ミニ・イメージ・インタープリテーション 症例2 北里大学放射線診断科 鈴木文夫 所見まとめ • 鞍上部から第3脳室にかけて36×26×24mm(AP, RL, CC)程度の腫瘤 性病変を認める。 • 内部は不均一、T1WIで低信号、T2WIで高信号、造影剤投与後に強 い増強効果を示す。 • CT上は明らかな石灰化は見られず。 • 下垂体や下垂体柄に異常なし。 鞍上部腫瘤性病変 第3脳室腫瘤性病変 • 頭蓋咽頭腫 • 神経膠腫 • • • • • 脊索腫様膠腫 • 胚細胞腫 • 髄膜腫 • 悪性リンパ腫 • 転移 • 下垂体腺腫 • Rathke嚢胞 • サルコイドーシス • ランゲルハンス細胞組織球症 上衣腫 中枢神経細胞腫 脈絡叢乳頭腫 髄膜腫 診断 頭蓋咽頭腫 (乳頭型) Craniopharyngioma (papillary type) 病理所見 • 組織学的に、異型の目立たない分化した重層扁平上皮部組織が乳 頭状に増殖しています。 • 核の柵状配列やwet keratinは明らかではありません。 • craniopharyngiomaの所見で、papillary typeと判断致します。 頭蓋咽頭腫 • 全頭蓋内腫瘍の1~5%程度を占める。 • 10歳前後の小児と若年~中年に二峰性のピークを認める。 • 男女差はなし。 • 症状は頭痛、視力視野障害、内分泌異常など。 • エナメル上皮腫型、乳頭型、混合型に分けられる。 エナメル上皮腫型 乳頭型 年齢 小児~成人 成人 形状 分葉状 球状 腫瘍成分 嚢胞性が主体 実質性が主体 嚢胞成分 T1WIで高信号 T1WIで低信号 石灰化 高頻度(90%) まれ 再発 多い 少ない • 混合型はエナメル上皮腫型に類似した画像所見を示す。 症例のKey point • craniopharyngiomaは若年に好発する(40%が8~12歳)が、40~60歳 にも小さなピークが見られる。 • エナメル上皮腫型は嚢胞性であるのに対し、乳頭型は充実性を示 す。 • エナメル上皮腫型は石灰化が高頻度であるのに対し、乳頭型では 石灰化はまれ。
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