ノウハウ リフォームの成約率 倍増の秘密 「次もお願い」と言わせる 見積もり方法はコレだ! 記者が取材で訪れた日、ナイスさんいんの 小林恒之取締役部長は保証が切れた太陽光 発電システムの付け替えの商談を決めてき た。当初は発電しなくなった太陽光パネルを 撤去するだけの依頼だったが、見事付け替え の受注に発展させた。 もともと他店で太陽光を設置した顧客だ ったが、同社で定期的に開催している太陽光 発電のセミナーを聞いて依頼してきた。太陽 光に不信を持っていたお客の心を変えるには 「太陽光の良さを本質の部分から丁寧に説明 することだった」と小林さんは語る。太陽光 パネルの撤去だけならわずかな売上にしかな らなかったが、臨機応変に提案したことで、 ▲セミナーを行う多目的ホール会場 ナイスさんいん 矢田 峰夫 社長 大きな売り上げアップにつながった。 太陽光はゴールではない! リフォームのフロント商材 ナイスさんいんは住宅リフォーム専門会社 だが、新築も年に 4 棟ほど手掛けている。リ 所在地 年 商 内 訳 顧客数 従業者 鳥取県米子市 約 3 億 8,000 万円 太陽光発電 1 億円 リフォーム 1 億 8,000 万円 新築 1 億円 約 1,200 世帯 5名 (うちパート 1 名) フォームや新築の提案には必ず太陽光発電 を含めている。これが他のリフォーム業者や 工務店との大きな差別化になるからだ。 太陽光発電やリフォームは、施工面で万が 一不備があっても保険でカバーできるという 売り方をする業者もいるが、ナイスさんいん 2015.1 技術営業 71 オール電化・ リフォーム ナイスさんいんは 2014 年 8 月期の決算で、 過去最高の売上高 3 億 8,000 万円を記録し た。7,000 万円だった 10 年度から 3 年で 5 倍に伸ばした。驚くのは従業員を増やさず に毎年 1 億円以上のペースで売り上げを伸 ばしていることだ。 「売上目標はおおざっぱ」 という矢田峰夫社長だが、そこには必中の 見積もり手法があった。 は “もしも” がないよう施工にこだわっている。 そのアピールは自社開催セミナーと、OB 客 に配っている季刊新聞 (年 4 回発行) で行う。販 促はそれだけなので、売り上げの 8 割は OB 客 だ。まったくの新規客は矢田峰夫社長が毎日ア ップしているブログ「あい・らぶリフォーム!ナ イスさんいん」 からの問い合わせだけだという。 太陽光のセミナーはリックが提供する狩野 晶彦講師の 「太陽光発電勉強会」 を活用してい る。自社社員が説明するセミナーも可能だが、 あえて第三者を講師にすることで売り色をな ▲立て看板でアピール。講師の狩野氏 くし、純粋に太陽光の良さを知ってもらおう ショールーム」へ改造した。実際の生活で使 という矢田社長の考えからだ。 っている状況を見てもらうことで、お客に生 「太陽光発電は価格が決まっているので、 活の変化をイメージしやすくして、より身近 大きな儲けになりませんがあくまでもきっか に感じてもらう狙いがある。 けです。そこからリフォームにつなげていき 例えば、玄関では床材の感触を体験しても ます」 。太陽光受注と同時にお客の 7 割がリフ らうため、スリッパを出さない。天井の高い ォームも依頼してくる。 リビングルームでは、ホームパーティーを開 リフォームへつなげる新たな取り組みとし いて解放感を味わってもらう。キッチンは背 て、2013 年 7 月に矢田社長の自宅を「使える 丈によって高さが選べたり、利き手によって シンクの位置が変更できることを体験しても らいながら説明する。 さらにシンクの下は、通常は収納スペース にするが、あえて空間をつくってゴミ置き場 にした。実はキッチンではダストボックスの 置き場に困る。特にリビングからゴミが見え るのは NG だ。流しの下にダストボックスを 置くことで、リビングからは見えず、かつ使 いやすい。この自宅見学会で、 「同じようにし て」 という依頼もあった。 何とお客さまに返金 矢田流「細見積もり術」 リフォームの見積もりは難しい。いざ施工 の段階で、不測の事態がおこるケースが多い ▲季刊新聞は矢田社長が編集 72 技術営業 2015.1 ためだ。例えば、本来配線がきているはずな
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