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微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年4月10日
第1週 常微分方程式の例
一つ以上の関数とそれらの導関数 (高階のものも含む) の間の関係式を 微分方程式 という. 微分方程式が与
えられたというときには, その中には明示されていない関数が現れていて, それを通常 未知関数 という. ある
関数を未知関数のところに代入した結果, 与えられた方程式が成り立つとき, その関数を微分方程式の 解 とい
う. 与えられた微分方程式に現れる未知関数の導関数の階数の最大値を, この微分方程式の 階数 という.
与えられた微分方程式が一つの式からなるとき, それを 単独の 微分方程式という. また一つではなく複数の
式の組で与えられているとき, その組を 連立の 微分方程式または 微分方程式系 という. 与えられた微分方程式
に現れる独立変数が一つであるとき, その方程式を 常微分方程式 (ordinary differential equation, ODE) と呼
ぶ. また独立変数の数が 2 以上であるとき, その方程式を 偏微分方程式 (partial differential equation, PDE)
と呼ぶ.
この授業では, 常微分方程式のうち解が明示されそして解の求め方が良く知られているものを主に扱う.
例 1 変数関数 f に対し, y (t) = f (t) は常微分方程式の一つである. この解を求めるやり方は既にわかってい
て, f の原始関数を求めればよい. 従って, 積分を行なうことによって, この方程式の解を求めることができる.
例 ある質点の質量を m とし, 時刻 t における位置を x(t) で表す. このとき運動方程式によると, m¨
x(t) = F (t)
が成り立つ, 但し F (t) は時刻 t において質点に加わる外力である. 特に, 外力 F が地球の重力のみである場合, F
は t によらず, F (t) = (0, 0, −mg) と表される (g は重力加速度) と考えてよい. 従って, x(t) = (x(t), y(t), z(t))
と表すと, 上述の運動方程式は
m¨
x(t) = 0,
m¨
y (t) = 0,
m¨
z (t) = −mg
という三つの式で表される. これらの式から x, y および z を求めるためには, それぞれの式を t に関して 2
回積分すれば良く, 結果として x, y, z は次のように表されることがわかる:
x(t) = a1 t + a0 ,
y(t) = b1 t + b0 ,
1
z(t) = − gt2 + c1 t + c0 .
2
例 ξ, η を平面上の関数とする. そして平面の各点 (x, y) に対し, V (x, y) := (ξ(x, y), η(x, y)) とおく. ここで
は, V (x, y) は点 (x, y) を始点とするベクトルであると考え, こうして平面の各点 (x, y) に対しその点を始点と
するベクトル V (x, y) を対応させる ベクトル場 V が得られたことになる. さて, ある時刻に平面の 1 点に軽
く小さい物体を置く. この物体はベクトル場 V が各点で与えるベクトルを速度ベクトルとして運動するとす
る. このとき, 時刻 t での物体の位置を (x(t), y(t)) で表すならば,
(x(t),
˙
y(t))
˙
= V (x(t), y(t))
が成り立つ. ベクトル場 V は二つの関数 ξ と η の組で与えられていたので, この式は
x(t)
˙
= ξ(x(t), y(t)),
y(t)
˙ = η(x(t), y(t))
という二つの式で表される. ξ, η が具体的にそして簡単に与えられている場合 (例えば, (ξ, η) = (1, 0), (x, 0),
(x, y), (x, −y), (−y, x), . . . ) には, 物体の位置を表す関数 x, y を求めることができる. x, y が与える平面上の
曲線を, ベクトル場 V の 積分曲線 という.
与えられた微分方程式の全ての解を, 任意定数を用いて統一的に表すことができる場合には, そのように表
記するのが普通である. そのように表記された解を 一般解 といい, 一般解において任意定数を指定して得られ
る具体的な解を 特解 という.
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年4月10日
第2週 変数分離形
f , g を 1 変数関数とし, まず g は 0 にはならないとする. 次の形の 1 階常微分方程式を 変数分離形 という:
y = f (x)g(y)
(1)
(x: 独立変数, y: 未知関数). y = y(x) を (1) の解の一つとするとき, 1/g の原始関数の一つ G に対し
dG
dy
1
d(G ◦ y)
(x) =
(y(x)) (x) =
× f (x)g(y(x)) = f (x)
dx
dy
dx
g(y(x))
なので,
G(y(x)) =
f (x)dx
(2)
を得る. また (2) の両辺を x で微分することで, (2) を満たす関数 y = y(x) が (1) を満たすことがわかる. こ
うして (1) の解を求めるためには, (2) を満たす関数 y = y(x) を求めればよいことがわかった.
y
= f (x)g(y) =⇒ G(y(x)) =
f (x)dx
G(y) =
1
dy
g
例 y = 2x(y 2 + 1) の解を求めたい. f (x) := 2x, g(y) := y 2 + 1 とおくと, (2) は tan−1 y(x) = x2 + c と
表される, 但し c ∈ R (任意定数) である. よって y(x) = tan (x2 + c) を得る. また, この形の関数は方程式
y = 2x(y 2 + 1) を満たす. よって y = 2x(y 2 + 1) の一般解は y(x) = tan (x2 + c) である.
一般には変数分離形の方程式 y = f (x)g(y) に現れる関数 g が零点を持つことがあり, この場合には g の零
点に注意して (2) から得られない解も求める必要がある.
例 y = ky (k は定数) の解 y = y(x) で, まずある点で 0 にはならないものを求めたい. f (x) := k, g(y) := y
とおくことで, (2) から log |y| = kx + c がわかり, 従って y = ±ec ekx を得る. この形の関数は全て y = ky の
解であり, どの点でも 0 にはならない. また y ≡ 0 (恒等的に 0 である関数) は y = ky の解である. 以上から,
y = ky の一般解は y = Cekx (C は任意定数) であることがわかる.
例 y = ky(p − y) (k, p は定数で p = 0) の解 y = y(x) で, まずある点で 0 にも p にもならないものを求めた
い. f (x) := k, g(y) := y(p − y) とおくと,
y 1
1
1
1
1
dy =
+
dy = log G(y) =
g
p
y p−y
p
p − y
がわかる. よって (2) から y/(p − y) = ±epc ekpx がわかり, 従って y = pekpx /(ekpx ± e−pc ) を得る. この形
の関数は全て y = ky(p − y) の解であり, どの点でも 0 にも p にもならない. また y ≡ 0 および y ≡ p は
y = ky(p − y) の解である. よって y = ky(p − y) の解は y = pekpx /(ekpx + C) (C は任意定数) および y ≡ 0
である (後者は, 前者においてどのように任意定数を指定しても現れないため, 別に挙げる必要がある).
また変数分離形の方程式の中には, xy = y のように階数が退化する点が現れるものもある. このような方程
式の解についてどのような情報を知る必要があるかは場合に依るが, この授業では階数が退化しないところで
解を求めることにする.
微分方程式 第2週演習問題
以下の微分方程式の解を求めよ.
(a) y = 2xey
(b) (x2 + 1)y = y 2 + 1
(c) (x2 + 1)y = 2xy
(d) y = xy 2 − 9x
(e) xy = 3y
(f) x(x2 + 1)y = y(y 2 + 1)
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年4月17日
第3週 変数変換
与えられた変数をそのまま用いずに適切な変数に取り換えて計算を行なうことによって, 与えられた方程式
の解を求めることができる場合がある. 1 変数関数 f に対し, 次の形の 1 階常微分方程式を 同次形 という:
y
y = f
.
(1)
x
同次形の方程式の解の一つ y = y(x) に対し u := y/x とおくと y = u x + u が成り立つので, y = f (u) から
u =
f (u) − u
x
(2)
を得る. また (2) を満たす u に対し, y := ux は (1) を満たす. こうして (1) の解を求めるためには, 変数分離
形の方程式 (2) の解 u を求めればよいことがわかった.
y = f
y
x
=⇒ u =
y
f (u) − u u :=
x
x
例 (x + y)y = x − y の解を求めたい. まず
y
1 − (y/x)
x−y
=
=f
y =
x+y
1 + (y/x)
x
1−u
f (u) :=
1+u
から, この方程式が同次形であることがわかる. u := y/x とおくと,
u =
を得る. ある点で −1 ±
√
1 1 − 2u − u2
f (u) − u
=
x
x
1+u
(3)
2 (2 次方程式 t2 + 2t − 1 = 0 の解) にならない (3) の解 u = u(x) は, 第2週の式
(2) を用いて, − 12 log |1 − 2u − u2 | = log |x| + c で与えられることがわかる. よって 1 − 2u − u2 = ±e−2c /x2
がわかり, u = y/x なので x2 − 2xy − y 2 = ±e−2c を得る. この式が与える微分可能な関数 y = y(x) は
√
√
(x + y)y = x − y の解であり, u = y/x はどの点でも −1 ± 2 にならない. また u ≡ −1 ± 2 は (3) の解で
√
√
あり, y := ux = (−1 ± 2)x は (x + y)y = x − y の解である. y = (−1 ± 2)x はちょうど x2 − 2xy − y 2 = 0
の解であるので, (x + y)y = x − y の一般解は x2 − 2xy − y 2 = C (C は任意定数) で与えられる.
例 (x − 3y − 5)y = 3x + y − 5 の解を求めたい. まず連立 1 次方程式 x − 3y − 5 = 0, 3x + y − 5 = 0 の解を
求めると, x = 2, y = −1 がわかる. よって X := x − 2, Y := y + 1 とおくと, 冒頭の方程式は
3X + Y
3 + (Y /X)
Y
3+U
dY
=
=
=f
f (U ) :=
dX
X − 3Y
1 − 3(Y /X)
X
1 − 3U
と表され, この方程式は同次形である. U := Y /X とおくと,
f (U ) − U
1 3(1 + U 2 )
dU
=
=−
dX
X
X 3U − 1
(4)
を得る. (4) の解 U = U (X) は, 第2週の式 (2) を用いて,
1
1
log(1 + U 2 ) − tan−1 U = − log |X| + c
2
3
で与えられることがわかる. U = Y /X, X = x − 2, Y = y + 1 であるので,
2
2
−1 y + 1
=C
3 log((x − 2) + (y + 1) ) − 2 tan
x−2
(5)
を得る (C は任意定数). また以上の議論を逆に辿ることで, (5) が与える微分可能な関数 y = y(x) は (x − 3y −
5)y = 3x + y − 5 の解であることがわかる. よって (x − 3y − 5)y = 3x + y − 5 の一般解は (5) で与えられる.
微分方程式 第3週演習問題
以下の微分方程式の解を求めよ.
(a) (3x2 + y 2 )y = 2xy
(b) x tan
y
− y + xy = 0
x
(c) (2x − 6y − 5)y = 2x − 2y − 4
(d) (x − 3y + 4)y = 2x − 6y + 7
(e) y = x + 2y + 3
(f) y sin(x + y) = 1
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年5月1日
第4週 1階線形常微分方程式
P , Q を 1 変数関数とする. 次の形の方程式を 1 階線形常微分方程式 という:
y + P (x)y = Q(x).
(1)
さらに, Q ≡ 0 であるとき (1) は 同次 (斉次) であるといい, Q ≡ 0 であるとき (1) は 非同次 (非斉次) であ
るという. (1) に対し,
y + P (x)y = 0
(2)
を (1) に 付随する同次方程式 という.
(2) は変数分離形であるので, 第2週の内容を思い出すことで, (2) の一般解は
y(x) = C exp − P (x)dx
であることがわかる (C は任意定数). y0 (x) は (2) の解で y0 ≡ 0 を満たすとするとき, (1) の一般解を
C(x)y0 (x) という形で求めてみよう (定数変化法). y(x) = C(x)y0 (x) が (1) の解であるならば,
Q(x) = y (x) + P (x)y(x) = C (x)y0 (x) + C(x)y0 (x) + P (x)C(x)y0 (x) = C (x)y0 (x).
よって C (x) = Q(x)/y0 (x) がわかり, 従って
C(x) =
Q(x)
dx
y0 (x)
(3)
を得る. また (3) のように表された C(x) に対し, y(x) = C(x)y0 (x) は (1) の解である. よって以上から, これ
は (1) の一般解であることがわかる.
y + P (x)y = Q(x) =⇒ y(x) = y0 (x)
Q(x)
dx (y0 : y + P (x)y = 0 の解の一つ, ≡ 0)
y0 (x)
例 y + y = x の解を求めたい (P (x) = 1, Q(x) = x の場合). まず y + y = 0 の解 y0 (x) で y0 ≡ 0 を満たす
ものとして, y0 (x) = e−x を見つけることができる. よって
Q(x)
dx = xex dx = xex − ex + C
y0 (x)
なので, y + y = x の一般解は y(x) = x − 1 + Ce−x (C は任意定数) である.
例 y + y tan x = cos x の解を求めたい (P (x) = tan x, Q(x) = cos x の場合). まず y + y tan x = 0 の解
y0 (x) で y0 ≡ 0 を満たすものとして, y0 (x) = cos x を見つけることができる. よって
cos x
Q(x)
dx =
dx = dx = x + C
y0 (x)
cos x
なので, y + y tan x = cos x の一般解は y(x) = (x + C) cos x (C は任意定数) である.
次の形の 1 階常微分方程式を ベルヌーイ (Bernoulli) の微分方程式 という: y + P (x)y + Q(x)y n = 0
(n = 0, 1). u = y 1−n とおくと, u = (1 − n)y −n y が成り立つので, u に関する 1 階線形常微分方程式
u + (1 − n)P (x)u = (n − 1)Q(x)
を得る.
微分方程式 第4週演習問題
以下の微分方程式の解を求めよ.
(a) y − 3y = ex
(b) y + 2y = −2 + 2e−3x
(c) (1 + x2 )y = x(y + 1)
(d) y − y cos x = cos x sin x
2
(e) yy − xy 2 = ex cos x
(f) y + y = xy 2
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年5月8日
第5週 全微分方程式
今までに現れた微分方程式の幾つかは, 得られた解が 1 変数 x の関数 y = y(x) というよりもむしろ x と y
の関係式として表されるようなものであった. この関係式で定義された陰関数は, 独立変数が x であることも
あれば y であることもある. P , Q を 2 変数関数とするとき, P (x, y) + Q(x, y)dy/dx = 0 という形の微分方
程式を, x と y の役割を予め (独立変数である, または未知関数であると) 決めないで,
P (x, y)dx + Q(x, y)dy = 0
(1)
と表記することがある. この形の方程式を 全微分方程式 という. 全微分方程式 (1) が 完全微分形 であるとは,
ある 2 変数関数 Φ が存在して Φx = P , Φy = Q が成り立つときにいう. (1) が完全微分形であるとき, 関数 Φ
を用いて (1) を dΦ = 0 と表す. P , Q が Qx = Py を満たすならば,
x
y
Φ(x, y) =
P (s, b)ds +
Q(x, t)dt
a
b
(2)
は Φx = P , Φy = Q を満たす. 従って次の定理を得る.
定理 全微分方程式 (1) が完全微分形であることと, Qx = Py が成り立つことは同値である.
さらに, 陰関数の定理を用いて, 次の定理を証明することができる.
定理 P , Q の定義域の任意の点で (P, Q) = (0, 0) が成り立つとする. このとき全微分方程式 (1) が完全微分
形 dΦ = 0 であるならば, この解は Φ(x, y) = C によって与えられる (但し C は任意定数).
証明 P , Q の定義域の点 (x0 , y0 ) で Q(x0 , y0 ) = 0 とする. Φ(x0 , y0 ) = C とおく. このとき x0 を含むある開区間 I 上
の微分可能な関数 y = y(x) で y0 = y(x0 ) および I 上 F ≡ C を満たす (但し F (x) = Φ(x, y(x))) ものが唯一つ存在し,
さらに y = y(x) は y (x) = −Φx (x, y(x))/Φy (x, y(x)) を満たす (陰関数の定理). これは y = y(x) が dΦ = 0 の解であ
ることを意味する. また区間 I 上で y = y(x) が dΦ = 0 の解であるならば, Φx (x, y(x)) + Φy (x, y(x))y (x) = 0 が成り
立ち, これは F が定値であることを意味する.
例 P (x, y) := 3x2 ey , Q(x, y) := x3 ey − 1 とおくと, Py = 3x2 ey = Qx が成り立つ. 従って全微分方程式
P (x, y)dx + Q(x, y)dy = 0 は完全微分形であり, (2) を用いて Φx = P , Φy = Q を満たす Φ として
x
y
Φ(x, y) =
P (s, 0)ds +
Q(x, t)dt = x3 ey − y
0
を求めることができる. 従って方程式 dΦ = 0 の解は
0
3
x ey
− y = C で与えられる (C は任意定数).
全微分方程式 (1) そのものが完全微分形ではない場合でも, ある 2 変数関数 α に対し eα(x,y) (P (x, y)dx +
Q(x, y)dy) = 0 が完全微分形であれば, やはり解を求めることができる. このような eα を (1) の 積分因子 と
いう. eα (P dx + Qdy) = 0 が完全微分形であることは (eα Q)x = (eα P )y と同値であり, この式は Qαx − P αy =
Py − Qx と書き換えられる. 一般に Qαx − P αy = Py − Qx を満たす α を求めることは容易ではないが, 例え
ば (1/Q)(Py − Qx ) が x のみの関数である場合には, α を (1/Q)(Py − Qx ) の原始関数の一つとするとき, eα
は (1) の積分因子である.
例 x > 0 とする. P (x, y) := x − y, Q(x, y) := 2x2 y + x とおくと, (1/Q)(Py − Qx ) = −2/x が成り立つ. 従っ
て α := − log x2 に対し, eα = 1/x2 は P (x, y)dx + Q(x, y)dy = 0 の積分因子である. そして (2) を用いて,
y
x
1
1
P (s, 0)ds +
Q(x, t)dt = log x + y 2 + y/x
Φ(x, y) =
2
2
s
x
1
0
は Φx = eα P , Φy = eα Q を満たすことがわかる. 従って方程式 P (x, y)dx + Q(x, y)dy = 0 の解は x log x +
xy 2 + y = Cx で与えられる (C は任意定数).
微分方程式 第5週演習問題
以下の微分方程式の解を求めよ.
(a) xdx + ydy = 0
(b) ydx + xdy = 0
(c) (ex sin y + y 3 )dx + (3xy 2 + ex cos y)dy = 0
(d) (3x2 y − y 3 )dx + (x3 − 3xy 2 )dy = 0
(e) (2xy + y 2 + y)dx + (x + y)dy = 0
(f) (−4xy + 3y 3 )dx + (2x2 − 3xy 2 )dy = 0 (但し x > 0 とする)
微分方程式 第2週∼第5週演習問題略解
第2週
(a) y = − log(−x2 + C)
(b) y = tan(tan−1 x + C)
(c) y = C(x2 + 1)
2
1 + Ce3x
, −3
(d) y = 3
1 − Ce3x2
(e) y = Cx3
(f) y 2 =
(1 − C)x2
Cx2 + 1
第3週
(a) C(x2 + y 2 ) = y 3 (f (u) = 2u/(3 + u2 ))
(b) x sin(y/x) = C (f (u) = u − tan u)
(c) (x − 7/4)2 − 2(x − 7/4)(y + 1/4) + 3(y + 1/4)2 = C
(X = x − 7/4, Y = y + 1/4, dY /dX = f (Y /X), f (U ) = (1 − U )/(1 − 3U ))
(d) (5x − 15y + 17) exp 5(2x − y) = C (z = x − 3y + 4 =⇒ z = −5 + 3/z)
(e) y = Ce2x − x/2 − 7/4 (z = x + 2y + 3 =⇒ z = 2z + 1)
(f) (y + C)(1 + tan((x + y)/2)) = −2 (z = x + y =⇒ z = 1 + 1/ sin z)
第4週
(a) y(x) = −ex /2 + Ce3x (y0 (x) = e3x )
(b) y(x) = −1 − 2e−3x + Ce−2x (y0 (x) = e−2x )
√
(c) y(x) = −1 + C 1 + x2
√
(y0 (x) = 1 + x2 , 一方で方程式は変数分離形であるので第2週の方法でも求められる)
(d) y(x) = −1 − sin x + Cesin x (y0 (x) = esin x )
2
2
(e) y 2 = 2ex (sin x + C) (z = y 2 , z0 (x) = ex )
(f) y = 1/(x + 1 + Cex ) (z = 1/y, z − z = −x, z0 (x) = ex )
第5週
(a) x2 + y 2 = C
(b) xy = C
(c) xy 3 + ex sin y = C
(d) x3 y − xy 3 = C
(e) e2x (2xy + y 2 ) = C (e2x が積分因子)
(f) 2xy − y 3 = Cx3 (1/x4 が積分因子)
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年5月15日
第6週 2 階線形常微分方程式
P , Q, R を 1 変数関数とする. 次の形の方程式を 2 階線形常微分方程式 という:
y + P (x)y + Q(x)y = R(x).
(1)
さらに, R ≡ 0 であるとき (1) は 同次 (斉次) であるといい, R ≡ 0 であるとき (1) は 非同次 (非斉次) である
という. (1) に対し,
y + P (x)y + Q(x)y = 0
(2)
を (1) に 付随する同次方程式 という. (1) や (2) について説明するために, 次の定理をしばしば用いる.
定理 1 変数関数 P , Q, R は区間 I において連続であるとする. I の点 a および二つの値 b, b に対し,
y(a) = b,
y (a) = b
(3)
を満たす (1) の解 y = y(x) が I 上で唯一つ存在する ((3) を 初期条件 といい, b, b を 初期値 という).
一般の (1) の解を求めるために, まず (2) を調べる. 次の定理が成り立つ.
定理 (2) の全ての解からなる集合は 2 次元ベクトル空間をなす.
証明 y1 は (2) の解で初期条件 y1 (a) = 1, y1 (a) = 0 を満たすとし, y2 は (2) の解で初期条件 y2 (a) = 0, y2 (a) = 1 を満
たすとする. このとき任意の初期値 b, b に対し, y(x) = by1 (x) + b y2 (x) は初期条件 (3) を満たす (2) の唯一つの解で
ある. このことから定理を得る.
この定理における 2 次元ベクトル空間の基底を (2) の 基本解 という. (2) の基本解を一組見つけることがで
きれば, (2) の一般解を記述できる. 二つの関数 y1 = y1 (x), y2 = y2 (x) に対し, 関数
y (x) y (x) y1 (x) y2 (x)
2
1
W [y1 , y2 ](x) := の行列式
=
y1 (x) y2 (x) y1 (x) y2 (x)
を y1 , y2 の ロンスキアン (wronskian) または ロンスキー行列式 という.
定理 (2) の二つの解 y1 = y1 (x), y2 = y2 (x) が (2) の基本解をなすことと, ある点で W [y1 , y2 ] = 0 を満たす
ことは同値である. さらに, ある点で W [y1 , y2 ] = 0 ならば, 任意の点で W [y1 , y2 ] = 0 が成り立つ.
証明 点 a に対し, W [y1 , y2 ](a) = 0 とする. このときある (c1 , c2 ) = (0, 0) に対し, 関数 y(x) = c1 y1 (x) + c2 y2 (x) は初
期条件 y(a) = 0, y (a) = 0 を満たす (2) の唯一つの解である. よって y ≡ 0 がわかり, y1 , y2 は一次従属である. y1 , y2
が一次従属であるならば, W [y1 , y2 ] ≡ 0 を得る.
例 y +6y +8y = 0 の解を y(x) = ekx という形で求めると, k = −2, −4 がわかる. y1 (x) = e−2x , y2 (x) = e−4x
とおくと,
e−2x
e−4x
W [y1 , y2 ](x) = −2e−2x −4e−4x
= −2e−6x = 0
から y1 , y2 は方程式 y + 6y + 8y = 0 の基本解をなすことがわかる. よって一般解は y(x) = C1 e−2x + C2 e−4x
である (C1 , C2 は任意定数).
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年5月22日
第7週 2 階線形常微分方程式(続き)
同次な 2 階線形常微分方程式 (2) についての議論を踏まえて, 一般の 2 階線形常微分方程式 (1) を調べる.
定理 (1) の解は, その一つの特解と付随する同次方程式 (2) の一般解の和として表される.
一方で, (1) に付随する同次方程式 (2) の基本解 y1 = y1 (x), y2 = y2 (x) が見つかっているとき, y(x) =
u1 (x)y1 (x) + u2 (x)y2 (x) の形で (1) の解を求めることができる (定数変化法). 関数 u1 , u2 は
u1 (x)y1 (x) + u2 (x)y2 (x) = 0
(4)
を満たすとする. このとき y = u1 y1 + u2 y2 に対し (4) を用いて y = u1 y1 + u2 y2 および y = u1 y1 + u1 y1 +
u2 y2 + u2 y2 がわかるので, y1 , y2 が (2) の解であることを用いて
y + P y + Qy = u1 y1 + u1 y1 + u2 y2 + u2 y2 + P × (u1 y1 + u2 y2 ) + Q × (u1 y1 + u2 y2 )
= u1 y1 + u2 y2
(5)
を得る. よって y = u1 y1 + u2 y2 が (1) の解ならば, (5) から
u1 (x)y1 (x) + u2 (x)y2 (x) = R(x)
(6)
を得る. 以上から, u1 , u2 に対し y = u1 y1 + u2 y2 が (1) の解でありかつ (4) が成り立つならば, (6) が成り立
つことがわかった. W [y1 , y2 ] = 0 なので, (4) および (6) から u1 , u2 を求めることができる:
u1 (x) = −
y2 (x)R(x)
,
W [y1 , y2 ](x)
u2 (x) =
y1 (x)R(x)
.
W [y1 , y2 ](x)
また (4) および (6) を満たす u1 , u2 に対し, y = u1 y1 + u2 y2 は (1) の解である.
定数変化法による (1) の解の表示: y(x) = −y1 (x)
y2 (x)R(x)
dx + y2 (x)
W [y1 , y2 ](x)
y1 (x)R(x)
dx
W [y1 , y2 ](x)
例 y − 3y + 2y = 4e3x の解を求めたい. y − 3y + 2y = 0 の解を y(x) = ekx という形で求めると, k = 1, 2
がわかる. y1 (x) = ex , y2 (x) = e2x とおくと,
ex e2x
W [y1 , y2 ](x) = x
e 2e2x
= e3x = 0
から y1 , y2 は方程式 y − 3y + 2y = 0 の基本解をなすことがわかる. そして
2x
x
e × 4e3x
e × 4e3x
y1 (x)R(x)
y2 (x)R(x)
2x
dx =
dx
=
dx
=
2e
−
C
,
dx = 4ex + C2
1
W [y1 , y2 ](x)
e3x
W [y1 , y2 ](x)
e3x
なので, y − 3y + 2y = 4e3x の一般解は次のように与えられる (C1 , C2 は任意定数):
y(x) = −ex (2e2x − C1 ) + e2x (4ex + C2 ) = C1 ex + C2 e2x + 2e3x .
ダランベール (d’Alembert) の階数低下法 によると, (1) に付随する同次方程式 (2) の特解 y0 = y0 (x) で
恒等的に零ではないものが見つかっているならば, y(x) = u(x)y0 (x) が (1) の解であることと v = u が 1 階
線形常微分方程式 y0 (x)v + (2y0 (x) + P (x)y0 (x))v = R(x) の解であることは同値である.
微分方程式 第6週演習問題
(a) y − 4y − 12y = 0 の一般解を求めよ.
(b) p を定数とするとき, y + p2 y = 0 の一般解を求めよ.
(c) (2) の二つの解 y1 = y1 (x), y2 = y2 (x) に対し, アーベル (Abel) の公式
W [y1 , y2 ](x) = W [y1 , y2 ](a) exp −
a
を示せ.
x
P (t)dt
微分方程式 第7週演習問題
(a) c を定数とするとき, y − 4y − 12y = ecx の一般解を求めよ.
(b) A を定数, p, q を正の定数とするとき, y + p2 y = A cos qx の一般解を求めよ.
(c) 関数 y1 (x) = x, y2 (x) = xex に着目して, x2 y − (x2 + 2x)y + (x + 2)y = x3 の一般解を求
めよ.
(d) 関数 y1 (x) = x + 1, y2 (x) = ex に着目して, xy − (x + 1)y + y = 2x2 ex の一般解を求めよ.
(e) 関数 y0 (x) = ex に着目して, xy − (x + 3)y + 3y = x4 ex の一般解を求めよ.
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年5月29日
第8週 定数係数線形常微分方程式
まず, 一般の n 階線形常微分方程式 (n 3) に関して n = 2 の場合と同様に次の定理が成り立つ.
定理 1 変数関数 p0 , p1 , p2 , . . . , pn−1 および q は区間 I において連続であるとする. I の点 a および n 個の
値 b0 , b1 , b2 , . . . , bn−1 に対し, n 階線形常微分方程式
dn−1 y
dy
dn y
+ p0 (x)y = q(x)
+
p
(x)
+ · · · + p1 (x)
n−1
n
n−1
dx
dx
dx
(1)
の解 y = y(x) で (dl y/dxl )(a) = bl (l = 0, 1, 2, . . . , n − 1) を満たすものが I 上で唯一つ存在する.
この定理を用いて, 次の定理を示すことができる.
定理 (1) に付随する同次方程式
dn y
dn−1 y
dy
+ p0 (x)y = 0
+ pn−1 (x) n−1 + · · · + p1 (x)
n
dx
dx
dx
(2)
の全ての解からなる集合は n 次元ベクトル空間をなす.
この定理における n 次元ベクトル空間の基底を (2) の 基本解 という.
以下においては, pl は (実) 定数であるとする. このとき
P (k) = kn + pn−1 kn−1 + · · · + p1 k + p0
((2) の 特性多項式 という) に対し, k が n 次方程式 P (k) = 0 ((2) の 特性方程式 という) の解であるならば,
y(x) = ekx は (2) の解である. 代数学の基本定理によると, P (k) を
P (k) = (k − k1 )m1 (k − k2 )m2 . . . (k − kN )mN
と因数分解することができる, 但し k1 , k2 , . . . , kN は複素数であり m1 , m2 , . . . , mN , N は自然数で
(3)
N
i=1 mi
=n
を満たす. このとき次が成り立つ.
定理 (2) の特性多項式 P が (3) のように因数分解されるとする. このとき
eki x , xeki x , x2 eki x , . . . , xmi −1 eki x
(i = 1, 2, . . . , N )
は (2) の基本解をなす.
例 n = 2 とする. このとき
· (2) の特性方程式 P (k) = 0 が異なる実数解 k1 , k2 を持つならば, ek1 x , ek2 x は (2) の基本解をなす;
· P (k) = 0 が重解 k0 を持つならば, ek0 x , xek0 x は (2) の基本解をなす;
√
√
· P (k) = 0 が異なる複素数解 k1 = α+ −1β, k2 = k1 = α− −1β (β = 0) を持つならば, ek1 x , ek2 x は (2) の基
√
√
本解をなす. これらはこのままでは複素数値関数であるが, オイラー (Euler) の公式 e −1θ = cos θ + −1 sin θ
に注意して, 実数値関数である eαx cos βx, eαx sin βx が (2) の基本解をなすことがわかる.
√
例 n = 5 とし, (2) の特性多項式 P が P (k) = (k2 + 4)2 (k + 1) で与えられるとする. このとき e2
√
xe2 −1x ,
√
e−2 −1x ,
√
xe−2 −1x ,
−1x ,
e−x は (2) の基本解をなす. よって Euler の公式に注意して, 実数値関数 cos 2x,
x cos 2x, sin 2x, x sin 2x, e−x が (2) の基本解をなすことがわかる.
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年6月5日
第9週 定数係数線形常微分方程式(続き)
定理 (1) の解は, その一つの特解と付随する同次方程式 (2) の一般解の和として表される.
この定理を用いて (1) の一般解を求める手順を, 幾つかの具体例で説明する. 以下, D = d/dx と記す (例え
ば, y を Dy と表し, y を D 2 y と表す).
例 D 2 y − 3Dy + 2y = q(x) について考える. この方程式に付随する同次方程式の特性多項式は P (k) = (k −
1)(k−2) であり, 従って y1 (x) = ex , y2 (x) = e2x は D2 y−3Dy+2y = 0 の基本解をなす. D2 y−3Dy+2y = q(x)
の特解を, 二つの 1 階線形常微分方程式 (D − 1)y = q(x), (D − 2)y = q(x) それぞれの特解の 1 次結合という
形で求めよう. f (x) を e−x q(x) の原始関数の一つとし, g(x) を e−2x q(x) の原始関数の一つとする. このとき
ex f (x) は (D − 1)y = q(x) の特解であり, e2x g(x) は (D − 2)y = q(x) の特解である (これらの方程式はいず
れも第4週で扱った 1 階線形方程式である). このとき定数 a, b に対し y(x) = aex f (x) + be2x g(x) とおくと,
D 2 y − 3Dy + 2y = (D − 1)(D − 2)y
= a(D − 2)(D − 1)(ex f (x)) + b(D − 1)(D − 2)(e2x g(x))
= a(D − 2)q(x) + b(D − 1)q(x)
が成り立つ. 従って, a = −1, b = 1 とおくと D 2 y − 3Dy + 2y = q(x) が成り立ち, 従って y(x) = −ex f (x) +
e2x g(x) は D2 y −3Dy +2y = q(x) の特解である. よってこの方程式の一般解は y(x) = C1 ex +C2 e2x −ex f (x)+
e2x g(x) で与えられる (C1 , C2 は任意定数). 特に, q(x) = 4e3x ならば, f , g としてそれぞれ f (x) = 2e2x ,
g(x) = 4ex をとることができるので, 一般解は y(x) = C1 ex + C2 e2x + 2e3x であることがわかる (第7週の例
の結果と一致する).
例 (1) に付随する同次方程式 (2) の特性多項式が P (k) = (k − 2)n で与えられるとする (n は自然数). この
とき e2x , xe2x , . . . , xn−1 e2x は (2) の基本解をなす. g1 (x) を e−2x q(x) の原始関数の一つとし, i = 2, 3, . . . , n
に対し gi (x) を gi−1 (x) の原始関数の一つとする. このとき y(x) = e2x gn (x) に対し
(D − 2)n y(x) = (D − 2)n−1 (e2x gn−1 (x)) = (D − 2)n−2 (e2x gn−2 (x)) = · · · = (D − 2)(e2x g1 (x)) = q(x)
が成り立つので, y(x) = e2x gn (x) は (1) の特解である. よって (1) の一般解は y(x) =
n−1
i=0
Ci xi e2x + e2x gn (x)
で与えられる (Ci は任意定数).
例 D 3 y − 5D2 y + 8Dy − 4y = q(x) について考える. この方程式に付随する同次方程式の特性多項式は
P (k) = (k − 1)(k − 2)2 である. よって ex , e2x , xe2x は (2) の基本解をなす. そして
· f (x) を e−x q(x) の原始関数の一つとすると, ex f (x) は (D − 1)y = q(x) の特解であり,
· g(x) を e−2x q(x) の原始関数の一つとすると, e2x g(x) は (D − 2)y = q(x) の特解であり,
· h(x) を g(x) の原始関数の一つとすると, e2x h(x) は (D − 2)2 y = q(x) の特解である.
このとき定数 a, b, c に対し y(x) = aex f (x) + be2x g(x) + ce2x h(x) とおくと,
(D − 1)(D − 2)2 y = a(D − 2)2 q(x) + b(D − 1)(D − 2)q(x) + c(D − 1)q(x)
が成り立つ. 従って (a, b, c) = (1, −1, 1) とおくと (D − 1)(D − 2)2 y = q(x) が成り立ち, 従って y(x) =
ex f (x) − e2x g(x) + e2x h(x) は D3 y − 5D2 y + 8Dy − 4y = q(x) の特解である. よってこの方程式の一般解は
y(x) = C1 ex + C2 e2x + C3 xe2x + ex f (x) − e2x g(x) + e2x h(x)
である (Ci は任意定数).
微分方程式 第8週演習問題
(a) 特性多項式 P が次のように与えられる方程式 (2) の一般解を求めよ.
(a1) P (k) = k 2 (k 2 − 1)
(a2) P (k) = k(k 2 + 1)2
(a3) P (k) = (k 2 + 2k + 2)(k − 1)2
(a4) P (k) = (k 3 + 1)2
(b) 次の方程式の一般解を求めよ.
(b1) y + 6y + 9y = 0
(b2) y + y + y = 0
(b3) y − 2y + y − 2y = 0
(b4) y − y = 0
微分方程式 第9週演習問題
(a) 定数 c に対し q(x) = ecx とおくとき, 付随する特性多項式 P が次のように与えられる方程
式 (1) の一般解を求めよ.
(a1) P (k) = (k + 4)3
(a2) P (k) = (k − 1)2 (k − 2)
(b) 次の方程式の一般解を求めよ.
(b1) y − 3y + 3y − y = ex sin x
(b2) y + 4y + 5y + 2y = e3x
(b3) y + 4y + 5y + 2y = e−2x
微分方程式 第6週∼第9週演習問題略解
第6週
(a) y = C1 e6x + C2 e−2x
ax + b (p = 0)
(b) y =
C1 cos px + C2 sin px (p = 0)
(c) W = −P W を示し, これを用いて結論を得る.
第7週
⎧
6x
−2x
⎪
+ ecx /(c − 6)(c + 2) (c = 6, −2)
⎪
⎨ C1 e + C2 e
(a) y =
C1 e6x + C2 e−2x + (1/8)xe6x (c = 6)
⎪
⎪
⎩ C e6x + C e−2x − (1/8)xe−2x (c = −2)
1
2
A(C1 cos px + C2 sin px) + (A/(p2 − q 2 )) cos qx (p = q)
(b) y =
A(C1 cos px + C2 sin px) + (A/2p)x sin px (p = q)
(c) y = C1 x + C2 xex − x2 − x (R(x) = x であることに注意)
(d) y = C1 (x + 1) + C2 ex + ex (x2 − 1) (R(x) = 2xex であることに注意)
(e) y = C1 (x3 + 3x2 + 6x + 6) + C2 ex + (1/4)x4 ex
(y(x) = u(x)y0 (x), v = u = C1 x3 e−x + x3 (ダランベールの階数低下法))
第8週
(a1) y = C1 ex + C2 e−x + C3 x + C4
(a2) y = C1 cos x + C2 x cos x + C3 sin x + C4 x sin x + C5
(a3) y = C1 ex + C2 xex + C3 e−x cos x + C4 e−x sin x
√
√
(a4) y = (C1 + C2 x)e−x + (C3 + C4 x)ex/2 cos( 3/2)x + (C5 + C6 x)ex/2 sin( 3/2)x
(b1) y = C1 e−3x + C2 xe−3x
√
√
(b2) y = C1 e−x/2 cos( 3/2)x + C2 e−x/2 sin( 3/2)x
(b3) y = C1 e2x + C2 cos x + C3 sin x
(b4) y = C1 ex + C2 e−x + C3 cos x + C4 sin x
第9週
1
(a1) y = C1 e−4x + C2 xe−4x + C3 x2 e−4x +
ecx
(c + 4)3
⎧
1
⎪
⎪ (C1 + C2 x)ex + C3 e2x +
ecx (c = 1, 2)
⎪
⎨
(c − 1)2 (c − 2)
(a2) y =
(C1 + C2 x)ex + C3 e2x − (1/2)x2 ex (c = 1)
⎪
⎪
⎪
⎩
(C1 + C2 x)ex + C3 e2x + xe2x (c = 2)
(b1) y = C1 ex + C2 xex + C3 x2 ex + ex cos x
(b2) y = C1 e−x + C2 xe−x + C3 e−2x + (1/80)e3x
(b3) y = C1 e−x + C2 xe−x + C3 e−2x + xe−2x
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年6月12日
第10週 1階線形常微分方程式系
n を 2 以上の自然数とし, aij および bi を 1 変数関数とする (i, j = 1, 2, . . . , n). このとき
⎧
⎪
y1 = a11 (x)y1 + a12 (x)y2 + · · · + a1n (x)yn + b1 (x)
⎪
⎪
⎪
⎪
⎨ y = a21 (x)y1 + a22 (x)y2 + · · · + a2n (x)yn + b2 (x)
2
..
⎪
⎪
.
⎪
⎪
⎪
⎩ y = a (x)y + a (x)y + · · · + a (x)y + b (x)
n1
1
n2
2
nn
n
n
n
(1)
という形の方程式系を 1 階線形常微分方程式系 という. ここで
⎛
⎜
⎜
⎜
y=⎜
⎜
⎝
⎞
y1
y2
..
.
⎛
⎟
⎟
⎟
⎟,
⎟
⎠
yn
a11 (x)
a12 (x) . . . a1n (x)
⎜
⎜ a21 (x) a22 (x) . . . a2n (x)
⎜
A(x) = ⎜
..
..
..
..
⎜
.
.
.
.
⎝
an1 (x) an2 (x) . . . ann (x)
⎞
⎛
⎟
⎟
⎟
⎟,
⎟
⎠
⎜
⎜ b2 (x)
⎜
b(x) = ⎜ .
⎜ ..
⎝
bn (x)
b1 (x)
⎞
⎟
⎟
⎟
⎟
⎟
⎠
とおくと, (1) を y = A(x)y +b(x) と書くことができる. b が恒等的に零ベクトルであるとき (1) は 同次 (斉次)
であるといい, そうではないとき (1) は 非同次 (非斉次) であるという. (1) に対し, y = A(x)y を (1) に
付随する同次方程式 という.
定理 1 変数関数 aij および bi (i, j = 1, 2, . . . , n) は区間 I において連続であるとする. I の点 x0 および Rn
の元 c に対し, 1 階線形常微分方程式系 y = A(x)y + b(x) の解 y = y(x) で初期条件 y(x0 ) = c を満たすも
のが I 上で唯一つ存在する.
定理 同次な 1 階線形常微分方程式系 y = A(x)y の全ての解からなる集合は n 次元ベクトル空間をなす.
この定理における n 次元ベクトル空間の基底を y = A(x)y の 基本解 という.
y = A(x)y の n 個の解 y 1 , y 2 , . . . , y n に対し, y i を第 i 列とする n 次正方行列 Y (x) = [y 1 (x) · · · y n (x)]
の行列式を W [y 1 , . . . , y n ](x) と書き, y 1 (x), . . . , y n (x) の ロンスキアン または ロンスキー行列式 という.
定理 y = A(x)y の n 個の解 y 1 (x), . . . , y n (x) が y = A(x)y の基本解をなすことと, ある点で W [y 1 , . . . , y n ] =
0 が成り立つことは同値である. さらに, ある点で W [y1 , . . . , y n ] = 0 ならば, 任意の点で W [y 1 , . . . , y n ] = 0
が成り立つ.
定理 1 階線形常微分方程式系 y = A(x)y + b(x) の解は, その一つの特解と付随する同次方程式 y = A(x)y
の一般解の和として表される.
y 1 (x), . . . , y n (x) が y = A(x)y の基本解をなすとし, c を Rn の元とする. このとき, 定数変化法を用いて,
I の点 x0 で初期条件 y(x0 ) = c を満たす (1) の解 y = y(x) は次のように表されることがわかる:
x
−1
y(x) = Y (x)Y (x0 ) c + Y (x) Y (s)−1 b(s)ds.
x0
注意 n 階線形常微分方程式
dn−1 y
dy
dn y
+ p0 (x)y = q(x)
+
p
(x)
+ · · · + p1 (x)
n−1
n
n−1
dx
dx
dx
を 1 階線形常微分方程式系 (1) の形で表すことができる.
(2)
微分方程式 第10週演習問題
(a) (2) で与えられている y = y(x) が (1) の解であることを示せ.
(b) n 階線形常微分方程式を 1 階線形常微分方程式系 (1) の形で表せ.
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年6月19日
第11週 定数係数1階線形常微分方程式系
1 階線形常微分方程式系 y = A(x)y + b(x) で, 行列値関数 A が x に依らない定数行列であるものについ
て考察する. そのためにまず付随する同次方程式 y = Ay を考察する.
まず, 正方行列 A が対角行列であるとし, λi = aii , λij = 0 (i = j) とする. このとき
⎞
⎛
⎛
⎛
⎞
⎞
eλ1 x
0
0
⎜
⎜ λ2 x ⎟
⎜ . ⎟
⎟
⎟
⎜ 0 ⎟
⎜ e
⎜ .. ⎟
⎟
⎜
⎜
⎜
⎟
⎟
⎜ 0 ⎟
⎜ 0 ⎟
⎜
⎟
y 1 (x) = ⎜
⎟ , . . . , y n (x) = ⎜ 0 ⎟
⎟ , y 2 (x) = ⎜
⎜ . ⎟
⎜ . ⎟
⎜
⎟
⎜ . ⎟
⎜ . ⎟
⎜
⎟
.
0
.
⎠
⎝
⎝
⎝
⎠
⎠
λ
nx
0
e
0
は y = Ay の基本解をなす.
次に, A が対角化可能であるとする. このときある n 次正則行列 P に対して, B = P −1 AP は対角行列であ
る. よって, z 1 , z 2 , . . . , z n が z = Bz の基本解をなすならば, y i = P z i (i = 1, 2, . . . , n) に対し y 1 , y 2 , . . . , y n
は y = Ay の基本解をなす.
例 1 階線形常微分方程式系
y1 = 3y1 + y2
y2 = 3y1 + 5y2
⇐⇒
y = Ay,
A=
3 1
3 5
, y=
y1
(1)
y2
について, A の固有方程式は λ2 − 8λ + 12 = 0 であるので, A の固有値は λ = 2, 6 である. 固有値 λ = 2
に対する固有ベクトルとして p1 = t (1, −1) をとることができ, 固有値 λ = 6 に対する固有ベクトルとして
p2 = t (1, 3) をとることができる. よって P = [p1 p2 ] とおくと, P は正則行列であり, そして B = P −1 AP は
対角行列であり対角成分は左上から順に 2, 6 である. よって, z 1 (x) = t (e2x , 0), z 2 (x) = t (0, e6x ) は z = Bz
の基本解をなすので,
y 1 (x) = P z 1 (x) =
e2x
−e2x
,
y 2 (x) = P z 2 (x) =
e6x
3e6x
は (1) の基本解をなす.
例 1 階線形常微分方程式系
⎧
⎪
⎪ y1 = 13y1 − 6y2 − 12y3
⎨
y2 = 12y1 − 5y2 − 12y3
⎪
⎪
⎩ y = 8y − 4y − 7y
1
2
3
3
⎛
⇐⇒
y = Ay,
13 −6 −12
⎞
⎛
y1
⎞
⎜
⎟
⎜
⎟
⎟ , y = ⎜ y2 ⎟
A=⎜
12
−5
−12
⎝
⎠
⎝
⎠
y3
8 −4 −7
(2)
について, A の固有方程式は (λ − 1)2 (λ + 1) = 0 であるので, A の固有値は λ = 1, −1 である. 固有値 λ = 1
に対する固有ベクトルとして 1 次独立な 2 つのベクトル p1 = t (1, 0, 1), p2 = t (0, 2, −1) をとることができ,
固有値 λ = −1 に対する固有ベクトルとして p3 = t (3, 3, 2) をとることができる. よって P = [p1 p2 p3 ] とお
くと, P は正則行列であり, そして B = P −1 AP は対角行列であり対角成分は左上から順に 1, 1, −1 である.
よって, z 1 (x) = t (ex , 0, 0), z 2 (x) = t (0, ex , 0), z 3 (x) = t (0, 0, e−x ) は z = Bz の基本解をなすので,
⎛
⎛
⎛
⎞
⎞
⎞
ex
0
3e−x
⎜
⎜
⎜
⎟
⎟
⎟
x ⎟
⎜
⎜ −x ⎟
⎟
y 1 (x) = P z 1 (x) = ⎜
⎝ 0 ⎠ , y 2 (x) = P z 2 (x) = ⎝ 2e ⎠ , y 3 (x) = P z 3 (x) = ⎝ 3e
⎠
−ex
2e−x
ex
は (2) の基本解をなす.
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年6月26日
第12週 定数係数1階線形常微分方程式系(続き)
同次とは限らない定数係数 1 階線形常微分方程式系 y = Ay + b(x) の解は,
• まず付随する同次方程式 y = Ay の基本解 y 1 , y 2 , . . . , y n を求め,
• Y (x) = [y 1 (x) · · · y n (x)] とおき, 定数変化法による解の表示
x
y(x) = Y (x)p0 + Y (x) Y (s)−1 b(s)ds
(3)
x0
(p0 = Y (x0 )−1 y(x0 )) を用いて y = Ay + b(x) の解を求める
という手順を踏むと良い.
例 1 階線形常微分方程式系
y1 = 3y1 + y2 + 2e4x
y2 = 3y1 + 5y2 + 2e4x
⇐⇒
y = Ay + b(x),
A=
3 1
3 5
, y=
y1
y2
, b(x) =
2e4x
(4)
2e4x
について, まず付随する同次方程式 y = Ay の基本解として
e2x
e6x
y 1 (x) =
, y 2 (x) =
−e2x
3e6x
を得ることができる (第11週で得た). よって
x
y(x) = Y (x)p0 + Y (x) Y (s)−1 b(s)ds
0 2x
6x
e
p1
e
=
−e2x 3e6x
p2
x
e6x
3e6s −e6s
2e4s
e2x
1
ds
+
8s
−e2x 3e6x
e2s
e2s
2e4s
0 4e
e2x
e6x
1
1
e2x − 1
1
2x
6x
+ p2 e
+
= p1 e
2
−e2x 3e6x
−e−2x + 1
−1
3
2x + 1
e
1
1
1
+ p2 e6x
+ e2x (e2x − 1)
= p1 e2x
2
3e2x − 1
−1
3
によって, (4) の一般解を得る (p1 , p2 は任意定数).
参考
一般には, 正方行列 A は対角化可能であるとは限らない. 従って A に対し正則行列 P をどのよ
うに選んでも, P −1 AP が対角行列にはならない場合がある. しかし, P をうまく選ぶことで, P −1 AP を
ジョルダン (Jordan) の標準形 にできることが知られている. A が対角化可能ではない場合には, P −1 AP が
ジョルダンの標準形になるように P を選ぶことで, 1 階線形常微分方程式系 y = A(x)y + b(x) を解くことが
できる.
微分方程式 第11週演習問題
(a) 1 階線形常微分方程式系
y1 = −y1 + 2y2
y2 = 2y1 − y2
の一般解を求めよ.
(b) 1 階線形常微分方程式系
の一般解を求めよ.
⎧
⎪
⎪
⎨ y1 = 6y1 − 3y2 − 7y3
y2 = −y1 + 2y2 + y3
⎪
⎪
⎩ y = 5y − 3y − 6y
1
2
3
3
微分方程式 第12週演習問題
(a) (3) で与えられている y = y(x) が y = Ay + b(x) の解であることを示せ.
(b) 1 階線形常微分方程式系
y1 = y1 + y2 + 1
y2 = 3y1 − y2 + x
の一般解を求めよ.
微分方程式 第11週∼第12週演習問題略解
第11週
(a) y = C1
ex
+ C2
e−3x
−e−3x
⎛
⎞
⎛
⎞
⎛
e−x
2ex
e2x
⎜
⎟
⎜
⎟
⎜
2x
⎟
⎜ x ⎟
⎜
(b) y = C1 ⎜
⎝ 0 ⎠ + C2 ⎝ e ⎠ + C3 ⎝ −e
e−x
ex
e2x
第12週 y = C1
e2x
e2x
ex
+ C2
e−2x
−3e−2x
x
+
4
−1
1
⎞
⎟
⎟
⎠
1
−
4
1
4
7
+ e2x
16
1
1
3
− e−2x
16
1
−3
微分方程式 — 常微分方程式入門 — (理学共通科目)
平成26年7月3日
第13週 正規形1階常微分方程式系
n を自然数とし, Fi を n + 1 変数関数とする (i = 1, 2, . . . , n). このとき
⎧
⎪
y1 = F1 (x, y1 , y2 , . . . , yn )
⎪
⎪
⎪
⎪
⎨ y = F2 (x, y1 , y2 , . . . , yn )
2
..
⎪
⎪
.
⎪
⎪
⎪
⎩ y = F (x, y , y , . . . , y )
n
1 2
n
n
(1)
という形の方程式系を 正規形 1 階常微分方程式系 という. ここで
⎛
⎜
⎜
⎜
y=⎜
⎜
⎝
y1
y2
..
.
yn
⎞
⎟
⎟
⎟
⎟,
⎟
⎠
⎛
⎜
⎜
⎜
F =⎜
⎜
⎝
F1
F2
..
.
Fn
⎞
⎟
⎟
⎟
⎟
⎟
⎠
とおくと, (1) を y = F (x, y) と書くことができる.
n 階線形常微分方程式は 1 階線形常微分方程式系として表される. 1 階線形常微分方程式系 y = A(x)y +b(x)
は, F (x, y) = A(x)y + b(x) とおくことで, 正規形 1 階常微分方程式系の一種であることがわかる. 従ってこ
の授業で今までに扱ってきた方程式のほとんどが (この授業の前半部分に現れた, 階数が退化する点を持つ方
程式を除けば全て) 正規形 1 階常微分方程式系であることがわかる.
y 1 = (y11 , y12 , . . . , y1n ), y 2 = (y21 , y22 , . . . , y2n ) ∈ Rn に対し,
|y 1 − y 2 | =
n
1/2
(y1i − y2i )2
i=1
とおく. また y 0 ∈ Rn および δ > 0 に対し, B δ (y 0 ) = {y ∈ Rn ; |y − y 0 | δ} とおく.
定理 x0 を実数とし, y 0 を Rn の点とする. 正数 δ1 , δ2 に対し, F は [x0 − δ1 , x0 + δ1 ] × B δ2 (y 0 ) において連
続であるとし, さらに y に関して Lipschitz 条件 を満たすとする, つまりある正数 C を選んで
|F (x, y 1 ) − F (x, y 2 )| C|y1 − y 2 |
が任意の x ∈ [x0 − δ1 , x0 + δ1 ] および任意の y 1 , y 2 ∈ B δ2 (y 0 ) に対し成り立つようにできるとする. このと
き十分小さい正数 ε に対し, (x0 − ε, x0 + ε) で定義された (1) の解 y = y(x) で初期条件 y(x0 ) = y 0 を満た
すものが唯一つ存在する.
注意 この定理における一意解 y = y(x) の定義域は十分小さい ε > 0 に対し (x0 − ε, x0 + ε) で与えられる.
一方, 第6週, 第8週および第10週においてやはり初期条件に対する解の存在および一意性を述べた定理を
紹介したが, これらの定理においては一意解の定義域は方程式の中で予め与えられている関数の定義域に一致
する.