「リオナ錠」:リンの消化管吸収を抑制する鉄製剤

「リオナ錠」:リンの消化管吸収を抑制する鉄製剤
北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部
高リン血症治療薬のクエン酸第二鉄水和物(商品名リオナ錠 250mg)の適応は「慢性腎臓病患者におけ
る高リン血症の改善」で、用法・用量は「1 回 500mg、1 日 3 回食直後投与。以後、症状、血清リン濃度の
程度により適宜増減し、最高用量は 1 回 6000mg まで」となっている。
高リン血症は、透析中並びに保存期慢性腎臓病(CKD)の多くが腎臓からのリン排泄が低下することで生
じる疾患であり、高リン血症状態が持続すると臓器や関節周囲に石灰沈着を生じやすくなる。特に血管
壁での石灰沈着は動脈硬化の原因となり、心筋梗塞や狭心症を発症するリスクが高まることが指摘され
ている。このことから、CKD 患者では血清リン濃度を適切にコントロールすることが重要とされる。
高リン血症の治療には、食事指導によるリン摂取制限、透析によるリン除去に加え、消化管からのリン吸
収を抑制する経口リン吸着薬の投与が行われている。経口リン吸着薬としては、沈降炭酸カルシウム
(商品名カルタンなど)、セベラマー塩酸塩(商品名レナジェル、フォスブロック)、ビキサロマー(商品名キ
ックリン)、炭酸ランタン水和物(商品名ホスレノール)が用いられているが、それぞれの薬剤特性から、
高カルシウム血症、便秘を主とする胃腸障害、長期投与時の組織蓄積といった課題も多い。さらに現時
点では、保存期 CKD 患者に適応のある薬剤が限られているという問題もある。
今回承認されたリオナは、リン結合能が高い第二鉄(3 価鉄)が主成分である。消化管内での食事由来
のリン酸と結合し、不溶性のリン酸鉄を形成してリンの消化管吸収を抑制する。比表面積を大きくするこ
とで溶解性が改良され、既存の高リン血症治療薬よりも溶解速度が速くなり、消化管内で効率的にリン
吸着作用を発揮する。国内での第 3 相試験などでは、血清リン濃度の低下が 1 週間で認められ、以降そ
の作用は持続することが確認されている。
薬剤使用に際しては、承認時までの臨床試験結果で何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が
25.5%に認められていることに十分注意する必要がある。リオナの主な副作用は、下痢(10.1%)、便秘
(3.2%)、腹部不快感(2.5%)、血清フェリチン増加(2.7%)である。
なお本薬は、食物由来のリンを吸着する薬剤であり、薬効を十分に発揮させるには食直後の服用が必要
であることを、しっかりと患者に指導しておかなければならない。
参考
透析患者の食事で制御が最も難しいのは「リン」
血液透析を受けている患者が、栄養管理の中でコントロールが最も難しいと感じている成分は「リン」。
バイエル薬品と全国腎臓病協議会(全腎協)が行った意識調査でこんな実態が明らかになった。リンの摂
取制限が困難な場合は、リン吸着剤の適量・適時服用が必要になるため、透析患者のマネジメントに薬
剤師の積極的な参画が求められていると言えそうだ。
調査は 2008 年 9 月、透析歴を有する全腎協会員(400 人)を対象に食事に対する意識を把握する目的で
実施され、251 人から回答を得た。回答者の 66.7%は透析歴 10 年未満で、糸球体腎炎などの腎疾患が
70.5%を占めていた。
「食生活に気を付けている」と答えた人が大半(82.9%)を占めたが、その半数以上(54.4%)は「食事に気
を付けることは難しい」と感じていることがわかった。難しいと感じていることは何かと尋ねたところ、ほと
んどの人(85%)が「栄養管理」だと答えた。中でもコントロールが難しい成分は何かと尋ねたところ、「リ
ン」(68.8%)、「カリウム」(39.6%)、「水分」(29.2%)、「塩分」(26.1%)、「蛋白質」(25%)が上位に。
また、自由回答欄で食生活で望むことを尋ねたところ、「リンを気にせず食べたい」(14.7%)との回答が最
も多く、そのほか「制限のない食事」(12.9%)、「カリウムを制限しない食事」(9.2%)、「水分を気にせず食
べたい」(7.4%)、「外食で透析食の提供を」(6.1%)が上位を占めた。
排泄能が低下した透析患者では高リン血症を来しやすい。高リン血症は血管の石灰化を招き、致死的な
心血管疾患の原因となる。従って、リンの摂取制限が困難な場合はリン吸着剤の服用が必要だが、リン
吸着剤は空腹時に飲むと効果がないばかりでなく、異所性石灰化を助長する恐れがあるため、必ず食直
前・食中・食直後に服用させるなど適切な服薬指導が重要になる。
実際、血清リン濃度が高い患者ほどリン吸着剤の服用時間に対する理解度が低く、服薬コンプライアン
スも悪くなる傾向にあるとの報告もある 1)。透析クリニックなどからの処方せんを受けている薬局薬剤師
は、透析患者のマネジメントに積極的に参画し、薬物治療や栄養管理をサポートする必要がありそうだ。
リオナの製剤学的特性
比表面積を大きくする製剤設計が施されているため、溶解速度が速い特性を有しています。
試験概要
日局一般試験法の溶出試験法の
第 2 法(パドル法)に基づき、クエン
酸第二鉄の溶解性を毎分 100 回転
のパドル回転数にて検討した。値
は、試験開始 10 分後に溶解した割
合を示す。