乳管癌と小葉癌を含む両側多発性乳癌の1例

第47巻補冊三号,2008年
P一朽1 乳管癌と小葉癌を含む両側多発性乳癌の
253
P−152 乳腺So玉i6pag遡蹴ycarcino盈aの2例
1弼
高岡市艮病院検査部病理
熊本大学医学部階属病院病遅部
○岡霞英吉(MD〉,高越祷子(CT)
○下照 環(CT〉,徳永英博(CT),田上さやか(CT),
北原千恵(CT),本照由美(MD),猪山賢一(MD)
1症例】K.M.51才女性 2005年9琢,右貌房A領域
【はじめに】乳腺のSo撚papillarycard昼omaは,神経内
腫瘤触知し,FNA施行.まnvasive ductalcarcinomaの診
分泌細胞への分化を示し,しばしば粘液を産生する事が
断で,腫瘤摘除術施行された.病理診噺はβa§illotubular
知られている.今園,我々は細胞像が各々異なるSo照
carcino皿aであった.2005年iO月に追加切除が行われ
papillary carcinomaの2例を経験したので報告する.
た.2006年12月,経過観察のエコー検査にて左乳房内
【症例ユ症例1:60歳代女性,右乳罷1)領域に0・7×0.7×
(B領域とD領域〉に2個の腫瘤を指摘される.FNAで,
0.4cmの腫瘤
B領域はinvas量ved縦ctalcarcino磁a,D領域は}obu}arcar−
症例2:70歳代女性,左乳房に8・5x6cmの腫瘤
cino組aの診断であった.2007年i月に左乳房切除術施
【細胞所見】症例i:胞体が網状でやや厚く,細穎粒状ク
行された.病運診断は左B領域は三.2×1.5c澱大のscir−
ロマチン増量を示す細胞を散在性に多数認めた.また,
rho嚢scarclnoma,左D領域は0、8×O.9cn生大のinvasive
少数の細胞には粘液がみられた・症例2:組織球やリン
lobular carcinomaであった.
パ球を背景に,胞体は淡く,N/C比が非常に高く,小
1結論1乳管癌と小葉癌を含む両側多発牲乳癌の1例を
型核小体を承す円形小型細胞集塊を認めた.腫瘍細胞は
提示した.
カルチノイド腫瘍様のクロマチンパターンを示し,一部
にはロゼット様配列もみられた.
【組織所見】症例i:弱好酸性の細胞質を有し,核小体の
目立つ異型細胞が乳頭状から一部充実性に増殖してい
た.近接した乳管内には,粘シ夜産生と飾状パターンを示
すDCIS像もみられた.漉例2:好酸性胞体を有する異
型細胞が拡張した乳管内に充実性から一都乳頭状に増殖
し,ロゼット様配列も見られた.免疫染色では,いずれ
の症例もsynaptophysin(十),c鼓rolnograninA(±),CI)56
(±)を示した.
【まとめ】So1墨d−tabularcarcino}na様の細胞出現形態を
示し,神経内分泌系への分化を疑う核クロマチンパター
ンを示す細胞や,精液産生を示す網胞の出現は,Solid
韓plllaryc鉱c呈Romaを考慮に入れて鏡顕する必要がある.