「しっかり教えて考えさせる」授業実践(胆振 - 北海道小学校長会

平成26年度
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報告地区
事例報告学校名
報告者職・氏名
キーワード
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はじめに
北海道小学校長会地区活性化支援事業【実践事例レポート】
:胆振地区
:室蘭市立八丁平小学校
:校長
澤 田 光 男
:
「学力向上」
「効果ある学習指導体制」
「機動的な分掌組織」
「ICT活用」
「タイムフレームマネジメント」
「教えて考えさせる授業」
「授業UD」
本校における学力不振脱出の取組は,「授業の中で子どもを育
む」ことに焦点化され,新指導要領のコンセプトの一つである,
「しっかり教えて考えさせる」授業実践に辿り着きました。その
甲斐あって,始めはゆっくりと,後は急激に学力が向上し,全国
学力調査では無答率が1%以下に減少し,全国正答率と比べても,
かなり高い結果を得ることができました。2年生以上の標準学力
調査でも,全国レベルに到達し,活用能力は,どの学年も10ポ
イント程度向上しました。25・26年度は,「教えて考えさせ
る授業」の提唱者である市川伸一先生の直接指導のもとに公開研
究会を行い,実践の成果を市や管内に還元することができました。
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学力向上に効果があれば何でもやろう
(1) 効果ある指導体制と機動的な分掌組織を生み出そう
小一プロブレム防止入門期 TT,3クラス同時 TT,クラ
スを2つに分けた国語・算数少人数専科,高学年専科など,
クラスの荒れを防ぎ,学習効果を高める学習体制を臨機応
変に組んでいます。機動性を発揮させるために学力向上プ
ロジェクト(家庭学習・チャレンジテスト・ふり返り問題・
長期休業中の補習)と行事精選プロジェクト(運動会・学
芸会の見直し)を設置しました。研修部学び担当(全校を
貫く学習ルール定着の取組)
・生活部子どものくらし担当(生活リズム)
・教科部会(教科等経営
案作成)等,授業づくり中心の組織運営を進めました。
(2) タイムマネジメントは教育課程を見直すことから
平成26年度
年間授業の予備時数を,3年間で学年平均46時間
八丁平小学校 日課表
から75時間に増やしました。生み出した時間を,国
登校/読書
~ 8:15
朝学習/朝の会
語や算数の授業や,ロングのパワーアップタイム(補
8:15~ 8:30 水曜 朝読タイム
パワーアップ
充学習)にあてました。また,職員朝会を終会に移動
8:30~ 8:45
し,生み出された時間を,ショートのパワーアップタ
イム(15分補充学習)にあてました。
(3) 全員授業の職員研修
校内授業研修を充実させ,先生全員1回(新卒は5回)以上の授業検討を実現させました。こ
のエネルギーは,道外の先進校からも頂きました。「教えて考えさせる授業づくり」,「学力向上
の取組」を学ぶために,2年間で秋田・青森の先進4校50学級を,延べ8人の職員で視察し,
市内の先生方にも成果を還元しました。
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8:45~ 9:30
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学力向上めざし行き着いたところは「教えて考えさせる授業」力向上
(1) 「教えて考えさせる授業(OKJ)
」の展開
「教えて考えさせる授業」
は,「教師からの説明」,
「理解確認」「理解深化」
「自己評価」の4つの
学習過程からなります。
(2)
「OKJ」は説明する
力が付く
個別や一斉学習だけで
はなく,ペアで説明し合い,
グループで考え合う活動
を充実させています。根拠
はノートです。自分の考え
や友達の考えをノートに
図や式,言葉で書くことを
重視しています。学習課題
と理解確認問
題,まとめ,自
己評価を記入
するよう共通
理解を図って
います。
(3)TT と ICT 活用
学習過程を学校全体で
合わせているので,TT の
効果的な指導が可能にな
りました。また,デジタル
教科書や実物投影機が各教
室に設置されているので,より視覚に訴える教材提示・ノート指
導が可能になりました。
(4)
「OKJ」と「授業UD」の相性の良さを再確認
「教えて考えさせる授業」は,本時の目標を明確にし,教師主
導による説明で,思考の足場がどの子にも確立できるので,特別
の支援が必要な子も安心して学べます。授業前半で本時のゴール
を明確にし,その上で理解深化を図ります。自力解決やペア・グループによる協同学習は,全員
参加可能な学習を保障します。
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おわりに
学力向上の基盤になる授業改善は,室蘭市小学校長会の共通課題でした。24年度から市内18
校の学力実態を交流し合い,先進校の実践や,道外学校視察で学んできたことを交流し合いました。
25年度からは毎年市内約3分の1の小中学校が,公開研究会を実施するようになり,市の学力も
全国水準に辿り着きました。中学校区での小中連携も進み,校内授業研でも行き来し,11月には
2回目の授業交流会が行われ,小学校は午前授業にして100名規模で交流しました。
「教えて考え
させる授業」を共に研究する兄弟校も現れました。この勢いは更に高まりそうです。