限定承認について 〒540-0033 大阪市中央区石町2-1-7-309 TEL 06-6966-4310 公認会計士・税理士 田中和雅 ○ ○ ○ ○ 限定承認とは 限定承認の利点 相続放棄との関連 限定承認に関わる税務論点 ○限定承認とは相続人が被相続人の残した相続財産の限度でのみ、相続債務 を負担するという条件付の相続方法です。相続財産を超える債務は切り捨てら れますので、相続人は自分の財産を取り崩してまで相続債務を支払う必要はあ りません。 ○限定承認の利点としては、被相続人の相続財産が債務超過の可能性がある 場合、上記のように相続人のリスクを排除することが可能になります。さらに、 中小企業のオーナーが被相続人で、自社債務の連帯保証人となっている場合や、 被相続人が損害賠償事件(株主代表訴訟等)の被告となっている場合などに、 大きな効果があります。 ○相続放棄との関連については、以下の通りです。限定承認は、相続人が共 同してのみ、その手続を選択することができます。とはいえ、相続人全員が限 定承認をする必要はありません。相続人のうち相続放棄する者がいる場合は、 放棄した者はそもそも相続権がなかったものとして、他の相続人が共同して限 定承認手続を選択することができます。ただし、相続人の一部が単純承認した 場合、他の相続人は限定承認が出来なくなることに注意が必要です。 ○限定承認に関わる税務論点です。限定承認した場合、相続財産の中に不動 産などの譲渡所得の基因となる資産などが含まれていれば、相続時に被相続人 から相続人に対し、その時点の時価で譲渡されたものとみなされます。これを 税務上、 「みなし譲渡」と言います。これにより、不動産などの相続財産に含み 益があった場合、被相続人に対して譲渡所得課税が行われます。実際の手続で は、限定承認は相続発生後3ヶ月以内に手続し、相続発生後4ヶ月以内に譲渡 所得税を含めた所得税の準確定申告を行います。この際に、確定した所得税は 相続債務となります。しかし、限定承認した場合、この所得税は他の債務とと もに相続財産の中で支払われるため、相続財産を超えて支払われることにはな りません。 この「みなし譲渡」という課税制度が、限定承認を非常に複雑にしています。 とはいえ、この制度では含み益があった不動産などを被相続人が相続人に時価 で譲渡したとすることで、含み益に対する課税関係を一度完結させます。これ により、相続人に対する今後の譲渡課税は発生しないこととなります。つまり、 限定承認は基本的には相続人を守る制度なのです。 2015/12/22
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