機械数学演習変分法

機械数学演習 変分法 (2)
高畑 智之
2015 年 1 月 5 日の演習のための予習資料
演習の前半に小テストを実施するので,以下を予習しておくこと.
二階の微分を含む変分問題
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∫
I[f ] =
b
F (x, f (x), f ′ (x), f ′′ (x))dx
a
のとき,オイラー・ラグランジュの方程式は次式になる.
∂F
d ∂F
d2 ∂F
−
+ 2 ′′ = 0
′
∂f
dx ∂f
dx ∂f
ただし,端では関数 f と f ′ が変化しないという固定端の条件を用いる.
✒
✑
例題
1. 次の汎関数の停留条件を求めよ.ただし,積分定数 C1 ,C2 ,C3 ,C4 を用いてよい.
∫ x1
[16f 2 − (f ′′ )2 + x2 ]dx
I[f ] =
x0
解:f (x) = C1 e2x + C2 e−2x + C3 sin 2x + C4 cos 2x
未知関数が複数の場合の変分問題
✓
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∫
I[f1 , . . . , fn ] =
b
F (x, f1 (x), f1′ (x), f1 (x), f2′ (x), . . . , fn (x), fn′ (x))dx
a
のとき,オイラー・ラグランジュの方程式は次の n 個の方程式になる.
d ∂F
∂F
−
= 0 (i = 1, · · · , n)
∂fi
dx ∂fi′
ただし,端では関数 fi と fi′ が変化しないという固定端の条件を用いる.
✒
例題
1. 次の汎関数の停留条件を求めよ.ただし,g を定数とし,x(0) = y(0) = 0 , x(1) = a , y(1) = 0 とする.
∫
1
(x˙ 2 + y˙ 2 − 2gy)dt
0
✑
ここで,x˙ =
る.
dx
dy
,y˙ =
である.これは,投射体を 1 秒後に距離 a だけ離れた目標に命中させる問題であ
dt
dt
1
1
解:x(t) = C1 t + C2 , y(t) = − gt2 + C3 t + C4 となり,境界条件を考えると,x(t) = at , y(t) = − g(t2 − t)
2
2
自然境界条件
✓
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∫
b
I[f ] =
F (x, f (x), f ′ (x))dx
a
について,固定端の条件を課さないとき,オイラー・ラグランジュの方程式
∂F
d ∂F
−
=0
∂f
dx ∂f ′
に加えて,
∂F
∂f ′
=0,
x=a
∂F
∂f ′
=0
x=b
を満たさなければならない.
✒
✑
例題
1. 原点 A(0, 0) と直線 x = x1 上の点 B を結ぶ曲線のうち,質点が重力により摩擦なく滑り落ちる際に要する
時間が最短のものを求めよ.ただし,重力加速度の方向に y 軸の正方向をとるものとする.
x1
x1
解:x =
(θ − sin θ) , y =
(1 − cos θ)
π
π
∂F
= 0 より定数を決める.
ヒント:前回の予習資料に記載した問題の解答に対して, ′
∂y x=x1
横断性の条件
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∫
I[f ] =
b
F (x, f (x), f ′ (x))dx
a
について,x = a を固定端とし,x = b は曲線 y = A(x) に拘束された可動端とする.このとき,オイラー・
ラグランジュの方程式
∂F
d ∂F
−
=0
∂f
dx ∂f ′
に加えて,次式を満たさなければならない.
}
{
∂F
′
′
(A
−
f
)
F+
∂f ′
✒
=0
x=b
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例題
1. 曲線 C1 を y = g(x) とし,曲線 C1 上に点 A(x1 , y1 ) をとる.原点 O(0, 0) と点 A を結ぶ曲線 C2 を y = f (x)
とする.点 O から点 A に至る曲線 C2 の長さが最小になるのは,曲線 C1 と垂直に交わる直線となることを
示せ.
解:最短距離を与える曲線 C1 は,曲線 C2 と垂直に交わる直線となる.
ヒント:C2 が直線であることと,f ′ (x1 )g ′ (x1 ) = −1 を示したい.
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参考文献
[1] 初貝安弘, “物理学のための応用解析,” サイエンス社, 2003.
[2] 原島鮮, “力学 II —解析力学—,” 裳華房, 1973.
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