ビオトープ論(H27.1.15授業) 12.生物が多様であることの意義(3) ビオトープに対応する水田・畑 1 「農地」の必要性・役割について考える ■ 人口の増加→「食糧」・「食料」の必要性 「2050年までに91億の人口」(国連予測) ■ 「開発」と「環境保全」のあり方、バランスの「要」 ■ 「耕地面積」の確保、食糧・食料生産の技術開発の 基地 ■ 「持続的農業」の実施とその生産基盤 ■ 「生産」(食糧・食料)することの達成感 ↑ 生産者(人類)の生きることのモチベーション 2 「農地」に関する用語の確認 「食料」: 「食糧」: 「農地」: 「耕地」: 食用にする物 食用とする物、とくに米・麦などの主食物 耕作をする土地(肥培管理をしている土地) 農作物の栽培を目的とする土地。田、畑、樹園 地などがある 「水田」: 灌漑設備を持ち、湛水を必要とする作物を栽 培する耕地 「畑」 : 水田以外の耕地。普通畑、樹園地、牧草地など 「普通畑」: 草本性作物および苗木等を栽培する畑 「草地」: 牧草地、採草牧草地(肥培管理) 「樹園地」: 果樹、桑、茶などの木本性作物を集団的に 栽培する土地 ※ 農地法などの法律等によって定められている 3 ビオトープに対応する水田・畑 講義開始 4 ビオトープに対応する水田・畑 ■ 村落(そんらく) 村落とは、人口や家屋の密度が小さく、 第一次産業に従事する人の割合が高い集 落を指す。←→「都市」 地理学的概念である「集落」に対して、村 落は、人間関係の社会的・文化的な統合 状態に基づく社会学的概念。 広義では、地縁集団にも含まれるが、村 落は、地縁集団に比べて人間関係の社会 的・文化的な自律的統合単位。政治的な 単位として形成されている地域社会の一 種として位置づけられる。 5 ビオトープに対応する水田・畑 ■ 土地改良(とちかいりょう) (1) 灌漑排水施設の整備や圃場整 備、客土などによる既耕地を改 良すること (2) 開墾や開拓などによる造成は 含まない (3) 「土地改良法」によって行う事業 6 ビオトープに対応する水田・畑 ■ 土地改良法(とちかいりょうほう) ※ 土地改良法(昭和24年6月6日法律第 195号)とは、土地改良について定める 日本の法律。 ※ 2001年(平成13年)に改正され、事 業の実施に際して、環境への負荷や影 響に対して、ミティゲーション(自然環境 への影響緩和)の考え方を基本とした環 境配慮対策を検討することとされた。 ※ ミティゲーションの中で最も優先すべき 方法は「回避」。「代償」は、他の措置を とった上で、なお残る環境影響について 行う。 7 ビオトープに対応する水田・畑 ■ 「田」・「水田」 水田 oisii.jp/archives/20060705160228.html ※ 近年では、イネを栽培 する稲田(水田)を指す が、湛水形式の耕地で 栽培される作物(ヒエ、 ハス、クワイ、田芋、根 菜類)もある。 ※ 山間部にみられる「ワ サビ田」では、水路や沢 の水を利用している。 棚田 www.pref.chiba.lg.jp/lab-nourin/ ※ 稲作栽培が広まってい るアジアを中心にみられ 8 る。 ビオトープに対応する水田・畑 ■ 畑(畠、はたけ) ※ 稲以外の穀物または野菜、 豆、芋、果樹などを栽培する耕 地。 さつまいも www.horiifarm.com/2008/09/ ※ 畑は水を張らない。「水の 無い田」と言うことで陸田と呼 ぶこともある。畑に作物を作る ことを畑作という。 ※ 土壌環境が「還元型」とな る水田とは異なり、畑地は「酸 化型」の土壌である。 雨水で土壌粒子・粘土成分、肥 料(イオン成分)が溶脱・流出し やすい。 牧草地 blog.goo.ne.jp/yama2468_001/ 9 ビオトープに対応する水田・畑 ■事例:三重県多気町勢和地区 http://www.tachibai.jp/ 多気町勢和地域では この大切に守り継がれ てきた、地域の資源で ある「水や土」の価値 を再認識し、地域の人 びとと水土里ネット立 梅用水が協働し、この 地域資源を「保全」し 「活用」するというさま ざまな活動を通じ、心 豊かな里づくりを進め ています。 10 11 ビオトープに対応する水田・畑 ■ 事例:三重県多気町勢和地区 ※ 「およそ200年前、私たちの祖先は、大河(櫛田川)をせきとめ、 延べ 247,000人もの人力を要し、全長30kmにも及ぶ農業用水 (立梅用水)を作り 上げました。もちろん目的は、新田を開発し米を作ることです。この工事により 沢山の米が取れるようになり、農民の窮乏を救いました。」 ※ 「用水は森を抜け、山と平地の間を縫うように流れ、大小さまざまな水路に 枝分かれして農家の庭先を巡り、田畑を潤してから再び櫛田川へと流れ込んで いきます。」 ※ 「人々はこの用水で米を作り、野菜を洗い、防火、環境用水など地域用水と しても役立ててきました。そして繰り返す歴史の中で、用水を守るべく農村の 秩序を確立し、多くの農耕文化を育み、農業・農村の礎を築き上げてきまし た。」 ※ 「今、多気町勢和地域ではこの大切に守り継がれてきた、地域の資源であ る「水や土」の価値を再認識し、地域の人びとと水土里ネット立梅用水が協働し、 この地域資源を「保全」し「活用」するというさまざまな活動を通じ、心豊かな里 づくりを進めています。」 12 ビオトープに対応する水田・畑 ■「自然生態系破壊は農業にある」のか? ■ 「農地は、原生自然環境を破壊(改変)で、 農業という特定の目的に合わせて整備し た土地。」・・・という考えはどんな視点? ■ 「農地造成イコール自然破壊」・・・とは? ■ 「近代的農業(大型建設機械による農地 造成工事を含む)」 vs 「伝統農業(戦前 までの農業)」・・・の対立は? 13 14 ※ 本講義ノートは「流域保全研HP」 http://www.bio.mie-u.ac.jp/kankyo/chiiki/ryuiki/ 15
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