気がついたら完全虚化一護になってた ID:71253

気がついたら完全虚化一護になってた
アランカル
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じます。
︻あらすじ︼
完全虚化状態の一護に憑依していた主人公は、雁夜のバーサーカー
として召還された。
召喚 ││││││││││││││││││││││││││
目 次 目的 ││││││││││││││││││││││││││
1
休日 ││││││││││││││││││││││││││
考察 ││││││││││││││││││││││││││
説明 ││││││││││││││││││││││││││
戦闘 ││││││││││││││││││││││││││
対面 ││││││││││││││││││││││││││
4
10
16
21
26
31
召喚
聖杯戦争。
どんな願いでも叶えることのできる願望器を巡り、魔術師達が争う
儀式。
そのルールは簡単、英霊と呼ばれる英雄たちを使役し戦わせ、英霊
を 失 う か マ ス タ ー が 死 ね ば 終 わ り。そ ん な マ ス タ ー の 1 人 が 英 霊、
サーヴァントを召喚した。
本来なら、ランスロットなどの円卓の騎士の1人を呼び出すつもり
で。たが│││
﹁⋮⋮⋮何じゃ、コイツは﹂
現れたのは異形。どうみても騎士には見えない。と言うか持って
いるのは黒い日本刀だ。日本の英霊だろうか
﹁⋮⋮⋮⋮⋮グルル⋮﹂
躯のような仮面には湾曲した角が二本生え、黒い紋様が左右対称に
降りている。全身は白く胸に穴があき、そこからも黒い紋様が左右に
広がっている。
髪はオレンジで仮面の隙間から垂れていた。
なんだこの英霊は│││いったい何処の、いや、それよりも
間桐臓硯は目の前の英霊の力に戦慄する。この英霊は、自分と同じ
だ。人間であることを捨てたように、自分の種を超える力を手にした
存在だ。
そして、その英霊が片手を振るうと、地下が揺れる。臓硯はバラバ
令呪を持って服従させん│││﹂
ラに吹き飛ぶが、何事もなかったかのように笑っていた。
﹁雁夜、何をしておる
﹂
鎖が握られていて、英霊はそれを噛みちぎる。すると臓硯は倒れ動か
なくなった。
﹁⋮⋮⋮⋮な、何をしたんだ
尋 ね て く る 雁 夜 を 無 視 し て 英 霊 は 何 か を 食 う よ う な 動 き を す る。
?
1
?
貫いた訳ではない、血も流れず、英霊が手を引き抜くとその手には
英霊は臓硯の胸に手を沈める。
!
﹂
一通り食う動きをすると英霊は雁夜を見据える。
﹁⋮⋮殺したのか
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
英霊は無言でうなずいた。
﹂
雁夜は英霊を眺める。英霊は何もしない。こちらを主と認識して
いるのだろうか
﹁お前はバーサーカーか
これ桜ちゃんじゃね
この子も皮膚を突き破って虫が出てきてる
リ美少女が裸で出てきた。
が覗く。虫にふれないように空中に立ちながら引き抜くと見事なロ
あと虫プールの虫達がギィギィ呻いて苦しみ、死に絶え、人間の手
している⋮⋮⋮。
そして俺が霊体化を試していると気絶した。全身から虫を吐き出
かに暴走形態だろうが、バーサーカーに決まってんだろ。
雁夜っちは俺がバーサーカーかどうか尋ねてきた。おいおい、明ら
ので魂を引き吊り出して食い殺してやった。ああ、すっきりした。
も見るような目で見てきたムカついたのでぶっ飛ばしたら復活した
とりあえずバーサーカーとして雁夜っちに召喚され、なんか同族で
だよ、何でだよ⋮⋮何故か滅茶苦茶強化されているのもわかる。
とまあ、一護になったわけだが、何故かfateの世界だった。何
ろしいものの片鱗を味わったぜ⋮ 。
夢とか幻覚とかそんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。もっと恐
が俺だって何を言っているかわからない。頭がどうにかなりそうだ。
バージョン︶になっていた。な⋮何を言っているかわからねーと思う
あ⋮ありのまま今起こった事を気がついたら黒崎一護︵完全虚化
激痛が走る。そのあまりの激痛に雁夜は意識を失った。
雁夜はバーサーカーをもう一度呼び出そうかと考えた瞬間、全身に
体化して姿を消した。
再び無言で頷く。バーサーカーは話すことは話したとばかりに霊
?
?
2
?
?
し⋮⋮⋮
3
目的
雁夜が目を覚ますとベッドの上にいた。体中包帯を巻かれ、動く度
に節々が痛む。
桜ちゃんは⋮⋮⋮﹂
窓の外見ればちょうど日が昇るところだ⋮⋮⋮⋮。
﹁俺は⋮⋮⋮ッ
どうして自分がここにいるのか気になったが、それよりも桜だ。
記憶が夢でないのなら、すぐにあの地下室から助け出さねば、いや、
もう助けられているのか
﹂
早く変わってくれ
張っているバーサーカーがいた。
﹁何を、しているんだ⋮⋮
やっと起きたのか
﹁か、雁夜
状況が飲み込めん
!
﹂
﹁いや待て
!
﹂
!
うか
?
﹂
?
﹁え
し、少々お待ちを⋮⋮⋮﹂
﹁おとーさん、私梅干し食べたい﹂
ランクが上がってる。何があったいったい。
﹁そうか⋮⋮⋮様
﹁三日だ⋮⋮⋮桜様は一昨日の昼に起きた⋮⋮﹂
﹁俺が寝てどれほどたった
﹂
﹂
しかし世話を命じるか、ひょっとして数日ほど寝込んでいたのだろ
思ったのか親指を立ててきた。
雁夜がバーサーカーに視線を向けるとバーサーカーは雁夜に何を
の雲を赤い光線で消し飛ばして脅してきたんだ
﹁あ、あの化け物が、俺に桜の世話をしろと⋮⋮逆らおうとしたら上空
!
粥を食べさせてもらう桜、そしてそんな二人を観察、と言うより見
そこには、何故か子供相手に敬語を使う自身の兄鶴野と鶴野からお
﹁グルルル﹂
﹁あーん⋮⋮﹂
﹁は、はい桜さん⋮⋮⋮あーん﹂
雁夜はすぐさま桜の自室に向かう。そこには│││
?
?
!
4
!
!
?
!?
﹂
﹁じゅー、きゅー、はーち││﹂
﹁いってきます
鶴野は慌てて台所に向かっていった。だから何があったんだ。
⋮⋮⋮て、聞
そして、バーサーカーは雁夜の前に立つとその場で平服する。
﹁ば、バーサーカー⋮⋮⋮お前、本当に狂っているのか
いても意味ないか﹂
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
﹂
﹂
確かめている。なんなのコイツ
本当にバーサーカーなの
?
バーサーカーはと言うと自分の手を閉じたり開いたりして感触を
﹁おお、できたできた⋮⋮﹂
何がいったいどうなっている。
これには、と言うかこれも驚いた。訳の分からないことばかりだ。
﹁⋮⋮⋮⋮⋮は
校生ほどの男が現れた。
雁夜が叫ぶ中、バーサーカーの全身に亀裂が広がり⋮⋮⋮中から高
﹁バーサーカー
サーカーの体に亀裂が走る。
ち理性を感じ、狂っているとは思えないのだが⋮⋮⋮。そして、バー
雁夜の言葉にバーサーカーは顎に手を当て考える。仕草にいちい
?
いだがな﹂
﹁イレギュラー
﹂
﹁ああ、例え│││﹂
﹁梅干しもってきました
﹂
﹁俺はバーサーカーだよ⋮⋮⋮ま、いろいろイレギュラーはあるみた
?
入ってきた。
﹁⋮⋮⋮⋮⋮あ、あれ
﹁わーい﹂
﹂
バーサーカーが話を始めようとしたとき、部屋の扉が開き鶴野が
!
ああ、日本人として⋮⋮﹂
﹂
場の空気が凍ったことに気づいた鶴野と無邪気な桜の声が響いた。
?
?
5
!
!?
?
?
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮さて、お前は佐々木小次郎を知ってるか
﹁ん
?
そんな空気を無かったようにするためバーサーカーが話を始める。
佐々木小次郎とは本来存在しない英雄だが、サーヴァントとして召
喚したばあい、佐々木小次郎に近い無名の英雄が佐々木小次郎の殻を
まとい召喚されるらしい。
﹂
﹁俺の場合、異世界に存在する話の主人公の殻をかぶって召喚された
わけだ﹂
﹁⋮││つまり、お前は異世界においても存在しない英雄だと
﹁それは、強いのか
﹂
る状態の力をふるいながらしかし理性を保てる。
そんな異世界の英雄の殻を、それも力と引き替えに理性を失ってい
界に干渉するモノもあると聞く。
目の前の男が異世界の人間だとしても、魔術にはそのような平行世
それって結構やばくないか
被せられているだけだから理性を保っているんだと思う⋮⋮﹂
族の境界を越え爆発的な力を手に入れた際の姿⋮⋮⋮俺はその殻を
﹁ああ、さっきまでの姿はその英霊が自らの敵である存在と自身の種
?
﹂
⋮⋮⋮多分本気じゃないな、それでも超強いぞ﹂
﹁⋮⋮⋮具体的には
桜はもう救えたんだし
﹁山を数個も吹き飛ばすエネルギー体を素手で握りつぶせる程﹂
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
これ聖杯戦争勝てたんじゃね
い や、で も そ も そ も 勝 っ て ど う な る
⋮⋮⋮。
﹁いや⋮⋮時臣が残っている﹂
もしれねーぞ
﹂
﹁何だと、どういう意味だ
﹂
﹁あ∼あ、その事なんだけどよ⋮⋮⋮ある意味では桜は助かったのか
る。
その名を思い出しただけで雁夜は苦虫を噛み潰したような顔にな
?
?
6
?
﹁力を記されているところは、圧倒的すぎて本気なのかわからないが
?
?
﹁落ち着け⋮⋮桜の属性、架空元素・虚数ってのはレアでな、魔道の家
!?
?
門の加護がなけりゃホルマリン漬け確定だ⋮⋮そして、遠坂の属性と
も違いすぎて時臣の手に余る﹂
﹁⋮⋮つまり、そんな存在を遠坂家に置けば何が起こるかわからんし、
﹂
当主でないならと魔術協会にホルマリン漬けにさせるかもしれな
かったと
それなら副作用がつくと言え属性を変質させる間桐のやり方で魔
術協会の目は誤魔化せるわけか。
﹁もっとも、それを向こうが知ってるとは限らねーが﹂
単に危険だから捨てたという可能性もあるわけだ。
﹂
だが、幾分か殺意が和らいだ。
﹁⋮⋮桜ちゃんは安全なのか
﹂
﹁⋮⋮⋮⋮⋮お前は、何か願いがあるのか
﹂
﹁⋮⋮⋮⋮俺は英雄の殻を被っていると言ったろ
﹂
物心ついた頃には霊が見えてた。人が死んでも、
?
でも死んだ。自爆テロってやつでな⋮⋮⋮もちろん霊になっている
﹁でもある時、その時期は長く止まってな⋮⋮⋮珍しく友人ができた、
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
だ﹂
霊となってまた会えると、俺にとって死なんてどうでもよかったん
た⋮⋮だからかな
を連れながら戦場を歩き続けた。俺には、死が当たり前のように感じ
﹁俺の親は戦場カメラマンと言う奴でな、母親もすでにいないので俺
た理由らしい。
唐突に訳の分からない話をしたと思ったら、自分が英雄の殻を被っ
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
﹁俺の殻となっている英雄もそうだった⋮⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮⋮は
﹁信じるか信じないか勝手だが、俺は幽霊が見えるんだ﹂
と尋ねてくる。
バーサーカーは先ほどの発言を覚えているか
﹂
のかは俺にもわからねー。それより、お前は聖杯戦争に参加するのか
﹁さあな。魔術協会も魔道の家門の当主相手にどこまで手段がとれる
?
?
?
7
?
?
?
?
それにとりつかれて、もはや人の言葉を話し
んだとばかり思ってた。実際霊になってた⋮⋮でも、話せなかった。
未練とか言うのかな
てなかったよ、そいつ⋮⋮いや、アイツだけじゃない。俺が見てきた
霊は全部そうだった。苦しんで、憎んで死んでいった。それから戦場
は地獄だったよ⋮⋮霊の言葉と認識していたそれは怨差の声と理解
﹂
し眠れない夜も何日も続いた⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮苦しかったの
桜はバーサーカーの手を握り顔をのぞき込む。
﹁⋮⋮⋮そうだな、苦しかった、逃げたかった、でも⋮⋮戦場で死んだ
霊達はもっと苦しくて逃げたいんだろうって思って、俺は親父の真似
な
をして戦場を撮りその光景を世界中にバラまいた、これで良いのか、
もっと真剣に向き合い、戦争を止めようとするべきじゃないのか
願うとしたら、世界平和かな﹂
﹂
﹂
﹁⋮⋮⋮⋮正気か
﹁本気だ⋮⋮⋮﹂
たかが英雄の殻を被った一市民の戯れ言だぞ
﹂
んて言葉は誰も聞かず、俺も何時の間にか死んでいた⋮⋮そんな俺が
?
?
逃げ出したので捕まえ二人を治療するように命れ⋮⋮頼んだ。素直
の二人を抱え地上の屋敷にはいるとワカメ頭がいた。俺はそいつが
ロリ美少女こと桜と白髪のオッサン間桐雁夜。俺は取り敢えずこ
﹁ああ⋮⋮⋮﹂
⋮⋮﹂
﹁な ら 俺 は お 前 の 剣 と な り 楯 と な る ⋮⋮⋮ よ ろ し く 頼 む、マ ス タ ー
う。
数秒キョトンとしたバーサーカーだったが、ふっと満足そうに笑
た。
バーサーカーのどこか馬鹿にしたような言い方に、雁夜は即答し
?
8
?
?
﹁⋮⋮⋮⋮聖杯に願う願いが決まった﹂
﹁⋮マスター
﹁雁夜おじさん
?
﹁俺は戦争のない世界を願う⋮⋮﹂
?
に言うことを聞いてくれた。屋敷の壁ごとゴキブリを消し飛ばして
あげたことに対してお礼をしてくれたんだろうな。
そして、桜が次の日目を覚ましたのでワカメに世話を頼む。桜には
ジェスチャーでこのワカメに何でも頼んでいいと伝える。
桜が目覚めて二日後、ようやく雁夜っちことマスターが目を覚まし
た。
この姿は一護が狂化した姿とも言えるが、俺は狂ってない。全身
マスターは俺が狂っているのか聞いてきた。そう言やどうなんだ
ろ
の虚の部分がはがれるようなイメージをすると通常時状態になり普
通に話せた。
そして俺は自己判断の結果をマスターに話す。でも多分間違って
ないと思うな⋮⋮。
マスターは俺に願いは無いのか聞いてきた。俺はつい身の上話を
しながら願いを言う。
て言うか、いきなり幽霊が見えますなんて言われても信じられる訳
ないか⋮⋮と思っていたら、信じてくれた。俺の願いを叶えてくれる
と言った。
﹂
ようかな⋮⋮おもしろそうだし。
桜容赦ないな。今の内に多くの言葉を教えて将来毒舌家にしてみ
?
俺はその時決めた、コイツを聖杯戦争の勝者にしようと⋮⋮⋮⋮。
おとーさんは
でも冷静に考えると聖杯汚れてるから無理じゃね
﹁⋮⋮⋮あれ
?
﹁わー、おとーさん、スッカリ空気って奴だね﹂
﹁いますよ、ここに⋮⋮﹂
?
9
?
対面
バーサーカーは霊圧⋮⋮魔力のぶつかり合いを感じて目を覚ます
と瞬時に姿が変わる。虚化はしていないが、そして、黒い死覇装をま
﹂
といベランダに出る。
﹁バーサーカー⋮⋮
﹁桜⋮⋮﹂
鶴野がいた。
﹁⋮⋮戦いに行くの
﹁ああ⋮⋮﹂
﹂
﹂
屋に向かっていった。
桜様の安全は俺が守ります
!
﹁鶴野、桜を頼むぞ⋮⋮﹂
﹁へい兄貴
﹂
そう言うと桜は納得したのかフラフラ覚束ない足取りで自分の部
﹁ああ、約束だ⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮絶対に
﹁今日は様子見のつもりだからな、危ないことはしねーよ﹂
﹁帰って、くる
﹂
聞こえてきた声に振り返ると、そこには眠そうに目をこする桜と
?
?
てバーサーカーを見送る。雁夜は屋敷の外で待機していた。
﹁マスター⋮⋮﹂
﹁安 心 し ろ、邪 魔 に な ら な い よ う に 隠 れ て い る さ ⋮⋮⋮ だ か ら バ ー
﹂
サーカー、好きなだけ暴れろ﹂
﹁⋮⋮了解
雁夜の言葉にバーサーカーの目と口と鼻、そして突如あいた胸の穴
から白くドロドロした液体が溢れ、バーサーカーを包んでゆく。
﹂
そして、そこにいたのは黒い衣をまとった鬼だった。
﹁オォォォォォォォォォオッ
去った。
鬼 は 一 声 吼 え る と 宙 を 駆 け あ っ と い う 間 に 雁 夜 の 視 界 か ら 消 え
!!
10
?
?
鶴野は三日前の自分が見たら間違いなく卒倒するようなことをし
!
!
魔力のぶつかり合いの正体は、2体のサーヴァントのぶつかり合
い。片方はセイバー、片方はランサー。
剣戟の末、セイバーは決して消えぬ傷を左手に受けた。
だが、どちらも戦いを止める気はない。再びぶつかり合おうとした
﹂
我が名は征服王イスカンダル
時、雷がほとばしり牛に引かせた戦車に乗った大男が現れた。
﹁双方武器を納めよ、王の御前である
此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスを得て現界した
ど役者不足と言い切った。
ウェイバーは顔を青くしてふるえるが、ライダー戦場に立てぬ男な
ロイ・アーチボルトの声が響いた。 がライダーをに当たっていると、ウェイバーの師、ケイネス・エルメ
仲間も出来ず真名を知られ何一つ得もないこの状況にウェイバー
断った。
かの王に見初められるとは人によっては名誉のことだが、二人は
た。
ライダーが現れた理由は至極簡単、仲間にならんかと言う提案だっ
の馬鹿がと攻めるがデコピンを食らった。
事実ライダーのマスターウェイバー・ベルベットも何をしているこ
つ弱点を知られる可能性もあるのだから。
うだろう。真名を名乗るとあうことは、自分の宝具を予測させなおか
イスカンダルと名乗ったライダーに全員が唖然とする。それはそ
!
!
今
ここに集うがいい
なおも顔見せを
そして、ライダーはなにを思ったのか突然大声で叫び始めた。
﹁聖杯に招かれし英霊ども
!
!
れ
﹂
怖じるような臆病者は征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知
!
はあきれ、ライダーの声を聞き1人の英霊が街灯の上に現れる。
﹁我を差し置いて〝王,,を称する不埒者が一夜のうちに二匹も湧くと
はな﹂
現れた英霊は金色の鎧に身を包んだ金髪の美青年。
11
!
あまりに豪快なライダーの行動に現状を確認していたマスター達
!
まさか王を自称することに難癖を付けられるとは思っていなかっ
たライダーは自分が世に知れ渡る王だと言うが金色の英霊は王は自
貴様も王たる者
分だけ、他は有象無象だと言い切る。これには王であるセイバーも眉
根を寄せる。
﹁そこまで言うんならまず名乗りをあげたらどうだ
雑種風情が王たるこの我に向けて
ならばまさかおのれの威名を憚りはすまいん﹂
﹁問を投げるか
我が拝謁の栄に
?
?
﹃ッ
﹂
﹄
同時に││
そう言って金色のサーヴァントは空に二本の宝具を出す。それと
く価値すらない﹂
浴してなおこの面貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧は生かしてお
?
﹂
﹂
についた二本の湾曲した角、まるで鬼のようだ。
?
ちゃどの程度のモンなんだ
﹂
で、坊主よ、ありゃどうみてもバーサーカーだがサーヴァントとし
﹁誘おうにもなぁ、ありゃあ、のっけから交渉の余地なさそうだわい。
﹁⋮⋮⋮なぁ征服王、アイツには誘いをかけんのか
﹂
かすかに見える肌は全てが真っ白で、生物とは思えない。その仮面
ら鮮やかなオレンジの髪が垂れる。
黒い衣を纏い、その頭は骸をもした仮面に後頭部まで覆われ隙間か
その魔力とともに、それは現れた。
ま る で 深 い 海 の 底 に 沈 ん だ よ う な 錯 覚 を 覚 え る ほ ど 濃 密 な 魔 力。
強大な魔力を感じる。
﹁む
﹁ヒッ
﹁おう
!?
?
﹂
世界から映像だけ出してるみたいにステータスが見えない
﹂
﹁解らないんだ。幻惑とかそう言うのじゃない⋮⋮⋮アイツだけ別の
﹁おい
固まっている。
ライダーがウェイバーに尋ねるが、ウェイバーは驚きに目を見開き
?
!
12
!? ?
?
その場に居る、もしくは監視しているマスターたちに緊張が走る。
実質的にキャスターを除くすべてのサーヴァントがこの場に揃った
﹂
ことになるからだ。サーヴァントも同様出方をみる。1人を除いて
││
﹁狂犬めが⋮⋮誰の許しを得て我を見ておる
なんか呆気ない⋮⋮﹂
﹁││我が宝物を許可なく砕くとは、そこまで死を急ぐか狗
﹂
バーサーカーはまるで氷柱でもおるように剣と槍をへし折る、
素通りしただけのようだ。
る。金色のサーヴァント、おそらくアーチャーが放った槍はその穴を
初めから空いていたらしく血も流れておらず綺麗な円を描いてい
い。
ら見えた白い胸には、ぽっかりと穴があいていた。貫かれた穴ではな
槍の先端の刃の返しに服が引っかかり胸付近が千切れる。そこか
だけではなかった。
かみ引き抜く。それだけなら多少驚くですんだだろう。しかし、それ
ウェイバーがそう呟いた瞬間、バーサーカーの空いてる腕が槍をつ
﹁あ、あれ
カーの姿があった。
煙がはれると片手で剣を受け止めしかし胸を槍で貫かれたバーサー
バ ー サ ー カ ー は そ の 場 か ら 動 か ず 宝 具 が 当 た り 大 爆 発 を 起 こ す。
二本の宝具を射出した。 ﹁せめて散りざまで我を興じさせよ雑種﹂
金色のサーヴァントは不愉快そうにバーサーカーを睨み
?
﹁⋮⋮む
﹂
﹁⋮⋮⋮ギ、ギル⋮ガ⋮⋮﹂
アーチャーの宝具は多すぎる。
フィールは驚愕する。英霊がもつ宝具は多くて三か四、だと言うのに
瞬 間、大 量 の 宝 具 が 現 れ る。そ の 光 景 に ウ ェ イ バ ー と ア イ リ ス
!
らした言葉に反応し止まる。
﹁ギルガ⋮⋮⋮メッシュ⋮⋮⋮﹂
13
?
すぐさま射出しようとしたアーチャーだったが、バーサーカーの漏
?
﹁⋮⋮ほう﹂
バーサーカーが呟いた言葉にアーチャー、英雄王ギルガメッシュは
ニヤリと傲慢な笑みを浮かべる。
﹁理性を失っても我が面貌を見て我が誰か理解するか⋮⋮なかなか見
所があるではないか。狗のマスターよ、どこかで見ておるのだろう
この狗を我の番犬にしてやる名誉をやろう﹂
きを止める。
﹁貴様ごとき諫言で王たる我の行動を束縛する気か⋮⋮
でも命令されたのだろう。
アーチャーはそう言うと姿を消した。おそらく令呪でマスターに
のみで良い﹂
種ども、次までに有象無象を間引いておけ、我と見えるのは真の英雄
﹁まあいい⋮⋮全ての者は王たる我に平服するのは定めだからな。雑
アーチャーは忌々しそうに呟き、再びバーサーカーに目を向ける。
な時臣⋮⋮⋮⋮﹂
大きくでた
そう言って宝具を放とうとしたアーチャーだったが、不意にその動
取ってやろう﹂
﹁だが、まあ⋮⋮王の前に面を見せぬのは些か不敬だな。我自ら剥ぎ
のないバーサーカーではなくバーサーカーの主に交渉するが⋮⋮。
うな態度のアーチャーは思いがけないことを言った。もちろん理性
正体がバレたことなど気にせず、むしろよくわかったと感心するよ
?
まだバーサーカーが残ってんだよ
﹂
﹁フムン、どうやらアレのマスターはアーチャー自身ほど剛毅な質で
はなかったようだな﹂
﹁なんて言ってる場合か
!
﹂
バーが叫ぶ。全員の意識が再びバーサーカーに向くと、バーサーカー
は大きく息を吸い込み│││
﹁オオオオォォォォォォォォォッ
と、大気を揺らすような大声で吼えた。
!!
﹂
14
?
ライダーはアーチャーが引いたことについて呟いているとウェイ
!
次の瞬間、大気の魔力がバーサーカーに向かって流れてゆく。
﹁な、なんだそりゃ
!?
ウェイバーは思わず突っ込む。
大気の魔力など、言ってしまえば人間が吸収するための者だ。サー
ヴァントなどは実体化するのに使用する魔力だけで吸収が間に合わ
なくなるだろう。だから普段は霊体化しているのに、目の前のサー
ヴァントはかなり広範囲から魔力を己の意志で呼び寄せている。な
んの術式もなく、大気の魔力を操っているのだ。
それはつまり、バーサーカーのデメリットの一つ燃費の悪さが存在
し無いことになる。
﹁グルルルル⋮⋮⋮﹂
バーサーカーが目を付けたのは、セイバー⋮⋮⋮の後ろにいる、ア
イリスフィールだった。
15
戦闘
バーサーカーの狙いはアイリスフィール。
確かにどれほど強力なサーヴァントでもマスターを失えば現界出
来ない。アイリスフィールのマスターと言う認識はセイバー陣営に
よるフェイクとは言えだからこそバレるわけにもいかないし、何より
セイバー自身アイリスフィールが殺されるなど認めない。すぐさま
﹂
不可視の剣でバーサーカーを斬りつける、が││
﹁なにっ
バーサーカーは右腕を剣に向かってふるい、ぶつかり合うがバー
サーカーの腕は顕在。
﹂
まるで鋼の塊に剣をぶつけたかのような感触がセイバーに伝わる。
﹁な、めるなぁぁあ
﹁なっ
﹂
バーの顔をつかむ。
・
・
セイバーが追撃を仕掛けようとすると、バーサーカーの右腕がセイ
カーの体勢が崩れ鮮血とともに右腕が宙を舞う。
しかしセイバーは剣に魔力を流し力任せに押しつける。バーサー
!
と弧を描きながら落下しているのが目に映る。
腕を接合したわけでも、感触からして幻覚でもない。バーサーカー
︶
は腕を再生させたのだ。
︵そんな馬鹿な
﹁グルルル﹂
て行った。
セイバーはコンテナをいくつも破壊する砲弾となって吹き飛ばされ
そ ん な 思 考 な ど お 構 い な し に バ ー サ ー カ ー は セ イ バ ー を 投 げ る。
を与えられるはず。
そして仮に魔法の領域にたどり着いた英霊ならキャスターのランク
腕を繋げるならまだしも新しく生やすなど明らかに魔法の領域だ。
しかしそれはあり得ない。
!
16
!?
指の隙間から空を見上げればいまだ切り落とされた腕がクルクル
!
﹁ッ
﹂
バーサーカーはセイバーの姿が見えなくなったのを確認するとア
イリスフィールに向き直る。優良のサーヴァントであるセイバーを
あっさりあしらうこのサーヴァントに、アイリスフィールは勝てる通
﹂
りは無い。せめともの抵抗をと針金を取り出した時、バーサーカーの
﹂
首筋に赤い筋が走る。
﹁⋮⋮⋮ッ
﹁成る程。セイバーの剣を防いだ皮膚、魔力で強化しているな
!
イ・ ジ ャ
ル
グ
肩に浅くない傷を付ける。
イ・
ボ
ウ
その瞬間にも再生を始めているが、必滅の黄薔薇の方が速い
﹂
勝利を確信した瞬間、バーサーカーの姿が消える。
﹁なっ
そう
け、体勢が傾いた瞬間ランサーの破魔の紅薔薇が閃きバーサーカーの
はないが、先ほどランサーに傷を付けられたバーサーカーはそれを避
ランサーが振るった必滅の黄薔薇はバーサーカーを傷つけること
失ったバーサーカーにフェイントを見破ることは出来ないだろう。
こちらは俊敏A+、最速のサーヴァントたるランサーだ、理性を
紅薔薇なら届く。傷口が塞がる前に傷口に届けば勝機はある。
魔力による防御力強化なら、必滅の黄薔薇は通らない、だが破魔の
か⋮⋮⋮︶
︵もしくは、破魔の紅薔薇で傷を付けた後必滅の黄薔薇で傷口を抉る
ゲ
上回るダメージを与えるか、マスターを捉え自害させるか││
厄介な相手だ。勝つ方法の例を挙げるならバーサーカーの回復力を
なくこの聖杯戦争に置けるアーチャーと同等、下手したらそれ以上に
鉄壁の防御力に加え超速再生、さらには単体での魔力供給。間違い
バーサーカーが傷口に手を当て、はなした頃には傷は消えていた。
復力が無ければの話だが。
破魔の紅薔薇は天敵と言えよう。もっとも、バーサーカーの異常な回
ゲ
な ら ば ラ ン サ ー の 持 つ 触 れ た 対 象 の 魔 力 の 流 れ を 遮 断 す る
?
!
移動に近い。
17
!
霊体化ではない、僅かに凪いだ風、高速移動だ。それも、ほぼ瞬間
!?
﹁ど、何処に
﹂
﹃後ろだランサー
﹄
主であるケイネスの叱責にランサーが振り向くと、目の前に骸が現
れる。
バーサーカーはランサーの腕を握りしめる。それだけでランサー
の腕の骨が折れ破魔の紅薔薇を落としてまう。バーサーカーはラン
サーから興味を失ったようにランサーの腹を蹴り吹き飛ばすとラン
サーが落とした槍持ち、明後日の方向に投げつける。それはお世辞に
も方の決まったとは言えない力任せの投げ方、しかし槍は赤い線とな
﹂
り真っ直ぐ飛び去り見えなくなった。
﹁な、なにを⋮⋮⋮
る。
﹁ガア
﹂
れていることになる。
け強大な力を持ちながらなおバーサーカーはマスターに手綱を握ら
当然、バーサーカーにそんな知能があるはずもない。ならばこれだ
自分の宝具を見せずに。
はランサー本人ではなくランサーのマスターを狙ったのだ。しかも、
ランサーは慌ててその場から離脱する。理解できた、バーサーカー
﹁ケイネス殿
﹂
れなかったのかコンテナを一つだけ破壊したランサーの顔色が変わ
アイリスフィールは思わず呆ける。そして、セイバーほど力を込めら
バーサーカーの奇行に理由を求めるだけ無駄なのかも知れないが、
?
ていたことを失念してしまった。
ゾブリと、バーサーカーの腕が腹に沈み熱した鉛でも押し付けられ
たように熱のような痛みが広がり、しかし背中に氷柱でも押し当てら
れたような寒気を感じる。
バーサーカーはアイリスフィールの中を弄り、何かを探す。そし
て、目当ての物を見つけたのか唐突に動きを止める。そこで││
18
!
!?
!
そんな思考を巡らせている間に、アイリスフィールは自分が狙われ
﹁⋮⋮あっ﹂
!
﹁アイリスフィール
﹂
大丈夫ですか
手には金属片が握られていた。
﹁アイリスフィール
!?
戦士でないアイリスフィールを狙うなど、恥を知れ
セイバーだったがすぐバーサーカーを睨む。
﹁貴様
﹁⋮⋮⋮セ、イ⋮⋮ハイ⋮⋮﹂
﹂
!
何故今その単語が出てくる。こんな状況においても目の前
敵
のサーヴァントではなく目的の聖杯しか頭にないのだろうか
﹂
バーサーカーが持っているモノを取り返して
セイバー
﹂
!
﹂
なったまさにその時││
!!
ライダーが神牛に戦車を引かせライダーが迫ってくる。
﹁ALaLaLaLaLa
﹂
ギリギリと、押しつけられてゆく圧力にセイバーが膝をつきそうに
りあう。
それはただの街灯でありながらしかしセイバーの持つ名剣と鍔迫
﹁ぐぅ
くの街灯をへし折るとセイバーに向かって振り下ろす。
不可視の剣を構えるセイバーに何を思ったのか、バーサーカーは近
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
の顔面にバーサーカーの拳が迫るが、直感でなんとか防ぐ。
アイリスフィールの命令の意図が理解できず固まるセイバー。そ
﹁へ
﹁ッ
!
聖杯
い発言をする。
バーサーカーはセイバーの言葉を無視して、しかし聞き捨てなら無
﹁なに
﹂
アイリスフィールの傷は既に塞がっている。そのことに驚愕した
﹁え、ええ⋮⋮⋮﹂
﹂
バーに向かってアイリスフィールを投げつける。引き抜かれたその
が出来ていたので、割と早く戻ってきた。バーサーカーはそんなセイ
を破壊しながら吹き飛ばされたためバーサーカーに向かって一本道
あちらこちら積まれていたコンテナだったがセイバーはコンテナ
!
!
?
? !?
19
!
?
?
!?
﹁ッ
﹂
これにはバーサーカーも驚き固まり、直感で来ることを見抜いてい
たセイバーはその場から離れる。残されたバーサーカーは二匹の神
牛の頭をそれぞれ片手でおさえ、そのため金属片が飛んで行きアイリ
﹂
スフィールが受け止め隠す。
﹂
﹁ALaLaLaLaLa
﹁ガアァァァ
!
た。 !
﹁おっと
こりゃまずいのぉ
﹂
そのまま神牛二匹が浮かび上がる。
﹁グルアァァァァ
﹂
バーサーカーは、手加減したとは言え対軍宝具を受け止めて見せ
ライダーは感心したように呟く。
﹁⋮⋮⋮ほう、なんと⋮⋮﹂
!
!
バーサーカーはランサーの後ろを取ったときと同じように、瞬間移
は無いだろうからこれもマスターの命令だろう。
は分かっていたという警告だろう。当然、バーサーカーにそんな知能
わざわざみる必要はないだろう。おそらく、初めから隠れているの
配を隠しているアサシンが隠れている場所だ。 それはセイバーの本当のマスター切嗣、切嗣の部下舞弥、そして気
そして、首を動かしながら三度止める。
ほぼ完治しているセイバー。神牛に引かれる戦車に乗ったライダー。
左腕を負傷しているが、バーサーカーに投げ飛ばされたときの傷は
そして、辺りを見回す。
し後ろに飛び退く。
し、バーサーカーはその一撃には自分を傷つけるだけの力があると察
ライダーは両手の塞がったバーサーカーに向かって剣を振り下ろ
!
動のごとく消え去った。
20
!?
説明
バーサーカーは屋敷に戻ると狂化を解き人の姿に戻る。そのまま
寝てたんじゃ⋮⋮⋮﹂
ベランダから屋敷の中に入ると、ポフっと何かが飛びついてきた。
﹁桜
飛びついてきたのは、桜だった。桜はバーサーカーから離れるとポ
﹂
コッとバーサーカーの腹を叩く。
﹁⋮⋮⋮何だ
⋮⋮⋮。
﹁⋮⋮腕、切れてた﹂
﹁治ったけどな﹂
﹁肩も⋮⋮﹂
﹁治ったけどな﹂
﹁⋮⋮⋮⋮治れば良いとでも思ってるの
正論である。
﹂
生き残っていたほんの数匹の蟲を雁夜のように使い魔にしていたか
おそらく遠見か何かの魔術を使ってみていたのだろう。もしくは、
⋮⋮﹂
﹁あ の 爺、桜 ち ゃ ん に 少 し と は 言 え 魔 術 を 覚 え さ せ て い た み た い だ
り説明する。
た雁夜に向ける。その視線の意味を察したのか雁夜は慌てて首を振
その言葉を聞きバーサーカーは責めるような視線を先に帰ってい
再び桜の拳がバーサーカーの腹に当たる。
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
﹁危ないことは、しないって言った⋮⋮﹂
?
﹁悪かった、次からは気をつける⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮⋮今度こそ、約束守ってくれる
﹂
桜はそんなバーサーカーを責めるように何度もポカポカ殴る。
具である剣を出せばランサーに切られることもなかった。
バーの剣を防げると慢心していたのは認めるが、ならばこそその後宝
腕が生えるからと言ってわざわざ腕を切らせる必要はない。セイ
?
?
21
?
﹁ああ⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
バーサーカーは桜の頭をなでながら言うと、桜はとりあえず納得し
たのかバーサーカーから離れ今度こそ眠るために部屋に戻った。
マスター⋮⋮﹂
そして、バーサーカーは視線を雁夜に向ける。
﹁何時まで壁に寄りかかってんだ
﹁気づいていたか⋮⋮⋮﹂
いか
﹂
﹂
﹁⋮⋮⋮それより、お前が強いのはわかったが、詳しく説明してくれな
バーサーカー付いてくるのをしぶった理由もそれだ。
だ。
月は持ったが、それを失った今、長くて一週間半は生きれればいい方
刻印蟲自身が宿主を食らいながらも魔力を提供していたので一ヶ
けだが、それでも多い方だった。
で急造の魔術師に仕立て上げた。その結果、余命は一ヶ月になったわ
かった。それ故に、間桐臓硯は雁夜に刻印蟲と言う蟲を埋め込むこと
師としては三流以下でとてもサーヴァントを呼び出せるはずもな
雁夜は魔術師となるのが嫌で家を飛び出していた、そのため、魔術
﹁気にするな、お前のせいじゃない﹂
﹁⋮⋮マスター⋮⋮﹂
する。
せる。雁夜はソファーに身を沈めるように力なく背を曲げ肩で息を
ちょうど部屋に入ってきた鶴野が慌てて肩を貸しソファーに座ら
﹁お、おい
雁夜は皮肉げに笑うと崩れるように腰を落とす。
?
雁夜は少しでもサーヴァントの事を知り作戦を考え、早急に聖杯戦
フルプリング
争を終わらせる気なのだろう。バーサーカーもそれを察し話し始め
る。
﹁まず俺がセイバー相手に街灯で戦えた理由、これは完現術って呼ば
れるこの英雄が使える力の一つだ﹂
22
!?
﹁⋮⋮⋮ああ﹂
?
バーサーカーはそう言って自分の胸に手を当てる。
完現術とは、者に宿る魂を引き出しその魂に自分の力を与え強大な
力に変える力。使い慣れたものなら物質自体の形を変え能力を加え
ることも出来る。これで街灯を強化したのだ。
クインシー
﹁次に魔力を吸収した方法だけど、これはこの英雄の血筋に関係して
る⋮⋮⋮﹂
バーサーカーの殻となっている英雄黒崎一護、彼には滅却者と呼ば
れる者達の血が流れ、滅却者は周囲の霊子、この世界で言う魔力を自
分の力に変える事が出来る。これのおかげで雁夜はバーサーカーと
まだ使ってないよな
召喚されたとき持ってた刀がそれか
言う強大なサーヴァントを使用しながら干からびずにすむわけだ。
﹁宝具は
﹂
?
﹂
?
な反応を示す。
?
ああ、いや⋮⋮⋮明らかに武器ではないモノがあったからな﹂
﹁ど、どうした
﹁ん
﹂
自身の宝具を確認する中、まるであり得ないものでも見たかのよう
身の内に宿る力を確認していたバーサーカーはピタリと固まる。
モノは││││ん
﹁ああ、宝具の真名は天鎖斬月。この英霊を表すのにこれ以上適した
?
確かに武具には見えないが、これも宝具なのだろうか
﹂
﹁これは、代行証だよ⋮⋮﹂
﹁代行証
﹁死神
﹂
﹁死神って、あの⋮⋮
﹂
﹁死神代行戦闘許可証。通称代行証⋮⋮⋮﹂
?
?
バーサーカーはそう言って髑髏の描かれた五角形の板を取り出す。
?
んとも物騒な単語だ。
﹁死神ってもお前等の想像してるのとは違うぞ
?
﹁あ、ああ⋮⋮お前はその英雄の死神の殻をかぶっているだけだった
ねえ⋮⋮﹂
後、俺は死神ですら
雁夜と鶴野は死神と言う単語に面食らって目を丸くする。死神、な
?
!?
23
?
な⋮⋮⋮。それで、どんな存在なんだ
のか、少し見てみたい気もする。
﹂
とりあえず今はこんな所か⋮⋮⋮。
﹂
﹁とりあえず使える宝具は天鎖斬月で良いんだな
﹁ああ、魔力を乗せると斬撃が飛ぶ﹂
?
まく行けばアインツベルンと手を組めるかも知れない。
だがまあ、これさえあれば雁夜の延命も出来るかも知れないし、う
の男や胡散臭い下駄帽子の無二の友達が猫の店長ぐらいだろう。
徴。これを宝具とするならそれこそ眼鏡を取るとイケメンになるあ
これは確かに黒崎一護のでる漫画のものだが、宝具とは英霊の象
﹁⋮⋮何でこれが⋮⋮⋮⋮﹂
本当の理由の宝具を取り出す。
二人が部屋から出て行くのを見送った後、バーサーカーは驚愕した
﹁部屋まで肩を貸そう﹂
﹁⋮⋮⋮俺は、今日はもう寝る﹂
なるべく早く終わらせたいのだろう。
雁夜の言葉にバーサーカーは眉をしかめる。
からないし下手に行動すべきではない。
となると力任せで聖杯戦争に勝てそうだが、相手の宝具の威力もわ
としかない。
威力はとりあえずおいておき、後は戦闘を見ている時にわかったこ
﹁⋮⋮そうか﹂
﹂
バーサーカーはそう言ってはぁ、とため息を吐く。そんなにダサい
しな⋮⋮﹂
﹁武器として使えなくはねぇけど⋮⋮⋮ダサいし死神の力の方が上だ
﹁しかし⋮⋮本当に使えないのか
かそんな理由で死神が生まれ、黒崎一護は死神代行となった。
あの世とこの世の魂の数が傾くと、二つの世界が入り混じるだった
としてあの世に送ったりする、魂のバランサーだな﹂
﹁現世に止まる霊を成仏させたり、悪霊に堕ちた霊を倒してもとの霊
?
﹁⋮⋮⋮いや、切嗣自身はアインツベルンとは別の願いか⋮⋮⋮⋮﹂
24
?
まあ取りあえず、聖杯戦争が終われば悔いはないと思っている雁夜
に生きる気力を持ってもらわなければ。
願いが無ければこれは単なる不滅の玉でしかない。
25
考察
セイバー陣営では重いが流れていた。
一つ目の理由は、アーチャーと言う強力なサーヴァント。正体は
バーサーカーのおかげでわかったがだからといってそんな簡単に対
策の練れる相手ではない。
次 に キ ャ ス タ ー の 奇 行。セ イ バ ー を ジ ャ ン ヌ と 勘 違 い し つ け ね
らっている。
そして、セイバーの腕に不治の傷を負わせたランサー。彼を倒さな
ければセイバーの本来の力は激減してると言って良い。そして、優良
のサーヴァントであるセイバーを圧倒し、魔術を使い隠れていたはず
のケイネスを発見したバーサーカー陣営。
バーサーカーの強さも勿論だが、ケイネスの魔術をあっさり見破り
バーサーカーに命令を下せるほど完全なる制御をしているマスター
﹂
のサーヴァントはどこの英雄だ
ってズボンを履いてるように見えたけど﹂
⋮⋮⋮いや、相手は三家の一つ⋮⋮イレギュラーな行為
﹁⋮⋮日本の袴
﹁袴だって
?
事実アインツベルンも、本来存在しないクラスのサーヴァントを呼
び出した。同じ三家である間桐が同じようにズルをしないとは言い
26
も一筋縄ではいかないだろう。調べた時は急造の魔術師だったが誤
りだったようだ。
﹁アイリ、傷は平気か
いたのだろうか
サーカーはまさかアイリスフィールが聖杯を隠す外装だと見抜いて
が、セイバーが後少し遅れていたらどうなるか⋮⋮。と言うかバー
何らかの事故で器が壊れないように術式をかけた殻を被せていた
ルの中にある聖杯を狙ったこと。
そして、もう一つの問題はバーサーカーが明らかにアイリスフィー
﹁ええ、殻の一部を取られたけど、すぐに術式を組み直したわ⋮⋮﹂
?
そもそもセイバーのクラスで召喚されたアーサー王を圧倒するあ
?
?
をしても不思議ではないか⋮⋮﹂
?
切れない。もっとも、こちらも同じ事をしたことがあるのだから責め
ることは出来ないが⋮⋮⋮。
﹁だが、サーヴァントの正体を知られないための偽装である可能性も
あるか⋮⋮﹂
そんなこといちいち考えていたらキリがないが⋮⋮。唯一確実な
のは胸に穴が空いていると言うこと。
後は、あの回復力から考えて不死の特性を持ってるのだろうか
らかに槍より太いもので開けられていたが。
﹁⋮⋮でもなんか、アレに似てるわよね⋮⋮﹂
死神は死を運ぶもので、英雄ではなく魂を肉体から切り離す神だ。
﹁そ、そうよね⋮⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮アイリ、それは流石にありえないよ﹂
な∼⋮⋮なんて⋮⋮﹂
﹁正体とかじゃなくて⋮⋮⋮ほら、骨の顔に黒い服って、死神みたいだ
恥ずかしそうに頬をかく。
だとしたら攻略の糸口が見えるかも知れない。しかし、アイリは気
﹁ッ、アイリ、あのサーヴァントの正体に心当たりが
﹂
もっとも、それは右胸だし、あのサーヴァントは真ん中に、しかも明
キリストは復活した際、処刑されたときの傷が残っていたという。
﹁胸に穴⋮⋮⋮まさかと思うが、キリストじゃないだろうな⋮⋮⋮﹂
?
神を呼べるはずもないし、そもそも死神と一口に言っても様々な神話
で死を司る神は違う。
結局正体はわからず終いだ。
おのれ狂犬がぁ
﹂
!
ヴォールメン・ハイドラグラム
張った月 霊 髄 液を紙の装甲のように貫き左腕の三分の二を吹き
飛ばした。
27
?
ケイネスはホテルのベッドの上で呻く。右手で左腕の﹃残りを﹄を
おのれ
包む包帯をかきむしり包帯が取れかかっていた。
﹁ぐおぉ
!
あの時、バーサーカーが投げたランサーの槍はケイネスの咄嗟に
!
接合は不可能。
﹁私の魔術を見抜いただと
有り得ん、有り得ん
﹂
!
術師に先手を取られたと憤慨する。
バーサーカー陣営はマスター共々殺してやる
!
このタイミングで火事が起こるとなると十中八九どこかの陣営の
のだった。
はフロントで、下の階で火事が起こったので避難して欲しいと言うも
ケイネスは妻のソウラに頼むとソウラは電話をとる。電話の相手
﹁⋮⋮⋮わかったわ﹂
﹁⋮⋮すまん、ソウラ⋮⋮出てくれ﹂
ぐ電話がなった。
ケイネスの叫び同時に、ホテルの火災報知器が鳴り響く。そしてす
﹁殺す、殺してやる
﹂
怒りに鈍った思考はそんな当たり前の事も考えず対して力のない魔
であろう人間。たまたま呼び出した可能性もあるのだがケイネスの
ことは、デメリットを差し引いても強力なサーヴァントが欲しかった
代わりに操りにくくなると言うデメリットのある召喚を行うと言う
今回の聖杯戦争でバーサーカーのようなステータスの底上げする
!
仕業だろう。ケイネスは身体をお越しながら予備の月霊髄液の準備
をする。
良かろう
八つ裂きにしてくれる
﹂
!
た。
間桐邸に二つの影が接近していた。
どちらも白い仮面を付け黒い格好をしたサーヴァント。アサシン
である。アサシンは本来遠坂時臣のサーヴァントであるアーチャー
に殺されたと認識されているが、その宝具の特性上、複数存在するた
め一体殺されたところで何の苦もない。
現 在 ア サ シ ン 達 は マ ス タ ー で あ る 綺 礼 の 命 に よ り 各 陣 営 の マ ス
ターたちの監視をしに行くところだ。本来なら1人でいいだろうが
28
!
﹁何処の誰だか知らないが、腕一本なくなったぐらいで私に勝てると
でも
!
その瞬間、ホテルのあちらこちらで爆発が起こり、ホテルが倒壊し
?
二人でいく理由は単純、前任のアサシンが消滅したからだ。
しかし聞けば間桐のマスターである間桐雁夜は急造の魔術師。お
そらく偶然だろうと片付けもうじき間桐邸が見えると言うところま
で接近している。
︵⋮⋮この距離で何もない。やはり、警戒しすぎだったか⋮⋮︶
結界の気配も感じられない。このままマスターを殺害することす
らできそうだ。暗殺者としてそんな獲物を前にして高揚感を感じる。
﹂
身体が軽い、まるで首からしたが無くなったように││
﹁││⋮あれ
﹂
﹁その仮面、まさかバーサーカーか
﹂
ンジの髪、そして、その顔の左上半分が仮面に覆われていた。
背格好はこの時代では高校生と言われる年齢。ラフな格好にオレ
アサシンは突如現れた男に目を向ける。
﹁なっ
力なく倒れる。それがそのアサシンが見た最期の光景だった。
えたのを理解したのか、脳の命令を少しの間だけ行えただけなのか、
格好的に同胞だろう。首を失った身体はようやく体を操る脳が消
アサシンは目の前を走る首のない体をみる。
?
ロ
バ
り使いたくない。
ラ
ソニード
ペ
ス
キ
ス
虚閃と言う技も使えるが、あれは下手したら町が消し飛ぶのであま
セ
︵このぶんなら虚弾も使えそうだな⋮⋮︶
た。
滅却者 の 能 力 は 問 題 な く 使 え る し 響転、探査回路 も 問 題 な く 使 え
クインシー
うに自分の手をみる。
バーサーカーは消えていく二つの死体見てから興味をなくしたよ
それがアサシンの聞いた最期の言葉だった。
﹁ああ、バーサーカーだよ﹂
の手には何やら紋様が浮かんでいる。
していた。すぐさま切りかかるが、バーサーカーは素手で止める。そ
四分の一しか顔を隠していない仮面はバーサーカーのものと告示
!?
29
!?
ホロウ
グ ラ ン レ イ セ ロ
セロ・オスキュラス
一応は虚の力な訳だからどの程度使えるか確かめてみたが問題な
エスパーダ
さそうだ。
十 刃 クラスの霊力も有しているわけだから王者の虚閃や黒 虚 閃
も恐らくは撃てるだろう。
もともと月牙天衝は黒虚閃に似ているらしいし。問題は、使うとど
れくらい被害が出るかか⋮⋮⋮。
﹁使う機会が無いことを祈るか﹂
バーサーカーはそう言って屋敷の中に戻っていった。
30
休日
その日の朝、教会からキャスター討伐命令がくだり雁夜がどうやっ
て探すかと考えていると、唐突に桜が何かのチラシを持ってきた。
﹁⋮⋮⋮ここ、行きたい﹂
それは遊園地のチラシ。
Dズニーランドと言う近辺の遊園地の右目が上を、左目が下を向い
た灰色のネズミがマスコットが描かれている。
﹂
﹂
戸籍上父親なんだし﹂
﹁⋮⋮⋮ごめん桜ちゃん。オジサンには用事があるから⋮兄貴に頼ん
だらどうだ
おとーさんが
﹁桜様の身の安全は俺が守ります
﹁は
!
?
﹁おい桜
お前最近生意気だぞ
﹂
!
﹂
チビった⋮⋮⋮。
!
りませんから﹂
﹁⋮⋮⋮次期当主
それは無いですよ、兄さんには魔術師の素養があ
しかし目に見える不快感を一切緩めない。
慎二の足はプルプル生まれたての子鹿のように震えている。桜は
﹁ぼ、僕は次期当主だぞ
﹂
ぼてとは言え存在する自信が無ければ気絶したかもしれない。少し
キブリでも見るような不快感を隠さない視線に、慎二を固まる。張り
悲しいかな、所詮は張りぼての自信。道端の小石どころか潰れたゴ
﹁あ
さらに彼を調子づかせる。が││
なり、自信に満ちた性格が幼い同世代達ではリーダーシップを発揮し
そんな他人とは違うと言うところが彼が自分を特別視する要因と
伝えられていないから今も魔術師になれると思っている。
彼は、自分が将来魔術師になることを疑わなかった。いまだ真実を
!
それに不快感を表したのは鶴野の息子慎二。
鶴野を睨む。
自信満々に声を上げた鶴野に桜は道端の小石でも見るような目で
?
?
31
?
?
﹂
もしかして勘違いしてました
﹁⋮⋮⋮⋮へ
﹁あれ
は幼稚園までだよね﹂
た。
きもーい、妄想が許されるの
?
﹂
?
ないが。
だが顔を隠すには持って来いだ。
みるとなお可愛くないな。
桜が取り出したのはチラシに描かれたネズミの被り物。三次元で
﹁ん﹂
られることもあるだろう。
外に出て捕まることはないだろうが職質はもちろん、子供達に怖が
﹁わかった⋮⋮でも、この顔じゃなぁ﹂
サーカーは居ないし。
命、せ め て 桜 と 思 い 出 を つ く っ て や る べ き だ ろ う。ど の み ち、バ ー
本来ならキャスター討伐に行くべきなのだろうが、残り少ない余
桜はチラシで口を隠しながら小首を傾げる。
﹁⋮⋮⋮ダメ
﹂
に、今はキャスター以外とは戦闘禁止だ。全員が守っているとは限ら
配を掴める距離にいると言っていたので大丈夫だろうが⋮⋮。それ
れでも令呪で呼べばくるだろうし、一瞬で移動できなおかつ近辺の気
バーサーカーは私用があるからと何処かへ行っているし。まあ、そ
から頭が痛い。しかも桜には悪気がいっさいないから手に負えない。
バーサーカーは普段真面目なくせにたまにこう言うところがある
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
かかせないための隠語って⋮⋮⋮﹂
﹁﹃アナタの言っていることは間違っています﹄と言うのを周りに恥を
﹁どんな意味か理解してる
﹁バーサーカーが、人のダメな部分を教えるときに使えって⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮桜ちゃん。それ、誰に教わったの
﹂
で吐く。慎二は﹁生まれてきてごめんなさい﹂と言いながらうなだれ
桜は全くの無表情で誰から学んだのか人の心を抉る言葉を棒読み
?
?
?
32
?
﹁しかし、Dズニーランドってなんだ
﹁ッ
﹂
﹂
﹁また来たい。死んじゃ、いや﹂
いだろう。
﹂
今日はここに来たが、明日からは聖杯戦争に集中しなければならな
尽きているかもしれない。
バーサーカーも、聖杯戦争が終われば消えるし、雁夜自身も寿命が
﹁そ、それは⋮⋮﹂
﹁今度は、バーサーカーも一緒に⋮⋮﹂
事実、桜も少し前まで怯えていた。
ん だ 顔 半 分 が 露 わ に な り ふ つ う の 子 供 な ら 直 視 す ら つ ら い だ ろ う。
顔を眺める。人気のない道なのですでに被り物は取っているため、歪
無理だ、次の機会などあるとは思えない。だが桜はジッと、雁夜の
桜のその言葉に雁夜は固まる。
﹁⋮⋮え﹂
﹁⋮⋮また、来れる
マスコットの存在を無視すれば普通の遊園地として楽しめた⋮⋮。
最初のを除けばアトラクション自体は普通だ。
﹁⋮⋮あ、ああ⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮楽しかったね﹂
園地が全く理解不能だと言うことだけ理解できた。
桜はDズニーランドの設定を学べるアトラクションに入り、この遊
被ってなんだが、正気を疑う。
ン ド に つ け ば 同 じ よ う な 被 り 物 を し て い る 者 が 沢 山 い た。自 分 も
Dズニーランドまで向かう間、人の目がきつかったが、Dズニーラ
?
桜も雁夜と同じような目に遭っていた。雁夜は桜より短期間で、桜
より急造に、それが危険だという事は幼いながらも理解できたのだろ
う。
33
?
桜のその言葉はヤケに確信めいていた。
!?
﹁⋮⋮でも、俺は⋮⋮﹂
﹁私だけ、助かるなんて嫌。皆で、一緒にいたい﹂
﹁桜ちゃん⋮⋮﹂
それは、見方を変えれば何も知らない子供の我が儘だが、だからこ
そ純粋で雁夜の心に響いた。
﹂
﹂
そして、思ってしまった。生きていたいと⋮⋮。
﹁⋮⋮オジサン
気がつけば雁夜は桜を抱きしめていた。
微かに震えるその腕を、桜はそっとふれる。
﹁⋮⋮⋮桜ちゃん、俺、一つ嘘をついて良いかな
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
﹁俺は、バーサーカーの願いをかなえると約束した⋮⋮⋮でも、聖杯
に、延命を求めて良いかな⋮⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮⋮大丈夫だよ、きっと⋮⋮バーサーカーも解ってくれる﹂
桜はバーサーカーの為に買ったお土産の入った袋を大事そうに抱
えながら歩く。
雁夜は気が気ではない。バーサーカーは本来戦場を写し世界に放
映しているだけだったただの人間が偶然英雄の殻を被り英雄同士の
戦いに巻き込まれた存在だ。
そんなバーサーカーが圧倒的な力を持っていたからとは言え共に
戦ってくれたのは雁夜自身がバーサーカーの為に聖杯に願おうとし
たからだろう。それを今更変えたいなんて⋮⋮⋮。
桜はああ言っていたがものすごく不安だ。
﹁ただいま﹂
そんな思考をしている間に家についてしまった。桜とともに中に
入ると、帰ってきていたのかバーサーカーが﹁お帰り﹂と出迎える。
その後ろに薄幸そうな褐色肌の少女がバーサーカーの服を掴みな
がらこちらを除いていた。
バキャ
34
?
?
そして、桜の抱えていたお土産が無惨にも砕けた。
35