第1章 計画策定の背景と策定体制

第1章
第1節
計画策定の背景と策定体制
計画策定の背景等
1.計画策定の趣旨
本市の人口は、少子化や高齢化に加え過疎化が進み減少傾向にあります。
高齢化率(総人口に占める 65 歳以上の割合)は、平成 20 年 10 月末現在 34.2%で、県内 18 市
のうち、2 番目に高い高齢化率となっています。
特に、総人口に占める 75 歳以上の割合は 20.2%(平成 20 年 10 月現在)となり 5 人に 1 人は
後期高齢者という、超高齢社会に突入しています。
こうした中で、今後も少子高齢化の進行に加え、地域コミュニティの低下や過疎化の問題、
「団塊の世代」と呼ばれる世代が介護保険の利用者となり始める 2015 年(平成 27 年)、さらに
はこうした人々が後期高齢者となる 16 年後の 2025 年(平成 37 年)を見据えながら、これから
求められる高齢者の生活や介護の姿をとらえていかなければなりません。
そして、高齢者の生活様式、考え方、価値観も一層多様化してくることが予想されます。
本計画は、こうした長寿社会にふさわしい高齢者保健福祉及び介護保険制度をいかに構築
するか、という極めて重要な課題に対して、行政単位で目指すべき基本的な重点目標を定め、
その実現に向けて取り組むべき施策を明らかにする計画で、介護保険給付対象者のみなら
ず、給付対象外の高齢者福祉サービスを含めた高齢者保健福祉事業全般にわたる供給体制の
確保に関する計画です。
今回の「垂水市第 4 期高齢者保健福祉計画および介護保険事業計画」は、昨年 10 月に策定さ
れた第 4 次垂水市総合計画の基本構想に基づき、「市民一人ひとりが生きがいや夢をもち、住
み慣れた地域で安心して暮らせる垂水」を基本目標に、療養型病床の再編と併せ、2015 年(平
成 27 年)の高齢者像及び高齢者社会像を念頭に置き、平成 21 年度から平成 23 年度の 3 ヶ年
間の施策の方向を示すものです。
2.計画の期間
平成 12 年 4 月に施行された介護保険制度は、第 1 期、第 2 期までは 5 年間の計画を 3 年ご
とに見直し、策定することとなっていましたが、介護保険制度の改正により第 3 期からは、3
年を 1 期とした計画期間に見直されることになりました。これにより、第 4 期については平成
21 年度を初年度、平成 23 年度を最終年度とします。また、第 3 期に設定した最終目標年度であ
る平成 26 年度の目標達成のための長期的な施策を講じ、適宜見直しを行います。
平
成
21年度
計画期間
平
成
22年度
平
成
23年度
第4期
平
成
24年度
平
成
25年度
平
成
26年度
第5期
介護保険料
見直し
1
見直し
目標年度
3.計画の位置づけ
「高齢者保健福祉計画」と「介護保険事業計画」は、老人福祉法第 20 条の 8 及び、介護保
険法第 117 条に基づいて一体のものとして策定することとします。
本市では、これまでも両計画を一体のものとして策定してまいりましたが、高齢者が住み慣
れた地域で安心して暮らしていくためには、保健・医療・福祉のサービスの総合的な展開をす
すめていく必要があり、これまで以上の両計画の一体化が求められてきます。
また、国が定めた基本方針等および鹿児島県が策定する「鹿児島すこやか長寿プラン」
「医
療計画」
「地域ケア体制整備構想」などの関連計画、
「第 4 次垂水市総合計画」や本市のその他
の計画と整合性を保ちながら策定します。
なお、
「高齢者保健福祉計画」の対象者は全高齢者、
「介護保険事業計画」の対象者は要支援
認定者、要介護認定者、要介護となる恐れのある高齢者とします。
「垂水市第4期高齢者保健福祉計画および介護保険事業計画」の位置づけ
「垂水市第 4 期高齢者保健福祉計画および介護保険事業計画」は、「第 4 次垂水市総合計画」を上
位計画とします。
第4次垂水市総合計画
垂水市地域福祉計画(予定)
整合
鹿児島すこやか長寿プラン
︵策定中︶
医療費適正化計画
健康たるみず
第4期高齢者保健福祉計画・
介護保険事業計画
次世代育成支援対策行動計画
障害者福祉計画
21
※老人福祉法
(市町村老人福祉計画)
第 20 条の 8 市町村は、地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 2 条第 4 項の基本構想に即して、
老人居宅生活支援事業及び老人福祉施設による事業(以下「老人福祉事業」という。
)
の供給体制の確保に関する計画(以下「市町村老人福祉計画」という。
)を定めるも
のとする。
《改正》平 9 法 124
6 市町村老人福祉計画は、介護保険法第 117 条第1項に規定する市町村介護保険事業
計画と一体のものとして作成されなければならない。
《改正》平 17 法 077 《改正》
平 18 法 083
※介護保険法
(市町村介護保険事業計画)
第百十七条 市町村は、基本指針に即して、三年を一期とする当該市町村が行う介護保険事業に係
る保険給付の円滑な実施に関する計画(以下「市町村介護保険事業計画」という。
)
を定めるものとする。
4 市町村介護保険事業計画は、老人福祉法第二十条の八第一項 に規定する市町村老人
福祉計画と一体のものとして作成されなければならない。
2
4.計画の基本的な考え方
(1)基本理念
基本理念については、市民一人ひとりが身体や心の健康を保ち、お互いに支え合いながら
市民生活をおくることができる取り組みを踏まえて、次の 3 つを設定します。
① 健康で楽しく歳を重ねながら、お互いが尊厳をもち自己実現
できるまち
② 介護を予防するまち
③ 障害があっても住み慣れた地域で安心して暮らせるまち
高齢者を取り巻く環境変化と時代潮流、現状と将来推計、本市の地理的特性及び高齢
者意識調査アンケート、市民懇話会等の結果を踏まえた結果、高齢者一人ひとりの生
きがいや自己実現のための取り組みを支援して生活の質(QOL)の向上を目指すもので
す。
障害があってもなくても、住み慣れた地域で尊厳をもって安心していつまでも元気で
いきいきと暮らす高齢者像を描きます。
また、自分の生き方は自分で決め、自分の体は自分で守り、自分の人生を楽しむこと
も大切です。
平成 27 年の高齢者介護のあるべき姿を念頭におきながら、制度の安定化と持続性、
介護給付等対象サービスを提供する体制の維持・確保を図るとともに、新たな地域密
着型サービスなど在宅サービスへの支援、介護給付等対象外サービス(インフォーマ
ル・サービス)の支援、介護予防の中核である地域支援事業の推進や地域包括支援セ
ンターの充実、メタボリックシンドロームを含む生活習慣病対策やがん予防などの予
防事業の推進がより一層必要となります。
また、療養病床の再編成を円滑に進めるための地域ケア体制の整備も必要となります。
そして、介護予防に力を入れ、市民全体でできるだけ寝たきりや認知症にならないよ
うにし、介護を受ける時期を遅らせる努力も必要です。たとえ寝たきりや認知症にな
っても支え合える社会づくりのため、地域はもとより子供のころからの教育も重要と
なります。自助・互助・共助・公助の確立に向け、行政はそれらに最大限の支援をし
ていきます。
3
(2)基本目標
第 4 期は、これまで掲げてきた第 2 期、3 期の目標をもう一度見直し、
「生きがい・健康」を
重点目標とした基本目標を設定します。
第 2、3 期計画の目標
市民ひとりひとりが自らの健康に対する自覚を持ち
市民が相互に支え合う地域社会づくり
ハートフル シテイ 垂水
第 4 期計画の基本目標
市民一人ひとりが生きがいや夢をもち、
住み慣れた地域で安心して暮らせる垂水
市民一人ひとりが生きがいや夢をもつことが、身体や心の健康づくりにつながります。
また、高齢者が住み慣れた地域で活動的な生活をし続けるためには、お互いが尊厳をも
ち高齢者を地域全体で支える体制を構築するとともに、高齢者自身も参加しながら地域
の資源を有効に活用し地域の一員になることが大切です。
特に、家族や地域との関係性が崩れて孤立することにより生活機能低下を招くことが
多いことから、その関係性を回復するためにも、共に支え合う地域づくり、まちづくり
とそのネットワーク化が必要です。
(3)基本方針(重点施策)
基本理念、基本目標を実現するための重点施策を次のとおりとします。
1 健康づくり・介護予防の推進
2
生きがいを持ち、社会参加できる支援
3
自立した生活を支える
4
安全で安心して暮らすために地域で支え合うまちづくり
5
介護保険サービスの充実
4
5.計画策定体制
(1)高齢者実態調査の実施
平成 19 年度に、市内に住所を有する 40 歳以上の住民を対象に「高齢者保健福祉計画・介護保険
事業計画」策定に係る高齢者等実態調査(4 種類)を実施し、住民の保健・福祉・介護等について
の実態と今後の意向等について把握し、この調査結果を考慮しながら計画を策定しました。
なお、具体的な調査結果については、第 2 章に抜粋して掲載します。
高齢者等実態調査
65 歳以上(一般高齢者)
40∼64 歳(若年者)
在宅要介護(要支援)者
介護保険施設利用者
調査概要(報告書 平成 20 年 3 月)
調査件数
有効回答数
有効回答率
550 件
541 件
98.4%
545 件
534 件
98.0%
692 件
545 件
78.8%
180 件
164 件
91.1%
※施設利用者は介護老人福祉施設、介護老人保健施設利用者のみ調査
(2)住民懇話会の実施
本計画策定にあたり、平成 20 年 9 月に地域住民や高齢者団体など広く住民の意見を聴くこ
とにより、地域の課題を十分に把握するとともに、多様な意見を集約し、計画に生かしていく
ことを目的とした住民懇話会を開催しました。
住民懇話会 調査概要
垂水市第 4 期高齢者保健福祉・介護保険事業計画 住民懇話会
日時
平成 20 年 9 月 11 日
場所
垂水市住民館 大ホール
協議内容
○第 4 期高齢者保健福祉・介護保険事業計画の概要説明
○計画策定に関する基本的な考え方の説明
○協議テーマの設定
○グループワークでの協議
○グループワークの結果発表
○まとめ
(3)パブリックコメントの実施
本市では、平成 21 年1月∼2 月に、素案・資料等を住民に広く公表し、その計画案に対して
の意見や要望を募集します。
担当課では、寄せられた意見や要望などを十分に考慮し、それまでの一連の流れを公表する
とともに寄せられた意見や要望に対する市としての考え方も併せて検討し、本計画の策定に努
めます。
(4)介護保険運営協議会(計画策定委員会)の実施
本計画の策定にあたっては、新たな策定委員会は設置せず、地域や関係機関代表で構成する
既存の介護保険運営協議会でその計画案の審議を 2 カ年にわたって協議、検討してきました。
平成 20 年度に入って、高齢者実態調査に基づく分析や介護保険事業所の意向調査の結果を
踏まえて、11 月までに 2 回開催し素案を審議し、委員から意見を聴取し地域の特性や高齢者等
のニーズを反映した計画づくりに努めています。
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