ポスター 1 P-4 糖尿病性ケトアシドーシスを契機として診断された先端肥大症の一例 須江 麻里子、吉原 彩、岡 玲子、臼井 州樹、東條 靖、礒 薫、石川 真由美、久保木 幸司、 廣井 直樹、芳野 原 東邦大学 内科学講座(大森)糖尿病・代謝・内分泌科 症例は2か月前から口渇、清涼飲料水を含めた1日2L以上の多飲、多尿、‒5kgの体重減少を認め、ふ らつきを主訴に当院受診した43歳女性。糖尿病家族歴はあるが、これまでに高血糖を指摘された事は ない。採血で随時血糖440mg/dL、HbA1c15.7%と高値、尿ケトン陽性、pH7.257とアシドーシスを認め、 糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)と診断し入院となった。身長167cm、体重57kg、BMI20.4と肥満 はなく、下顎の突出、口唇肥厚、巨大舌といったアクロメガリー様容貌を認め、さらに四肢末端の肥 大がある事から精査を行った。血糖228mg/dLと高血糖状態でのGH 155ng/mL、IGF-1 476ng/mLと 高値であり、トルコ鞍Xpでdouble floorおよびballooningを、手指Xpでは末節骨のカリフラワー様変 化を認めた。下垂体MRIでトルコ鞍は拡大し、鞍内部から上部へ連続し内部に一部嚢胞を伴う長径 34mmの腫瘤性病変を認め、以上よりGH産生性下垂体腫瘍による先端肥大症およびそれによる二次 性糖尿病からDKAを発症したと診断した。ブロモクリプチン負荷試験ではGH抑制不十分であったが、 サンドスタチン負荷試験ではGHは抑制された。糖尿病に対しては最終的にインスリン1日30単位用い て良好な血糖コントロールを得、下垂体腫瘍に対しては外科的治療目的に他院へ転医した。先端肥大 症において耐糖能異常の合併は10-20%と比較的高頻度であるが、一方で先端肥大症による糖尿病で DKAに至る例は稀である。インスリン分泌が保たれていてもインスリン拮抗ホルモン上昇によりDKA に至ると言われており、本症例においても血中c-peptide 1.49ng/mL、蓄尿c-peptide 85.5μg/dayとイ ンスリン分泌は保たれていた。
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