機械数学演習変分法

機械数学演習 変分法 (1)
高畑 智之
2014 年 12 月 22 日の演習のための予習資料
演習の前半に小テストを実施するので,以下を予習しておくこと.
基本の変分問題
✓
✏
汎関数
∫
I[f ] =
b
F (x, f (x), f ′ (x))dx
a
が停留値をとる関数 f (x) を求める問題を,変分問題という.ただし,端では関数 f が変化しないという固定
端の条件を用いる.この汎関数の停留条件は,オイラー・ラグランジュの方程式
∂F
d ∂F
−
=0
∂f
dx ∂f ′
により与えられる.
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✑
例題
1. 次の汎関数の停留条件を求めよ.ただし,f (0) = 0 , f (1) = 1 とする.
∫
I[f ] =
1
(f ′2 + 12xf )dx
0
解:微分方程式を解くと f (x) = x3 + C1 x + C2 となり,境界条件を考えると,f (x) = x3
2. 次の汎関数の停留条件を求めよ.ただし,f (0) = 0, f (a) = 1 とする.
∫ a
I[f ] =
(f ′2 + 2f f ′ + 4f 2 )dx
0
解:微分方程式を解くと f (x) = C1 e2x +C2 e−2x となり,境界条件を考えると,f (x) =
sinh 2x
e2x − e−2x
=
e2a − e−2a
sinh 2a
f を含まない変分問題
✓
✏
F (x, f (x), f ′ (x)) が,f を含まないとき,オイラー・ラグランジュの方程式から次の式が導かれる.ただし,
C は定数である.
∂F
=C
∂f ′
✒
✑
例題
1. 次の汎関数の停留条件を求めよ.ただし,f (0) = 0 , f (a) = b とする.
∫ a
I[f ] =
(f ′2 + x2 )dx
0
解:微分方程式を解くと f (x) = C1 x + C2 となり,境界条件を考えると,f (x) =
b
x
a
2. xy 平面上の 2 点 A(a, c),B(b, d) を結ぶ任意の線のうち長さが最短となるものを,変分法を用いて求めよ.
y−b
x−a
解:
=
(すなわち,線分 AB である.
)
d−b
c−a
x を含まない変分問題
✓
✏
′
F (x, f (x), f (x)) が,x を含まないとき,オイラー・ラグランジュの方程式から次の式が導かれる.ただし,
C は定数である.
∂F
F − f′ ′ = C
∂f
✒
✑
例題
1. 2 点 A(0, 0) と B(x1 , y1 ) を結ぶ曲線を考える.質点が A から B まで,重力により摩擦なく滑り落ちるのに
要する時間が最短となるものを求めよ.ただし,x 軸を水平方向,y 軸を鉛直下向きにとるものとして,曲
線の方程式を y = y(x) とおくこと.x1 > 0 かつ y1 > 0 とする.
解:定数 c を用いて,x = c(θ − sin θ), y = c(1 − cos θ) と表されるサイクロイドになる.
1
ヒント:途中で,y =
(1 − cos θ) と置くとよい.
2C 2
(教科書には鉛直方向の取り方が異なる問題が載っている.
)
参考文献
[1] 初貝安弘, “物理学のための応用解析,” サイエンス社, 2003.
[2] 原島鮮, “力学 II —解析力学—,” 裳華房, 1973.
2