2010 年版 モロッコにおける問題点と要望 1/2 貿易・投資円滑化ビジネス

2010 年版 モロッコにおける問題点と要望 1/2
モロッコにおける問題点と要望
区分
意見元
No 問題点
問題点内容
2国産化要請・現地自動部品 (1) 域内コンテント
調達率と恩典
・モロッコから EU に輸出する場合、欧州の輸入者が関税を払わないことを許容する
EUR1 を現地の税関が発給することができるためには、欧州及びモロッコから購入し
た部材は 60%を超えなければならない。
3輸出要請
・大企業とモロッコ政府との間で結ばれた一部の協定では、総輸入に対して一定の比
率を輸出することを要求する規定がある。それに対して、これらの企業には有利また
は便益が与えられる。
自動部品 (1) 利益付輸出要請
9輸 出 入 規 制 ・ 関日商
税・通関規制
11利益回収
12為替管理
要望
準拠法
(1) 輸入代金支払いの ・海外から購入した商品の支払いには税関の通関証明が必要。従って、支払い期日
通関証明要件
が商品入荷前になっているようなサイトが短い代金の支払いが出来ない。
自動車
(2) FTA による関税格 ・1996 年に「モロッコ・EU 連合協定」調印により、2003 年より自動車関税の引き下げ ・政府間の FTA 交渉。
差
実施。EU 圏内の生産車の関税率は 2012 年までに 0%になるのに対し、圏外生産
車は不利を被る。
(参考)
・同国は工業品の最高関税率の低減を進めており、自動車関税は 08 年の 32.5%から 09 年には 27.5%に下がっている。しかし、EU 原産車の関税率は既
にこの 3 分の 1 の水準まで低減されており、12 年には撤廃される。これに対して、EU 域外原産の輸入車には 17.5%もの関税が残る見通し。
このため、EU 域外原産車メーカーは、部品を輸入して現地の自動車生産事業者への委託を行うコンプリートノックダウン(CKD)生産を行っている。CKD
部品の関税率は 3-4%と完成車輸入(27.5%)よりも低い。
日商
(3) 関税障壁
・当社の主力輸出品であるクロロプレンゴムは欧州の製造メーカーと競合しているが、 ・日本品を競争可能レベルに関税品とし
モロッコにおける輸入関税が、欧州からは 0%であるのに対して、日本からは 10%で てほしい。
あり、大きな関税障壁となっている。
日商
(1) 海外送金の制限
・在留外国人には海外送金口座を持つ事が許されているが、海外への送金は暦ベー ・外資企業の派遣員・駐在員については
スで 1 ヶ月に自分の月給以下の金額と、上限が定められている事。
自由な海外送金を要望。
日商
(2) 役務支払いの契約 ・マネージメントフィーなど無形のものへの支払いは契約書があれば可能だが、契約
書要件
書が無い場合の支払いは一切出来ない。
自動部品 (1) 為替管理
日商
・自由貿易区以外では、モロッコから外国へのすべての金融移転はモロッコ為替管理
局(the Office of Morocco Exchange Control)の管理を受ける。
(2) 外貨口座の取得資 ・売上げが全額外貨入金の直接輸出企業またはモロッコ国内に登記が無い外国企業 ・外資優遇策の制定を要望。
格規制
は外貨口座を持つ事が許されているが、その他の法人は例外なく外貨口座を持てな
い。弊社の場合も出資者が海外法人であるのにも関わらず、弊社自身が国内決済を
行っている現地法人であるため外貨口座取得資格が無く、そのため、資本金が常に
為替リスクに晒されている。
貿易・投資円滑化ビジネス協議会
2010 年版 モロッコにおける問題点と要望 2/2
区分
13金融
14税制
意見元
No 問題点
問題点内容
準拠法
(1) 保税輸出の銀行保 ・弊社のモロッコ現地での活動は、加工輸出企業(縫製)への部材の販売であり間接輸・当社へのバンクギャランティー撤廃と輸
証の審査要件
出企業と位置付けられている。商品を保税で輸出するにあたっては、第 3 国の企業 入自由化を要望。
に国際銀行を通して、バンクギャランティーを掛けてもらわねばならず、バンクギャラ
ンティーの上限を超える製品の輸入は認められていない上、輸入 1 件毎に銀行の審
査が必要で、この審査に 1 日以上掛かり、審査に通らないと輸入出来ない。また、こ
の手続きが煩雑であるため、当社では 3 名をこの業務専任で雇用している。同様に
審査に時間が掛かる事から、顧客への納期サービスにも支障を来たし、当社のみな
らず縫製業界全体にも弊害が発生している。
(1)
日商
高い個人所得税
・一般労働者の所得税は 10%程度だが、手取り 6,000 ディルハム(約 550 ユーロ)を ・外資企業の派遣員・駐在員については
超える者には一律 44%の所得税が掛かる。在留外国人も例外では無く、現地スタッ 期間限定でも良いので特例措置(所得
フの指導・育成に従事しようとする外国人派遣の障壁の一つとなっている。
税 10%など)を要望。
自動部品
・技術使用料に対して、源泉税(10%)を現地税務署に支払う必要がある。
(対応)
・主要なモロッコの税制は以下の通り。
−VAT(付加価値税):通常の税率は 20%だが、不動産に関しては 14%、医薬品及び銀行のサービスについては 7%である。付加価値税は保税区におい
ては適用されない。
−法人税:通常の税率は 30%だが、北部地域においては 17.5%、保税区においては 8.75%である。
日商
自動部品 (2) 源泉徴収
・テクニカル・フィーに対して 10%の源泉税を現地税務署に支払う必要がある。
15価格規制
自動部品 (1) 価格管理
・医薬品、食品のような一部のセンシティブな製品が政府による価格管理下に置かれ
ている。
16雇用
日商
日商
日商
17知的財産制度運日商
用
(1) 正社員の雇用要件 ・新規雇用にあたっては、最大 6 ヶ月間の試用期間が設けられており、これを延長する
と自動的に正社員として採用しなければいけない。
(2) 派遣社員の採用条 ・季節工の採用にあたっては、派遣会社からの派遣員であっても上記同様、勤続 6 ヶ
件
月を経過すると正社員として採用するかもしくは解雇するかの選択を迫られる。
(3) サマータイム勤務の ・官公庁・銀行は 7 月にサマータイム勤務が制定されており、同週 30 時間勤務となり、・制度としての適用価値が見出せない。
問題
業務に支障を来たす場合が多々ある。
撤廃を要望。
(1) 模倣品の流入
23諸制度・慣行・非自動部品 (1) 投資窓口
能率な行政手続
26その他
要望
日商
(1) 裁判の不透明
・中国製の模造品がモロッコ人輸入業者により輸入・卸販売され、弊社取扱いのオリジ ・税関での輸入禁止措置を取るなど水際・登録商標関連法令
ナル商品の販売を阻害している。
でのコントロールが望まれる。
・一部の行政手続が遅く、それが投資に影響を与えている。それに気づいて、政府は ・アイデアは非常に望ましいが、さらに多
自由貿易区のために独自の窓口を設置し、またモロッコの他の地域に投資の地域セ くのセンターを設置することが望まれ
ンターを設置した。その役割は、投資家のための独立の交渉パートナーとなって現 る。
存するすべての行政上の問題点を解決することである。
・訴訟など裁判にあたって、判決が不透明な場合があり問題となっている。在モロッコ
日本大使館もこの点を問題視しており、以下の様な報告があった。
1) 裁判手続きのルールが尊重されていない。(結果として判決が不公平)
2) 弁護士がよくない。
3) 勝訴したものの敗訴側が判決内容を執行しない。
貿易・投資円滑化ビジネス協議会