水浅青果株式会社 - i Magazine

コ産のマンゴーなど 6 種類。糖度セン
なっているため、各社独自の細かなニ
サーの導入や現地パートナーの目利き
ーズに対応することはなかなか難しい。
により選別したブレのない高品質商品
例えば、組合の共同システムでは在
港に面した横浜市中央卸売市場の
は、同社の大きな戦力になっている。
庫総数は把握できるが、複数ある倉庫
一角に、水浅青果の社屋がある。同社
この 横浜市中央卸売市場本場青果
のどこに在庫されているかが把握でき
は輸入および国産の青果物全般を扱う
部 の 組合 には、同社を含 め 30 社 の
ないので、最適な出荷指示が行えない。
仲卸であるが、特に力を入れるのが、
仲卸が加盟する。同組合では情報支
また仕入原価をベースとした粗利管
売り上げの25%を占める海外からの直
援 サービスの 一環として、早くから
理は組合の共同システムでもサポート
輸入品。なかでも独自の選果基準を設
AS/400を導入し、仕入れや在庫、売り
しているが、運賃や種々の手数料とい
定し、クリアしたものに「レプテイション」
上げなどの販売管理システムを、加盟
った原価も加えて、より精度の高い粗
マークを貼って、プライベートブランド
各社 が 共同運用できる体制 が 整って
利管理を実行 するとなると、難しい面
化したシリーズ商品が好評だ。
いる。
がある。
「 HARBOR ISLAND REPUTATION 」と
同社も、社内に専用端末を導入し、
さらに、共同システムは原則的に場
名づけられた自社ブランド商品は現在、
この共同システムを長く運用してきた。
内の取引のみを対象としており、海外
フロリダ産のグレープフルーツやカリフ
ただここでは、基本的な販売管理は実
直輸入品の比率 が 高い同社のような
ォルニア産のネーブルオレンジ、メキシ
行できるものの、加盟社の共通仕様と
場合、場外仕入れは組合会社間の相
組合システムと連携しつつ
自社要件を反映したシステム構築
システム強化/基盤強化
COMPANY PROFILE
•設立:1959 年
•資本金:2400 万円
•売上高:38 億 6000 万円
•従業員数:55 名
•本社:神奈川県横浜市
•業務内容:外国産フルーツの輸入・販売、国産果実(果物・野菜)
水浅青果株式会社
全般の仕入れ・販売
•http://www.mizuasa-seika.co.jp/
精度の高い在庫管理や原価管理を
独自システムで実現
受注から出荷までの業務プロセスから、
手作業や転記作業、
重複入力を徹底排除
Point
佐野光幸
● 組合の共同システムと連携しつつ、
氏
独自要件を反映したシステム構築
代表取締役社長
● 業務プロセスから手作業や転記作業、
重複入力を解消
磯上博昭
氏
取締役 情報システム部
● 仕入原価に運賃や手数料を加えた精度の
高い原価管理を実現
● Excel による分析資料で、
プライベートブランドの販売戦略に活用
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2006 SPRING no.25
殺処理の対象外となる
水浅青果I3ERIES モデル 取引先
取引先に対応した
フォーマットで発注表を
発注管理
自動作成・出力
マスター
などの課題もある。
一方、社内業務 に目
を移 すと、受注 から出
発注表
荷までの業務プロセス
&!8
値書き
(発注表)
仲卸組合
I モデル 在庫計上
在庫
ファイル
受注入力
在庫引当処理
売上入力
受注
ファイル
荷姿変換
マスター
出荷
ファイル
&!8 /電話
における作業効率の改
善が以前から求められ
ていた。同社では毎日、
粗利計算
「値書き」と呼ばれる価
格表をExcelで 作成し、
販売
ファイル
売上データ作成
(売上、
仕入データ)
仕入先
全取引先 に FAXしてい
仕入入力
入荷
ファイル
仕入データ作成
る。そこに顧客 が 発注
図表
受注・売り上げ・仕入れの業務フロー
数を書き込めば、その
理マスターに設定された商品と在庫フ
きたこの発注書を見ながら、オペレータ
後に、日本ビジネスコンピューターから
ァイルから、各取引先およびその店舗
が Excel へ入力し、それを出力・コピー
iSeriesによるシステム構築の提案を受
別のフォーマットに対応した発注表を自
して、現場へ送り、ピッキング作業を行
けた。ある卸売市場に導入されたコア
動出力するなど、従来は手作業で行わ
って出荷している。また日々の売り上げ、
パッケージをベースに、カスタマイズに
れた業務のかなりの部分を自動化・省
仕入れデータの入力を行う一方、この
より作り込むという構築法である。
力化し、再入力作業を一掃することで、
売り上げ、仕入情報を種々の管理デー
「重要なのはソリューションであり、信
大幅な業務の効率化に成功した(まも
タや分析データの作成のために何度も
頼性が確保されていれば、とくにハー
。営業担当者も
なく自動 FAX にも対応)
重複入力 するなど、手作業 や 転記作
ドウェアにはこだわっていませんでした。
伝票類の作成・整理に費やす時間が
業、重複入力やデータの突き合わせと
ただ組合の共同システムが AS/400で
大幅に短縮され、本来の営業活動に当
いった作業が数多く発生しているので
あることもあり、やはり同じマシンであれ
てることができるようになったという。
ある。
ば、データ連携の親和性 が 高いので
また「New WorkFriend-FX 」によって、
「そこで、売り上げや仕入れのデータ
はないかという判断 は 働きましたね」
iSeriesのデータをExcelで加工し、商品
は今までどおり組合の共同システムと
(磯上博昭 取締役 情報システム部)
別出荷実績など 10 種類以上の統計資
連携しつつ、受注や売り上げ、仕入れ
決定 は 2003 年 12月末。翌年 1月に
や在庫、請求・入金などの業務を管理
「iSeriesモデル800 」を導入し、要件定
今後はEDI への対応に本格的に着手
し、今まではサポートしていなかった売
義がスタートした。非常に限られた少
する一方、
「New WorkFriend-FX 」によ
り掛け・買い掛けなどの処理を新たに
ない工数で開発を進めねばならないこ
るExcelの活用レベルを高めていく。冒
加えた独自の基幹システムを導入しよう
ともあり、6月から約半年をかけて、マス
頭で紹介したプライベートブランド商品
と考えたわけです」
( 佐野光幸 代表取
ターの 管理項目を整理し、 並行的 に
の綿密なマーケティング分析を実行し、
締役社長)
JBCCと外部ベンダーの手を借りて、カ
ブランドを浸透させるための販売戦略
スタマイズ作業を進めた。
に活かしていく計画のようだ。
料を作成している。
社
業務の自動化・省力化で
作業効率を大幅に向上
1
先進ユーザー事例
てファイルサーバーを導入した数カ月
第 特集
まま発注表となる。FAXで送り返されて
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本稼働は2005 年 8月。組合システム
と連携 するため、万一にも不具合など
プロジェクトの進捗
基幹業務システム構築の検討が始ま
が発生して、顧客に迷惑をかけたり、組
2003.12
導入決定
ったのは2003 年夏。まずその前段とし
合の業務に支障を生じさせるような事
2004.1
iSeries 導入/業務分析開始
て、PC ベースのファイルサーバーを導
態は避けねばならず、開発・導入作業
2004.6~12
マスター DB の整理
入し、データの再入力作業をできるだ
は時間をかけて慎重に行われたという。
け軽減することからスタートした。そし
このシステムの導入によって、発注管
2005.8~
要件定義/カスタマイズ開発
2005.8
本稼働
http://www.midrangeserver.co.jp/
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