平成26年度臨床研究テーマ成果報告書 診療科(部)名:小児歯科 研究期間:平成26年度 研究課題名:当科における骨系統疾患罹患患児の実態調査と歯科的症状に対する臨床アプ ローチの探求 研究課題の概要及び成果:骨系統疾患とは、骨格に異常をきたす遺伝性疾患である。骨系 統疾患を有する患児では歯科的問題点を有することが多いが、頻度が少なく、また臨床症 状が多彩であるため、系統だった治療法が確立されていない。本研究では当科における骨 系統疾患罹患患児の実態調査を行い、歯科的症状を分析し、臨床アプローチについて考察 を行った。 当科の現在の登録患者約 2,000 名から骨系統疾患を有する患児を抽出したところ、46 名が存在した。内訳としては、骨形成不全が 27 名と最も多く、次いで低フォスファター 症が 12 名、X 連鎖性低リン血症性くる病が 4 名と続き、その他は鎖骨頭蓋異形症、脊椎 骨端異形成症、軟骨無形成症が各 1 名であった(図1)。 骨形成不全症疾患罹患患児において、17 名(約 63%)において象牙質形成不全を認め、 このうち 12 名はエナメル質の脱落や咬耗を呈し、重度であった(図2)。重度の象牙質形 成不全を認めた症例において、乳歯冠装着による咬合高径の回復を行い、経過は良好であ る(図3)。またすべての象牙質形成不全を呈した症例において、その症状は乳歯と比較 して永久歯の症状は軽度であった。さらに、ビスフォスフォネートの投与を受けている 9 名において、医科との連携のもと交換期障害による乳歯抜歯を行ったが、特に異常は認め なかった。 低フォスファターゼ症における歯の早期脱落部位を調査したところ、下顎乳前歯部に好 発し、永久歯は脱落しないことが分かった。また、軽症例である 3 名の患児が乳歯早期脱 落を機に当科を受診し、本院医学部小児科へ紹介することによって、歯限局型の本疾患の 診断につながった。乳歯の早期脱落に対しては、小児義歯を装着することによって、良好 な経過を得ている(図4) 。 上記概要・成果に関連する図表等 病 症 その他 3名 X連鎖性低リン血 性くる 27名 骨形成不全 27名 症 症 低フォスファターゼ 12名 計46名 質形成不全 図3 乳歯冠による咬合の回復 症 図2 骨形成不全 における象 牙 症 疾 図1 当科における骨系統 患罹患患児の内訳 図4 低フォスファターゼ 罹患患児への小児義歯装着
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