医療機能不足と改善す べき構想区域の問題は、水面下に隠れるという 欠点が判明しました。すなわち 月 日に府中地 区医師会の『地域医療構想進捗状況説明会』が ありましたが、その結果は、 『敢医療機能(主と して急性期機能、一部回復期機能)は、ほぼ自 圏内で完結できている。柑構想区域については、 現在の福山・府中二次医療圏で良い』としてい ました。このことは地域医療構想の理念である 地域の実情に応じた医療提供体制、すなわち地 域特性、地域差を考慮して策定するという趣旨 に反しています。また、当然ここでいう地域と は、 分で行ける身近な診療圏域でなければなら ないのに、広域な二次医療圏で評価しているこ とが間違っているのです。 福山・府中二次医療圏全体の中では、平成 年度の上下町の人口はわずか , 人で、福山・ 府中二次医療圏人口が , 人なので %にす ぎません。そのため上下町でどんなに重大な問 題が発生しても、現在の圏域全体で評価する評 価方法では、医療機能と構想区域の問題点が表 に出てこないのです。例えば平成 年度の福山 地区消防組合府中消防署小塚出張所の発表によ る と、上 下 町 救 急 車 発 生 事 案 件 中 件 ( .%)が、福山・府中二次医療圏以外に救急 搬送されています。しかし福山・府中二次医療 圏全体の救急搬送総数は、 , 件(平成 年 度)もあるため、上下町事案の 件は、わずか .%にすぎず、表に出てこないため、「医療機 能と構想区域は今のままで良い」という誤った 結果になります。それ故、府中北市民病院のよ うな地域医療に深刻な問題が発生している周辺 地域は、単純に二次医療圏域全体のみで評価を すべきではなく、診療圏域ごとにも詳細な分析 評価をすべきなのです。 地域医療構想策定ガイドラインには、 「地域の 実情に応じて、地域住民との十分な連携の下に 行い、PDCAを機能させて、拙速に陥らないこ と」が明記されています。そこで、医師会員が 多数を占める地域医療構想策定に関係する諸会 議では、急性期自治体病院存亡の危機に直面し ている、周辺中山間地域住民の悲痛な訴えに真 摯に耳を傾け、公明正大な協議を一刻も早く行 わなければなりません。そして自治体病院の設 立・存在意義の原点に立ち戻って、全国の周辺 地域住民の命と健康と生活を守るために、評価 を二次医療圏全体だけでなく、診療圏域ごとに もするよう改善して、真の地域差・地域特性が 加味された格差のない地域医療構想を策定しな ければならないのです。
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