U-P(脳室・腹腔)シャントチューブが直腸に穿通し肛門より脱出、さらに

V-P(脳室・腹腔)シャントチューブが直腸に穿通し、
肛門より脱出、さらに自然脱落した一例
沖永良部徳洲会病院
吉岡真吾 木村慎一 天野博哉 佐々木紀仁
皆吉信介 岩元幸子 春日満理子
症例 47歳 男性
主 訴: 直腸内異物
現病歴:
平成2年8月 29歳時、左大脳半球広範囲脳梗塞を発症、
開頭減圧術、V-Pシャント術を施行。
平成16年4月 VPシャント閉塞のため、再手術。
平成18年6月 脳膿瘍きたし、抗生剤治療にて軽快。
平成19年9月 脳膿瘍再燃、無投薬にて経過観察。
平成20年1月 直腸内から肛門へチューブの脱出あり。
既往歴: VPシャント再手術時、心臓腫瘍指摘。
家族歴: 特記事項なし
喫煙歴: なし
頭部のCT
肛門周囲の写真
頭部のV-Pシャントチューブ
膿瘍を形成し、自壊
頸部のVPシャントチューブ
診断; V-Pシャントチューブの穿通
V-Pシャント感染
治療方針; 一般的には穿通が認められた時点で
抜去(前胸壁で切断し、肛門から抜く)
本症例では、2日目に自然脱出。
炎症反応の上昇なく、状態は安定している
考察
・V-Pシャントの合併症として感染、チューブの屈曲、
閉塞、腹腔内嚢胞形成、腹水貯留、腹腔内臓器穿通
などが報告されている。
・チューブによる消化管穿孔は2%前後。
・肛門からシャントチューブが脱出した例は6例あり、特
徴として小児期に多く、術後から発症までの時間が短い。
・治療に関しては、腹膜炎症状が無い場合にはシャント
チューブの経皮的抜去。腹膜炎、腹腔内膿瘍が認めら
れた場合に開腹手術が適応となる。
結語
V-Pシャントの晩期の合併症のなかでまれな
シャントチューブの直腸への穿通を経験した。