CELLine フラスコ (BD)を用いた遺伝子組み換え CHO 細胞の培養と タンパク質産生 材料と方法 培養液: ① 蛋白産生用無血清培地 ② 細胞増殖培地 RITC80・7(プロリン 10 倍に増量) RITC80・7(プロリン 10 倍に増量)+1%FBS 細胞: ヒト T 遺伝子*を組み込んだ CHO 細胞(CHO-T) *あるタンパク質をコードする遺伝子の略記であり、正式な名称ではありません。 培養容器: 225 cm2 の培養フラスコ CELLine フラスコ (BD) 培養方法: 1, CHO-T を細胞増殖培地(1%FBS 含有)中で 225 cm2 の培養フラスコ 5 本に増殖させた。 2, フラスコに付着増殖しコンフルエントになったところで、トリプシン-EDTA で細胞を分散させた。すべ ての細胞を遠心分離により回収した。 3, すべての細胞(約 2×108 個)を増殖培地 20 mL に懸濁し、細胞浮遊液を調製した。 4, 培地栄養成分供給チャンバーに無血清 RITC80・7 培地を 1L 注入した後に、細胞培養チャンバーに細胞 浮遊液を 20 mL 注入した。 5, すべてのキャップを閉じ培養を開始した。 組み換えタンパク質の回収: 1, 培養開始から 7 日ごとに細胞培養チャンバーから細胞浮遊液すべてをピペットで取り出し、1200 rpm、5 分の遠心で培養液と細胞に分離した。 2, 細胞は再度 20 mL の増殖培地で浮遊懸濁し培養チャンバーに注入、培養上清はタンパク質回収と定量分 析のため - 30℃で保存した。 3, 以上の操作を 3 回繰り返した(3 週続けて培養した)。 T タンパク質定量分析: 1, ヒト T タンパク質は抗ヒト T タンパク質抗体を用いた ELISA 法により定量した。 2, 含有量は精製 T タンパク質を標品として検量線から算出した。 結果 細胞増殖について: l CELLine フラスコに入れた細胞は、増殖を開始した。3 日以降、凝集塊を形成、細胞数の測定は不可能 になった。 l 培養の継続と共に細胞塊は大型化した。(細胞回収時に強いピペッティングを行なうと細胞が破壊され るので注意。) 培養 1 日目 培養 3 日目 T タンパク質定量結果: 試料 1(7 日目) 回収液量 18 mL、T タンパク質含量 26.1μg/mL、総回収量 0.47 mg 98.5μg/mL、総回収量 1.67 mg 83.0μg/mL、総回収量 1.41 mg 試料 2(14 日目) 回収液量 17 mL、T タンパク質濃度 試料 3(21 日目) 回収液量 17 mL、T タンパク質濃度 98.5μg/ml 1,800 Tタンパク質生産量 μg 1,600 83.0μg/ml 1,400 1,200 1,000 800 26.1μg/ml 600 400 200 0 7日 14日 培養日数 21日 まとめ l CHO-T 細胞のフラスコ培養法による、T タンパク質の生産量は約 7.2μg/mL であるから、CELLine フラ スコでは 10 倍程度の高濃度生産が可能であった。 l タンパク濃縮操作が不必要なため、培養上清を直接アフィニティークロマトグラフィーにより精製でき た。 l 一般的なフラスコ培養法でのタンパク質の回収は 1、2 日毎に培養液の回収を行なう必要があるが、 CELLine フラスコでは 1 週間に 1 回で十分であった。 データ提供 : 株式会社 細胞科学研究所
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