新製品紹介冷間金型用高硬度 DLC 膜 Hard DLC Film for Cold Forming Die Coating film：TribecTM KIWAMI Diamond-Like Carbon（DLC）は，高硬度，低摩擦係数，化学的安定性，目標どおりの特性を得ることが容易認められない。図 3 に，本装置で成ではなかった。膜した Tribec ® 極の密度と硬度につ ® 高いガスバリアー性など優れた性質 Tribec 極は，陰極と対向する位いて他の事例と比較して示す。をもっている。そのため，機械的部置にドロップレット捕集部を配置し， Tribec ® 極は他の DLC に比べ高密品やシール材，髭剃りに代表される真空アークプラズマのみを磁界およ度で，ダイヤモンドに迫る硬度（3.2 民生品，さらにカテーテル，ステンび電界により直角に曲げて，成膜室 ×10 − 3 kg/m3，90 GPa）が得られる。トなどの医療用品への応用効果がに輸送する（T 字状フィルター）方 Tribec® 極の他の特性として，膜内に検討されている。DLC は，カーボン式を採用している。これにより，成実質的に水素を含有しないため水素 2 3 原子の最外殻電子の配置（sp ，sp ）膜室に輸送されるプラズマは 100 % 放出に伴う構造変化が少なく耐熱性と C-H 結合の有無により特性が異なに近い電離プラズマとなり，ドロッに優れ，高密度であるため，耐摩耗る。比較的過酷な環境で使用されるプレットの混入が少ない ta- C 膜と性・耐バリア性に優れ，アルミニウ冷間工具や切削工具では，水素を含なる。図 1 は，T 字状フィルターのムやガラスとの凝着性が低く，光学まず，sp3 構造を多く含む DLC（ta-C）構造を解説する図である。図 2 に T 的に透明であり，装飾品にも適用でが好適である。ta- C はダイヤモンド字状フィルターの各位置に配置したきる等々が挙げられる。図 4 に，製に迫る特性を示すが，製造プロセス試験片表面の SEM（Scanning 品例を示す。で不可避的に発生するドロップレット Electron Microscope）像を示す。と呼ばれる粒子状欠陥の混入により成膜室内（③）ではドロップレットが ① Coating chamber ③ Carbon plasma （日立ツール株式会社） ② Oriﬁce φ50 Droplet ② 30 μm 30 μm Graphite cathode ① ③ Collection box ①偏向なしダクト内，②90°偏向ダクト内， ③成膜室内部 Nano indentation hardness（GPa）図１ T 字状フィルターの構造を解説する図 Fig. 1 Schematic structure of T-shaped filter cathode 30 μm 図 2 図 1 中①∼③の DLC 膜の表面状態 Fig. 2 Surface condition of DLC films on ①∼③ of Fig.1 Diamond 100 90 ta-C 80 70 （Tribec®極） 60 50 ta-C 40 ta-C：H 30 20 10 0 0.0 a-C a-C：H 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 3.5 4.0 Film density（10−3kg /m3） a-C: amorphous carbon a-C：H ; H containing amorphous carbon ta-C: tetrahedral amorphous carbon ta-C：H ; H containing tetrahedral amorphous carbon 図 3 DLC 膜の膜密度と硬度 Fig. 3 Film density and hardness of DLC film 50 mm 図４ Tribec 極を被覆した製品例 Fig. 4 Coated work samples of Tribec 極 (KIWAMI) 日立金属技報 Vol. 27（2011） 55