第2章 高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画の根拠と性格 1.高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画の法的根拠 (1) 法令の根拠 本計画書は第1部の総論で高齢者保健福祉計画と介護保険事業計画との関係、計画の基 本理念、基本目標及び将来予測等にふれています。 第2部は、高齢者保健福祉計画として位置づくものであり、老人福祉法(昭和 38 年法 律第 133 号)第 20 条の8及び老人保健法(昭和 57 年法律第 80 号)第 46 条の 18 の規定 に基づく市町村老人保健福祉計画として策定しています。本市における高齢者保健福祉計 画は、4 回目の策定ですが、高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画となってからは 3 期 目の計画となります。 第3部は、改正介護保険法(平成17年法律第77号)第 117 条に基づく「市町村介護 保険事業計画」として、本市における介護保険事業にかかる保険給付の円滑な実施等につ いて規定しています。市町村介護保険事業計画は、3年ごとに 1 期として策定されますの で、本市の第3期介護保険事業計画は平成 18 年度から 20 年度までの3年間の計画となり ます。 介護保険法第 117 条第 4 項では、市町村介護保険事業計画は、老人福祉計画及び市町村 老人保健計画と一体的なものとして作成しなければならないとあり、さらに同条第 5 項で は、市町村地域福祉計画その他法律の規定による計画であって要介護者等の保健、福祉、 医療に関する事項との調和が保たれたものであると規定しています。したがって、平成 20 年度には第3期介護保険事業計画が見直され、平成 21 年度から 23 年度までを期間とする 第4期介護保険事業計画が策定されることになります。これに関連して、高齢者保健福祉 計画についても同時に見直しを行います。両計画は地域におけるさまざまなサービス資源 の活用方策等を盛り込んだ行政計画として位置づけられています。 (2) 策定後の手続き ① 高齢者保健福祉計画(老人保健福祉計画)・介護保険事業計画は、見直し後速やか に、市町村は都道府県知事に、都道府県は厚生労働大臣に提出します。 ② 高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画は、見直し後速やかに公表することとしま す。 ③ 高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画は、その実施状態を毎年点検します。 2.計画の策定体制 (1) 高齢者実態把握調査 高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画を作成するにあたっては、高齢者の実態を踏ま えた高齢者保健福祉サービスや高齢者支援、いきがいづくりなどのニーズと介護保険サー ビスの需要と給付状況等を把握する必要があります。そのため平成 16 年 8 月に市職員・ 施設職員等を中心として「所沢市高齢者保健福祉・介護実態調査」を行いました。調査は きめ細かく実施する意味で、 「高齢者一般調査」 「単身高齢者調査」 「介護者調査」 「要介護 高齢者調査」 「施設高齢者調査」「介護サービス未利用高齢者調査」を実施しました。 ① 調査の概要 ア)調査目的 高齢者保健福祉計画および第 3 期介護保険事業計画策定のための基礎資料としています。 イ)調査方法 ①高齢者一般調査 郵送調査(自記入式) ②単身高齢者調査 郵送調査(自記入式) ③介護者調査 訪問留置き調査(在宅介護支援センタ ー職員による訪問配布・回収) ④要介護高齢者調査 訪問留置き調査(市職員による訪問 配布・回収) ⑤施設高齢者調査 訪問留置き調査(施設職員等による訪 問配布・回収) ⑥介護サービス未利用高齢者調査 郵送調査(自記入式) ウ)調査対象 ①高齢者一般調査 要介護認定を受けていない 65 歳以上を 対象に、行政区域(11 地区)別に各地 区 150 人、計 1,650 人抽出 ②単身高齢者調査 平成 15 年度要援護老人調査の対象とな った単身高齢者世帯から 500 人抽出 ③介護者調査 平成 15 年度要援護老人調査の対象とな った介護している世帯から 300 人抽出 ④要介護高齢者調査 居宅サービスを利用している介護保険 認定者を対象に、各要介護度から 80 人、 計 480 人抽出 ⑤施設高齢者調査 特別養護老人ホーム・老人保健施設・療 養型病床入所者から 100 人抽出 ⑥介護サービス未利用高齢者調査 介護保険サービスを 3∼4 ヶ月間全く利 用していない介護保険認定者を対象に 各要介護度から 30 人、計 180 人抽出 エ)回収状況 ①高齢者一般調査 有効回収数 1,085 票 有効回収率 65.76% ②単身高齢者調査 有効回収数 313 票 有効回収率 62.60% ③介護者調査 有効回収数 223 票 有効回収率 74.33% ④要介護高齢者調査 有効回収数 426 票 有効回収率 88.75% ⑤施設高齢者調査 有効回収数 99 票 有効回収率 99.00% ⑥介護サービス未利用 有効回収数 106 票 有効回収率 58.89% 高齢者調査 オ)調査期間 ② ①高齢者一般調査 平成 16 年 8 月 16 日∼8 月 31 日 ②単身高齢者調査 平成 16 年 8 月 16 日∼8 月 31 日 ③介護者調査 平成 16 年 8 月 2 日∼8 月 31 日 ④要介護高齢者調査 平成 16 年 8 月 2 日∼8 月 31 日 ⑤施設高齢者調査 平成 16 年 8 月 2 日∼8 月 31 日 ⑥介護サービス未利用 高齢者調査 平成 16 年 8 月 16 日∼8 月 31 日 給付実績の分析と評価 第 3 期介護保険事業計画は、第 2 期介護保険事業計画から平成 15 年度及び平成 16 年度 の給付実績を分析し、その評価を踏まえて将来の給付の見込みを立て、給付と負担のバラ ンスを維持し、介護保険制度がより円滑に実施されることを目指しています。 (2) 住民参加等による計画策定の過程 ①策定の過程 本市は、所沢市高齢者保健福祉計画推進会議において第 3 期高齢者保健福祉計画・介護 保険事業計画策定の審議を進めてきました。高齢者保健福祉計画推進会議は、保健・福祉・ 医療に関わる各界各層の 20 名の委員により構成されています。その中には被保険者代表 として 4 名の一般公募委員が含まれています。 第 3 期高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の策定にかかる審議は、平成 17 年4月 に開始しています。会議は毎回 15 名前後の傍聴者の中、情報公開の原則にそって公開で 審議を行いました。委員名簿及び審議経過については、巻末参照されたい。 ②パブリックコメント 本市では、平成 17 年 4 月からパブリックコメントを求めることなり、本計画におい ても、平成 17 年 10 月 8 日から平成 17 年 11 月 14 日まで募集をおこない、1 件の応募が ありました。それらは、推進会議委員の参考にしました。 ③内部体制の整備 所沢市高齢者保健福祉計画推進委員会は、保健福祉部長を委員長に 20 名の委員で構成 された内部審議機関です。また、介護給付プロジェクト、介護予防プロジェクト及び高齢 者支援プロジェクトは、介護保険及び介護予防にかかわる内容や今後のあり方について、 各課横断的に構成された検討機関です。それぞれの審議事項及び会議実施日は巻末に掲載 しています。 (3) 計画の進行管理 高齢者保健福祉計画及び介護保険事業計画は、保健福祉分野での総合的な行政計画とし て位置づきます。その意味では社会情勢の変化等を踏まえ、計画の推進過程において、実 施の状況の把握や必要に応じた見直しが必要となります。これについては、適宜高齢者保 健福祉計画推進会議において審議していきます。したがって、所沢市高齢者保健福祉計画 推進会議は、計画の推進と進行管理における事業の評価を行うとともに、本市の総合的な 高齢社会対策を協議し、推進する組織としての役割を担うものです。 3.高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画と所沢市総合計画との関係 (1) 所沢市総合計画との整合性 総合計画は、基本計画としてまちづくりに必要な方向性とその実現に向けての施策を示 すものであり、また基本構想は、地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 2 条第 4 項に、 議会の議決を経て定めることが規定されています。 本市の第 4 次総合計画・基本構想は、みんなつくるところざわをテーマに心・夢・緑の 調和のとれた計画を目指して、平成 13 年 3 月に策定され、同時にこの基本構想に基づき、 平成 17 年度を目標年度とする「前期基本計画」を策定しました。 「後期基本計画」につい ては、目標年次を平成 22 年度とし、基本構想に掲げた「まちづくりの目標」並びに「構 想実現に向けた行財政運営」の実現に向けて、総合的・計画的に進めていきます。 基本構想では、「人間尊重・生活優先・文化重視」を基調とした「人と地球を愛するま ちづくり」を基本理念とし、将来都市像を「ゆとり・うるおい・活力ある生活文化都市」 として掲げています。さらに将来都市像の実現のため、7 つの「まちづくりの目標」を示 し、その中で「豊かな心で健やかに暮らせる支え合いのまち」として社会福祉の充実につ いて定めています。 高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画は、地方自治法第 2 条第 4 項の基本構想にした がって策定するものですので、総合計画基本構想との整合性を十分図りながら策定してい ます。 (2) 他の計画との整合性 本計画策定にあたっては、埼玉県地域保健医療計画、埼玉県老人保健福祉計画、埼玉県 福祉のまちづくり条例、所沢市障害者計画、所沢市地域福祉計画、健康日本 21 所沢市計 画、所沢市高齢者住宅計画、所沢市生涯学習計画、その他の計画との整合性について配慮 しています。 4.計画の推進 (1)公・私・民の協働体制確立 計画で掲げるサービスの目標達成に向けては、公 (行政・地域社会)、私 (個人・家庭)、 民 (社会福祉法人、民間団体、民間企業等) がそれぞれの役割を担いなから、サービス提 供体制を確立していくものです。なお、本市においては本計画の円滑な推進を図るため、 各種施策の推進はもとより、サービス提供機関との協力のもとに地域ケア体制を構築し、 サービス提供体制確立のための総合調整機能を担っていきます。また、施設整備やボラン ティア活動等の促進のための支援策等条件整備を図るとともに、計画推進に必要な財源確 保に努めていきます。 (2)サービスに対する費用負担の適正化 高齢化の進展や家庭環境の変化などにより、今後援護を必要とする高齢者の増加が見込 まれます。これに伴って、保健・福祉サービスに対する需要も高まることが予測され、対 応する施策の整備が課題となります。これまでの福祉サービスについては、主に低所得者 層を対象に国や自治体の財源により、無料または低額な料金でサービスを提供してきた歴 史があります。今後は所得や介護力に関係なく、介護の必要な人には必要なサービスが提 供される福祉サービスの普遍化が求められています。しかし、その負担について、多くの 対象者を公費のみで対応するのは難しい状況にあります。こうしたことから、提供するサ ービスに対しては、費用負担の適正化を図り応益負担を原則とします。 (3)財源の課題 介護保険事業にかかる財源は、介護給付・介護予防給付については1割の自己負担を除 いて、原則として保険料が 5 割、公費が 5 割の構成で充当される制度であり、地域支援事 業については、保険料が 1 号及び 2 号保険者分あわせて 50%充当の介護予防事業と 1 号被 保険者の保険料 19%のみが充当される地域包括的支援事業・任意事業との2通りとなって います。 一方、高齢者保健福祉計画に関連する事業は、公費を中心とした財源により実施され、 事業によっては所得に応じた利用料負担があります。さらにこの高齢者保健福祉計画は、 本市が主体的に行う施策の方向性を示した計画となっています。この計画の推進にあたっ ては、本市として一般会計を中心とした財政負担が伴うことになります。高齢者保健福祉 計画にかかる事業は、計画的推進を目的とした計画主導型の計画であり、同時に、市の基 本計画との整合性を十分踏まえたものとしています。したがって、計画推進に伴う財源に ついては、市の総合計画としての関係を踏まえて、実施計画において示していくものです。 (4)計画の周知 高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画の周知に関しては、概要版を作成して民生委員 を通じて、高齢者のいる全世帯に配布して情報の周知を図っていきます。また、必要に応 じて広報で特集記事やQ&Aなどを提供し、求めに応じて出前講座等による説明を実施し ます。また、高齢者保健福祉制度におけるサービスを受ける場合や介護保険にかかる給付 を受けようとする人に対しては、インターネットのホームページや、各種パンフレット、 さらに民生委員や高齢者みまもり相談員等による周知を行っていきます。
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