メサコリン吸入負荷による気道収縮と咳嗽の誘発 アストグ ラフ法による検討

第16回 日本咳嗽研究会
一般演題 第5群
メサコリン吸入負荷による気道収縮と咳嗽の誘発 アストグ
ラフ法による検討
原 丈介1),酒井 珠美1),阿保 未来1),笠原 寿郎1),岡崎 彰仁2),大倉 徳幸3)
藤村 政樹4)
金沢大学附属病院 呼吸器内科1),石川県立中央病院 呼吸器内科2)
恵寿総合病院 内科3),独立行政法人国立病院機構七尾病院 呼吸器内科4)
【背景】メサコリン吸入試験の方法には,アストグラフ法と日本アレルギー学会標準法の2
つがある。当科では標準法を用いて,気道収縮によって生じる咳嗽の機序に関する研究を
行い,咳喘息の患者において,気道収縮に対する咳嗽反応が亢進していることを明らかに
した。しかし,標準法によるメサコリン吸入試験の測定手技は煩雑で,検者にも被検者に
も負担が大きく,さらに検査の所要時間が長い。
【目的】
標準法より簡便で検査時間の短いアストグラフ法による気道収縮及び誘発咳嗽を評
価する。
【方法】喘息の既往のない健常ボランティア19名(男性:7名,女性:1
2名)を対象とした。
2倍希釈した10段階濃度のメサコリン溶液を,低濃度より順次2分間安静換気法にて吸入
させた。呼吸抵抗
(Rr
s
)が基準値の2倍に上昇した時点で即吸入を中止し,メサコリン吸入
中および吸入中止後30分間に誘発された咳嗽数を記録した。
【結果】
対象者背景は,年齢:2
1.
2±
0.
5 歳,身長:163.
5±
9.
6㎝,体重:56.
1±
9.
5㎏,%
VC:
2±
10.
8%,FEV1%:92.
2±
4.
8%であった。誘発咳嗽数は,15.
8±
14.
5
95.
2±
7.
9%,%FEV1:97.
0.
6±
20.
3%(中央
回(中央値:1
0回,最小値:0回,最大値:40回),FEV1の減少率は,-3
値:30.
8%,最小値:0%,最大値:58.
1%)であった。アストグラフ法前後のFEV1の減少
率と誘発咳嗽数との間に有意な相関関係を認めた(r
=-0.
60,p<0.
01)。
【結論】アストグラフ法は健常者において,比較的簡便に気道収縮と咳嗽を誘発することが
示された。 気道収縮が強いほど,誘発咳嗽数が増加する傾向を認めた。
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