9廃棄物分別徹底に向けての取り組み Keyword 感染性廃棄物 スタッフ指導 コスト削減 O丸谷望美1) 前田正美1) 鍋谷佳子2) 1)大阪大学医学部附属病院泌尿器科病棟 2)大阪大学医学部附属病院感染制御部 【はじめに1 感染性廃棄物は分別から廃棄処理までにさまざまな人の手を介して運ぱれる。正しい分別を行わない 事により、処理迄の間に病原微生物を拡散させ、作業者が危険にさらされる可能性がある。作業者の 安全を守り、医療者の感染の危険性を回避するため、分別徹底に向けての取り組みを行ったのでここ に報告する。 1方法】 i)対象:泌尿器科病棟看護師20名 (経験年数4年目以上圭3名、3年目以下7名) 2)期間:平成18年6月∼平成19年2月 3)廃棄物分別調査豪:分別区分、廃棄場所の認知度、廃棄物分別に関する意識の有無 調査は取り組み前後で施行 4)調査結果から活動計画立案、実施評価 5)毎月の処理料金提示 馨1鹿棄鋤分罰溺煮 1結果】 i (キャン心ン漁ってし蔚か} 廃棄物分別に関する調査の結果、廃棄物の分別種類を知って いるかの問いに対し、知っていると回答したのは90%である i聯羅以上 … 塵調1 ミ が、具体的な分別に関する闇いの正解率は20%、そのうち経 i3剛下 験年数3年弩以下の看護師では14%であった。病院で行って いる廃棄物分別キャンペーンに関して、経験年数4年艮以上 i G% の看護師では85%が知っていると回答したが、3年目以下の i 看護師は43%と低かった(図1)。廃棄物分別への興陳の有無 でも差がみられた(図2)。こ.れらのことから、経験年数3年 l 2。集4。箔6偽竺」 馨2廃棄勧捌翻壷 (分穿聾こ隠してもっと知号たいと思いますか) 、4年自以上 認 目以下の看護師は、廃棄物分別に関して興昧がなく、具体的 き な分別方法についても曖昧であることがわかった。 i3年蹴 この結果を受け、経験年数3年目以下の看護師への働きかけ と、具体的な分別を理解できるよう計画を立て、実施した l o駕 E 20漏 40鮎 60麗 80覧 圭0(}覧 (表i)。 表i 肩 廃棄物分別取り組み実施表 計函 効果 6月 新人への伝達講習 各廃棄ボックスに、廃棄処理料金をわかりやすく表示 キャンペーンが行なわれている事が周知された 廃棄物処理料金が認識された 7月 廃棄物分別について、パンフレットを作成 ・写真入でわかりやすく表記、看護師控え室に設置 分別の迷うものについての質問表の作成と正しい廃棄 場勝を明示 正しい廃棄物分別の周知、カンファレンスの利胴 わかりやすく、全員に周知できた 質問が増え、意識が高まった 3年目をり・一ダーとしたカンファレンスの開催 具体的な分劉方法の周知をはかった 廃棄物分別調査の結果から、個人ヘフィードバック 感染廃棄物実績を伝達する 具体的な廃棄方法が一人一人遅解できた 実践に伴う評価が分別慧欲向上に繋がる 8月 9、iG肩 2月 一48一 3年鼠以下の知識が高まった 取り組み後の廃棄物分別意識調査の結果、経験年数3年臼以下の具体的な分別に関する問いの正解率 は100%、「コスト削減や詰所内の環境整備に興味を持った」の質問に関してもioO%、「廃棄物分別に 関してもっと知りたいと思うか」の質問に関してもioO%へと向上した。 取り組み実施前後の廃棄物処理料金を比較すると、取り緯み後の廃棄物処理料金は、可燃性感染性廃 棄物64,239円/年(図3)、不燃性感染性廃棄物77,07L28需/年(図4)減少した。 図3可燃性感染姓廃棄物 千 800 70G 600 500 400 300 200 100 図4不燃性感染性廃棄勃 千 i60 140 120 100 8G 60 40 20 0 平成貿隼度 平成18年度 【考察】 教育指導計画の立て方として①教育目標を明確にする②学習者の二一ズを把握③コンサルテーション の内容分析④教育内容を検討・決定⑤効果的な教育方法、教材の選択を行い、教育評価方法を決める とあり、今回これに基づき廃棄物分別調査を行い、内容分析し、教育内容を決定した。感染対策の指 導においては、知識以上に動機づけが必要であり、実践のコンプライアンスを高めることが重要であ ると言われている。廃棄物処理料金を表示、視覚的に興味の持てるパンフレット作成、カンファレン スで分別徹底について繰り返し訴え、実践結果を料金で示すことで動機づけになったと考える。学習 後の知識の残存率が視聴覚教材のみの場合20%、実地調練を行った場合75%、他者への教育を行った場 合95%というデータから、感染管理リンクナースがモデルとなったことや、意識の低い3年目以下の看 護師が中心的な役割を担うことで、詰所全体の意識が高まり、実践に結びっいたと考える。教育評価 方法として、取り組み後の調査でも3年霞以下の看護師の意識向上していた事がわかった。また結果 を処理料金としてコスト面を図に示したことで、恵欲向上したと考えられる。 1まとめ】 感染性廃棄物の分別に関して、わかりやすく示す事で具体的に理解され、取り組みを継続する事で実 践につながった。 【追記】 廃棄物分別調査票実施にあたり、記載された内容・情報は個人情報保護法により保護され、今回の調 査以外で使用することはありません。と記載、同意を得ました。 参考文献 1)感染性廃棄物処理対策検討会:感染性廃棄物の適正処理について「廃棄物処理法に基づく感染性廃 棄物処理マニュアル」環境省2004 2〉李宗子:「病院感染対策の効果的指導と活動事例涯概要,神戸地区感染鰐策セミナー2006.7 一49一
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