08期末

2008 年度物理化学Ⅱ期末試験
2008.7.28
問題 1 相と成分及び相律に関して以下の問いに答えよ。
①
塩化アンモニウムを容器内に入れた後に熱分解した系において存在する成分数は1つであるが、こ
の系にアンモニアを加えた場合、成分数はいくつになるか? また、構成成分数と相数はいくつか?
あわせて答えよ。
成分数:2
②
構成成分:3
相数:2
下の文章中の(ア)-(カ)に適切な記号を入れギブズの相律を導け。なお、(エ)はいずれかを
選ぶこと
成分数が C 個、相が P 個ある系について考える。まず、示強変数には温度、圧力の 2 個がある。ま
た、ある 1 相の組成は(C-1)個のモル分率を用いることで指定できる。他の相についても同様のこと
がいえるので、組成を決めるための変数は(P(C-1))個必要となる。従って、変数は全部で、
(P(C-1)+2)
個となる。一方、平衡状態においてはある成分に対する各相の化学ポテンシャルは(等しい)ので、各
成分に対して満足すべき方程式が(P-1)個あることになる。成分は C 個あるので方程式の全数は C×
(P-1)個あることになる。方程式が 1 個あると変数のうち 1 個は変化できなくなるので方程式 1 個に
つき自由度が1減少する。従って自由度の総数は(P(C-1)-C(P-1)+2=C-P+2)個となりこれがギブズの
相律の式となる。
③
1成分系において固体と液体が共存している場合、可変度はいくつか?また、どのような物理量が
可変であるか?
C-P+2=1-2+2=1
温度もしくは圧力
問題 2 A, B の 2 種の揮発性液体からなる理想溶液があり、それぞれの 25℃における純粋な場合の蒸気
圧は 25Torr と 75Torr である。この時以下の問に答えよ。なお、外圧が変化している際にも温度は一定
であると仮定せよ。
①
A のモル分率を x A としてこの混合溶液の蒸気圧 p を表せ。
P=25 x A +75(1- x A )=75-50 x A
②
A,B がそれぞれ 1mol ずつ含まれている場合に外圧を下げていくと沸騰は何 Torr ではじまるか?
x A =0.5 なので 50Torr
③
蒸気中の A のモル分率 y A をドルトンの法則から x A を用いて表せ。
y A =25 x A /(75-50 x A )
④
全蒸気圧 p と蒸気の組成 y A の関係を示せ。
p =25*75/25+(75-25) y A
⑤
②の溶液でさらに外圧を下げ、数滴の液体が残っている場合の蒸気圧を計算せよ。
y A =0.5 の時、 p =37.5
裏面に続く
→
A←
2 B の反応の平衡定数 K と解離度 α について以下の問に答えよ。
問題 3
①
⎛ ∂K ⎞
平衡定数の圧力依存性 ⎜
⎟ はいくらであるか?
⎝ ∂P ⎠ T
0
②
→
A←
2 B の反応においてはじめ A がある量 n だけ存在し、このうち αn が反応して平衡に達した場合
を考え、解離度 α を圧力 p ( p
p0
とする)及び K を用いて表せ。
あとは n(1-α)と 2nαとなる。全モル数は n(1+α)なので
⎛ K ⎞
りα= ⎜
⎟
⎝ K + 4P ⎠
③
1
K=PB2/PA=4α2p/(1-α2)これよ
2
圧力が 2 倍になった場合、反応はどちらにすすむか?
粒子数の少ない左方向へ
④
→
Br2 ← 2 Br の 1600K における平衡定数を求めよ。ただし、それぞれの化学種の標準生成ギブズエネル
ギーは Δ f G ( Br2 ) = 35 kJ / mol 、 Δ f G ( Br ) = 12 kJ / mol である。
ΔrG=12×2-35=-11
問題 4
-11=RTlnK より、K=0.43
Cu | Cu 2 + M Zn 2 + | Zn で表されるダニエル電池について以下の問いに答えよ。必要ならファラデ
ー定数 96485C を用いよ。
①
アノード及びカソードで起こる半反応式及び電池反応式をそれぞれ書け。
カソード
Cu2+ +2e- →
Cu
アノード
Zn →
+2e-
②
Zn2+
この反応の標準状態における Δ r G は-212.3kJ/mol であった。この電池の標準電池電位はいくらにな
るか。
-212.3*1000=2*96485E
③
E=1.10V
Cu 2 + 濃度が 0.2mol/L、 Zn 2 + の濃度が 0.5mol/L の時、この電池の無電流電池電位(起電力)を求め
よ。但し、それぞれの活量係数は 0.01、0.07 とせよ。
E=1.10-RT/nFlnaZn2+/aCu2+=1.10-RT/2Flna0.5×0.01/0.2×0.07=1.063V