【小児歯科】当科における骨系統疾患罹患患児の実態調査と歯科的症状

平成27年度臨床研究テーマ成果報告書
診療科(部)名:小児歯科
研究期間:平成27年
研究課題名:当科における骨系統疾患罹患患児の実態調査と歯科的症状に対する臨床アプローチ
の探究
研究課題の概要及び成果:
骨系統疾患とは、骨格に異常をきたす遺伝性疾患である。骨系統疾患を有する患児では歯科的
問題点を有することが多いが、頻度が少なく、また臨床症状が多彩であるため、系統だった治療
法が確立されていない。本研究では昨年度に続き、当科における骨系統疾患罹患患児の実態調査
を行い、歯科的症状を分析し、臨床アプローチについて考察を行った。
当科の現在の登録患者約 2,400 名と今年度の新患から骨系統疾患を有する患児を抽出したとこ
ろ、51 名が存在した。内訳としては、骨形成不全症が 28 名と最も多く、次いで低ホスファターゼ
症が 12 名、X 連鎖性低リン血症性くる病が 5 名、軟骨無形成症が 4 名と続き、その他は、鎖骨頭
蓋異形症(1 名)、脊椎骨端異形成症(1 名)であった(図1)。
骨形成不全症疾患罹患患児において、17 名において象牙質形成不全を認め、すべての象牙質形
成不全を呈した症例において、その症状は乳歯と比較して永久歯の症状は軽度であった。また、
ビスホスフォネートの投与を受けている 11 名において、医科との連携のもと交換期障害による乳
歯抜歯を行ったが、特に異常は認めなかったことから、骨を介さない乳歯の交換期抜歯において
は、特にビスホスフォネート服用下であっても問題ないことが示唆された。さらに、不正咬合と
して、下顎前突が 11 名、開咬が 7 名、叢生が 3 名、上顎前突が 2 名に認められたことから、矯正
科と連携しながら口腔内管理を行うことが重要であると考えられた(図2)。
低ホスファターゼ症における乳歯の早期脱落に対しては、審美性、咀嚼、発音機能の回復だけ
でなく、咬合力を分散させることによって残存歯の脱落を防ぐ効果があると考え、積極的に小児
義歯の装着を行い、良好な結果を得ている(図3)。
上記概要・成果に関連する図表等
2