フェルマー最終定理の小定理による証明

フェルマー最終定理の小定理による証明
東森秀朋
2016.10.18
𝐴𝑛 + 𝐵𝑛 = 𝐶 𝑛
(1)
上式(1)を成立させる自然数𝐴、𝐵及び𝐶 は、それぞれ、互いに相異
する素因数の累乗の積に分解される。素因数2は𝐴または𝐵のいずれ
かに含まれる。𝐴、𝐵及び𝐶は共通の素因数を有さない。
自然数𝐴の素因数2を除く素因数を𝑝𝑘 = 2𝑘 + 1 (𝑘は𝑘1 , 𝑘2 , … , 𝑘𝑡 のい
ずれか)及び𝑝𝑖 (𝑖 は𝑖1 , 𝑖2 , … , 𝑖𝑢 のいずれか)とする。 同様に、自然数
𝐵の素因数2を除く素因数を𝑞𝑙 = 2𝑙 + 1 (𝑙は𝑙1 , 𝑙2 , … , 𝑙𝑠 のいずれか)及
び𝑞𝑗 (𝑗は𝑗1 , 𝑗2 , … , 𝑗𝑣 のいずれか)とする。
𝐴𝑛
ここでは、Re ( )は𝐴𝑛 を𝑞𝑙 で剰余演算したときの剰余であると
𝑞
𝑙
定義する。
次式(2)~(5)が成立すると仮定する。
𝐵𝑛
𝐶𝑛
𝑖
𝑖
𝐴𝑛
𝐶𝑛
𝑗
𝑗
𝐵𝑛
𝐶𝑛
𝑘
𝑘
𝐴𝑛
𝐶𝑛
𝑙
𝑙
Re ( ) = Re ( )
𝑝
𝑝
Re ( ) = Re ( )
𝑞
𝑞
Re ( ) = Re ( ) = 1
𝑝
𝑝
Re ( ) = Re ( ) = 1
𝑞
𝑞
(2)
(3)
(4)
(5)
式 (4) を 成 立 さ せ る た め に 𝑛 は 2𝑘 を 因 子 と し て 含 む か ら 、 𝑛 は
𝑘1 , 𝑘2 , … , 𝑘𝑡 の最小公倍数の倍数を因子として含む。同じことは、式(5)
についても成立するから、𝑛は𝑙1 , 𝑙2 , … , 𝑙𝑠 の最小公倍数の倍数を因子と
して含む。
それ故、次式(6)が成立する。
(6)
𝑛 = 2𝑚
mは𝑘1 , 𝑘2 , … , 𝑘𝑡 及び𝑙1 , 𝑙2 , … , 𝑙𝑠 の最小公倍数である。
そのとき、上式(1)~(5)は次式(7)~(11)に書き換えられる。
𝐴2𝑚 + 𝐵2𝑚 = 𝐶 2𝑚
Re (
Re (
Re (
Re (
𝐵2𝑚
𝑝𝑖
𝐴2𝑚
) = Re (
𝑞𝑗
𝐵2m
𝑝𝑘
𝐶 2𝑚
𝑝𝑖
𝐶 2𝑚
𝑞𝑗
)
(8)
)
(9)
𝐶 2m
(10)
) = Re ( 𝑝 ) = 1
𝑘
𝐴2m
𝑞𝑙
) = Re (
(7)
𝐶 2m
) = Re (
𝑞𝑙
(11)
)=1
ここで、上式(11)は次式(12)に書き換えられる。
𝐵𝑚 = 𝛼𝐴𝑚 + 𝛾
𝐶 𝑚 = 𝛽𝐴𝑚 + 𝛿
𝐴𝑚 > 𝛾 ≠ 𝛿
𝐴 及び 𝛾, 𝛿 は共通の素因数を有さない。
Re (
(𝛼𝐴𝑚 +𝛾)2
𝑝𝑘
(𝛽𝐴𝑚 +𝛿)2
) = Re (
𝑝𝑘
)=1
(12)
剰余演算において、その順序を入れ換えても、その結果は同じであ
る。それ故、次式(13)が𝛾及び𝛿に依存しないで成立する。
𝛾2
𝛿2
𝑘
𝑘
Re ( ) = Re ( ) = 1
𝑝
𝑝
(13)
𝛾及び𝛿 に依存しないで上式(13)を成立させる𝑝𝑘 は 𝑝1 = 2 × 1 +
1 = 3のみである。そのとき、𝑞𝑙 は存在しないことになる。
それ故、次式(11)及び(12)が成立する。
(14)
(15)
𝑚=1
𝑛=2
そして、上式(8)及び(9)は次式(16)及び(17)に書き換えられる。
𝐵2
𝐶2
𝑘
𝑘
𝐴2
𝐶2
𝑙
𝑙
Re ( ) = Re ( )
𝑝
𝑝
Re ( ) = Re ( )
𝑞
𝑞
(16)
(17)
以上のとおり、n > 2の式(1)を成立させる自然数𝐴、𝐵及び𝐶 は存在
しない。