1-1-6本文(比護). - 東京都下水道局

1-(11)-6
大断面蓋掛
掛け渠にお
おけるSP
PR工法の
の施工
-
-千駄ヶ谷
谷幹線再構
構築工事
事-
第二基幹
幹施設再構築
築事務所 工
工事第一課
工事第二係
に
1.はじめに
千駄ヶ谷
谷幹線は、昭和
和 38 年に施
施工された延
延長 3,020
m、幅 7.4m
m、高さ 3.5~
~4.0mの大断
断面蓋掛け渠
渠であり、
本工事ではこの内、延長
長 224.5mを
をSPR工法
法で再構築
R工法に関す
する技術資料
料によると
するものである。SPR
矩形の最大適用範囲は幅
幅 6.0mまで
でとなってお
おり、今回
~3.70m)は
は最大規模
再構築する断面( 5..75×2.93~
かし同規模の
の施工実績は
はほとんどな
ない。その
である。しか
ため施工時
時に品質トラブルを起こさぬように 綿密な施
工計画を立案し、様々な
な工夫を行う
う必要があっ
った。本稿
での状況を報
報告する。
では準備工から製管工(施工中)まで
写真-1 製管状況
況
要
2.工事概要
工事名:千駄ヶ谷幹線
線再構築工事
事
宮前五、六丁
丁目
工事場所:渋谷区神宮
成 25 年 10 月 25 日(3499 日間)
工期:平成 24 年 5 月 30 日~平成
内面被覆工  5.75×22.93m~ 5.75×3.70m
5
m
主要工事内容:管渠内
図
図-1 施工位
位置図
L=224.5m
m
比護 一裕
裕
3.施工環境
境
千駄ヶ谷
谷幹線は、表参
参道の近くに
に位置する通
通称「キャッ
ットストリー
ート」と呼ば
ばれる通りの下にある。キ
ャットストリートは、東
東京オリンピ
ピックの開催
催をきっかけ
けに、渋谷川
川にそのまま
ま蓋をする形で暗渠化して
て
遊歩道化したものであり、正式名称
称は「旧渋谷
谷川遊歩道」という。暗
暗渠沿いには
はかつて架かっていた橋の
の
在もいくつか残
残されている
る。キャット
トストリート
トの地上部は
は道路として
て使用しており、両サイド
親柱が現在
にはファッションビル等
等の店舗が多
多数立ち並ん
んでいる。本
本件工事か所
所は日中、買
買い物客や観光客で非常に
人通りもまば
ばらで閑散と
とした状態に
になるため、全
全期間深夜間
間工事(21~
~6 時)で施工
工
混雑しているが夜間は人
している。
写真-2
2
写
写真-4
暗渠後の
の渋谷川
施
施工箇所状況
況(上流側)
写真-3
渋谷川
川上流に残る橋
橋の親柱
写真-5
施
施工箇所状況
況(下流側)
4.大断面SPR工法の
の施工実績(自由断面)
施工実績(自
自由断面)を
を表-1に示す。更生断面
面の幅が 5.00mを超えるのは表中の3
大断面SPR工法の施
東京都下水道
道局発注の工
工事である。
件のみであり、すべて東
表-
-1 大断面SPR工法施
施工実績(自
自由断面)
№
1
2
3
工事件
件名
渋
渋谷川幹線(施
施工済)
千
千駄ヶ谷幹線(
(当工事)
千
千駄ヶ谷幹線(
(施工済)
最大断面(内寸 m)
5.75
5 × 3.85
5.75
5 × 3.70
5.10
0 × 3.32
5.当現場における施工
工時の工夫点
点
工法への対応
応として現場
場独自に製管
管機整備の効率化、工事費
費低減策等に
に取り組んだ
だ。
大断面となるSPR工
下に示す。
施工時の工夫点等を以下
管機整備用油
油圧ジャッキ
キ
5‐1.製管
製管機の大型化により既設管渠内
内での製管機
機の整備は困
困難である。当現場では
は製管機の整備、部品交換
換
管機を流下汚水
水水面より上
上に持ち上げ
げることがで
できる油圧ジ
ジャッキを製
製作し、整備を汚水の中に
の際、製管
手を入れることなく、安
安全にかつ衛
衛生的に効率
率よく行った
た。
製管機
油
油圧ジャッキ
写真-6 製
製管機整備用
用油圧ジャッ
ッキ
図-2 油圧
圧ジャッキの活用
る断面形状保
保持
5-2.仮受支保工による
管は何もしな
ないと自重に
により変形を
を起こし、所定の断面を保
保持すること
とができない
い。
巻きたてられた更生管
度変形した更生
生管を裏込注
注入時に設置
置する支保工
工で矯正する
ることは困難
難である。また、支保工に
さらに一度
より断面が阻害され、局
局地的集中豪
豪雨時に上流
流部で逸水す
する懸念があ
あった。この
のため、製管後から裏込材
材
を注入するまでの間、仮
仮受支保工を
を設置して断
断面形状を保
保持した。(写
写真-7)
用
5-3.支保工の有効活用
設置する場合
合は地組みし
した支保工を
を人力で起こして設置する
るが、今回は
は大断面の為
為、
小中断面で支保工を設
順に組み上げ、
、上部で連結
結することで
で支保工自体
体を一体化さ
させ転倒を防
防止した。また組み上がっ
底部から順
た支保工に足場板を敷設
設して作業通
通路として活
活用した。(写
写真-8)
写
写真-7 仮
仮受支保工設
設置状況
写真-
-8 支保工
工を利用しての
の作業通路
6.その他施工実績
6-1.工事費低減策
の建設技術審
審査証明を取
取得している
る自由断面SPR工法の最大適用範囲
囲
(公財)日本下水道新技術機構の
mまでとなっ
っているが、今回施工す
する既存管渠は幅が 7.4m
mあり、事前
前に断面を縮
縮小させる必要
要
は幅が 6.0m
があった。断面縮小部は製管後に行
行う裏込注入
入時にSPR
R用モルタル
ルで充填することも可能であったが、
、
SPR用モルタルは材料
料を含めた施
施工費が高価
価であるため
め、安価なコ
コンクリートで既存側壁を増打ちする
事費の低減を図った。ただ
だし、断面縮
縮小部の最上
上部は充填性
性及び作業効
効率を考慮して、SPR用
用
ことで工事
モルタルで施工した。
図
図-3 内壁コ
コンクリート
ト打設
写
写真-9
内壁
壁コンクリー
ート打設状況
6-2.内壁
壁コンクリー
ート打設の効
効率化
施工延長
長が 224.5m と
と長く、人孔
孔は上下流の 2 箇所しかな
ないため、コ
コンクリート
トを打設するたびに管内に
コンクリート圧送用配管
管の設置・撤
撤去する作業
業や、管内で配
配管内の残コ
コンクリート
トや廃水(強
強アルカリ水)
)
を処理する作業は負担が大きいと考
考えた。そこ
こで当現場で
では地上に点
点在する雨水
水桝を利用してコンクリー
ー
込む方法を採用
用した。この
の方法により
りコンクリー
ートを打設す
する事前準備
備作業が、雨水桝の破損・
トを流し込
汚損を防止するためのシート養生や
やコンクリー
ートが管内に
に落下すると
ときの骨材分
分離を防止するための塩ビ
付け等で済み、
、大幅に作業
業効率を向上
上させること
とができた。雨水桝の使
使用にあたっては道路管理
理
管の取り付
者である渋
渋谷区と連携し、雨天時に
には事前に雨
雨水桝を通常
常の状態に復
復旧する等の
の取り決めを行うことで使
使
用許可を得
得ることができた。さらに
にこの方法は
は、コンクリ
リートポンプ
プ車を使用し
しないため、騒音・振動の
の
削減にも貢献した。
車
生コン車
誘導員
雨水桝
図-4
4 内壁コンク
クリート打設
設状況図
写真-10 雨水桝からの打設状
状況
6-3.蓋掛
掛け頂版の浮
浮上防止対策
策
蓋掛け頂
頂版は既存の側壁に頂版(PC蓋)を
を載せただけ
けの簡易な構
構造であるた
ため、製管後に施工する裏
裏
込工の注入
入圧により頂版
版が浮き上が
がることが懸
懸念された。そこで頂版
版の浮上防止
止対策として製管前に既存
存
側壁と頂版
版を固定金具及
及びアンカー
ーで結合させ
せた。さらに
に大断面対策
策として今回
回施工した内壁コンクリー
ー
トと頂版も同様に固定す
することで浮
浮上防止対策
策を二重にし
して安全性を
を向上させた
た。施工時は大断面である
ことから高所作業(高さ
さ 3.5~4.0mm)になるため墜落・転落
落事故等を起
起こさぬよう
うに安全にも十分配慮して
て
施工した。
上対策
頂版浮上
頂版浮上対
対策
内壁
壁
図-5 頂
頂版浮上防止
止工施工図
写真-11 頂版
版浮上防止工
工施工状況
6-4.下水
水道の「見え
える化」
当工事及び下水道事業
業について近
近隣のお客さ
さまの理解を
を得るために
に工事現場オ
オリジナルホームページを
を地上モニタ
ターで放映す
するとともに
に工法看板を
を作業車の側面に設置する
開設した。さらに管渠内作業状況を
理解と協力が
が得られるよ
ように努めて
ている。
など、工事への興味・理
写真-12
2 現場ホームページ
写真-1
13 管渠内
内作業状況放
放映
7.おわりに
たSPR工事
事で習得した
た知識と経験
験を最大限に
に活用するとともに、受注者と一体と
これまでに行ってきた
工夫することで大断面蓋掛
掛け渠におい
いても品質や
やコストを圧
圧迫する重大
大トラブルを発生させるこ
なり創意工
となく施工
工している。今
今年度は特に
に例年と比較
較して雨天日
日が3倍程度
度も増えてお
おり、工事の施工に影響を
及ぼしているが、無事故
故・無災害の
の達成、環境
境トラブルゼ
ゼロを目標に
に工事を進め
めている。当工事の実績が
が
断面SPR工事
事の参考にな
なれば幸いで
である。
今後の大断