相続個人事業主 - 公認会計士 田中和雅事務所

個人事業主の相続発生に伴う税務論点
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公認会計士・税理士 田中和雅
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個人事業主の相続が発生した場合の基本的な手続き
事業承継者がいない場合
事業承継者がいる場合
消費税、事業税の取扱い
会社組織において、その法人の主宰者たる代表取締役に相続が発生したとし
ても、代わりの代表者を選任し就任することで、事業は継続されます。また、
その代表者が株主であった場合は、所有していた株式は当然のことながら相続
人に相続されます。
しかし、法人化せずに事業を行っている個人事業において、相続が発生した
場合、多少複雑な手続きや制度があります。まず、○個人事業主の相続が発生
した場合の基本的な手続きとしては、相続開始から4ヶ月以内に確定申告を行
う必要があります。これを準確定申告と呼びます。さらに、相続人は相続発生
後10ヶ月以内に、相続税の申告納税を行わなければなりません。なお、この
準確定申告作業により被相続人の資産・負債が確定し、相続税の申告数値の基
礎固めにもなります。この手続き自体は、法人の代表者に相続が起こった場合
も同様です。
次に、被相続人の事業について、○事業承継者がいない場合を考えます。こ
の場合、上記の「準確定申告」手続きに、
「所得税の廃業届」、
「消費税に関する
死亡届書」等の提出が加わります。対して、○事業承継者がいる場合は、非常
に複雑になります。「開業届」とともに、「青色申告承認申請書」の提出が必要
となります。青色申告の承認は税務上、一身専属的な効果を有するものです。
そのため、個人事業承継をしても、自動的に事業承継者も青色申告承認を受け
ることにならず、改めて相続開始後に申請書類の提出をしなければなりません。
○消費税、事業税の取扱いについてです。相続のあった年、相続翌年以降の
消費税は注意が必要です。まず、相続が発生した年においては、相続人または
被相続人の基準期間における課税売上高のいずれかが 1 千万円を超えている場
合。次に、相続のあった翌年、翌々年は、相続人の基準期間における課税売上
高と被相続人とのそれとの合計額が 1 千万円を超える場合。それぞれの場合、
相続のあった年、相続翌年及び翌々年は消費税の課税事業者となります。つま
り、事業承継すると、消費税の基準期間が存在しない訳ではなく、被相続人の
基準期間における課税売上高が影響します。さらに、事業税の取扱いについて
です。事業承継した相続人が被相続人にかかる事業税を納付期日に支払った場
合、その期の相続人の所得税の必要経費になります。いずれにしても、消費税
を考慮すれば、特に後継者がいる場合、個人事業での相続より法人成りしてお
いた方が有利な場合が少なくありません。
12/22/2015