気がついたら完全虚化一護になってた ID:71253

気がついたら完全虚化
一護になってた
アランカル
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小説の作者、
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︻あらすじ︼
完全虚化状態の一護に憑依していた主人公は、雁夜のバーサーカーとして召還され
た。
召喚 │││││││││││││
目 次 目的 │││││││││││││
1
休日 │││││││││││││
考察 │││││││││││││
説明 │││││││││││││
戦闘 │││││││││││││
対面 │││││││││││││
5
14
23
31
45 38
召喚
聖杯戦争。
どんな願いでも叶えることのできる願望器を巡り、魔術師達が争う儀式。
そのルールは簡単、英霊と呼ばれる英雄たちを使役し戦わせ、英霊を失うかマスター
が死ねば終わり。そんなマスターの1人が英霊、サーヴァントを召喚した。
本来なら、ランスロットなどの円卓の騎士の1人を呼び出すつもりで。たが│││
﹁⋮⋮⋮何じゃ、コイツは﹂
現れたのは異形。どうみても騎士には見えない。と言うか持っているのは黒い日本
刀だ。日本の英霊だろうか
間桐臓硯は目の前の英霊の力に戦慄する。この英霊は、自分と同じだ。人間であるこ
なんだこの英霊は│││いったい何処の、いや、それよりも
髪はオレンジで仮面の隙間から垂れていた。
は白く胸に穴があき、そこからも黒い紋様が左右に広がっている。
躯のような仮面には湾曲した角が二本生え、黒い紋様が左右対称に降りている。全身
﹁⋮⋮⋮⋮⋮グルル⋮﹂
?
1
とを捨てたように、自分の種を超える力を手にした存在だ。
そして、その英霊が片手を振るうと、地下が揺れる。臓硯はバラバラに吹き飛ぶが、何
令呪を持って服従させん│││﹂
事もなかったかのように笑っていた。
﹁雁夜、何をしておる
﹂
?
﹂
﹂
雁夜は英霊を眺める。英霊は何もしない。こちらを主と認識しているのだろうか
英霊は無言でうなずいた。
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
﹁⋮⋮殺したのか
すると英霊は雁夜を見据える。
尋ねてくる雁夜を無視して英霊は何かを食うような動きをする。一通り食う動きを
﹁⋮⋮⋮⋮な、何をしたんだ
英霊はそれを噛みちぎる。すると臓硯は倒れ動かなくなった。
貫いた訳ではない、血も流れず、英霊が手を引き抜くとその手には鎖が握られていて、
英霊は臓硯の胸に手を沈める。
!
た。
再び無言で頷く。バーサーカーは話すことは話したとばかりに霊体化して姿を消し
?
?
?
﹁お前はバーサーカーか
召喚
2
3
雁夜はバーサーカーをもう一度呼び出そうかと考えた瞬間、全身に激痛が走る。その
あまりの激痛に雁夜は意識を失った。
あ⋮ありのまま今起こった事を気がついたら黒崎一護︵完全虚化バージョン︶になっ
ていた。な⋮何を言っているかわからねーと思うが俺だって何を言っているかわから
ない。頭がどうにかなりそうだ。
夢とか幻覚とかそんなチャチなもんじゃあ、断じてねえ。もっと恐ろしいものの片鱗
を味わったぜ⋮ 。
とまあ、一護になったわけだが、何故かfateの世界だった。何だよ、何でだよ⋮⋮
何故か滅茶苦茶強化されているのもわかる。
とりあえずバーサーカーとして雁夜っちに召喚され、なんか同族でも見るような目で
見てきたムカついたのでぶっ飛ばしたら復活したので魂を引き吊り出して食い殺して
やった。ああ、すっきりした。
雁夜っちは俺がバーサーカーかどうか尋ねてきた。おいおい、明らかに暴走形態だろ
うが、バーサーカーに決まってんだろ。
そして俺が霊体化を試していると気絶した。全身から虫を吐き出している⋮⋮⋮。
召喚
4
あと虫プールの虫達がギィギィ呻いて苦しみ、死に絶え、人間の手が覗く。虫にふれ
この子も皮膚を突き破って虫が出てきてるし⋮⋮⋮
ないように空中に立ちながら引き抜くと見事なロリ美少女が裸で出てきた。
これ桜ちゃんじゃね
?
目的
雁夜が目を覚ますとベッドの上にいた。体中包帯を巻かれ、動く度に節々が痛む。
桜ちゃんは⋮⋮⋮﹂
窓の外見ればちょうど日が昇るところだ⋮⋮⋮⋮。
﹁俺は⋮⋮⋮ッ
いるのか
﹂
早く変わってくれ
﹂
!
?
やっと起きたのか
!
﹁何を、しているんだ⋮⋮
﹁か、雁夜
!
らう桜、そしてそんな二人を観察、と言うより見張っているバーサーカーがいた。
そこには、何故か子供相手に敬語を使う自身の兄鶴野と鶴野からお粥を食べさせても
﹁グルルル﹂
﹁あーん⋮⋮﹂
﹁は、はい桜さん⋮⋮⋮あーん﹂
雁夜はすぐさま桜の自室に向かう。そこには│││
?
記憶が夢でないのなら、すぐにあの地下室から助け出さねば、いや、もう助けられて
どうして自分がここにいるのか気になったが、それよりも桜だ。
!
5
﹁いや待て
状況が飲み込めん
﹂
!
﹂
!
立ててきた。
﹂
しかし世話を命じるか、ひょっとして数日ほど寝込んでいたのだろうか
﹁俺が寝てどれほどたった
﹁そうか⋮⋮⋮様
﹂
﹁三日だ⋮⋮⋮桜様は一昨日の昼に起きた⋮⋮﹂
?
﹁え
し、少々お待ちを⋮⋮⋮﹂
﹁おとーさん、私梅干し食べたい﹂
ランクが上がってる。何があったいったい。
?
﹁いってきます
﹂
そして、バーサーカーは雁夜の前に立つとその場で平服する。
鶴野は慌てて台所に向かっていった。だから何があったんだ。
!
?
雁夜がバーサーカーに視線を向けるとバーサーカーは雁夜に何を思ったのか親指を
消し飛ばして脅してきたんだ
﹁あ、あの化け物が、俺に桜の世話をしろと⋮⋮逆らおうとしたら上空の雲を赤い光線で
!
﹁じゅー、きゅー、はーち││﹂
!?
﹁ば、バーサーカー⋮⋮⋮お前、本当に狂っているのか ⋮⋮⋮て、聞いても意味ないか﹂
目的
6
?
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
雁夜の言葉にバーサーカーは顎に手を当て考える。仕草にいちいち理性を感じ、狂っ
﹂
ているとは思えないのだが⋮⋮⋮。そして、バーサーカーの体に亀裂が走る。
﹁バーサーカー
れた。
んなのコイツ
本当にバーサーカーなの
?
﹁イレギュラー
﹂
﹁ああ、例え│││﹂
バーサーカーが話を始めようとしたとき、部屋の扉が開き鶴野が入ってきた。
!
?
﹁梅干しもってきました
﹂
﹁俺はバーサーカーだよ⋮⋮⋮ま、いろいろイレギュラーはあるみたいだがな﹂
?
バーサーカーはと言うと自分の手を閉じたり開いたりして感触を確かめている。な
﹁おお、できたできた⋮⋮﹂
なっている。
これには、と言うかこれも驚いた。訳の分からないことばかりだ。何がいったいどう
﹁⋮⋮⋮⋮⋮は
﹂
雁夜が叫ぶ中、バーサーカーの全身に亀裂が広がり⋮⋮⋮中から高校生ほどの男が現
!?
?
7
﹁⋮⋮⋮⋮⋮あ、あれ
﹁わーい﹂
﹂
ああ、日本人として⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮さて、お前は佐々木小次郎を知ってるか
﹂
場の空気が凍ったことに気づいた鶴野と無邪気な桜の声が響いた。
?
?
﹁⋮││つまり、お前は異世界においても存在しない英雄だと
﹂
﹁俺の場合、異世界に存在する話の主人公の殻をかぶって召喚されたわけだ﹂
佐々木小次郎に近い無名の英雄が佐々木小次郎の殻をまとい召喚されるらしい。
佐 々 木 小 次 郎 と は 本 来 存 在 し な い 英 雄 だ が、サ ー ヴ ァ ン ト と し て 召 喚 し た ば あ い、
そんな空気を無かったようにするためバーサーカーが話を始める。
﹁ん
?
?
保っているんだと思う⋮⋮﹂
それって結構やばくないか
そんな異世界の英雄の殻を、それも力と引き替えに理性を失っている状態の力をふる
もあると聞く。
目の前の男が異世界の人間だとしても、魔術にはそのような平行世界に干渉するモノ
?
発 的 な 力 を 手 に 入 れ た 際 の 姿 ⋮⋮⋮ 俺 は そ の 殻 を 被 せ ら れ て い る だ け だ か ら 理 性 を
﹁ああ、さっきまでの姿はその英霊が自らの敵である存在と自身の種族の境界を越え爆
目的
8
﹂
いながらしかし理性を保てる。
﹁それは、強いのか
﹂
じゃないな、それでも超強いぞ﹂
﹁⋮⋮⋮具体的には
桜はもう救えたんだし⋮⋮⋮。
﹁山を数個も吹き飛ばすエネルギー体を素手で握りつぶせる程﹂
これ聖杯戦争勝てたんじゃね
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
いや、でもそもそも勝ってどうなる
その名を思い出しただけで雁夜は苦虫を噛み潰したような顔になる。
﹁いや⋮⋮時臣が残っている﹂
?
?
﹂
﹁あ∼あ、その事なんだけどよ⋮⋮⋮ある意味では桜は助かったのかもしれねーぞ
﹁何だと、どういう意味だ
?
?
魔術協会にホルマリン漬けにさせるかもしれなかったと
﹂
﹁⋮⋮つまり、そんな存在を遠坂家に置けば何が起こるかわからんし、当主でないならと
りゃホルマリン漬け確定だ⋮⋮そして、遠坂の属性とも違いすぎて時臣の手に余る﹂
﹁落ち着け⋮⋮桜の属性、架空元素・虚数ってのはレアでな、魔道の家門の加護がなけ
!?
﹂
﹁力 を 記 さ れ て い る と こ ろ は、圧 倒 的 す ぎ て 本 気 な の か わ か ら な い が ⋮⋮⋮ 多 分 本 気
?
9
?
それなら副作用がつくと言え属性を変質させる間桐のやり方で魔術協会の目は誤魔
化せるわけか。
単に危険だから捨てたという可能性もあるわけだ。
﹁もっとも、それを向こうが知ってるとは限らねーが﹂
﹂
だが、幾分か殺意が和らいだ。
﹁⋮⋮桜ちゃんは安全なのか
﹁⋮⋮⋮⋮⋮お前は、何か願いがあるのか
﹂
﹂
?
﹂
?
﹁俺の親は戦場カメラマンと言う奴でな、母親もすでにいないので俺を連れながら戦場
唐突に訳の分からない話をしたと思ったら、自分が英雄の殻を被った理由らしい。
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
﹁俺の殻となっている英雄もそうだった⋮⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮⋮は
﹁信じるか信じないか勝手だが、俺は幽霊が見えるんだ﹂
と尋ねてくる。
バーサーカーは先ほどの発言を覚えているか
?
?
﹁⋮⋮⋮⋮俺は英雄の殻を被っていると言ったろ
﹂
らねー。それより、お前は聖杯戦争に参加するのか
﹁さあな。魔術協会も魔道の家門の当主相手にどこまで手段がとれるのかは俺にもわか
?
?
目的
10
を歩き続けた。俺には、死が当たり前のように感じた⋮⋮だからかな
もよかったんだ﹂
物心ついた頃に
は霊が見えてた。人が死んでも、霊となってまた会えると、俺にとって死なんてどうで
?
それにとりつかれて、もはや人の言葉を話してなかったよ、そ
?
﹂
?
ないのか
なんて言葉は誰も聞かず、俺も何時の間にか死んでいた⋮⋮そんな俺が願う
にバラまいた、これで良いのか、もっと真剣に向き合い、戦争を止めようとするべきじゃ
くて逃げたいんだろうって思って、俺は親父の真似をして戦場を撮りその光景を世界中
﹁⋮⋮⋮そうだな、苦しかった、逃げたかった、でも⋮⋮戦場で死んだ霊達はもっと苦し
桜はバーサーカーの手を握り顔をのぞき込む。
﹁⋮⋮⋮苦しかったの
怨差の声と理解し眠れない夜も何日も続いた⋮⋮﹂
んで死んでいった。それから戦場は地獄だったよ⋮⋮霊の言葉と認識していたそれは
いつ⋮⋮いや、アイツだけじゃない。俺が見てきた霊は全部そうだった。苦しんで、憎
未練とか言うのかな
なってた⋮⋮でも、話せなかった。
テ ロ っ て や つ で な ⋮⋮⋮ も ち ろ ん 霊 に な っ て い る ん だ と ば か り 思 っ て た。実 際 霊 に
﹁でもある時、その時期は長く止まってな⋮⋮⋮珍しく友人ができた、でも死んだ。自爆
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
11
?
としたら、世界平和かな﹂
﹂
﹂
﹁⋮⋮⋮⋮聖杯に願う願いが決まった﹂
﹁⋮マスター
﹁雁夜おじさん
たかが英雄の殻を被った一市民の戯れ言だぞ
﹁俺は戦争のない世界を願う⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮⋮正気か
﹁本気だ⋮⋮⋮﹂
?
﹂
﹁なら俺はお前の剣となり楯となる⋮⋮⋮よろしく頼む、マスター⋮⋮﹂
数秒キョトンとしたバーサーカーだったが、ふっと満足そうに笑う。
バーサーカーのどこか馬鹿にしたような言い方に、雁夜は即答した。
?
?
?
そして、桜が次の日目を覚ましたのでワカメに世話を頼む。桜にはジェスチャーでこ
消し飛ばしてあげたことに対してお礼をしてくれたんだろうな。
るように命れ⋮⋮頼んだ。素直に言うことを聞いてくれた。屋敷の壁ごとゴキブリを
の屋敷にはいるとワカメ頭がいた。俺はそいつが逃げ出したので捕まえ二人を治療す
ロリ美少女こと桜と白髪のオッサン間桐雁夜。俺は取り敢えずこの二人を抱え地上
﹁ああ⋮⋮⋮﹂
目的
12
のワカメに何でも頼んでいいと伝える。
この姿は一護
桜が目覚めて二日後、ようやく雁夜っちことマスターが目を覚ました。
マスターは俺が狂っているのか聞いてきた。そう言やどうなんだろ
ていたら、信じてくれた。俺の願いを叶えてくれると言った。
て言うか、いきなり幽霊が見えますなんて言われても信じられる訳ないか⋮⋮と思っ
う。
マスターは俺に願いは無いのか聞いてきた。俺はつい身の上話をしながら願いを言
そして俺は自己判断の結果をマスターに話す。でも多分間違ってないと思うな⋮⋮。
ジをすると通常時状態になり普通に話せた。
が狂化した姿とも言えるが、俺は狂ってない。全身の虚の部分がはがれるようなイメー
?
しろそうだし。
﹂
桜容赦ないな。今の内に多くの言葉を教えて将来毒舌家にしてみようかな⋮⋮おも
?
俺はその時決めた、コイツを聖杯戦争の勝者にしようと⋮⋮⋮⋮。
おとーさんは
でも冷静に考えると聖杯汚れてるから無理じゃね
﹁⋮⋮⋮あれ
?
﹁わー、おとーさん、スッカリ空気って奴だね﹂
﹁いますよ、ここに⋮⋮﹂
?
13
対面
バーサーカーは霊圧⋮⋮魔力のぶつかり合いを感じて目を覚ますと瞬時に姿が変わ
﹂
る。虚化はしていないが、そして、黒い死覇装をまといベランダに出る。
﹁バーサーカー⋮⋮
﹁桜⋮⋮﹂
﹁帰って、くる
﹁ああ⋮⋮﹂
﹂
﹁⋮⋮戦いに行くの
﹂
聞こえてきた声に振り返ると、そこには眠そうに目をこする桜と鶴野がいた。
?
?
た。
﹂
そう言うと桜は納得したのかフラフラ覚束ない足取りで自分の部屋に向かっていっ
﹁ああ、約束だ⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮絶対に
﹁今日は様子見のつもりだからな、危ないことはしねーよ﹂
?
?
﹁鶴野、桜を頼むぞ⋮⋮﹂
対面
14
﹁へい兄貴
桜様の安全は俺が守ります
﹂
!
見送る。雁夜は屋敷の外で待機していた。
鶴野は三日前の自分が見たら間違いなく卒倒するようなことをしてバーサーカーを
!
暴れろ﹂
!
﹂
!!
だが、どちらも戦いを止める気はない。再びぶつかり合おうとした時、雷がほとばし
剣戟の末、セイバーは決して消えぬ傷を左手に受けた。
バー、片方はランサー。
魔 力 の ぶ つ か り 合 い の 正 体 は、2 体 の サ ー ヴ ァ ン ト の ぶ つ か り 合 い。片 方 は セ イ
鬼は一声吼えると宙を駆けあっという間に雁夜の視界から消え去った。
﹁オォォォォォォォォォオッ
そして、そこにいたのは黒い衣をまとった鬼だった。
した液体が溢れ、バーサーカーを包んでゆく。
雁夜の言葉にバーサーカーの目と口と鼻、そして突如あいた胸の穴から白くドロドロ
﹁⋮⋮了解
﹂
﹁安心しろ、邪魔にならないように隠れているさ⋮⋮⋮だからバーサーカー、好きなだけ
﹁マスター⋮⋮﹂
15
﹂
我が名は征服王イスカンダル
り牛に引かせた戦車に乗った大男が現れた。
﹁双方武器を納めよ、王の御前である
においてはライダーのクラスを得て現界した
此度の聖杯戦争
!
たっていると、ウェイバーの師、ケイネス・エルメロイ・アーチボルトの声が響いた。 仲間も出来ず真名を知られ何一つ得もないこの状況にウェイバーがライダーをに当
かの王に見初められるとは人によっては名誉のことだが、二人は断った。
ライダーが現れた理由は至極簡単、仲間にならんかと言う提案だった。
がデコピンを食らった。
事実ライダーのマスターウェイバー・ベルベットも何をしているこの馬鹿がと攻める
から。
名乗るとあうことは、自分の宝具を予測させなおかつ弱点を知られる可能性もあるのだ
イスカンダルと名乗ったライダーに全員が唖然とする。それはそうだろう。真名を
!
!
ウェイバーは顔を青くしてふるえるが、ライダー戦場に立てぬ男など役者不足と言い
切った。
今
ここに集うがいい
!
なおも顔見せを怖じるような臆病
そして、ライダーはなにを思ったのか突然大声で叫び始めた。
﹁聖杯に招かれし英霊ども
!
者は征服王イスカンダルの侮蔑を免れぬものと知れ
﹂
!
!
対面
16
あまりに豪快なライダーの行動に現状を確認していたマスター達はあきれ、ライダー
の声を聞き1人の英霊が街灯の上に現れる。
﹁そこまで言うんならまず名乗りをあげたらどうだ
雑種風情が王たるこの我に向けて
れの威名を憚りはすまいん﹂
﹄
﹂
﹂
﹂
﹁ヒッ
﹁おう
!?
?
強大な魔力を感じる。
﹁む
!? ?
﹃ッ
貴様も王たる者ならばまさかおの
我が拝謁の栄に浴してなおこの面
そう言って金色のサーヴァントは空に二本の宝具を出す。それと同時に││
貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すらない﹂
﹁問を投げるか
?
?
?
これには王であるセイバーも眉根を寄せる。
が世に知れ渡る王だと言うが金色の英霊は王は自分だけ、他は有象無象だと言い切る。
まさか王を自称することに難癖を付けられるとは思っていなかったライダーは自分
現れた英霊は金色の鎧に身を包んだ金髪の美青年。
﹁我を差し置いて〝王,,を称する不埒者が一夜のうちに二匹も湧くとはな﹂
17
まるで深い海の底に沈んだような錯覚を覚えるほど濃密な魔力。その魔力とともに、
それは現れた。
黒い衣を纏い、その頭は骸をもした仮面に後頭部まで覆われ隙間から鮮やかなオレン
ジの髪が垂れる。
﹂
かすかに見える肌は全てが真っ白で、生物とは思えない。その仮面についた二本の湾
曲した角、まるで鬼のようだ。
﹁⋮⋮⋮なぁ征服王、アイツには誘いをかけんのか
﹂
?
﹁おい
﹂
ライダーがウェイバーに尋ねるが、ウェイバーは驚きに目を見開き固まっている。
どうみてもバーサーカーだがサーヴァントとしちゃどの程度のモンなんだ
﹁誘おうにもなぁ、ありゃあ、のっけから交渉の余地なさそうだわい。で、坊主よ、ありゃ
?
﹂
!
も同様出方をみる。1人を除いて││
﹂
ターを除くすべてのサーヴァントがこの場に揃ったことになるからだ。サーヴァント
その場に居る、もしくは監視しているマスターたちに緊張が走る。実質的にキャス
出してるみたいにステータスが見えない
﹁解らないんだ。幻惑とかそう言うのじゃない⋮⋮⋮アイツだけ別の世界から映像だけ
?
﹁狂犬めが⋮⋮誰の許しを得て我を見ておる
?
対面
18
金色のサーヴァントは不愉快そうにバーサーカーを睨み
二本の宝具を射出した。 ﹁せめて散りざまで我を興じさせよ雑種﹂
バーサーカーはその場から動かず宝具が当たり大爆発を起こす。煙がはれると片手
なんか呆気ない⋮⋮﹂
で剣を受け止めしかし胸を槍で貫かれたバーサーカーの姿があった。
﹁あ、あれ
﹁││我が宝物を許可なく砕くとは、そこまで死を急ぐか狗
﹂
バーサーカーはまるで氷柱でもおるように剣と槍をへし折る、
ヴァント、おそらくアーチャーが放った槍はその穴を素通りしただけのようだ。
初 め か ら 空 い て い た ら し く 血 も 流 れ て お ら ず 綺 麗 な 円 を 描 い て い る。金 色 の サ ー
は、ぽっかりと穴があいていた。貫かれた穴ではない。
槍の先端の刃の返しに服が引っかかり胸付近が千切れる。そこから見えた白い胸に
れだけなら多少驚くですんだだろう。しかし、それだけではなかった。
ウェイバーがそう呟いた瞬間、バーサーカーの空いてる腕が槍をつかみ引き抜く。そ
?
﹁⋮⋮⋮ギ、ギル⋮ガ⋮⋮﹂
英霊がもつ宝具は多くて三か四、だと言うのにアーチャーの宝具は多すぎる。
瞬間、大量の宝具が現れる。その光景にウェイバーとアイリスフィールは驚愕する。
!
19
﹁⋮⋮む
﹂
?
大きくでたな時臣⋮⋮⋮⋮﹂
そう言って宝具を放とうとしたアーチャーだったが、不意にその動きを止める。
﹁だが、まあ⋮⋮王の前に面を見せぬのは些か不敬だな。我自ら剥ぎ取ってやろう﹂
サーカーの主に交渉するが⋮⋮。
チャーは思いがけないことを言った。もちろん理性のないバーサーカーではなくバー
正体がバレたことなど気にせず、むしろよくわかったと感心するような態度のアー
やろう﹂
か。狗のマスターよ、どこかで見ておるのだろう この狗を我の番犬にしてやる名誉を
﹁理性を失っても我が面貌を見て我が誰か理解するか⋮⋮なかなか見所があるではない
みを浮かべる。
バーサーカーが呟いた言葉にアーチャー、英雄王ギルガメッシュはニヤリと傲慢な笑
﹁⋮⋮ほう﹂
﹁ギルガ⋮⋮⋮メッシュ⋮⋮⋮﹂
し止まる。
すぐさま射出しようとしたアーチャーだったが、バーサーカーの漏らした言葉に反応
?
?
アーチャーは忌々しそうに呟き、再びバーサーカーに目を向ける。
﹁貴様ごとき諫言で王たる我の行動を束縛する気か⋮⋮
対面
20
﹁まあいい⋮⋮全ての者は王たる我に平服するのは定めだからな。雑種ども、次までに
有象無象を間引いておけ、我と見えるのは真の英雄のみで良い﹂
アーチャーはそう言うと姿を消した。おそらく令呪でマスターにでも命令されたの
だろう。
な﹂
まだバーサーカーが残ってんだよ
﹂
!
﹂
!!
﹂
!?
化しているのに、目の前のサーヴァントはかなり広範囲から魔力を己の意志で呼び寄せ
体化するのに使用する魔力だけで吸収が間に合わなくなるだろう。だから普段は霊体
大気の魔力など、言ってしまえば人間が吸収するための者だ。サーヴァントなどは実
ウェイバーは思わず突っ込む。
﹁な、なんだそりゃ
次の瞬間、大気の魔力がバーサーカーに向かって流れてゆく。
と、大気を揺らすような大声で吼えた。
﹁オオオオォォォォォォォォォッ
の意識が再びバーサーカーに向くと、バーサーカーは大きく息を吸い込み│││
ライダーはアーチャーが引いたことについて呟いているとウェイバーが叫ぶ。全員
﹁なんて言ってる場合か
!
﹁フムン、どうやらアレのマスターはアーチャー自身ほど剛毅な質ではなかったようだ
21
ている。なんの術式もなく、大気の魔力を操っているのだ。
それはつまり、バーサーカーのデメリットの一つ燃費の悪さが存在し無いことにな
る。
だった。
バーサーカーが目を付けたのは、セイバー⋮⋮⋮の後ろにいる、アイリスフィール
﹁グルルルル⋮⋮⋮﹂
対面
22
戦闘
バーサーカーの狙いはアイリスフィール。
確かにどれほど強力なサーヴァントでもマスターを失えば現界出来ない。アイリス
フィールのマスターと言う認識はセイバー陣営によるフェイクとは言えだからこそバ
レるわけにもいかないし、何よりセイバー自身アイリスフィールが殺されるなど認めな
﹂
い。すぐさま不可視の剣でバーサーカーを斬りつける、が││
﹁なにっ
﹂
!
む。
・
・
セイバーが追撃を仕掛けようとすると、バーサーカーの右腕がセイバーの顔をつか
鮮血とともに右腕が宙を舞う。
しかしセイバーは剣に魔力を流し力任せに押しつける。バーサーカーの体勢が崩れ
﹁な、めるなぁぁあ
まるで鋼の塊に剣をぶつけたかのような感触がセイバーに伝わる。
在。
バーサーカーは右腕を剣に向かってふるい、ぶつかり合うがバーサーカーの腕は顕
!?
23
﹁なっ
﹂
︵そんな馬鹿な
﹁グルルル﹂
︶
ナをいくつも破壊する砲弾となって吹き飛ばされて行った。
そんな思考などお構いなしにバーサーカーはセイバーを投げる。セイバーはコンテ
の領域にたどり着いた英霊ならキャスターのランクを与えられるはず。
腕を繋げるならまだしも新しく生やすなど明らかに魔法の領域だ。そして仮に魔法
しかしそれはあり得ない。
!
のだ。
腕を接合したわけでも、感触からして幻覚でもない。バーサーカーは腕を再生させた
落下しているのが目に映る。
指の隙間から空を見上げればいまだ切り落とされた腕がクルクルと弧を描きながら
!
﹂
!
バーサーカーの首筋に赤い筋が走る。
に、アイリスフィールは勝てる通りは無い。せめともの抵抗をと針金を取り出した時、
向き直る。優良のサーヴァントであるセイバーをあっさりあしらうこのサーヴァント
バーサーカーはセイバーの姿が見えなくなったのを確認するとアイリスフィールに
﹁ッ
戦闘
24
﹁⋮⋮⋮ッ
﹂
!
ゲ
イ・
ボ
ウ
の紅薔薇が閃きバーサーカーの肩に浅くない傷を付ける。
イ・ ジ ャ
﹂
ゲ
ル
グ
ンサーに傷を付けられたバーサーカーはそれを避け、体勢が傾いた瞬間ランサーの破魔
ランサーが振るった必滅の黄薔薇はバーサーカーを傷つけることはないが、先ほどラ
にフェイントを見破ることは出来ないだろう。
こちらは俊敏A+、最速のサーヴァントたるランサーだ、理性を失ったバーサーカー
傷口が塞がる前に傷口に届けば勝機はある。
魔力による防御力強化なら、必滅の黄薔薇は通らない、だが破魔の紅薔薇なら届く。
︵もしくは、破魔の紅薔薇で傷を付けた後必滅の黄薔薇で傷口を抉るか⋮⋮⋮︶
か││
るならバーサーカーの回復力を上回るダメージを与えるか、マスターを捉え自害させる
に置けるアーチャーと同等、下手したらそれ以上に厄介な相手だ。勝つ方法の例を挙げ
鉄壁の防御力に加え超速再生、さらには単体での魔力供給。間違いなくこの聖杯戦争
バーサーカーが傷口に手を当て、はなした頃には傷は消えていた。
えよう。もっとも、バーサーカーの異常な回復力が無ければの話だが。
ならばランサーの持つ触れた対象の魔力の流れを遮断する破魔の紅薔薇は天敵と言
﹁成る程。セイバーの剣を防いだ皮膚、魔力で強化しているな
?
25
その瞬間にも再生を始めているが、必滅の黄薔薇の方が速い
間、バーサーカーの姿が消える。
﹂
そう勝利を確信した瞬
!
﹂
﹃後ろだランサー
﹁ど、何処に
﹄
霊体化ではない、僅かに凪いだ風、高速移動だ。それも、ほぼ瞬間移動に近い。
﹁なっ
!?
﹂
?
﹁ケイネス殿
﹂
破壊したランサーの顔色が変わる。
は思わず呆ける。そして、セイバーほど力を込められなかったのかコンテナを一つだけ
バーサーカーの奇行に理由を求めるだけ無駄なのかも知れないが、アイリスフィール
﹁な、なにを⋮⋮⋮
真っ直ぐ飛び去り見えなくなった。
それはお世辞にも方の決まったとは言えない力任せの投げ方、しかし槍は赤い線となり
サーの腹を蹴り吹き飛ばすとランサーが落とした槍持ち、明後日の方向に投げつける。
魔 の 紅 薔 薇 を 落 と し て ま う。バ ー サ ー カ ー は ラ ン サ ー か ら 興 味 を 失 っ た よ う に ラ ン
バーサーカーはランサーの腕を握りしめる。それだけでランサーの腕の骨が折れ破
主であるケイネスの叱責にランサーが振り向くと、目の前に骸が現れる。
!
!?
!
戦闘
26
ランサーは慌ててその場から離脱する。理解できた、バーサーカーはランサー本人で
はなくランサーのマスターを狙ったのだ。しかも、自分の宝具を見せずに。
当然、バーサーカーにそんな知能があるはずもない。ならばこれだけ強大な力を持ち
﹂
ながらなおバーサーカーはマスターに手綱を握られていることになる。
﹁ガア
﹂
!
抜かれたその手には金属片が握られていた。
た。バーサーカーはそんなセイバーに向かってアイリスフィールを投げつける。引き
き飛ばされたためバーサーカーに向かって一本道が出来ていたので、割と早く戻ってき
あちらこちら積まれていたコンテナだったがセイバーはコンテナを破壊しながら吹
﹁アイリスフィール
つけたのか唐突に動きを止める。そこで││
バーサーカーはアイリスフィールの中を弄り、何かを探す。そして、目当ての物を見
な痛みが広がり、しかし背中に氷柱でも押し当てられたような寒気を感じる。
ゾブリと、バーサーカーの腕が腹に沈み熱した鉛でも押し付けられたように熱のよう
してしまった。
そんな思考を巡らせている間に、アイリスフィールは自分が狙われていたことを失念
﹁⋮⋮あっ﹂
!
27
﹁アイリスフィール
﹁え、ええ⋮⋮⋮﹂
大丈夫ですか
﹂
!?
戦士でないアイリスフィールを狙うなど、恥を知れ
すぐバーサーカーを睨む。
﹁貴様
﹂
!
バーサーカーが持っているモノを取り返して
﹂
敵
何 故 今 そ の 単 語 が 出 て く る。こ ん な 状 況 に お い て も 目 の 前 の サーヴァント で
セイバー
!
はなく目的の聖杯しか頭にないのだろうか
﹁ッ
﹂
!
?
聖 杯
バーサーカーはセイバーの言葉を無視して、しかし聞き捨てなら無い発言をする。
﹁なに
﹂
アイリスフィールの傷は既に塞がっている。そのことに驚愕したセイバーだったが
!
﹁⋮⋮⋮セ、イ⋮⋮ハイ⋮⋮﹂
!
?
?
カーの拳が迫るが、直感でなんとか防ぐ。
アイリスフィールの命令の意図が理解できず固まるセイバー。その顔面にバーサー
﹁へ
? !?
るとセイバーに向かって振り下ろす。
不可視の剣を構えるセイバーに何を思ったのか、バーサーカーは近くの街灯をへし折
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
戦闘
28
﹁ぐぅ
時││
﹂
!!
﹂
ライダーが神牛に戦車を引かせライダーが迫ってくる。
﹁ALaLaLaLaLa
﹂
ギリギリと、押しつけられてゆく圧力にセイバーが膝をつきそうになったまさにその
それはただの街灯でありながらしかしセイバーの持つ名剣と鍔迫りあう。
!?
﹁ガアァァァ
﹂
﹁ALaLaLaLaLa
﹂
ため金属片が飛んで行きアイリスフィールが受け止め隠す。
場から離れる。残されたバーサーカーは二匹の神牛の頭をそれぞれ片手でおさえ、その
これにはバーサーカーも驚き固まり、直感で来ることを見抜いていたセイバーはその
﹁ッ
!?
﹂
!
そのまま神牛二匹が浮かび上がる。
﹁グルアァァァァ
バーサーカーは、手加減したとは言え対軍宝具を受け止めて見せた。 ライダーは感心したように呟く。
﹁⋮⋮⋮ほう、なんと⋮⋮﹂
!
!
29
こりゃまずいのぉ
!
﹂
!
去った。
バーサーカーはランサーの後ろを取ったときと同じように、瞬間移動のごとく消え
命令だろう。
いう警告だろう。当然、バーサーカーにそんな知能は無いだろうからこれもマスターの
わざわざみる必要はないだろう。おそらく、初めから隠れているのは分かっていたと
サシンが隠れている場所だ。 それはセイバーの本当のマスター切嗣、切嗣の部下舞弥、そして気配を隠しているア
そして、首を動かしながら三度止める。
セイバー。神牛に引かれる戦車に乗ったライダー。
左腕を負傷しているが、バーサーカーに投げ飛ばされたときの傷はほぼ完治している
そして、辺りを見回す。
その一撃には自分を傷つけるだけの力があると察し後ろに飛び退く。
ライダーは両手の塞がったバーサーカーに向かって剣を振り下ろし、バーサーカーは
﹁おっと
戦闘
30
説明
バーサーカーは屋敷に戻ると狂化を解き人の姿に戻る。そのままベランダから屋敷
寝てたんじゃ⋮⋮⋮﹂
の中に入ると、ポフっと何かが飛びついてきた。
﹁桜
﹂
?
んの数匹の蟲を雁夜のように使い魔にしていたか⋮⋮⋮。
おそらく遠見か何かの魔術を使ってみていたのだろう。もしくは、生き残っていたほ
﹁あの爺、桜ちゃんに少しとは言え魔術を覚えさせていたみたいだ⋮⋮﹂
その視線の意味を察したのか雁夜は慌てて首を振り説明する。
そ の 言 葉 を 聞 き バ ー サ ー カ ー は 責 め る よ う な 視 線 を 先 に 帰 っ て い た 雁 夜 に 向 け る。
再び桜の拳がバーサーカーの腹に当たる。
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
﹁危ないことは、しないって言った⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮何だ
カーの腹を叩く。
飛びついてきたのは、桜だった。桜はバーサーカーから離れるとポコッとバーサー
?
31
﹁⋮⋮腕、切れてた﹂
﹁治ったけどな﹂
﹁肩も⋮⋮﹂
﹁治ったけどな﹂
正論である。
﹁⋮⋮⋮⋮治れば良いとでも思ってるの
﹁悪かった、次からは気をつける⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮⋮今度こそ、約束守ってくれる
﹁ああ⋮⋮﹂
﹂
﹂
桜はそんなバーサーカーを責めるように何度もポカポカ殴る。
れることもなかった。
と慢心していたのは認めるが、ならばこそその後宝具である剣を出せばランサーに切ら
腕が生えるからと言ってわざわざ腕を切らせる必要はない。セイバーの剣を防げる
?
?
そして、バーサーカーは視線を雁夜に向ける。
カーから離れ今度こそ眠るために部屋に戻った。
バーサーカーは桜の頭をなでながら言うと、桜はとりあえず納得したのかバーサー
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
説明
32
﹁何時まで壁に寄りかかってんだ
﹁お、おい
﹂
マスター⋮⋮﹂
雁夜は皮肉げに笑うと崩れるように腰を落とす。
﹁気づいていたか⋮⋮⋮﹂
?
を失った今、長くて一週間半は生きれればいい方だ。
バーサーカー付いてくるのをしぶった理由もそれだ。
﹁⋮⋮⋮それより、お前が強いのはわかったが、詳しく説明してくれないか
﹂
刻印蟲自身が宿主を食らいながらも魔力を提供していたので一ヶ月は持ったが、それ
になったわけだが、それでも多い方だった。
印蟲と言う蟲を埋め込むことで急造の魔術師に仕立て上げた。その結果、余命は一ヶ月
下でとてもサーヴァントを呼び出せるはずもなかった。それ故に、間桐臓硯は雁夜に刻
雁夜は魔術師となるのが嫌で家を飛び出していた、そのため、魔術師としては三流以
﹁気にするな、お前のせいじゃない﹂
﹁⋮⋮マスター⋮⋮﹂
ファーに身を沈めるように力なく背を曲げ肩で息をする。
ち ょ う ど 部 屋 に 入 っ て き た 鶴 野 が 慌 て て 肩 を 貸 し ソ フ ァ ー に 座 ら せ る。雁 夜 は ソ
!?
﹁⋮⋮⋮ああ﹂
?
33
フルプリング
雁夜は少しでもサーヴァントの事を知り作戦を考え、早急に聖杯戦争を終わらせる気
なのだろう。バーサーカーもそれを察し話し始める。
える力の一つだ﹂
﹁まず俺がセイバー相手に街灯で戦えた理由、これは完現術って呼ばれるこの英雄が使
バーサーカーはそう言って自分の胸に手を当てる。
完現術とは、者に宿る魂を引き出しその魂に自分の力を与え強大な力に変える力。使
い慣れたものなら物質自体の形を変え能力を加えることも出来る。これで街灯を強化
したのだ。
クインシー
﹁次に魔力を吸収した方法だけど、これはこの英雄の血筋に関係してる⋮⋮⋮﹂
バーサーカーの殻となっている英雄黒崎一護、彼には滅却者と呼ばれる者達の血が流
れ、滅却者は周囲の霊子、この世界で言う魔力を自分の力に変える事が出来る。これの
召喚されたとき持ってた刀がそれか
﹂
おかげで雁夜はバーサーカーと言う強大なサーヴァントを使用しながら干からびずに
まだ使ってないよな
?
?
すむわけだ。
﹁宝具は
?
﹂
﹁ああ、宝具の真名は天鎖斬月。この英霊を表すのにこれ以上適したモノは││││ん
説明
34
身の内に宿る力を確認していたバーサーカーはピタリと固まる。
?
自身の宝具を確認する中、まるであり得ないものでも見たかのような反応を示す。
﹂
ああ、いや⋮⋮⋮明らかに武器ではないモノがあったからな﹂
﹁ど、どうした
?
見えないが、これも宝具なのだろうか
﹂
﹁これは、代行証だよ⋮⋮﹂
﹁代行証
﹁死神
﹂
﹁死神ってもお前等の想像してるのとは違うぞ
﹂
?
送ったりする、魂のバランサーだな﹂
後、俺は死神ですらねえ⋮⋮﹂
﹁現 世 に 止 ま る 霊 を 成 仏 さ せ た り、悪 霊 に 堕 ち た 霊 を 倒 し て も と の 霊 と し て あ の 世 に
どんな存在なんだ
﹁あ、ああ⋮⋮お前はその英雄の死神の殻をかぶっているだけだったな⋮⋮⋮。それで、
?
だ。
雁夜と鶴野は死神と言う単語に面食らって目を丸くする。死神、なんとも物騒な単語
?
!?
﹁死神って、あの⋮⋮
﹂
﹁死神代行戦闘許可証。通称代行証⋮⋮⋮﹂
?
?
バーサーカーはそう言って髑髏の描かれた五角形の板を取り出す。確かに武具には
﹁ん
?
35
あの世とこの世の魂の数が傾くと、二つの世界が入り混じるだったかそんな理由で死
﹂
神が生まれ、黒崎一護は死神代行となった。
﹁しかし⋮⋮本当に使えないのか
たい気もする。
とりあえず今はこんな所か⋮⋮⋮。
﹁とりあえず使える宝具は天鎖斬月で良いんだな
﹁ああ、魔力を乗せると斬撃が飛ぶ﹂
?
雁夜の言葉にバーサーカーは眉をしかめる。
行動すべきではない。
となると力任せで聖杯戦争に勝てそうだが、相手の宝具の威力もわからないし下手に
威力はとりあえずおいておき、後は戦闘を見ている時にわかったことしかない。
﹁⋮⋮そうか﹂
﹂
バーサーカーはそう言ってはぁ、とため息を吐く。そんなにダサいのか、少し見てみ
﹁武器として使えなくはねぇけど⋮⋮⋮ダサいし死神の力の方が上だしな⋮⋮﹂
?
なるべく早く終わらせたいのだろう。
﹁部屋まで肩を貸そう﹂
﹁⋮⋮⋮俺は、今日はもう寝る﹂
説明
36
二人が部屋から出て行くのを見送った後、バーサーカーは驚愕した本当の理由の宝具
を取り出す。
願いが無ければこれは単なる不滅の玉でしかない。
持ってもらわなければ。
まあ取りあえず、聖杯戦争が終われば悔いはないと思っている雁夜に生きる気力を
﹁⋮⋮⋮いや、切嗣自身はアインツベルンとは別の願いか⋮⋮⋮⋮﹂
ツベルンと手を組めるかも知れない。
だがまあ、これさえあれば雁夜の延命も出来るかも知れないし、うまく行けばアイン
が猫の店長ぐらいだろう。
るならそれこそ眼鏡を取るとイケメンになるあの男や胡散臭い下駄帽子の無二の友達
これは確かに黒崎一護のでる漫画のものだが、宝具とは英霊の象徴。これを宝具とす
﹁⋮⋮何でこれが⋮⋮⋮⋮﹂
37
考察
セイバー陣営では重いが流れていた。
一つ目の理由は、アーチャーと言う強力なサーヴァント。正体はバーサーカーのおか
げでわかったがだからといってそんな簡単に対策の練れる相手ではない。
次にキャスターの奇行。セイバーをジャンヌと勘違いしつけねらっている。
そして、セイバーの腕に不治の傷を負わせたランサー。彼を倒さなければセイバーの
本来の力は激減してると言って良い。そして、優良のサーヴァントであるセイバーを圧
倒し、魔術を使い隠れていたはずのケイネスを発見したバーサーカー陣営。
バーサーカーの強さも勿論だが、ケイネスの魔術をあっさり見破りバーサーカーに命
令を下せるほど完全なる制御をしているマスターも一筋縄ではいかないだろう。調べ
﹂
た時は急造の魔術師だったが誤りだったようだ。
﹁アイリ、傷は平気か
?
を狙ったこと。
そして、もう一つの問題はバーサーカーが明らかにアイリスフィールの中にある聖杯
﹁ええ、殻の一部を取られたけど、すぐに術式を組み直したわ⋮⋮﹂
考察
38
何らかの事故で器が壊れないように術式をかけた殻を被せていたが、セイバーが後少
し遅れていたらどうなるか⋮⋮。と言うかバーサーカーはまさかアイリスフィールが
聖杯を隠す外装だと見抜いていたのだろうか
?
そもそもセイバーのクラスで召喚されたアーサー王を圧倒するあのサーヴァントは
?
⋮⋮⋮いや、相手は三家の一つ⋮⋮イレギュラーな行為をしても不思議で
ってズボンを履いてるように見えたけど﹂
どこの英雄だ
?
?
ていると言うこと。
後は、あの回復力から考えて不死の特性を持ってるのだろうか
キリストは復活した際、処刑されたときの傷が残っていたという。もっとも、それは
﹁胸に穴⋮⋮⋮まさかと思うが、キリストじゃないだろうな⋮⋮⋮﹂
?
そんなこといちいち考えていたらキリがないが⋮⋮。唯一確実なのは胸に穴が空い
﹁だが、サーヴァントの正体を知られないための偽装である可能性もあるか⋮⋮﹂
をしたことがあるのだから責めることは出来ないが⋮⋮⋮。
家である間桐が同じようにズルをしないとは言い切れない。もっとも、こちらも同じ事
事実アインツベルンも、本来存在しないクラスのサーヴァントを呼び出した。同じ三
はないか⋮⋮﹂
﹁袴だって
﹁⋮⋮日本の袴
39
﹂
右胸だし、あのサーヴァントは真ん中に、しかも明らかに槍より太いもので開けられて
いたが。
﹁⋮⋮でもなんか、アレに似てるわよね⋮⋮﹂
﹁ッ、アイリ、あのサーヴァントの正体に心当たりが
﹁⋮⋮⋮アイリ、それは流石にありえないよ﹂
⋮⋮﹂
﹁正体とかじゃなくて⋮⋮⋮ほら、骨の顔に黒い服って、死神みたいだな∼⋮⋮なんて
をかく。
だとしたら攻略の糸口が見えるかも知れない。しかし、アイリは気恥ずかしそうに頬
?
しり包帯が取れかかっていた。
ケイネスはホテルのベッドの上で呻く。右手で左腕の﹃残りを﹄を包む包帯をかきむ
結局正体はわからず終いだ。
ないし、そもそも死神と一口に言っても様々な神話で死を司る神は違う。
死神は死を運ぶもので、英雄ではなく魂を肉体から切り離す神だ。神を呼べるはずも
﹁そ、そうよね⋮⋮⋮﹂
考察
40
﹁ぐおぉ
おのれ
おのれ狂犬がぁ
!
﹂
!
接合は不可能。
﹂
!
﹁殺す、殺してやる
バーサーカー陣営はマスター共々殺してやる
﹂
!
ヴォールメン・ハイドラグラム
このタイミングで火事が起こるとなると十中八九どこかの陣営の仕業だろう。ケイ
階で火事が起こったので避難して欲しいと言うものだった。
ケイネスは妻のソウラに頼むとソウラは電話をとる。電話の相手はフロントで、下の
﹁⋮⋮⋮わかったわ﹂
﹁⋮⋮すまん、ソウラ⋮⋮出てくれ﹂
ケイネスの叫び同時に、ホテルの火災報知器が鳴り響く。そしてすぐ電話がなった。
!
に先手を取られたと憤慨する。
がケイネスの怒りに鈍った思考はそんな当たり前の事も考えず対して力のない魔術師
力なサーヴァントが欲しかったであろう人間。たまたま呼び出した可能性もあるのだ
くなると言うデメリットのある召喚を行うと言うことは、デメリットを差し引いても強
今回の聖杯戦争でバーサーカーのようなステータスの底上げする代わりに操りにく
有り得ん、有り得ん
を紙の装甲のように貫き左腕の三分の二を吹き飛ばした。
あの時、バーサーカーが投げたランサーの槍はケイネスの咄嗟に張った月 霊 髄 液
!
﹁私の魔術を見抜いただと
!
41
良かろう
!
ネスは身体をお越しながら予備の月霊髄液の準備をする。
﹂
﹁何処の誰だか知らないが、腕一本なくなったぐらいで私に勝てるとでも
八つ裂きにしてくれる
?
と片付けもうじき間桐邸が見えると言うところまで接近している。
しかし聞けば間桐のマスターである間桐雁夜は急造の魔術師。おそらく偶然だろう
が消滅したからだ。
に行くところだ。本来なら1人でいいだろうが二人でいく理由は単純、前任のアサシン
現在アサシン達はマスターである綺礼の命により各陣営のマスターたちの監視をし
宝具の特性上、複数存在するため一体殺されたところで何の苦もない。
は本来遠坂時臣のサーヴァントであるアーチャーに殺されたと認識されているが、その
どちらも白い仮面を付け黒い格好をしたサーヴァント。アサシンである。アサシン
間桐邸に二つの影が接近していた。
その瞬間、ホテルのあちらこちらで爆発が起こり、ホテルが倒壊した。
!
殺者としてそんな獲物を前にして高揚感を感じる。身体が軽い、まるで首からしたが無
結界の気配も感じられない。このままマスターを殺害することすらできそうだ。暗
︵⋮⋮この距離で何もない。やはり、警戒しすぎだったか⋮⋮︶
考察
42
﹂
くなったように││
﹂
!?
﹂
!?
それがアサシンの聞いた最期の言葉だった。
﹁ああ、バーサーカーだよ﹂
る。
ま切りかかるが、バーサーカーは素手で止める。その手には何やら紋様が浮かんでい
四分の一しか顔を隠していない仮面はバーサーカーのものと告示していた。すぐさ
﹁その仮面、まさかバーサーカーか
その顔の左上半分が仮面に覆われていた。
背格好はこの時代では高校生と言われる年齢。ラフな格好にオレンジの髪、そして、
アサシンは突如現れた男に目を向ける。
﹁なっ
が見た最期の光景だった。
のか、脳の命令を少しの間だけ行えただけなのか、力なく倒れる。それがそのアサシン
格好的に同胞だろう。首を失った身体はようやく体を操る脳が消えたのを理解した
アサシンは目の前を走る首のない体をみる。
﹁││⋮あれ
?
43
ソニード
ペ
ス
キ
ス
バーサーカーは消えていく二つの死体見てから興味をなくしたように自分の手をみ
る。
クインシー
バ
ラ
滅却者の能力は問題なく使えるし響転、探査回路も問題なく使えた。
セ
ロ
︵このぶんなら虚弾も使えそうだな⋮⋮︶
ホロウ
虚閃と言う技も使えるが、あれは下手したら町が消し飛ぶのであまり使いたくない。
エスパーダ
グ ラ ン レ イ セ ロ
セロ・オスキュラス
一応は虚の力な訳だからどの程度使えるか確かめてみたが問題なさそうだ。
十 刃 クラスの霊力も有しているわけだから王者の虚閃や黒 虚 閃も恐らくは撃てる
だろう。
もともと月牙天衝は黒虚閃に似ているらしいし。問題は、使うとどれくらい被害が出
るかか⋮⋮⋮。
バーサーカーはそう言って屋敷の中に戻っていった。
﹁使う機会が無いことを祈るか﹂
考察
44
休日
その日の朝、教会からキャスター討伐命令がくだり雁夜がどうやって探すかと考えて
いると、唐突に桜が何かのチラシを持ってきた。
﹁⋮⋮⋮ここ、行きたい﹂
それは遊園地のチラシ。
お前最近生意気だぞ
﹂
それに不快感を表したのは鶴野の息子慎二。
﹁おい桜
!
彼は、自分が将来魔術師になることを疑わなかった。いまだ真実を伝えられていない
!
戸籍
Dズニーランドと言う近辺の遊園地の右目が上を、左目が下を向いた灰色のネズミが
マスコットが描かれている。
!
上父親なんだし﹂
﹂
﹂
﹁⋮⋮⋮ごめん桜ちゃん。オジサンには用事があるから⋮兄貴に頼んだらどうだ
おとーさんが
﹁桜様の身の安全は俺が守ります
﹁は
?
自信満々に声を上げた鶴野に桜は道端の小石でも見るような目で鶴野を睨む。
?
?
45
から今も魔術師になれると思っている。
そんな他人とは違うと言うところが彼が自分を特別視する要因となり、自信に満ちた
﹂
性格が幼い同世代達ではリーダーシップを発揮しさらに彼を調子づかせる。が││
﹁あ
﹂
!
﹂
?
きもーい、妄想が許されるのは幼稚園までだよ
それは無いですよ、兄さんには魔術師の素養がありませんから﹂
?
もしかして勘違いしてました
﹁⋮⋮⋮⋮へ
ね﹂
﹁あれ
?
﹁⋮⋮⋮次期当主
不快感を一切緩めない。
慎二の足はプルプル生まれたての子鹿のように震えている。桜はしかし目に見える
﹁ぼ、僕は次期当主だぞ
ば気絶したかもしれない。少しチビった⋮⋮⋮。
うな不快感を隠さない視線に、慎二を固まる。張りぼてとは言え存在する自信が無けれ
悲しいかな、所詮は張りぼての自信。道端の小石どころか潰れたゴキブリでも見るよ
?
﹂
まれてきてごめんなさい﹂と言いながらうなだれた。
桜は全くの無表情で誰から学んだのか人の心を抉る言葉を棒読みで吐く。慎二は﹁生
?
﹁⋮⋮⋮桜ちゃん。それ、誰に教わったの
?
休日
46
﹂
﹁バーサーカーが、人のダメな部分を教えるときに使えって⋮⋮﹂
﹁どんな意味か理解してる
﹂
?
外に出て捕まることはないだろうが職質はもちろん、子供達に怖がられることもある
﹁わかった⋮⋮でも、この顔じゃなぁ﹂
出をつくってやるべきだろう。どのみち、バーサーカーは居ないし。
本来ならキャスター討伐に行くべきなのだろうが、残り少ない余命、せめて桜と思い
桜はチラシで口を隠しながら小首を傾げる。
﹁⋮⋮⋮ダメ
いるとは限らないが。
ので大丈夫だろうが⋮⋮。それに、今はキャスター以外とは戦闘禁止だ。全員が守って
ばくるだろうし、一瞬で移動できなおかつ近辺の気配を掴める距離にいると言っていた
バーサーカーは私用があるからと何処かへ行っているし。まあ、それでも令呪で呼べ
かも桜には悪気がいっさいないから手に負えない。
バーサーカーは普段真面目なくせにたまにこう言うところがあるから頭が痛い。し
﹁⋮⋮⋮⋮⋮⋮⋮﹂
隠語って⋮⋮⋮﹂
﹁﹃アナタの言っていることは間違っています﹄と言うのを周りに恥をかかせないための
?
47
だろう。
﹁ん﹂
﹂
桜が取り出したのはチラシに描かれたネズミの被り物。三次元でみるとなお可愛く
ないな。
だが顔を隠すには持って来いだ。
﹁しかし、Dズニーランドってなんだ
最初のを除けばアトラクション自体は普通だ。
﹁⋮⋮あ、ああ⋮⋮﹂
﹁⋮⋮⋮楽しかったね﹂
能だと言うことだけ理解できた。
桜はDズニーランドの設定を学べるアトラクションに入り、この遊園地が全く理解不
ような被り物をしている者が沢山いた。自分も被ってなんだが、正気を疑う。
Dズニーランドまで向かう間、人の目がきつかったが、Dズニーランドにつけば同じ
?
﹂
マスコットの存在を無視すれば普通の遊園地として楽しめた⋮⋮。
﹁⋮⋮また、来れる
?
休日
48
﹁⋮⋮え﹂
桜のその言葉に雁夜は固まる。
無理だ、次の機会などあるとは思えない。だが桜はジッと、雁夜の顔を眺める。人気
のない道なのですでに被り物は取っているため、歪んだ顔半分が露わになりふつうの子
供なら直視すらつらいだろう。事実、桜も少し前まで怯えていた。
﹂
!?
﹁私だけ、助かるなんて嫌。皆で、一緒にいたい﹂
﹁⋮⋮でも、俺は⋮⋮﹂
が危険だという事は幼いながらも理解できたのだろう。
桜も雁夜と同じような目に遭っていた。雁夜は桜より短期間で、桜より急造に、それ
桜のその言葉はヤケに確信めいていた。
﹁ッ
﹁また来たい。死んじゃ、いや﹂
今日はここに来たが、明日からは聖杯戦争に集中しなければならないだろう。
れない。
バーサーカーも、聖杯戦争が終われば消えるし、雁夜自身も寿命が尽きているかもし
﹁そ、それは⋮⋮﹂
﹁今度は、バーサーカーも一緒に⋮⋮﹂
49
﹁桜ちゃん⋮⋮﹂
それは、見方を変えれば何も知らない子供の我が儘だが、だからこそ純粋で雁夜の心
に響いた。
﹂
そして、思ってしまった。生きていたいと⋮⋮。
﹂
気がつけば雁夜は桜を抱きしめていた。
﹁⋮⋮オジサン
微かに震えるその腕を、桜はそっとふれる。
﹁⋮⋮⋮桜ちゃん、俺、一つ嘘をついて良いかな
﹁⋮⋮⋮⋮⋮﹂
いかな⋮⋮⋮﹂
﹁俺は、バーサーカーの願いをかなえると約束した⋮⋮⋮でも、聖杯に、延命を求めて良
?
?
だったただの人間が偶然英雄の殻を被り英雄同士の戦いに巻き込まれた存在だ。
雁 夜 は 気 が 気 で は な い。バ ー サ ー カ ー は 本 来 戦 場 を 写 し 世 界 に 放 映 し て い る だ け
桜はバーサーカーの為に買ったお土産の入った袋を大事そうに抱えながら歩く。
﹁⋮⋮⋮⋮大丈夫だよ、きっと⋮⋮バーサーカーも解ってくれる﹂
休日
50
そんなバーサーカーが圧倒的な力を持っていたからとは言え共に戦ってくれたのは
雁夜自身がバーサーカーの為に聖杯に願おうとしたからだろう。それを今更変えたい
なんて⋮⋮⋮。
桜はああ言っていたがものすごく不安だ。
そして、桜の抱えていたお土産が無惨にも砕けた。
バキャ
ていた。
その後ろに薄幸そうな褐色肌の少女がバーサーカーの服を掴みながらこちらを除い
いたのかバーサーカーが﹁お帰り﹂と出迎える。
そんな思考をしている間に家についてしまった。桜とともに中に入ると、帰ってきて
﹁ただいま﹂
51