水田への疎水材暗渠の整備による温室効果ガス排出抑制の

水 田 への疎 水 材 暗 渠 の整 備 による温 室 効 果 ガス排 出 抑 制 の効 果
道 総 研 中 央 農 業 試 験 場 ○塚 本 康 貴
農研機構農村工学研究所 北川 巌
Ⅰ.はじめに
気 候 変 動 に関 する政 府 間 パネル(IPCC)では,温 室 効 果 ガス濃 度 は増 加 しており,気 候 変 動 を
抑 制 するには温 室 効 果 ガス排 出 量 の大 幅 かつ持 続 的 な削 減 が必 要
は農 業 部 門 の温 室 効 果 ガス排 出 量 が増 加 している報 告
1 ) と述 べられている。世 界 的 に
2 ) もあり,農 業 部 門 においてはこれまで以
上 の地 球 温 暖 化 緩 和 に向 けた取 り組 みを行 う必 要 がある。
稲 作 が主 要 な農 業 である日 本 において,農 業 分 野 での地 球 温 暖 化 緩 和 策 となる農 地 管 理 には,
日 本 の農 林 水 産 業 における温 室 効 果 ガス排 出 の 15%を占 める水 田 からのメタンの排 出
3 ) を抑 制 す
る技 術 が求 められている。水 田 は長 期 間 圃 場 を湛 水 状 態 にするため,特 に排 水 不 良 な圃 場 では土
壌 が還 元 的 な環 境 になりやすくメタン排 出 が助 長 される。そのため圃 場 の排 水 性 を良 好 にすることが
メタン排 出 を抑 制 する有 効 な手 段 の一 つとなる。これまでには主 に水 稲 の栽 培 管 理 として,中 干 し延
長 によるメタン排 出 抑 制 対 策
4 ) が提 案 されている。
他 方 ,日 本 では水 田 の乾 田 化 や汎 用 化 のための排 水 対 策 として,暗 渠 排 水 の整 備 が広 く行 わ
れている。特 に近 年 では疎 水 材 を有 する暗 渠 整 備 が普 及 し,暗 渠 の排 水 機 能 や耐 久 性 が向 上 して
いる。さらに水 田 への暗 渠 整 備 による排 水 改 良 は,従 来 の知 見 から水 田 のメタン排 出 抑 制 に効 果
的 であることが推 察 できる。農 業 農 村 整 備 事 業 による暗 渠 排 水 を含 めた水 田 の区 画 整 備 率 が,全
国 の水 田 面 積 2,474,000ha の 63.2%を占 める 5 ) ことから,水 田 への暗 渠 整 備 がメタン排 出 抑 制 に与
える効 果 は大 きい。しかしながら,暗 渠 整 備 によるメタンの排 出 抑 制 の具 体 的 な効 果 についての知
見
6 ) は少 ない。
そこで,本 報 では疎 水 材 暗 渠 が整 備 された水 田 圃 場 内 において,暗 渠 埋 設 位 置 からの距 離 とメ
タン排 出 量 や土 壌 の還 元 程 度 との関 係 ,ならびに暗 渠 整 備 の有 無 によるメタン排 出 量 との関 係 につ
いて調 査 を行 うことで,水 田 への暗 渠 整 備 がメタン排 出 に及 ぼす影 響 を明 らかにする。
Ⅱ.試 験 方 法
1.調 査 圃 場
足場
メタンフラックス測定箇所
2009 年 にカラマツ木 材 チップを疎 水 材 とす
る暗 渠 排 水 を整 備 した,北 海 道 月 形 町 の水 田
疎水材暗渠整備圃場
圃 場 (0.29ha)において,2010 年 ~2012 年 にメ
タ ン フ ラッ ク ス の 発 生 を 調 査 し た 。 調 査 圃 場 の
暗 渠 の間 隔 は 10m で,平 均 埋 設 深 は 0.7m,
( )
地 表 面 から 0.25m の深 さより疎 水 材 が投 入 され
排
水
路
暗渠埋設位置
110m
…
模 式 図 を図 -1 に示 す。
10m
疎水材暗渠未整備圃場
沢
27m
は 60t/ha である。
は国 際 法 で LiC~HC と粘 土 分 が多 く,作 土 下
用
水
路
2圃場挟む
ている 。疎 水 材 と して投 入 した 木 材 チッ プの 量
圃 場 の 土 壌 型 はグ ライ台 地 土 で あ り,土 性
27m
図 -1 調 査 圃 場 の模 式 図 および測 定 箇 所
の飽 和 透 水 係 数 が低 い圃 場 である(表 -1)。
調 査 圃 場 における栽 培 品 種 は「ななつぼし」である。水 稲 栽 培 期 間 中 における水 管 理 として,湛
水 期 間 は 5 月 中 旬 から 8 月 中 旬 で,中 干 しは実 施 されていない。
表 -1 疎 水 材 暗 渠 施 工 圃 場 の土 壌 理 化 学 性
深さ
(cm)
土性
(国際法)
乾燥密度
3
(g/cm )
飽和透水係数
(cm/s)
(H2O)
0~18
LiC
1.00
3.0×10-4
5.59
18~28
LiC
1.20
2.0×10-6
5.68
28~50
HC
1.31
7.5×10-7
5.65
50~80
HC
1.04
1.8×10-5
5.45
pH
2.調 査 内 容
1m
(1)メタンフラックスの測 定
2m
4m
メタン フラッ クスの 測 定 に つい て,疎 水 材 暗
渠 の整 備 圃 場 では暗 渠 直 上 ,および 1m,2m,
チャンバー
4m 離 れた地 点 において各 地 点 3 反 復 とし,クロ
0.25m
ーズドチャンバー 法 を用 いた( 図 -2) 。チ ャンバ
ー内 のガスをバイアル瓶 に採 取 し,島 津 社 製 の
疎水材(木材チップ)
暗渠管
ガスクロマトグラフにて濃 度 を測 定 することでメタ
ンフラックスを算 出 した。測 定 頻 度 については
図 -2 疎 水 材 暗 渠 整 備 圃 場 におけるメタンフラックス
非 積 雪 期 間 (6~10 月 )に概 ね月 1 回 の間 隔 で
採取位置
行 った。2011 年 からは隣 接 する疎 水 材 暗 渠 未
整 備 圃 場 においてもメタンフラックスを測 定 し
た。
水 稲 栽 培 期 間 については透 明 アクリル製 の
チ ャ ン バ ー ( 縦 600mm , 横 300mm , 高 さ
600mm) を 用 い , 非 栽 培 期 間 に つ い て は 塩 化
ビニル製 の円 筒 チャンバー(外 径 216mm,高 さ
230mm)を用 いた(写 真 -1)。
水稲栽培期間
水稲非栽培期間
写 真 -1 チャンバーを用 いたガス採 取 状 況
(2)土 壌 断 面 調 査 および現 場 透 水 試 験
2011 年 秋 に暗 渠 直 上 近 傍 ,および暗 渠 から 4m 離 れた地 点 において,土 壌 断 面 調 査 を実 施 し
た。グライ化 の程 度 を 0.2%α,α’ジピリジル液 の呈 色 により判 定
7 ) することで土 壌 の還 元 状 態 を把
握 するとともに,各 地 点 の作 土 (0~15cm 深 )および耕 盤 (15~30cm)の土 壌 を採 取 し,2 価 鉄 含 量
を測 定 した。2014 年 秋 には疎 水 材 暗 渠 未 整 備 圃 場 を加 えて同 様 の調 査 を実 施 した。
さらに暗 渠 直 上 ,および 1m,2m,4m 離 れた地 点 においてシリンダーインテークレート法
現 場 透 水 試 験 を実 施 した。
8 ) による
Ⅲ.調 査 結 果
1.疎 水 材 暗 渠 整 備 圃 場 におけるメタンフラックスの推 移
暗 渠 埋 設 位 置 からの距 離 におけるメタンフラックスの推 移 を図 -3 に示 す。暗 渠 整 備 による水 田 か
らのメタンフラックスは,夏 季 にかけて高 まり,湛 水 期 間 が終 了 する秋 に低 下 する傾 向 を示 した。また
暗 渠 から 1m 以 内 の地 点 では,暗 渠 から 2m 以 上 離 れた渠 間 の地 点 や暗 渠 未 整 備 圃 場 に比 べ概 ね
低 く推 移 した。この傾 向 は年 次 によらず同 様 であった。
これらのことから,暗 渠 埋 設 位 置 周 辺 では特 に湛 水 期 間 中 のメタン発 生 が抑 制 されていると考 え
る。
なお,亜 酸 化 窒 素 フラックスについてはほぼゼロに近 い値 で推 移 し,暗 渠 整 備 による影 響 は見 ら
れなかった(図 -4)。
120
120
2010年
暗渠直上~1mの地点
暗渠から2m~4mの地点
80
60
40
20
2011年
暗渠直上~1mの地点
100
CH4-C mg /m2/hr
CH4-C mg /m2/hr
100
暗渠から2m~4mの地点
暗渠未整備圃場
80
60
40
20
0
0
6/10
6/30
7/20
8/9
8/29
9/18
10/8
4/25 5/15
10/28
6/4
6/24 7/14
8/3
8/23 9/12 10/2 10/22
図-3 水 田 圃 場 におけるメタンフラックスの推 移
(図 中 のエラーバーは標 準 偏 差 を示す)
1.0
2010年
暗渠直上~1mの地点
暗渠から2m~4mの地点
0.5
0.0
6/10
6/30
7/20
8/9
8/29
9/18
10/8
10/28
-0.5
-1.0
N2O-N mg/m2/hr
N2O-N mg/m2/hr
1.0
2011年
暗渠直上~1mの地点
暗渠から2m~4mの地点
暗渠未整備圃場
0.5
0.0
4/25 5/15
6/4
6/24 7/14
8/3
8/23 9/12 10/2 10/22
-0.5
-1.0
図-4 水 田 圃 場 における亜 酸 化 窒 素 フラックスの推 移
(図 中 のエラーバーは標 準 偏 差 を示す)
2.疎 水 材 暗 渠 の整 備 が土 壌 の酸 化 還 元 状 態 に与 える影 響
暗 渠 埋 設 位 置 からの距 離 により,メタンフラックスを測 定 したところ,メタン発 生 量 に明 らかな差 異
の傾 向 が見 られた。メタンの発 生 は土 壌 が嫌 気 的 な状 態 で促 進 されることから,土 壌 の状 態 や透 排
水 性 も暗 渠 埋 設 位 置 からの距 離 により異 なることが想 定 できる。そのため,暗 渠 直 上 近 傍 と暗 渠 か
ら 4m 離 れた地 点 において,土 壌 断 面 調 査 を実 施 して土 壌 断 面 の状 態 と土 壌 還 元 程 度 の違 いにつ
いて調 査 を実 施 した。調 査 結 果 を表 -2 に示 す。
表-2 土 壌 断 面 調 査 結 果 (2011年)
【暗 渠 から4m離 れた位 置 】
【暗 渠 直 上 近 傍 】
土壌
深さ
1)
土壌構造
孔隙
グライ
土壌構造
孔隙
(cm)
土壌
硬度1)
(mm)
グライ
反応2)
なし
++
深さ
(cm)
硬度
(mm)
0~16
6
角塊状 細孔富む
発達弱度 亀裂含む
+
0~16
1
無構造
(泥濘状)
16~35
21
角塊状
亀裂含む
発達中度
+
16~32
21
角塊状
亀裂含む
発達中度
+++
35~
21
角塊状
亀裂富む
発達強度
-
32~
17
角塊状
亀裂富む
発達中度
+
2)
反応
1)山中式硬度計による。
2)ジピリジル液による呈色反応。
-:呈色なし,+:程度弱い,++:即時鮮明,+++:即時非常に鮮明
調 査 を実 施 した時 期 は降 雨 が多 く,圃 場 も全 体 的 に湿 潤 な状 態 であった。暗 渠 直 上 近 傍 は作
土 が湿 潤 状 態 であるが土 壌 構 造 が確 認 でき,作 土 や作 土 下 の耕 盤 のジピリジル液 による呈 色 反 応
も弱 い。一 方 ,暗 渠 から 4m 離 れた地 点 では作 土 が泥 濘 状 で孔 隙 が確 認 できず,山 中 式 土 壌 硬 度
計 で測 定 した土 壌 硬 度 も非 常 に低 い値 である。ジピリジル液 による呈 色 程 度 は作 土 や耕 盤 で強 い
反 応 を示 した。
また,施 工 後 5 年 経 過 した 2014 年 に,疎 水 材 暗 渠 未 整 備 圃 場 も加 えた同 様 の調 査 を実 施 した
(表 -3)。2014 年 は秋 が好 天 で経 過 したため,作 土 に亀 裂 が生 じており乾 燥 状 態 であったことから,
いずれの圃 場 においても作 土 の泥 濘 化 は見 られなかった。しかし暗 渠 直 上 近 傍 と暗 渠 から 4m 離 れ
た地 点 の作 土 下 の様 相 は,2011 年 と同 様 であった。暗 渠 未 整 備 圃 場 では,下 層 土 の土 性 など土
壌 条 件 が暗 渠 整 備 圃 場 と異 なっており,ジピリジル液 による呈 色 反 応 は見 られなかったが,作 土 や
耕 盤 の状 態 は暗 渠 から 4m 離 れた地 点 よりも,土 壌 構 造 が未 発 達 で還 元 程 度 が強 かった。
表-3 土 壌 断 面 調 査 結 果 (2014年)
【暗 渠 直 上 近 傍 】
深さ
(cm)
土壌
硬度1)
(mm)
土壌構造
【暗 渠 から4m離 れた地 点 】
孔隙
グライ
反応2)
深さ
(cm)
土壌
硬度1)
(mm)
-
0~17
7
【疎 水 材 暗 渠 未 整 備 圃 場 】
グライ
反応2)
深さ
(cm)
土壌
1)
硬度
(mm)
角塊状 細孔富む
発達中度 亀裂富む
-
0~12
12
土壌構造
孔隙
土壌構造
孔隙
角塊状 細孔富む
発達中度 亀裂富む
グライ
2)
反応
0~18
11
角塊状 細孔富む
発達中度 亀裂富む
18~44
23
角塊状
亀裂含む
発達中度
-
17~40
18
角塊状
亀裂含む
発達中度
+++
12~34
20
無構造
亀裂含む
+++
44~
19
角塊状
亀裂富む
発達強度
+
40~
20
角塊状
亀裂含む
発達強度
+++
34~
23
無構造
亀裂含む
-
1)山中式硬度計による。
2)ジピリジル液による呈色反応。
-:呈色なし,+:程度弱い,++:即時鮮明,+++:即時非常に鮮明
++
土 壌 中 の 2 価 鉄 含 量 について,暗 渠 直 上 近 傍 では作 土 に比 べ耕 盤 の値 が若 干 高 い程 度 である
一 方 ,暗 渠 から 4m 位 置 での耕 盤 では作 土 の値 に比 べ明 らかに高 かった。その傾 向 は施 工 後 5 年
経 過 後 の 2014 年 においても同 様 であった(表 -4)。
表-4 暗 渠 からの距 離 が土 壌 中 の2価 鉄 含 量 に与 える影 響
暗渠埋設位置
からの距離
土壌採取位置
2011年
2014年
作土(0-15cm)
39.4
31.4
耕盤(15-30cm)
78.3
24.4
作土(0-15cm)
44.8
43.9
耕盤(15-30cm)
1,633
429
作土(0-15cm)
-
79.7
耕盤(15-30cm)
-
234
暗渠直上近傍
暗渠から4m
疎水材暗渠
未施工圃場
2価鉄含量(mg/kg)
3.疎 水 材 暗 渠 整 備 が圃 場 の透 水 性 に与 える影 響
図 -5 に暗 渠 直 上 ,および暗 渠 から 1m,2m,4m 離 れた地 点 においてシリンダーインテークレート
法 による現 場 透 水 試 験 をおこなった結 果 を示 す。暗 渠 埋 設 位 置 に近 づくにつれて Ib(ベーシックイ
ンテークレート)の値 が高 まり,疎 水 材 暗 渠 の整 備 により暗 渠 埋 設 位 置 周 辺 の透 水 性 が高 まる結 果
が得 られた。
これらのことから,疎 水 材 暗 渠 の整 備 により特 に暗 渠 埋 設 位 置 近 傍 の透 水 性 が高 まることで,作
土 や耕 盤 の土 壌 還 元 が弱 まり,メタン排 出 が抑 制 されたと考 える。
60
Ib (mm/h)
50
40
30
20
10
0
暗渠直上
暗渠から1m 暗渠から2m 暗渠から4m
図-5 暗 渠 からの距 離 が現 場 透 水 性 に与 える影 響
(2011 年 ,エラーバーは標 準 偏 差 を示 す)
4.疎 水 材 暗 渠 整 備 の有 無 による圃 場 全 体 でのメタン発 生 量
図 -3 の結 果 を基 に,今 回 調 査 を実 施 した圃 場 全 体 からのメタン発 生 量 の算 出 を試 みた。暗 渠
整 備 圃 場 における算 出 方 法 として,暗 渠 直 上 ,1m,2m 位 置 については,実 測 値 を用 いた範 囲 を測
定 位 置 を中 心 とした 1m 区 間 とした。残 りの面 積 についてはほぼ渠 間 部 である 4m の値 を用 いた。
その結 果 ,暗 渠 整 備 圃 場 のメタン発 生 量 は,暗 渠 未 整 備 圃 場 と比 較 すると 2011 年 に 51%,
2012 年 に 31% と明 らかに減 少 しており,疎 水 材 暗 渠 の整 備 は水 田 からのメタン発 生 を大 幅 に削 減
できることが明 らかになった。
Ⅳ.おわりに
暗 渠 が整 備 された水 田 では未 整 備 圃 場 に比 べ,地 下 水 位 およびグライ層 出 現 位 置 が低 く,透
水 性 が高 く土 壌 が酸 化 的 な状 態 となっており,メタン発 生 量 が少 ないとの知 見 がある
6 ) 。今 回 の試 験
結 果 も同 様 の結 果 が得 られたが,メタンフラックスや土 壌 の酸 化 還 元 状 態 ,透 水 性 などについて暗
渠 埋 設 位 置 からの距 離 との関 係 を解 析 することで,暗 渠 排 水 による面 的 なメタン排 出 抑 制 効 果 の発
現 機 構 を明 らかにすることができた。
以 上 のことから水 田 の汎 用 化 を進 める暗 渠 の整 備 は,地 球 温 暖 化 の緩 和 策 として有 効 であり,
農 業 農 村 整 備 事 業 における農 業 生 産 力 強 化 と地 球 環 境 保 全 を両 立 する貢 献 策 である。
現 在 ,北 海 道 では暗 渠 疎 水 材 にモミガラや木 材 チップなど有 機 質 資 材 も多 く使 用 されている。
水 田 への暗 渠 疎 水 材 に 有 機 質 資 材 を用 いることは,高 い炭 素 貯 留 効 果 の可 能 性 が考 えられ,暗
渠 整 備 によるメタン排 出 抑 制 とともに地 球 温 暖 化 緩 和 策 になり得 る。今 後 は,疎 水 材 として使 用 した
有 機 質 資 材 の経 年 変 化 を捉 えつつ,地 球 温 暖 化 緩 和 策 の視 点 からの暗 渠 整 備 手 法 について検
討 する必 要 があると考 える。
【引 用 文 献 】
1) 気 象 庁 : IPCC 第 5 次 評 価 報 告 書 第 1作 業 部 会 報 告 書 政 策 決 定 者 向 け要 約 気 象 庁 訳 ,
http://www. data.jma.go.jp/cpdinfo/ipcc/ar5/index.html(2013)
2) FAO:Agriculture,Forestry and Other Land Use Emissions by Sources and Removals by Sinks 1990 -2011 Analysis,
http://www.fao.or.jp/detail/article/1205.html(2014)
3) 農 林 水 産 省 :農 林 水 産 分 野 に おける温 室 効 果 ガスの排 出 削 減 状 況 ,
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/kikaku/goudou/16/(2013)
4) It oh, M., Sudo, S., Mori, S., Saito, H., Yoshida, t., Shiratori, Y., Suga, S., Yoshikawa, N., Suzue, Y., Mizukami, H.,
Mochida, T., and Yagi, K.:Mitigation of methane emissions from paddy fields b y prolonging midseason drainage. Agric.
Ecosys. Environ., 141,pp.359~372(2011)
5) 農 林 水 産 省 :農 業 生 産 基 盤 の 整 備 状 況 について,
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/nousin/bukai/h25_4/pdf/siryou5.pdf(2014)
6) Shiratori, Y., Watanabe, H., Furukawa, Y., Tsuruta, H., and Inubushi, K. :Effectiveness of a subsurface drainage sys t em
in poorly-drained paddy fields on reduction of methane emission. Soil Sci.Plant nutr., 53, pp.387~400(2007)
7) 日 本 ペドロジー学 会 編 :土 壌 調 査 ハンドブック 改 訂 版 ,博 友 社 ,pp.95~96(1997)
8) 土 壌 環 境 分 析 法 編 集 委 員 会 編 :土 壌 環 境 分 析 法 ,博 友 社 ,pp.76~79(1997)