Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 2014年12月17日 原油価格下落。ベネズエラの直面する問題と今後の行方 ベネズエラが直面する問題は、原油価格の下落と、割高な為替水準、過大な財政支出で、解決に時間はかかると思 われます。ただし、短期的にはベネズエラ当局がデフォルト回避の姿勢を維持すると思われます。 ベネズエラ債務: 原油下落で懸念高まる 世界的な原油価格の下落が、産油国のベネズエラ経済を脅 かすとの懸念が高まっています。債務不履行(デフォルト)懸 念の可能性に言及する市場参加者も見られる中、2014年12 月16日の取引では、債務を保証する対価として支払われる コスト(CDS:クレジット・デフォルト・スワップ)は高水準(保証 コスト高)となっています(図表1参照)。 石油収入に国家運営をたよるベネズエラの財政が均衡する 原油価格は100ドルを越えていると言われ、産油国の中では 均衡価格が最も高い国の一つと見られており、市場は同国 への警戒を緩めていません。一方で、ベネズエラのマドゥロ 大統領は債務返済意思の高さを維持している模様です。 図表1:ベネズエラの5年CDSスプレッドの推移 (日次、期間:2013年12月16日~2014年12月16日) 5,000 bp 悪化 信用力 改善 どこに注目すべきか 財政支出、ボリバル、ドル建て債券 原油価格の反転か、通貨ボリバル安による自国通貨の受取 り増加が考えられます。そこで、自ら行える政策としては対ド ルレートを約6.3で固定しているボリバルの減価が有力と思わ れます。複数の為替レートを持つベネズエラでは非公式レー トはすでに大幅に減価しています。インフレ率の上昇という副 作用の懸念はありますが、通貨切り下げに迫られる可能性は 高いと思われます。その上、近い将来、国民には不人気な財 政支出削減の決断を迫られる局面も想定されます。 最後に、ベネズエラのドル建債券に注目すると、同債券はニ ューヨーク州法準拠で発行されているため、デフォルトした場 合同国の輸出収入に影響する恐れもあることから、同国がデ フォルト回避の意向を高めている可能性もあります。 ただし、ベネズエラが直面する問題は根深く、事態の長期化 は問題をさらに深刻化させる恐れもあり、注視が必要です。 安 ボリバル 高 ※1bp=0.01% ベネズエラが直面する問題は、原油価格の下落と、固定的 4,000 ※CDS :クレジット・デフォルト・スワップ(信用リ な為替レートが割高な水準で放置されてきたこと、そして過 スクを対象としたデリバティブ商品のことでスプ 大な財政支出が長年続けられてきたことです。問題の解決 3,000 レッド上昇(低下)は信用力悪化(改善)の目安 ) に時間はかかると思われますが、短期的には、ベネズエラ当 2,000 局がデフォルト回避の姿勢を維持すると見られます。 まず、ベネズエラ財政のどこに問題があるのかに注目します。1,000 ベネズエラCDSスプレッド 1番の原因は過去からの財政支出の拡大とその対応にある 0 と思われます。1999年にチャベス前大統領が就任してから、 13年12月 14年3月 14年6月 14年9月 14年12月 ベネズエラの財政支出は拡大傾向です。2008年の金融危機 図表2:ベネズエラボリバル(対ドルレート)の推移 までは、石油収入と通貨の切り下げ(図表2参照)で財政支 (日次、期間:2004年12月16日~2014年12月16日) 出の増加に対応してきました。2008年から11年は外債発行、 7 ボリバル/ドル 2012年から14年はマネーサプライの増加を伴ったマネタイゼ 6 ベネズエラ ボリバル 5 ーション(マネーの増発)により、財政をやり繰りしましたが、 4 その結果、現在は数十%にのぼる高インフレという副作用に 3 苦しんでおり、対応の余地が狭まっています。 2 通貨切り下げ 1 次に、現在取りうる解決策に注目します。ベネズエラ政府債 0 務は自国通貨建てが多くなっています。同国の債券発行コ 04年12月 07年12月 10年12月 13年12月 ストが高止まっていることから、債務返済を維持するには、 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ピクテ投信投資顧問株式会社 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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