第 10 章 語彙から見る英語らしさ はじめに 英 語 の 語 彙 の 特 徴 を 、言 語 文 化 的 特 徴 お よ び 認 知 的 特 徴 か ら 分 析 し ま す 。 歴 史 的 に 英 語 が 混 血 の 言 語 で あ る こ と を ふ ま え 、言 語 接 触 に よ る 影 響 を 語 彙 が ど の よ う に 残 し て い る の か に つ い て 概 観 す る の と 同 時 に 、現 代 の 英 語 語 彙 が 、 ど の よ う に 英 語 ら し い 「 も の の 捉 え 方 」( 認 知 ) を 反 映 し て い る のかについて論じます。さらに婉曲語法や政治的公正さについても触れ、 英語文化の反映としての語彙を考察します。 10.1 歴史からみる 第 3 章 で も 触 れ ま し た が 、英 語 は イ ギ リ ス が た ど っ た 歴 史 、特 に 他 民 族 と の 接 触 に よ っ て 大 き な 影 響 を 受 け ま し た 。ま ず ブ リ テ ン 島 は い く つ も の 民 族 に よ っ て 侵 略 さ れ ま し た 。そ の 結 果 、英 語 は 異 言 語 か ら の 借 用 語 彙 が 大 量 に 混 入 し て 出 来 た 混 血 の 言 語 と な っ た の で す 。や が て ア メ リ カ へ 渡 っ た 英 語 は 、独 自 の 語 彙 を 手 に 入 れ ま す 。先 住 民 の 言 葉 や イ ギ リ ス 以 外 の ヨ ー ロ ッ パ 諸 国 か ら の 移 民 の 言 葉 で す 。ア ジ ア の 言 葉 も 驚 く ほ ど 英 語 の 中 に 入っています。日本語からの借用語の例も紹介しましょう。 10.1.1 イ ギ リ ス 英 語 に み ら れ る 借 用 語 450 年 ご ろ か ら ブ リ テ ン 諸 島 は ア ン グ ロ サ ク ソ ン 人 に よ る 侵 略 を 受 け ま す 。ア ン グ ロ サ ク ソ ン 人 は 農 耕 民 族 だ っ た た め 、彼 ら の こ と ば に 起 源 を も つ 語 彙 に は 、 表 10.1 の よ う に 農 耕 文 化 を 反 映 し た も の が 含 ま れ て い る という特徴があります。 表 10.1 ア ン グ ロ サ ク ソ ン 語 彙 農耕・牧畜 dog, sheep, ox, swine, plough, wood, field, shepherd , egg, earth, 日常生活 laugher, mirth, merr y, mind, glee, fellow, sky, window, knife, food, man, wife, child, br other, sister, make, do, have, hold, bring, open, get, hit, drink, eat, sing, play, wor k, 文法用語 the, is, you, here, ther e (コ ツ ィ オ ル , 1973 , p. 18 参 照 ) ア ン グ ロ サ ク ソ ン 起 源 の 語 彙 は 、現 代 英 語 の な か に も 脈 々 と 生 き 続 け て い ま す 。コ ン ピ ュ ー タ ー 分 析 に よ る と 、英 語 で 最 も 一 般 的 な 100 の 単 語 は 、 す べ て ア ン グ ロ サ ク ソ ン 起 源 で あ る と 言 わ れ て い ま す ( マ ク ラ ム 他 ,1989, p. 86)。 6 世 紀 末 に キ リ ス ト 教 が イ ン グ ラ ン ド に も た ら さ れ る と 、英 語 に 大 き な 変 化 が 起 こ り ま す 。人 々 が キ リ ス ト 教 に 改 宗 し た こ と に よ っ て 、ギ リ シ ャ 語 と ラ テ ン 語 が 古 英 語 の な か に 借 用 さ れ た の で す 。教 会 や 修 道 院 が 建 て ら れ 、広 範 囲 の 教 育 が 施 さ れ る よ う に な り ま す 。具 体 的 な 事 物 を 指 す 語 彙 の み な ら ず 、抽 象 的 な 思 想 を 表 現 す る 語 彙 が 発 達 し 、英 語 は 文 化 的 に 洗 練 さ れていきました。 この時代にラテン語から流入した英語語彙には、日常語としては、 street、wall 、dish、noon、offer な ど 、教 会 に 関 わ る 語 彙 と し て は 、angel、 temple、 monk 、 priest、 mass 、 paradise、 creed な ど が あ り ま す ( 小 学 館 外 国 語 辞 典 編 集 部 ( 編 ) , 2006, p. 462)。 さ て 、イ ギ リ ス 英 語 を 語 彙 と い う 観 点 か ら 見 た と き に 最 も 大 き な 影 響 を 与 え た の は フ ラ ン ス 語 で す 。フ ラ ン ス 語 を 母 語 と し て い た ノ ル マ ン 民 族 が 侵 入 し 、 1066 年 に は ウ イ リ ア ム 候 が イ ン グ ラ ン ド の 王 と な り ま す 。 そ れ 以 降 、英 語 を 母 語 と す る 王 は 300 年 近 く も 現 れ ま せ ん で し た 。フ ラ ン ス 語 は 、宮 廷 と 教 会 、官 庁 で 用 い ら れ 、ラ テ ン 語 が 職 業 お よ び 学 問 の 言 語 な り ました。その一方、自国の英語は、民衆語として残ることになります。 そ れ に よ っ て 、 表 10.2 に 示 す 通 り 、 英 語 に は 3 つ の 同 義 語 が 存 在 し 、 それぞれに、微細な意味の違いを表現できるようになりました。 表 10.2 英語 time 3 種類の同義語 フランス語から age ラテン語から epoch ask question interrogate fast firm secure rise mount ascend ま た 、 表 10. 3 に 示 す 通 り “ A and B”と い う 言 い 回 し で 、 異 言 語 に 語 源 を も つ 同 義 語 を 重 ね て 言 う 言 い 方 (doublet) に も 、英 語 語 彙 が 混 血 で あ る こ とが示されています。 表 10.3 異 言 語 に 語 源 を も つ 同 義 語 の ダ ブ レ ッ ト 語源 例 連結語 AS end AS ways F acts AS will AS keep AS breaking AS final 例 aim F>L means F>L deed and 語源 AS testament F maintain F entering F conclusive F AS=Anglo-Saxon; F=French; L=Latin; >=d erived from こ の 時 代 、当 然 の こ と な が ら フ ラ ン ス 語 か ら 英 語 へ の 語 彙 の 借 用 は 、他 の ど の 言 語 も し の ぐ も の で し た 。 表 10. 4 か ら も 分 か る と お り 、 そ れ ら の 借用語彙の意味の範囲は広範に及んでおり、現在に至っているのです。 表 10.4 フランス語からの借用語 語彙ジャンル 例 称号 baron, count, countess, prince, sir 行政 city, council, court, government, jury, mayor, 軍事関係 arms, battle, defe at, lance, war 職人、商人 butcher, mason, merchant, tailor 芸術、学問 art, color, grammar, music 親族名 aunt, cousin, nephew, niece, uncle 抽象語 ability, blame, custom, despair, grace, joy, silence 生活用語 age, chain, chess, dance, fruit, forest, large mutton ( 小 学 館 外 国 語 辞 典 編 集 部 ( 編 ), 2006 , p. 462 お よ び 、 コ ツ ィ オ ル , 1973, pp. 19-20 参 照 ) 16 世 紀 以 降 に 英 語 に 流 入 し て き た 語 彙 に は 、表 10.5 の よ う な も の が あ り ま す 。異 言 語 か ら 借 用 さ れ た 語 彙 を 見 る こ と で 、英 語 話 者 が ど の 文 化 の どのジャンルに大きな関心を寄せていたかを垣間見ることができます。 表 10.5 借用語が反映する語彙ジャンル フ ラ ン ス 語( 料 理 、服 装 ) bonbon, café, chic, menu, rococo ギリシャ語(科学) autograph, photograph, saxo phone, electricity イ タ リ ア 語( 音 楽 、芸 術 ) concert, fantasia, opera, sonnet, piano オ ラ ン ダ 語( 絵 画 、海 洋 ) dock, landscape, sketch, easel ( 小 学 館 外 国 語 辞 典 編 集 部 ( 編 ), 2006, p. 463) 10.1.2 ア メ リ カ 英 語 に 見 ら れ る 借 用 語 1620 年 の メ イ フ ラ ワ ー 号 到 着 以 降 、 本 格 的 に ア メ リ カ 大 陸 に 持 ち 込 ま れ た 英 語 は 、イ ギ リ ス か ら の 移 民 に よ っ て 、も と も と 持 っ て い た 語 の 意 味 が 転 用 さ れ た り 、新 し い 語 が 作 ら れ た り し な が ら 、徐 々 に 変 容 し て い き ま す 。そ の 後 も 、世 界 各 地 か ら「 新 大 陸 」ア メ リ カ に や っ て き た 様 々 な 文 化 的 背 景 を も つ 移 民 の 話 す 多 様 な 言 語 や 、か つ て イ ン デ ィ ア ン と 呼 ば れ た ア メ リ カ 先 住 民 ( Native American ) の 言 葉 の 語 彙 を 借 用 す る こ と で 、 英 語 は益々混血の言語となっていくのです。 表 10.6 ア メ リ カ 英 語 に み ら れ る 借 用 語 彙 先住民の言語 moose, persimmon, raccoon, tomahawk, totem, moccasin, igloo, kayak, pecan, chipmunk, s kunk, squash, paw -wow フランス語 bureau, cent, chowder, depot, dime スペイン語 bonanza, caf eteria, canyon, coyote, creole, desperado オランダ語 boss, cookie, waffle ドイツ語 delicatessen, pretzel, noodle, semester ( コ ツ ィ オ ル , 1973 , pp. 25-27) ア メ リ カ 合 衆 国 の 27 の 州 名 が 先 住 民 の 言 葉 を 借 用 し て い る こ と は 注 目 に 値 す る で し ょ う 。た と え ば 、コ ネ チ カ ッ ト 州 は モ ヒ カ ン 族 の 言 葉 で「 干 満 の あ る 長 い 川 」と い う 言 葉 に 、イ リ ノ イ 州 は ア ル ゴ ン キ ン 族 の 言 葉 で「 ア ル ゴ ン キ ン 語 を 話 す 人 々 」を 意 味 す る 言 葉 に 由 来 し て い ま す 。こ の よ う に 、 語 義 に は 、土 地 の 特 徴 と 人 々 の 特 徴 と い う 2 つ の 傾 向 が あ り ま す 。数 は 少 な い で す が 、両 者 を 組 み 合 わ せ た 命 名 で あ る ア ラ バ マ 州( チ ョ ク ト ー 族 の 言 葉 で「 藪 を 開 く 人 」)や ユ タ 州( シ ョ シ ョ ー ニ 族 の 言 葉 で「 山 に 住 む 人 々 」) も あ り ま す ( 有 馬 , 2003, pp. 117 -118 )。 10.1.3 日 本 語 か ら の 借 用 語 日 本 語 か ら 英 語 に 借 用 さ れ た 語 彙 も あ り ま す 。Oxford English Dictionary (on-line edition, 2011) で は 、 約 500 語 が 掲 載 さ れ て い ま す 。 19 世 紀 前 半 以 前 に は 、 80 語 ほ ど し か 英 語 の 中 に 入 っ て い な か っ た 日 本 語 で す が 、 日 本 の 開 国 と 共 に 19 世 紀 後 半 か ら 現 代 に 至 る ま で の 間 に 様 々 な 語 彙 が 英 語 に 借 用 さ れ 使 わ れ る こ と に な っ た の で す 。最 も 語 彙 数 が 多 い ジ ャ ン ル は 、ス ポ ー ツ と 娯 楽 、次 に 芸 術 、工 芸 品 な ど 伝 統 文 化 が 続 き ま す 。近 年 で は 、エ ンターテイメントに関連する語彙をはじめ現代社会を反映する日本語さ えも英語に借用されるようになってきました。 表 10.7 日 本 語 か ら の 借 用 語 彙 ジャンル 例 伝統文化 haiku, Noh, kimono, geisha, bushido, samurai スポーツ judo, kendo, keirin, sumo, 食べ物 tempura, sushi, miso, sashimi, wasabi, tofu 娯楽 karaoke, manga, anime , kawaii 現代社会 karoshi, otaku, kogai, shinkansen ( 小 学 館 外 国 語 辞 典 編 集 部 ( 編 ), 2006, pp. 454-455) 10.2 認 知 か ら み る 10.2.1 認 知 と は 何 か 語 彙 は そ の 言 語 の 歴 史 を 反 映 す る と 同 時 に 、言 語 コ ミ ュ ニ テ ィ で 共 有 さ れているモノの見方や考え方も反映しています。 私 た ち の 周 り の 世 界 は 、私 た ち と は 無 関 係 に 客 観 的 に 存 在 し て い る わ け で は あ り ま せ ん 。私 た ち の モ ノ の 見 方 や 考 え 方 に よ っ て の み 意 味 の あ る 存 在 と し て そ こ に あ る の で す 。こ の よ う な 主 体 的 な 意 味 づ け を つ か さ ど っ て い る の が 人 間 の 認 知 能 力 で す 。私 た ち は 、身 の 回 り の 事 物 や 出 来 事 と の 相 互作用をとおして、意味をモノに与えているのです。 主 体 的 意 味 付 け が 顕 著 に み ら れ る 現 象 に は 色 々 な も の が あ り ま す が 、こ こ で は 英 語 の カ テ ゴ リ ー 化 ( 分 類 ・ 類 型 化 ) と 比 喩 ( メ タ フ ァ ー )に つ い て考えることにしましょう。 10.2.2 英 語 ら し い カ テ ゴ リ ー 化 カテゴリー化に密接にかかわってくるのがプロトタイプと呼ばれる概 念 で す 。あ る カ テ ゴ リ ー に 属 す る メ ン バ ー の 中 に は 、中 心 的( 典 型 的 )な も の と 周 辺 的 な も の が あ り 、そ の 中 心 的 メ ン バ ー を プ ロ ト タ イ プ と い い ま す 。 例 え ば 「 野 菜 」 と い う カ テ ゴ リ ー の な か で 、「 野 菜 ら し さ 」 を 最 も 典 型 的 に 感 じ さ せ る も の に は ニ ン ジ ン や き ゅ う り が あ り ま す 。ま た 、あ ま り 野 菜 ら し く な い も の に は ト マ ト や ア ボ ガ ド が あ り ま す 。前 者 は 野 菜 の プ ロ トタイプと言うわけです。 で は 、英 語 ら し さ や 日 本 語 ら し さ は ど の よ う な と こ ろ に 現 れ て い る の で し ょ う か 。語 彙 か ら 各 言 語 の プ ロ ト タ イ プ を 見 よ う と す る と き 、モ ノ の 世 界 と コ ト の 世 界 に 分 け て み る こ と が で き ま す 。前 者 は 、自 然 物 や 人 工 物 を ど の よ う に 分 類 し て い る か を 見 る こ と に よ っ て 、後 者 は 、社 会 習 慣 、行 為 、 性質などをどのように理解しているかを見ることによって分かります。 モ ノ の 世 界 の 代 表 的 な 具 体 例 に 食 物 が あ り ま す 。日 本 語 で は 穀 物 は 次 の よ う に 下 位 範 疇 が 分 類 さ れ て い ま す 。一 番 上 に 来 る の は や は り 米 で 、そ れ に次いで、麦、粟、稗、黍、とうもろこし、豆、と続きます。 で は 、英 語 で は ど う で し ょ う か 。Grain( 穀 物 )と し て は wheat、rice 、 corn と な り ま す 。 英 語 で は 3 つ に 分 類 さ れ て お り 、 穀 物 の プ ロ ト タ イ プ は、 「 麦 (wheat)」と い う こ と に な り ま す 。麦 は さ ら に 、wheat 、flour、barley、 rye 、 oat に 下 位 分 類 さ れ ま す 。 英 語 の 麦 の 下 位 分 類 が 、 そ れ ぞ れ 異 な る 語 彙 で 表 さ れ て い る こ と に 注 意 し ま し ょ う 。一 方 、日 本 語 で は 「 麦 」の 下 位 分 類 は 、大 麦 、 小 麦 の よ う に 「 ~ 麦 」の よ う な 分 類 が な さ れ て い ま す 。 つ ま り 、日 本 語 で「 麦 」と い う モ ノ は 、そ れ ほ ど 典 型 的 な 穀 物 で は な い の で 、 細かく分類しようとする場合、単語を追加する必要性がでてくるのです。 日 本 人 の 主 食 で あ る 「 コ メ 」 は 日 本 語 で は 稲 、米 、飯 、ラ イ ス の よ う に 4 つ に 分 類 さ れ て い ま す が 、英 語 で は rice と い う 語 彙 し か あ り ま せ ん 。こ の よ う に あ る 文 化 に と っ て 重 要 な 概 念 は 、細 か い 分 類 が な さ れ て お り 、そ れ に対応する語彙も与えられているということがわかります。 次 に 親 族 呼 称 に つ い て 見 て い き ま し ょ う 。こ れ は 私 た ち の 家 族・親 族 を ど う 呼 ぶ か と い う こ と で す 。 英 語 の brother、 sister に は 性 別 の 区 別 は あ り ま す が 、 年 齢 の 差 異 は 、 文 法 的 に 要 求 さ れ て い ま せ ん 。「 兄 」 や 「 弟 」 と 表 現 す る 場 合 、違 う 語 彙 を 使 う の で は な く 、older や younger と い う 単 語 を 追 加 す る こ と に な り ま す 。つ ま り 、英 語 ら し さ と い う 観 点 か ら す れ ば 、親 族 呼 称 に お い て は「 性 別 」が 重 要 だ と い う こ と に な り ま す 。一 方 日 本 語 で は 、「 兄 」、「 妹 」 な ど 違 う 語 彙 で 性 別 に 加 え 「 年 齢 差 」 を 表 す こ と が で き る よ う 区 別 さ れ て い ま す( 例:叔 父 と 伯 父 )。つ ま り 、 「 年 齢 差( seniorit y)」 は日本語らしさを表していると言えるでしょう。i さ て 、 コ ト の 世 界 を 、 嘘 と lie の 比 較 を 通 し て 見 て み ま し ょ う 。 ま ず 、 日 本 語 の 「 ウ ソ 」 に は 、 ① 「 真 実 で な い 」 こ と ( 例 :「 嘘 が 露 顕 す る 」)、 ② 「 正 し く な い 」 こ と ( 例 :「 ウ ソ 字 」)、 ③ 「 適 当 で な い 」 こ と ( 例 :「 こ れから小テストをします」 「 う そ ~ ! 」)と い う 3 つ の 意 味 が あ り ま す 。こ れ に 対 し て 、 英 語 の lie (ウ ソ 、 嘘 を つ く )に は 「 適 切 で は な い 」 こ と と い う意味はありません。従って、日英で同じような単語のように見えても、 使 用 で き る 範 囲 と そ の 効 果 は 異 な り ま す 。 日 本 語 の 感 覚 で ”That’s a lie.” ( ウ ソ で し ょ 〜 ) や ”You’re a liar.”( 嘘 つ き ! ) な ど 言 っ て し ま う と 大 き な 誤 解 を 招 く 可 能 性 が で て き ま す 。な ぜ な ら 、こ れ ら の 表 現 は 、日 本 語 の 「 ウ ソ を つ く 」よ り も は る か に 露 骨 で 相 手 の 人 格 を 否 定 す る こ と に な る か らです。 10.2.3 英 語 ら し い 喩 え 方 カ テ ゴ リ ー 化 と 並 ん で 英 語 ら し さ を 演 出 す る 表 現 に 比 喩 が あ り ま す 。比 喩 と い う の は 、あ る 物 事 を 別 の 物 事 に 喩 え て 表 現 す る こ と を い い ま す 。大 別 す る と 、「 〜 の よ う な (as, li ke) 」 と い う 語 句 を 用 い て 喩 え を 述 べ る 直 喩 (simile) と 、 直 接 喩 え る 語 句 を も っ て く る 隠 喩 ( metaphor) と が あ り ま す が 、 ここでは共に比喩としてまとめて扱うことにします。 比 喩 の 中 に は 、言 語 の 違 い を こ え て 共 通 し た 理 解 が 容 易 な も の も あ り ま す が 、そ の 比 喩 の 使 わ れ て い る 言 語 の 背 後 に あ る 文 化 や 社 会 を 知 ら な い と 理解が難しいものもあります。日常的に使われる表現、特にイディオム、 慣 用 表 現 等 と 呼 ば れ て い る も の の 中 に は 、こ う し た 独 特 の 文 化 や 社 会 を 反 映している比喩的な表現を含むものが多いのです。 例 え ば 、私 た ち は 人 生 を い ろ い ろ な モ ノ に 喩 え て 理 解 し よ う と し ま す が 、 代 表 的 な 比 喩 に は 、 ス ポ ー ス や 賭 け が あ り ま す ( cf. 平 賀 , 1988)。 表 10.8 人 生 は ス ポ ー ツ だ 比喩概念 比喩表現 意味 Th e I r a n i a n a r m s d e a l h a s b e c o m e a イランへの武器供与問題は p o l i t i c a l fo o t b a l l . 政治的かけひきの道具にな っている。 人生はフットボ S h e ’s a M o n d a y m o r n i n g q u a r t e r b a c k . 計画が失敗するたびに皆の ー ル だ( ア メ リ カ A f t e r e ve r y f a i l e d p r o j e c t s h e l i s t s ミ ス を あ げ つ ら う な ん て 、彼 英語) e ve r yo n e ’s mi s t a ke s . 女は物事をあとでとやかく 言う人だ。 his 質 問 に 答 え る 前 に 、彼 は 弁 護 the 士とヒソヒソと協議をした。 D o n ’t l i s t e n t o h i m. H e ’s w a y o u t i n 彼 の 言 う こ と な ど 聞 く な 。全 l e ft f i e l d . く見当違いのことを言って He went l a w ye r s into a b e fo r e huddle with answering questions. いるのだから。 人 生 は 野 球 だ( ア I f h e d o e s n ’t d r e s s n e a t l y, h e wo n ’t 彼 が 職 探 し を す る の な ら 、き メリカ英語) g e t t o fi r s t b a s e wh e n h e l o o ks fo r a ちんとした身なりをしなけ れ ば 、最 初 か ら う ま く い か な job. いだろう。 D o n ’t l e t h i m t h r o w yo u a c u r ve . 彼 に だ ま さ れ る な よ 。( カ ー ブは打ちにくいことから) H e a l r e a d y h a d t wo s t r i k e s a ga i n s t 貧しい家の出というために h i m b e c a u s e h e c a m e fr o m a p o o r 彼はすでに不利な立場にあ f a m i l y. った。 He struck out in his new business. 彼の新事業は失敗に終わっ た。 I t d i d n ’t s e e m c r i c ke t t o l e a v e t h e かわいそうな少女をそのま p o o r gi r l t h e r e . ま放っておくのは公平とは 人生はクリケッ 思 え な か っ た 。( ク リ ケ ッ ト ト だ( イ ギ リ ス 英 の競技ではフェア・プレーの 語) 精神が不可欠なところから) A s t h e f i e l d i n a n e x a m i n a t i o n a ga i n , 試 験 に ま た 落 ち た の で 、彼 は he was batting on a sticky wicket . 不利な立場にあった。 D o n ’t l e t h i m b o wl yo u a go o g l y . 彼 に 騙 さ れ る な よ 。( 変 化 球 を投げられることから) (アンダーラインのところが比喩表現) ス ポ ー ツ に 喩 え る と い っ て も 、ア メ リ カ 英 語 と イ ギ リ ス 英 語 で は 異 な る スポーツを使っているところが文化を反映していて興味深いところです。 し か し な が ら 、こ れ ら の ス ポ ー ツ の ル ー ル や プ レ ー を 知 ら な い と 、喩 え の 意味が分からないということになります。 表 10.9 比喩概念 人生は賭だ 比喩表現 意味 Yo u a l w a ys s a y t h a t yo u w i l l q u i t , s o 君はいつもやめるやめると w e ’ r e go i n g t o c a l l yo u b l u ff . 言 っ て い る け れ ど 、そ ん な は っ た り を か け る な ら 、い つ で もやめてごらん。 Yo u c a n c o u n t o n a t r u e f r i e n d wh e n い ざ と い う時 、本当 の 友達 な 人生は賭だ(例: t h e c h i p s a r e d o wn . らあてにできる。 ポーカー) T h a t i s a b l u e - c h i p s t o c k. あ れ は 優 良 株 だ 。( ポ ー カ ー のチップの中で青が最も価 値が高いことから) T h a t ’s m y a c e i n t h e h o l e . あれが取って置きの手なん で す よ 。( S t u d p o ke r で 、 1 枚 目 に 配 ら れ る カ ー ド を the hole card と 言 い 、 そ れ に 最 強のカードが来ていること から) If you play your cards right , you’ll 事 を う ま く 処 理 す れ ば 、成 功 succeed. するでしょう。 ポ ー カ ー は カ ー ド・ゲ ー ム で す が 、ア メ リ カ で は 賭 け と し て 行 わ れ る こ とが多いので、このような喩えとなって使われています。 表 10.10 比喩概念 価値はお金で計る 比喩表現 意味 L e t m e p u t i n m y t wo c e n t s ’ w o r t h . ちょっと愚考を一言。 I fe e l l i ke a m i l l i o n b u c ks . とても幸せな気分だ。 P r o f . J o h n s o n g i v e s A’s t o o n l y o n e ジョンソン先生は優を一人 価値はドルで計 or Prof. か二人の学生にしかくれな る(アメリカ英 B r o w n ’s c l a s s , A’s a r e a d i m e a い が 、ブ ラ ウ ン 先 生 の ク ラ ス 語) dozen. では優はそこら中にごろご two students, but in ろしている。 He c a n p a r k t h a t c a r o n a d i m e . 彼はすごく狭い所でもきっ ちりとあの車を駐車できる。 H e ’s a l w a y s n i c ke l a n d d i m i n g m e . 彼は私にいつもささいでつ まらないことばかり言って いる。 価値はポンド/ Let me put in my two ha’pence ペ ン ス で 計 る( イ (tuppence) worth. ギリス英語) He c a n t u r n h i s c a r o n a s i x p e n c e . ちょっと愚考を一言。 彼はすごく狭い所でも車の 方向転換ができる。 お 金 は も ち ろ ん 価 値 を は か る 上 で 最 も 簡 便 な 方 法 で す 。と こ ろ が 比 喩 で は ア メ リ カ 英 語 で も イ ギ リ ス 英 語 で も 、比 較 的 小 さ な 貨 幣 単 位 が 使 わ れ て います。比喩が古い時代の名残であることも影響しているのでしょう。 10.3 婉曲語法と政治的正しさ 10.3.1 婉 曲 語 法 ( euphemism) と は 何 か 相 手 に シ ョ ッ ク や 不 快 感 を 与 え る よ う な 内 容 に 対 し て 、直 接 的 な 表 現 を 使 っ て 言 う こ と を 避 け 、よ り 丁 寧 で 受 け 入 れ や す そ う な 表 現 を 用 い る こ と を 婉 曲 語 法 ( euphemism ) と い い ま す 。 例 え ば 日 本 語 で 「 死 ぬ 」 と い う 表 現 の 代 わ り に「 亡 く な る 」、 「 逝 去 す る 」、「 永 眠 す る 」の よ う に 言 う こ と が あ り ま す 。 英 語 で も 同 様 に “ die ”を “ pass away“ と 言 い 換 え た り 、あ る い は“ toilet”を“ bath room”の よ う に 言 い 換 え た り 、言 い に く い こ と を 遠 回 し に 表 現 し ま す 。婉 曲 語 法 の 事 例 は 、死 、病 気 、性 、排 泄 、身 体 部 位 などに関してだけでなく、政治、経済、軍事、権力、宗教、仕事、地位、 階 層 、人 種 な ど の 社 会 的 な テ ー マ に お い て も 多 く み ら れ ま す( 表 10.11 参 照 )。 表 10.11 意味分野 死 病気・障害 英語の婉曲語法 直接表現 婉曲語法による言い換え例 die( 死 ぬ ) p a s s a w a y, t a k e o n e ’s l a s t b r e a t h gr a ve ya r d , c e m e t e r y ( 墓 地 ) memorial park disabled( 障 害 の あ る ) handicapped, challenged ( 努 力 を す る必要のある) 身体部位 ass( お 尻 ) bottom naked( 裸 ) nude, birthday suit h o mo s e xu a l ( ホ モ セ ク シ ュ ア ル ) gay s e xu a l i n t e r c o u r s e ( 性 交 ) intimacy( 親 密 な 関 係 ) 経済 tax raise( 増 税 ) r e ve n u e e n h a n c e m e n t ( 歳 入 増 加 策 ) 軍事 b o mb ( 爆 弾 ) device 仕事 l a yo ff ( 解 雇 ) early retirement( 早 期 退 職 ) p o ve r t y( 貧 困 ) l o w- i n c o m e u n e mp l o y m e n t ( 失 業 ) underutilization( 低 雇 用 ) o l d m a n / wo m a n ( 高 齢 男 性 / 女 性 ) , senior citizen 性 地位・階層 o l d - a ge p e n s i o n e r ( 高 齢 の 年 金 受 給 者) 人種 poor( 貧 し い ) n e e d y, d i s a d v a n t a g e d ( 恵 ま れ な い ) Black American( ア メ リ カ 黒 人 ) Afro-American こ れ ら の 例 か ら も わ か る よ う に 、婉 曲 語 法 に は 相 手 を 気 遣 い 攻 撃 性 や 衝 撃 を 和 ら げ て 意 味 内 容 を 伝 え る 働 き が あ る 一 方 、本 来 は 問 題 視 さ れ る は ず の内容をそれらしいことばに置き換えてごまかしたり正当化したりする 働きがある点についても注意する必要があります。 10.3.2 政 治 的 正 し さ ( political correctness ) 20 世 紀 後 半 、 ア メ リ カ 社 会 で は 、 人 種 、 性 、 障 害 、 貧 困 、 身 体 的 特 徴 な ど に 由 来 す る 差 別 を な く そ う と す る 運 動 が 活 発 化 し ま し た 。こ れ に と も な っ て 、差 別 や 偏 見 に 基 づ い た 表 現 や 認 識 を 政 治 的 に 妥 当 な も の に 是 正 し よ う と い う 動 き が 高 ま り ま す 。特 に 、言 語 表 現 や 用 語 に 人 種・民 族・宗 教 ・ 性 差 別 な ど の 偏 見 が 含 ま れ て い な い こ と を 目 指 し て 、「 政 治 的 な 正 し さ ( political correctness )」 を 意 識 し た こ と ば の 使 い 方 を 推 し 進 め よ う と し た の で す 。 そ の よ う な 目 的 に 沿 っ て 新 た に 作 ら れ た 言 葉 は PC 語 ( PC words) と 呼 ば れ て い ま す 。 例 え ば 、政 治 的 正 し さ の 観 点 か ら 、そ れ ま で の こ と ば に 含 ま れ て い た 性 差 別 ( sexist language ) を な く そ う と し て 、 ど ち ら か 一 方 の 性 に 固 定 化 されていた職業や役割などを表すことばは両性表現へと言い換えられま した。いくつかの事例を見てみましょう。 表 10.12 Sexist Language の 言 い 換 え 性差別を含む表現 businessman 言い換え表現 business person ( b u s i n e s s wo m a n ) chairman chairperson, chair fireman f i r e fi gh t e r freshman f i r s t - ye a r s t u d e n t h o u s e w i fe homemaker l a ym a n lay people, laity m a n ki n d h u m a n ki n d , h u m a n b e i n g s manmade manufactured, artificial manpower wo r k fo r c e m a s t e r fu l v e r y s ki l l fu l policeman p o l i c e o ff i c e r spokesman representative stewardess f l i gh t a t t e n d a n t 表 10.12 に 示 す 通 り 、職 業 や 役 割 を 表 す 語 に は 、歴 史 的 に そ の 職 に 男 性 が 多 く 就 い て い た と い う 事 情 を 反 映 し “ 〜 man” が つ い て い ま し た 。 し か し な が ら 近 年 、こ の よ う な 職 名 は 、そ の 職 業 が 男 性 の も の と し て ス テ レ オ タ イ プ 化 さ れ た 印 象 を 与 え 、女 性 の 社 会 進 出 を 妨 げ る 性 差 別 的 な も の だ と 考 え ら れ る よ う に な り ま し た 。性 差 別 を 避 け る た め に は 、女 性 を 指 す 語 を 追 加 す る こ と ( 例 え ば businessman に 対 し て business woman を 加 え る こ と )も で き ま し た が 、 性 別 を 限 定 し な い 表 現 ( bus iness person ) に 置 き 換 え ら れ た の で す 。暗 に 女 性 に 限 定 さ れ て い た“ stewardess ”や“ housewife” も同じように中立的な表現へと言い換えられました。 英 語 で は “ man”は 「 男 性 」 と い う 意 味 だ け で な く 、「 人 間 」 と い う 意 味 も 持 っ て い ま す 。そ こ で“ mankind,”“ manmade,” “ma npower”な ど“ man” を含む語を別の言い方に置き換える方策もとられました。 ま た 、同 様 に 性 差 を 内 包 し た こ と ば の 問 題 と し て 、敬 称 が あ り ま す 。英 語 で は 男 性 は Mr.で 統 一 さ れ て い る の に 対 し 、女 性 は 結 婚 し て い る か ど う か に よ っ て Miss か Mrs.と 区 別 さ れ て い ま し た 。そ こ で 、公 文 書 に お け る 女 性 の 敬 称 を 男 性 の よ う に 統 一 す べ き だ と し て Ms. が 提 案 さ れ ま し た 。 1973 年 に 提 出 さ れ た こ の 法 案 は 結 局 成 立 し ま せ ん で し た が 、1970 年 代 の 女 性 解 放 運 動 の 流 れ と あ い ま っ て 、英 語 の 脱 性 差 化( de- gendering )運 動 の 始 ま り と し て 大 き な 反 響 を 呼 び ま し た 。 現 代 で は 、 Ms.は ご く 一 般 的 に 使用されています。 こ の よ う な 語 彙 レ ベ ル の 言 い 換 え に 加 え て 、文 法 的 に も 脱 性 差 化 し た 英 語の使い方が推奨されました。代表的な例に代名詞の使用があります。 (例 1 ) (Sexist) Each student should bring his dictionary to language classes. (Non -sexist) Each student should bring her/ his dictionar y to language cla sses. (Non -sexist) Students should bring t heir dict ionary to language classes. ( 例 2) ( デ ュ モ ン ド , 2000, p.36) (Sexist) A good dancer chooses his choreogr apher carefull y. (Non -sexist) A choreographer must be chosen carefully by a good dancer. 例 1 や 例 2 に 示 す よ う に 、で き る だ け 三 人 称 単 数 を 使 う 表 現 を 避 け 、複 数 形 、受 動 態 な ど を 効 果 的 に 使 う こ と に よ っ て 、脱 性 差 化 を は か る こ と が 提案されています。 1980〜 1990 年 代 以 降 、 「 政 治 的 正 し さ 」が メ デ ィ ア 等 で 大 き く 取 り 上 げ ら れ る よ う に な り 、ア メ リ カ を 始 め と す る 英 語 圏 で は こ と ば か ら 差 別 を な く す と い う 運 動 が 、 着 実 に 進 ん で い る か に み え ま す 。「 政 治 的 正 し さ 」 の 取 り 組 み は 、今 で は 日 本 に も 少 な か ら ず 影 響 を 与 え て い る と 言 え る で し ょ う。 まとめ 英語の語彙について、歴史的、認知的、社会的観点から考察しました。 語 彙 に は 、英 語 圏 の 歴 史 や 文 化 ・ 社 会 の 影 響 を 色 濃 く 反 映 し て お り「 英 語 ら し さ 」が 豊 か に 現 れ て い る こ と を 学 び ま し た 。ま た 、語 彙 の 中 に い わ ば 刷 り 込 ま れ て い る 英 語 的 モ ノ の 見 方 や 考 え 方 に つ い て も 触 れ ま し た 。語 彙 は 分 類 や 比 喩 を 通 し て 、英 語 的 思 考 や 世 界 観 を 私 た ち に 提 示 し て い る と も 言えるのです。 国 際 共 通 語 と し て 英 語 が 世 界 中 で 使 わ れ る 理 由 の 一 つ と し て 、語 彙 の 豊 富 さ が あ げ ら れ て い ま す 。英 語 語 彙 が 特 に ヨ ー ロ ッ パ 諸 語 か ら 多 く を 借 用 し て い る こ と は 、国 際 語 と し て 見 落 と せ な い 利 点 で す 。つ ま り 、ヨ ー ロ ッ パ 諸 語 を 知 っ て い る 人 か ら み れ ば 、英 語 は 語 彙 レ ベ ル で 親 し み や す い 言 語 だということが言えるからです。 練習問題 1 カナダ英語、オーストラリア英語の中にある借用語について調べてみ ましょう。どんな人々が話していたどんな言語から、語彙を借用したので しょうか。 2 日本語から英語に入った語彙について調べてみましょう。時代やジャ ンルに関して、日本語からの借用語彙に特徴はありますか。 3 英語と日本語の比喩のなかから、言語の違いをこえて共通した理解が 容易だと思われる表現と、そうでないものを挙げてみましょう。 4 「婉曲語法」について、本章で挙げられていたものとは別の例を用い て説明してみましょう。 5 アメリカ社会でさまざまな差別をなくそうとする運動が活発化した際 に、言語表現を変えようとしたのはどうしてだと思いますか。 参考文献 デ ュ モ ン ド , V.( 2000).『 性 差 別 を し な い た め の 米 語 表 現 ハ ン ド ブ ッ ク 』 ( 稻 積 包 昭 ・ 野 谷 啓 二 ・ 訳 ). 松 柏 社 .[ 原 著 : Dumond, V. 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