(第2報)Wnt

小児歯科学雑誌 45(2)13672007 367
アメロジェニンによる骨芽細胞分化調節機構の解析
(第2報)Wnt/β一cateninシグナル伝達系について
Dual・Luci免rase ReporterAssay Systemを用いてルシフェ
ラーゼ活性を測定した。
【結果】
O松澤光洋、室井剛史、進士久明、木本茂成、川瀬俊夫幸、
TOPGALマウスのX−Ga1染色による陽性細胞は、主に
黄嘉道纏、許綜仁紳、JEPuzaず
ヘルトヴィッヒ上皮鞘(囲RS)に相当する根尖部付近と歯
(神歯大・小児歯、串歯生工学、**Un拉Rochester)
根表面上に沿った歯根膜組織および歯槽骨表面におい
て顕著であった。Ca!varial cellsにおけるLacZ遺伝子の
【目的】
転写活性は、5μg/ml rM179添加によりコントローノレと比
Wnt/β一caten圭nシグナル伝達系は、様々な組織や器官
の発生や、癌をはじめとする多くの疾病の発症に重要な
較して約2.3倍の上昇を示した。また、PDLcellsの
TOPFLASHレポーターアッセイでは約4倍の転写活性化
役割を果たしている。Wntシグナルを受け取るレセプター
を示した。さらに、抗β一catenln活性化抗体によるWestem
の一つであるLRP−5の突然変異によって骨量が大きく変
blottingの定量分析においても約2倍の上昇を示し、タン
動すること、またTGF一βシグナリングとのクロストークが存
パク質レベルでのβ一catenin誘導が確認された。
在することなどの理由から、Wntシグナリングの骨形成に
【考察及び結論】
対する役割が注目されている。最近、アメロジェニン
我々は、第44回大会においてアメロジェニンの骨芽細
(rM玉79)の骨形成における重要性が分子レベルで明らか
胞におけるTGF一βシグナリングの誘導を報告した。
になりつつあるが、Wn重シグナル伝達系との相互作用に
Smad3、4がWntシグナリングの活性を増強することから、
ついての報告はみられない。本研究では、TOPGALレポ
アメロジェニンとの関連性を疑い本研究をデザインした。
ーターマウスリを用いてアメロジェニンのカノニカルWnt
TOPGALマウスのX−Ga1染色が示したHERS近傍および
シグナル伝達系に与える影響にっいて検索を行った。
歯根膜組織内におけるβ一galactosldaseの発現は、アメロ
【試料及び方法】
ジェニンとWntシグナリングの相互作用を支持するもので
rMl79は、マウスアメロジェニンcDNA/pETllaベクター
2)(ミシガン大学DL JP Simmerより供与)をE ooli
BL21(DE3)pLyssに導入し、イソプロピルβ一D一チオガラク
あり、歯周組織の発生においてβ一cate熱inが重要な
regulatorであることを示唆している。Westem blottlngの結
果は、TOPGALマウスCalvarialcellsにおけるLacZ遺伝
トシド(IPTG)により発現誘導を行った。アメロジェニン可
子およびPDLcellsのTOPFLASHレポーターの転写活性
溶性画分はゲル濾過カラムにより分離精製し、ROSl7/2・8
化に一致しており、β一catenln活性化による付加的なシグ
cellsの骨基質タンパク質(COL1、ALP、OCN)のmRNA
ナルの誘導を証明する。本研究が示すアメロジェニンの
発現に対する影響をReal−time RT−PCRにより検討した。
Wntシグナル伝達系への関与は、歯周組織発生におけ
Wntシグナリングの解析には、転写因子TCF(T Cell
る未分化問葉系細胞の増殖、分化誘導に対するアメロジ
Facto「)/LEF(lymPhold enhancePb1nding五actor)の合成
ェニンの新たな多様性を表現するものと思われる。
プロモーターの制御下にLacZ遺伝子(β一galactosidase)
【文献】
を発現するトランスジェニックマウス(丁OPGALマウス)を用
1)DasGupta R and Fuohs E:Multiple roles慣or aoti’vated
いた。LacZ遺伝子の発現はX−Gal染色により確認した。
LEFITCF transcription complexes during hair 負⊃11圭cle
1ηvi∫roにおけるWntシグナリングの応答は4霞齢の
development and dif驚rentiatlon声 Development, 三26:
TOPGALマウスよりC&lvarial cellsを拍出し、Wnt3aをポ
4557−4568,1999.
ジティブコントロールとしてrM179(3、5μg/m1)と共に24
2)Si田mer JE Lau BC,Hu CC,AobaエLacey M,Nelson D,
時間培養を行った。培養終了後、Lysis b慧ffer(200μ
Zelchne卜D舗d M,Snead ML,Slaykin HC,Flncham AG:
1/we11)を加えてβ一galac‡osldase活性を測定した。また、ヒ
Isolation and characterlzation ofamouseamelogenin
トおよびマウス歯根膜由来細胞(PDL cells)に対する応答
expressed in E50hεπohio oo1∫,Caloif Tissue Int,54:312−319,
性については、TCF結合配列をルシフェラーゼ遺伝子の
上流に連結したレポータープラスミド(TOPFLASH)を用
1994、
いて丑αηsl㍗LT1により48時間遺伝子導入を行い、