赤外線サーマルカメラ セキュリティ市場でのグローバルスタンダードへ

巻 頭 イ ン タ ビ ュ ー
熱で見る!赤外線サーマルカメラ
セキュリティ市場でのグローバルスタンダードへ
フリアーシステムズジャパン株式会社
コマーシャルビジョンシステムズ部門
香川 大造
セキュリティ市場における貴社の取り組みを
教えてください。
弊社の赤外線カメラは、世界市場において大き
なシェアを占めています。特にセキュリティの市
場において、赤外線サーマルカメラに特化して取
り扱っている企業は弊社くらいであり、赤外線の
サーマルカメラによる夜間の監視というニーズで
は、必ず弊社の名前が挙がるというくらいまで認
知されていると思います。
また、セキュリティに関連するところですと、
車載用のカメラでも高いシェアをもっています。
場調査でセキュリティ分野における赤外線カメラ
Audi や BMW、ロールスロイスなどに搭載されて
が今後飛躍的に伸びると言われていますが、まさ
おり、車のフロントに搭載した赤外線サーマルカ
にその通りであろうと思います。欧米と比べると
メラで、夜間の運転をアシストするというもので
日本ではまだまだこれからですが、着実に弊社製
す。
品が浸透してきていると実感しており、今後に期
待がもてる市場だと思います。
現在のセキュリティ市場をどのように捉えて
いますか?
フリアー社製の製品はどのような特長がある
のでしょうか?
非常に伸びている市場だと実感しています。特
に、私どもとしては、今後、可視カメラが使われ
大前提として、私どものすべてのカメラは屋外
ていたアプリケーションの一部が必ずサーマルカ
仕様で、アナログ出力や IP カメラなど既存のイン
メラへと置き換わると思っています。世界的な市
タフェイスと統合できる仕様となっております。
6 ︱March 2013
eizojoho industrial
フリアーシステムズジャパン株式会社
また、固定型カメラやパンチルトタイプのカメラ、
さらに比較的安価なモデルなど、多様なニーズに
国内と海外の市場の違いはどのようなところ
でしょうか?
お応えできる豊富なラインナップも特長のひとつ
です。価格においては、私どもは常にリーズナブ
欧米ですと、赤外線サーマルカメラをセキュリ
ルな価格で製品を提供し、市場をリードするとい
ティに使うという概念が普通になっています。理
うポリシーを徹底しています。
由として、私どものカメラの画素数は、QVGA
またセキュリティの分野ですと、小型化かつ堅
(320 × 240)と、VGA(640 × 480)の 2 つライン
牢であるということが重要になります。弊社製品
ナップがありますが、欧米では、かなりのユーザ
は、筐体だけでなく、素子の部分においても非常
が VGA に移行してきているからです。一方、日本
に耐久性が高いということで高い評価をいただい
ではまだQVGAを考えられるユーザ様の方が多い
ています。先に述べました、車載で使われている
かもしれません。赤外線サーマルカメラは、夜間
ということがいい例で、非常に検査の厳しい自動
の監視も含め、検知する機能が非常に有効である
車メーカの様々な検査をパスしているということ
という共通認識のうえで、よりよい製品が欲しい
が証明していると思います。そして、車載カメラ
ということだと思います。日本では、やはり可視
に搭載されている同じモジュールを私どもすべて
のカメラと比べてとか、近赤外線カメラと比べて
の製品に展開しています。
どうだという話になるケースも見られ、まだ市場
また、セキュリティ用カメラにおいては 3 年の
の成熟度が違うのかなと感じています。そこで、
保証をしており、かつ、もっとも重要な検出素子
私ども日本法人の役割として、赤外線サーマルカ
の部分では 10 年という長期保証をつけています。
メラを使ってどのようなことができるのかという
安心して長期間使っていただける製品であるとい
ことを、市場に認知してもらうための活動に注力
うことです。
することが大切だと考えています。
赤枠内の人物は、
完全な暗闇の中、
約180m離れた地点から検出された映像
可視画像
eizojoho industrial
仮想トリップワイヤーゾーンに近づいている人物が
300m離れた地点から検出された映像
赤外線サーマルカメラ
March 2013︱7
巻 頭 イ ン タ ビ ュ ー
熱で見る! 赤外線サーマルカメラ セキュリティ市場でのグローバルスタンダードへ
赤外線サーマルカメラにはどのような用途が
ありますか?
画像解析ソフトと組み合わせることにより、侵入
者が動物なのか人間なのかという検知能力を有す
ることができ、検知精度が非常に高くなります。
昨今、テロ活動への対策意識が高くなっていま
それにより、初期投資のコストだけでなく、ラン
すが、重要施設の外周を警備するために、赤外線
ニングコストを非常に低く抑えることができるよ
のサーマルカメラが必須であるとして、多く採用
うになります。
されています。
最近のトレンドでいうと、太陽光ソーラーのプ
ラントに設置するという案件が非常に多く、おか
なぜ赤外線サーマルカメラが有効なのです
か?
げさまで多数納入させていただいております。特
にメガソーラーなどのプロジェクトになると、広
赤外線サーマルカメラであれば、昼でも夜でも
い敷地にフェンスを張り巡らせ外周を警備しなけ
同じように見えますし、太陽光や光の反射などに
ればなりません。従来ですと、複数台のラインセ
影響を受けないなど、外的な要因に左右されない
ンサと可視カメラを設置し監視していましたが、
ため、検知するというセンサとして非常に有効な
このようなラインセンサと可視カメラの監視です
のです。そこで、河川の監視や高速道路の監視な
と、正確な検知ができず誤発報が非常に多かった
どにおいても非常に有効です。つまり、赤外線カ
のが懸念されていました。しかし、私どもの赤外
メラであれば様々な環境の変化に左右されず捉え
線サーマルカメラを導入することで、1 台で 500~
ることができるという強みがあります。光ではな
600m までを監視することができるだけでなく、
く、熱をみるという非常にシンプルな技術ですが、
様々なマーケットで需要が見込める可能性があり
ます。
さいごに今後の抱負は?
今後も常に低価格で高品質な製品を提供すると
いうことに変わりはありません。また、私どもは
赤外線サーマルカメラのメーカとして日本だけで
なく、世界においてもリードしていく企業という
自負があります。今後も、様々な分野の市場を開
拓し、ユーザや市場に対し、製品の認知度や活用
事例を広く紹介していきたいと思っております。
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